日本の武士の魂を描いたアニメシリーズ『Yasuke -ヤスケ-』好評配信中
ポスト「鬼滅の刃」として注目を集め、漫画の既刊が入手困難となるほどの人気漫画『呪術廻戦』。
そんな『呪術廻戦』や『進撃の巨人 The Final Season』、そして『この世界の片隅に』(2016)などの話題アニメを手掛ける制作会社「MAPPA」がアメリカ人アニメ監督とタッグを組んだアニメが遂にNetflixで配信。
今回は実在の黒人武士を題材としたアニメ『Yasuke -ヤスケ-』(2021)をネタバレあらすじを含めご紹介させていただきます。
CONTENTS
アニメ『Yasuke -ヤスケ-』の作品情報
【公開】
2021年(Netflix独占配信)
【監督】
ラショーン・トーマス
【キャスト】
ラキース・スタンフィールド、平岳大、マヤ・タニダ、イアン・チェン、グウェンドリン・ヨー、ミンナ・ウェン、ノシル・ダラル、ポール・ナカウチ
【作品概要】
アニメシリーズ『キャノン・バスターズ』などの作品で知られる中目黒に拠点を置く監督ラショーン・トーマスが、日本のアニメ制作会社「MAPPA」とタッグを組み制作したアニメシリーズ。
主人公弥助の声を演じたのは『ショート・ターム』(2014)や『グローリー/明日への行進』(2015)の演技で高い評価を受け、『ナイブズ・アウト/名探偵と刃の館の秘密』(2020)にも出演したラキース・スタンフィールド。
アニメ『Yasuke -ヤスケ-』のあらすじとネタバレ
1582年、本能寺。
明智光秀の謀叛によって織田信長は追い詰められていました。
織田信長配下の黒人家臣「弥助」は逃げることを勧めますが、信長は自身が死ねば小姓の蘭丸の命は助かると考え、介錯を弥助に頼み切腹します。
20年後、船頭として過ごす弥助は見慣れない風貌ながらも村で人望を集めていました。
侍に憧れる少年の一郎は、酒場の歌手である一華の娘「咲希」が北の村に住む医師でなければ治せない重い病を患っていることを知り、弥助に船を出すことを求めますが、弥助は北の村は戦乱の真っ只中であることを理由に断ります。
夜、弥助は夜の闇に紛れて北の村に行こうとする一華の家を訪ね、手助けすることを申し出ます。
川を下る弥助たちは咲希の身柄を求める4人の刺客と相対。
「誉」を何よりも重んじる弥助は刺客の要望に屈せず4人と戦いますが、人数の差もあり苦戦を強いられます。
一華も戦いに参じますが、刺客に撃たれ負傷。
その様子を見た咲希の身体から光が生じ、全員は吹き飛ばされ弥助は川に落ちてしまいました。
川辺で弥助は咲希と共に目を覚まします。
医師の正体も分からず、一華も見失ったことから弥助は咲希の反対を押し切り村へと戻りました。
弥助を見失った刺客と彼らの雇い主である司祭は村の居酒屋に居る弥助の前に現れます。
弥助を捕縛した司祭は、村人たちの前で弥助が一華を殺したと嘘の演説を行い、村人たちに咲希を探させます。
咲希の捕縛に向かうロボットと獣人の刺客は、村の商店街で咲希を見つけますが、彼女は目覚めた自身の超能力を使い逃走に成功。
一方、司祭は弥助に激しい拷問を行い、咲希の場所を聞き出そうとします。
拷問を受ける中、弥助は自身の過去を思い出していました。
1579年、南蛮貿易の場で弥助を見つけた信長は洗っても落ちない黒い肌と誉高い性格を気に入り商人から弥助を買い取ります。
弥助は信長の屋敷で女性でありながら武芸者としての立身出世を目指す夏丸と出会います。
1581年、信長は弥助と夏丸に伊賀の忍「服部半蔵」の調略を命じます。
しかし、黒人と女性と言う日本の武士として異端の人間を重宝する信長に光秀は反感を抱き始めていました。
伊賀の国との交渉は決裂し信長の軍勢は伊賀の国に対し武力行使を行います。
夏丸と関係を深める弥助でしたが、夏丸が伊賀の国の人間と同じ家紋の首飾りを身につけていることから彼女が伊賀の国の人間であることに気づきます。
服部半蔵の軍勢との交戦中、夏丸に裏切りについて尋ねると彼女は服部半蔵直属の別式女であることを認め斬り合いとなります。
裏切りという行為を許せない弥助は夏丸を戦場で刺殺してしまいました。
弥助が司祭から拷問を受ける中、森の中で咲希は自身を探す一郎と再会。
一郎は弥助が一華を殺害したと勘違いしており、咲希は彼の勘違いを正しますが、その中で自身の力の暴走が原因で一華が死んでしまったことを思い出してしまいます。
動揺した咲希の力は再度暴走し、一郎を吹き飛ばし失神させてしまいます。
力を覚醒させた咲希は単身で司祭のアジトに乗り込みますが、ミュータントである司祭に返り討ちに遭います。
苦しむ咲希を見かねた弥助が自身で拘束を解き助けに入ったことで、司祭は十字架に串刺しになり死亡。
雇い主を失った4人の刺客は弥助と咲希に興味を失い2人は司祭のアジトを後にします。
翌日、咲希は北の村にいる「守助」医師のもとへ連れて行くように弥助に求めます。
先日の戦いで日本を支配する闇の大名に勘づかれたことを悟る弥助は咲希を安全なところに隠そうと考えていましたが、守助の名前を聞き考えを改めます。
守助はかつて信長の家臣で「医師」と渾名される、超能力を使った戦術を使う導師であり武士でした。
一華の望みが咲希の治療ではなく彼女の能力を守助に指導してもらうことだと気づいた弥助は夏丸の刀を携え、見張りの多い川ではなく山道で守助のいる村を目指すことにしました。
一方、闇の大名は強大な力の発現を感じ取り、その力を求め配下たちに咲希を探させ始めます。
アニメ『Yasuke -ヤスケ-』の感想と評価
SFファンタジーと戦国時代が融合したド迫力の戦い
日本の戦国時代を舞台としたアニメシリーズ『Yasuke -ヤスケ-』。
戦国時代と聞いて真っ先に思い浮かぶ戦国大名「織田信長」や「明智光秀」も登場する本作は単なる伝記的作品ではなく、超能力やロボットの登場するSFファンタジーアニメとなっています。
甲冑や刀、そして武士道と言う日本の文化の数々は日本人の中ではどこか古風なイメージを連想させます。
しかし、甲冑型ロボットの登場する『ウルヴァリン: SAMURAI』(2013)ではSFが日本文化と融合し、「忠臣蔵」の物語をアレンジしたキアヌ・リーヴス主演作『47RONIN』(2013)ではドラゴンが登場するファンタジーな日本が舞台となっていました。
本作は「MAPPA」制作の高クオリティなアニメーションと、戦国SFファンタジー版『ロード・オブ・ザ・リング』とも言えるド迫力の物語が楽しめる作品でした。
実在の黒人武士「弥助」とは
戦国SFファンタジーである『Yasuke -ヤスケ-』の物語はフィクションではありますが、弥助という武士は織田信長の配下として実在していました。
圧倒的な血統主義の世界であった戦国時代の日本において、黒人かつ元奴隷の異色の武士を重用した織田信長。
彼の最期となった「本能寺の変」において、弥助はその場に居合わせ明智光秀の軍勢と戦い捕縛されますが、明智光秀は弥助を「動物であり日本人ではない」として命を奪いませんでした。
明智光秀のこの差別的な言動は弥助の命を救うための方便であったとも言われ、現在でも議論の対象となっています。
実は弥助は、2020年に結腸癌によりこの世を去ったチャドウィック・ボーズマン主演で映像化の企画が経ち上がった過去もある、海外でも注目の戦国武将。
本作は、奴隷として連れてこられた弥助の肌の色に驚愕した織田信長が弥助を買い取ったというエピソードなど実在の弥助の様々なエピソードが取り入れられた作品でした。
まとめ
生まれや性別で人生のほぼ全てが決まってしまうような過酷な戦国時代の日本。
「奴隷はどこまで行っても奴隷」と言う言葉の枷に苦しめられながらも平穏な時代を求め戦った黒人武士の弥助。
実在の弥助も「本能寺の変」を最後に彼の人生を指し示す明確な資料は見つかっておらず、その生涯は謎に包まれています。
武士道の心である「誉」を重んじ自由のために戦った本能寺の変の後の弥助の物語がド迫力のアニメで描かれるアニメ『Yasuke -ヤスケ-』はアニメ好きにも歴史好きにもおすすめのNetflixアニメです。