映画『劇場版 生徒会役員共2』は日常系のラブコメディ
『週刊少年マガジン』で連載中の漫画を原作に、これまで2度のアニメシリーズと、OVA、OADが製作され、2017年には劇場版第1弾が公開された人気シリーズの劇場版第2弾『劇場版 生徒会役員共2』。
女生徒が多い高校を舞台に、主人公の津田タカトシが、半ば強引に引き込まれた生徒会で、会長の天草シノに振り回されるという、大きな事件も特に起きない、いわゆる日常系のラブコメアニメです。
ですが最大の特徴は、過激な下ネタを連発する作風にあります。
テレビシリーズでは、過激な台詞が効果音でかき消されたり、放送コードギリギリの台詞を連呼したり、画面中にモザイクがかけられるなどが、当たり前となっていました。
劇場版の第2作目となる『劇場版 生徒会役員共2』は、テレビアニメ版と同じで、細かいショートストーリーと、ギャグを連発する内容となっていますが、ラブコメとして、タカトシとシノの関係に進展があるのでしょうか?
映画『劇場版 生徒会役員共2』の作品情報
【公開】
2021年公開(日本映画)
【原作】
氏家ト全
【監督・シリーズ構成】
金澤洪充
【声のキャスト】
浅沼晋太郎、日笠陽子、佐藤聡美、矢作紗友里、下田麻美、小林ゆう、小見川千明、新井里美、加藤英美里、田村睦心、椎名へきる、斎藤千和、岡咲美保、上坂すみれ、日野未歩、白石稔、安済知佳、利根健太朗
【作品概要】
『週刊少年マガジン』で連載中の、氏家ト全原作の漫画『生徒会役員共』。
これまで2010年と2014年にアニメシリーズが放送され、その後もOVAやOAD、そして2017年に劇場版が公開された人気シリーズです。
劇場版の2作目となる映画『劇場版 生徒会役員共2』は、アニメシリーズと同じキャストが続投しており、テレビシリーズから携わってきた金澤洪充が、監督を務めています。
映画『劇場版 生徒会役員共2』のあらすじとネタバレ
女子高から共学に変わり、男子生徒28人に対して女子生徒が524人という「桜才学園高等部」。
「桜才学園高等部」2年の津田タカトシは、「桜才学園高等部」生徒会長、天草シノに強引に引き込まれた形で、生徒会副会長を務めています。
シノは面倒見のいい性格で、校内の生徒から頼られる存在ですが、下ネタや卑猥な言葉に反応する、少し困った性格です。
生徒会書記の七条アリアは、裕福な実家に生まれたお嬢様で、清楚な容姿ながら、シノを超えるハードな下ネタを好みます。
生徒会会計で、タカトシと同じクラスの萩村スズは、IQ180の頭脳と140cm未満の身長が特徴。
暴走気味のシノとアリアを、常識人のタカトシとスズが支える関係性で「桜才学園高等部」生徒会は、今日もさまざまな生徒の悩みを解決していきます。
第1話
美術の授業に使用する壺を運んでいたタカトシは、壺を落としてしまい割ってしまいます。
元に戻す為に接着剤で修復しようとしますが、アクシデントが発生し、風紀委員長で、極度の潔癖症である五十嵐カエデと手がくっついてしまいます。
シノに相談し、お湯をかければ離れる事が判明しますが、生徒会の会議がある為、処置をする時間がありません。
タカトシとカエデは、手をつないだまま生徒会の会議に出席します。
ですが、タカトシに恋心のような複雑な感情を持つシノは、タカトシとカエデの様子に嫉妬します。
第2話
「桜才学園高等部」映画研究会が、コンテスト用の映画を製作する為の、出演者を探して生徒会に訪ねて来ます。
生徒会全員で映画に出演し、製作に協力する事になりますが、タカトシとラブシーンを演じる事になったシノは、舞い上がってしまいます。
さまざまなトラブルを乗り越え、泊まり込みで撮影された作品は、見事にコンテストで入賞をします。
第3話
「桜才学園高等部」生徒会にとって大きな行事である「生徒総会」が開催される事になります。
ですが、生徒の気持ちがバラバラでまとまらない為、シノは「こんな時こそ、手と手を取り合え!」と団結を促します。
何故かその流れから、タカトシが各部の部費を賭けて腕相撲対決をさせられます。
第4話
次の日も朝早く登校しなければならなくなった、生徒会役員。
「それなら学校に泊まった方が早い」と、宿直室に泊まる事を提案します。
その日の当直だった、生徒会顧問の横島ナルコの許可を得て、宿直室に泊まりますが、いわゆる「ダメな大人」のナルコは、酒を飲みすぎてしまい、そのまま眠ってしまいます。
見回りの時間になってもナルコが起きない為、生徒会役員で代わりに夜の学校内の見回りを開始します。
ですが、極度の怖がりのスズは、学校内の幽霊の存在を恐れ始めます。
第5話
新聞部部長の畑ランコが、生徒会を訪ねて来ます。
ランコは、シノがタカトシに抱く微妙な感情を見抜いており、過去に意図的に「タカトシとシノが交際している」という噂を学園中に流した事がありました
その為、シノはランコに少し苦手意識を持っています。
ランコは、学校の校内放送用の脚本を書き「生徒会で演じてほしい」と依頼しますが、内容はラブストーリーだった為、タカトシに恋心を抱くシノとスズは、戸惑った反応を見せます。
ラブストーリーの内容は、シノとスズ、アリアが演じる三姉妹と、タカトシ演じる男性の複雑な関係を描いた作品で、タカトシはランコから「ラストは誰を選ぶか、タカトシに決めてほしい」と伝えられます。
戸惑ったタカトシは、以前、交際の噂を流されたシノと、同じクラスのスズを避け、アリアを選びます。
タカトシは、アリアを選んだ事を謝罪しますが、アリアもタカトシに複雑な感情を抱くようになります。
第6話
ランコと街中で偶然会ったタカトシ。
ランコから「取材に協力してほしい」とお願いされ、タカトシは「カップル限定スポット」を一緒に回ります。
ですが、そこをシノとアリア、スズに見られてしまいます。
シノは明らかに嫉妬した様子を見せますが、校内に貼られた学園新聞の「カップル限定スポット特集」を見て一安心します。
第7話
思いつめた表情で、生徒会の部屋に1人でいるシノ。
シノは、涙を流しながら「津田タカトシは、我々の前から消えた」と語ります。
映画『劇場版 生徒会役員共2』感想と評価
劇場版2作目となる映画『劇場版 生徒会役員共2』。
ですが劇場版として何も特別な事は無く、オープニングではテレビアニメシリーズ第2期の主題歌「花咲く☆最強レジェンドDays」が流れ、ショートストーリーで繋いでいく、テレビシリーズと変わらない構成となっています。
あらすじ部分で紹介したエピソードは、主なエピソードとなっており、他に細かいショートストーリーが満載で、タカトシの妹コトミや、タカトシの親戚で英稜高校の生徒会長である、魚見チヒロなど、テレビシリーズでお馴染みのキャラクターも全員登場します。
シノがタカトシに抱く、複雑な恋心も特に進展する事がなく、本当に何も変わらない「生徒会役員共」の世界が繰り広げられますが、この「何も変わらない」という妙な安心感が、本作の魅力であると言えます。
ただ、劇場版だからか、テレビシリーズでもギリギリを責めていた、過剰な下ネタはグレードアップ。
日常系の学園ラブコメであるにも関わらず、まさかのPG12(12歳未満は保護者の同伴がのぞましい)となっており、下ネタへの異常な熱意を感じざるを得ません。
2011年のアニメシリーズ1期放送から、第2期やOVA、OADの製作、そして2017年の劇場版と、新作が製作され続け、ファンに愛され続けている「生徒会役員共」シリーズ。
劇場版になっても「何も変わらない安心感」が人気の秘密であり、『劇場版 生徒会役員共2』は、シリーズの魅力を最大に活かしファンを楽しませるという、製作スタッフの想いを感じました。
まとめ
映画『劇場版 生徒会役員共2』は、「応援クラウドファンディング」を採用し注目された作品でもあります。
「応援クラウドファンディング」は、製作資金を集めるだけではなく、作品を応援したいファンの想いを叶えるという、エンターテイメント型のクラウドファンディングです。
『劇場版 生徒会役員共2』では、エンドロールに応援者の名前が記載される他、応援者数に応じて、劇場で配られる特典が変化する「応援者数連動キャンペーン」や、特設サイトにて、お題に沿った内容をツイートすると、プレゼントがもらえる企画を実施し、製作過程でもファンを楽しませる工夫がされていました。
「応援クラウドファンディング」が成功した事からも、「生徒会役員共」シリーズがファンに愛されている事が分かります。
また、根強いファンがいても、なかなかテレビでの新シリーズ製作が難しいアニメなど「応援クラウドファンディング」で、今後新作が製作される可能性もあります。
そういった意味でも『劇場版 生徒会役員共2』は、かなり面白い試みで製作された作品と言えます。