宇宙のカウボーイ、ふたたび。
2021年11月19日(金)より全世界にて独占配信が開始された、Netflix実写ドラマ『カウボーイビバップ』。
宇宙を股にかける“賞金稼ぎ(カウボーイ)”の活躍を描き、1998年に日本で制作・放送された同名人気アニメを、ハリウッドにて実写化した作品です。
本記事では実写版『カウボーイビバップ』の第1話「カウボーイ・ゴスペル」をネタバレあらすじありで考察・解説。
原作のアニメ版第1話「アステロイド・ブルース」との違いやシリーズへのオマージュ描写、実写版のオリジナル描写について紹介していきます。
CONTENTS
Netflix『カウボーイビバップ』の作品情報
Netflix『カウボーイビバップ』
【配信】
2021年(Netflix独占配信)
【原作】
矢立肇『カウボーイビバップ』
【企画】
アンドレ・ネメック
【脚本】
クリストファー・ヨスト
【音楽】
菅野よう子
【キャスト】
ジョン・チョー、ムスタファ・シャキール、ダニエラ・ピネダ、アレックス・ハッセル、エレナ・サチン
【日本版吹き替えキャスト】
山寺宏一、楠大典、林原めぐみ、若本規夫、高島雅羅
【作品概要】
1998年に日本で制作・放送された同名の人気アニメをハリウッド実写化。宇宙を股にかける賞金稼ぎ(カウボーイ)の活躍を描いたSFアクションを描く。
実写版では日本版吹き替えのキャストとして、主人公スパイク・スピーゲルを山寺宏一、ジェット・ブラックを楠大典、フェイ・ヴァレンタインを林原めぐみ、ビシャスを若本規夫、ジュリアを高島雅羅が演じる。
Netflix『カウボーイビバップ』第1話「カウボーイ・ゴスペル」のあらすじとネタバレ
Netflix『カウボーイビバップ』
「ワタナベ・カジノ」を襲撃する強盗グループ。その主犯格で150万ウーロンの賞金首タナカは生き残りの店員キャロルに、上司の片目を潰したせいでカジノをクビになったという自身の身の上を語ったのち、彼女を撃ち殺そうとします。
しかしエレベーターで真正面からやってきた賞金稼ぎ(カウボーイ)のスパイク・スピーゲル、彼の賞金稼ぎ仲間でビバップ号の船長ジェット・ブラックが現れ、強盗グループを瞬く間に制圧。
強盗犯の一人が光線銃ディスラプターで壁に大きな穴を空けたことで、カジノ船内から宇宙空間へと吹き飛ばされそうになるというアクシデントもありましたが、無事賞金首であるタナカの確保に成功します。
雨の水溜りに落ちる一輪のバラ、銃、バラのタトゥーの女……一仕事を終えビバップ号内の寝室で眠りについていたスパイクは、そんな夢から目を覚まします。
賞金首タナカの身柄引き渡しと懸賞金受け取りのため、木星の第二衛星エウロパにある警察署へと向かうビバップ号。このところの赤字続きに頭を抱えるジェットは、間近に控える娘キミーの誕生日のためにも久々の黒字を願っていました。
その頃、バー「エル・レイ」に姿を現した男アシモフと妊婦らしき恋人カテリーナ。点眼することで一時的に身体能力の向上をもたらす非合法の目薬「レッドアイ」を組織から持ち出したアシモフは、それを売りさばき大金を手に入れ、カテリーナとともに高飛びすることを企んでいました。
店主にまがい物と疑われ、自らの眼にレッドアイを一滴さすアシモフ。その効果は凄まじく、レッドアイの回収とアシモフの始末に来た組織の構成員たちさえも単身で返り討ちにしてしまいます。
一方、位相差空間ゲートによる宇宙空間内の高速移動を経てエウロパに着き、身柄引き渡しと懸賞金受け取りを終えるジェット。賞金150万ウーロンからカジノ船の修理代や手数料を差し引かれてしまい、実際に受け取ったのは船の燃料代程度しか賄えない、たった10万ウーロンでした。
しかし警察署で会った知人の刑事チャルマーズに「ジェットの元妻から頼まれて」とバーでの事件に関する情報を流してもらったジェットは、250万の懸賞金がかけられたアシモフを捕まえることをスパイクに提案。二人はアシモフがまだ潜伏していると思われるニュー・ティフアナへと向かいます。
ニュー・ティフアナに到着したジェットは、事件が起こったバーへ聞き込みに。そこで、自分よりも先に「紫色の髪の女」が同じことを尋ねにバーへ来たという情報を知ります。
一方、街で聞き込みを続けるスパイク。アシモフが事件時に銃弾で負傷していると聞かされていた彼は、治療のため病院や診療所に向かうのではと考えていましたが、その予想通りアシモフは銃創の治療を受けている最中でした。
やがてスパイクはアシモフが治療を終えるのを待つカテリーナと遭遇。彼女の咥えていたタバコに火を点けてやり、他愛のない会話の中でアシモフの居所を探ろうとしますが、突然背中に銃を突きつけられます。
Netflix『カウボーイビバップ』第1話「カウボーイ・ゴスペル」の感想と評価
Netflix『カウボーイビバップ』
アニメ版第1話「アステロイド・ブルース」の物語と変更点
Netflix実写ドラマ『カウボーイビバップ』の第1話「カウボーイ・ゴスペル」。非合法の目薬「レッドアイ」と男女の逃避行をめぐる物語は、原作にあたるテレビアニメ版の第1話「アステロイド・ブルース」に基づいています。
のちに明かされていくスパイクの過去と多くの点でリンクし、まさにスパイクの「悪い夢」から覚める兆しを描いているアニメ版第1話「アステロイド・ブルース」。『カウボーイビバップ』の原点ともいえるその物語を実写版『カウボーイビバップ』も描く一方で、いくつかの展開には変更点も見られます。
まずアニメ版では第2話「ホンキィ・トンク・ウィメン」で初登場したフェイが、第1話からすでに登場した点。またアニメ版初登場時の彼女は元イカサマ師で賞金首であり、スパイクらと出会ったことで賞金稼ぎとして活動するようになったのに対し、実写版ではスパイクとの初邂逅の時点でもう賞金稼ぎ業をしていた点です。
アニメ版の全26話構成と異なり、全10話構成となる実写版『カウボーイビバップ』。物語の展開の速さが要されるとはいえ、アニメ版ファンの多くは少なからず驚いたはずです。またジェットには結婚歴があり、元妻との間に娘キミーがいるという実写オリジナル設定にも同様です。
オマージュ盛り沢山!劇場アニメ版『天国の扉』も?
実写版第1話「カウボーイ・ゴスペル」では、アニメ版第1話「アステロイド・ブルース」以外にも多数のアニメ版『カウボーイビバップ』へのリスペクト/オマージュ描写が含まれています。
特筆すべきは冒頭で描かれた、スパイクらがカジノ強盗を制圧する場面。強盗グループのリーダーであるタナカが、カジノで働いていたがクビにされたという身の上話や社会への恨みを女性店員に愚痴っている様子からも、それが劇場版アニメ『カウボーイビバップ 天国の扉』冒頭における、コンビニ説教強盗レンジィ(演:石橋蓮司)とその一味をスパイクらが倒す場面へのオマージュであることがわかります。
「一味の一人が犯行中にトイレに行っていたため、強盗グループの人数が実際と違っていた」というアクシデントも、物語の展開として忠実に再現しています。
そしてアニメ版ファンにとっては、アニメ版の複数回どころか劇場版にすらも登場する準レギュラーぶりで、パイクらが訪れる場所になぜか毎回出没する、仲のいいジイさん三人組(それぞれアントニオ、カルロス、ジョビン)がアニメ版通り第1話から登場していることも見逃せないでしょう。
宿敵ビシャスらも登場!「フィアレス」とオリジナル展開
また第1話最後には、アニメ版にてスパイクと因縁深い宿敵ビシャス、そしてスパイクの「過去」を象徴する存在といえる女ジュリアも登場。実写版では両者のスパイクとの関係性がどのように描かれていくのかは、実写版『カウボーイビバップ』の気になる見どころの一つといえます。
そしてスパイクが「始末され死んだ人間」と組織に思われていたこと、組織からは「フィアレス(Fearless)」と呼ばれていたこと、その生存がビシャスに知られたことが、実写版のオリジナル展開として描かれます。
「恐れを知らない」「不敵/大胆不敵」といった意味を持つ「フィアレス(Fearless)」。スパイクが過去にかつて名乗っていたあだ名またはコードネームと思われますが、彼がかつて何をしていたのかは夢の中の銃撃戦の描写からもどことなく察することができます。
まとめ
Netflix『カウボーイビバップ』
スパイクのかつての名前「フィアレス」や終盤のビシャス・ジュリアの登場など、第1話の段階からスパイクの謎多き過去に切り込んでいくオリジナル展開を見せた実写版『カウボーイビバップ』。
また劇場版を含めた原作にあたるアニメ版へのリスペクト/オマージュ描写など、アニメ版ファンにとってもうれしい演出はどれも見逃せないものばかりでした。
果たして今後、スパイクの過去はどのように明かされていくのか。それぞれのキャラクターとその物語がどのように描かれていくのか。期待は膨らんでゆくばかりです。