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Entry 2022/05/25
Update

『かがみの孤城』映画化原作のネタバレあらすじ感想と解説評価。辻村深月が不登校児の心理をファンタジックなミステリーとして解く

  • Writer :
  • 星野しげみ

小説『かがみの孤城』が劇場アニメに!2022年12月23日(金)全国公開。

辻村深月著・2018年本屋大賞を受賞したファンタジーミステリー小説『かがみの孤城』。

いくつもある伏線が最後に見事に繋がる童話をモチーフにしたミステリーです。人気作家辻村深月のこの作品が、劇場アニメとなって、2022年12月23日(金)に公開されます。

学校で行き場をなくし不登校となった中学1年生のこころが、ある日、鏡の中の城に招かれます。そこには同じように学校に行けない同い年ぐらいの少年少女6人がいました。

城の中には秘密の「鍵」が隠されており、その鍵を見つけた者は、何でも願いが叶うと言います。なぜこの7人が集められたのでしょうか。そして、鍵はいったいどこにあるのでしょう。

アニメ『かがみの孤城』の劇場公開に先駆けて、小説『かがみの孤城』をネタバレ有りでご紹介します。

小説『かがみの孤城』の主な登場人物

【こころ/安西こころ】
中学1年生。おとなしく内気な性格。

【アキ/井上晶子】
中学3年生。明るく、快活そうで、背が高い。気が強く、思ったことは遠慮なく口にする。

【スバル/長久昴】
中学3年生。背が高く、色白でそばかす顔の男の子。

【マサムネ/政宗青澄】
中学2年生。生意気で理屈っぽい性格で口が悪いため、他人と衝突しやすい。

【フウカ/長谷川風歌】
中学2年生。眼鏡女子。

【リオン/水守理音】
中学1年生。芸能人並みのイケメンで明るく気さくで城のメンバーにも平等に話しかけたりできる。

【ウレシノ/嬉野遥】
中学1年生。小太りの男の子。

【オオカミさま】
狼の仮面をつけた少女。城の案内人。

小説『かがみの孤城』のあらすじとネタバレ

中学一年生になった安西こころは、4月早々から同じクラスの女子の真田美織を中心とするいじめに合います。

こころの小学校からの同級生の男子と美織が付き合いだし、その男子が昔こころが好きだったと美織に打ち明けたことが原因でした。

こころは自宅の二軒隣に引っ越してきた転校生・東条萌と仲良くなれそうだったのに、彼女にも無視されるようになり、不登校になりました。

そして、不登校児が通うフリースクール『心の教室』に通う予定でしたが、当日になると急にお腹が痛くなり、行けずにいました。

そんなある日、こころは部屋にある大きな姿見鏡が光を放ち、こころを鏡の中へ吸いこみました。

誰かの声が聞こえて目を開けると、眼の前にいたのは狼の面をつけた少女。こころの目の前には、童話に出てくるような西洋の城が建っています。

少女は「こころは、この城のゲストに招かれたのだ」と言います。驚いたこころは逃げ出しますが、翌日の朝、また姿見鏡に導かれ、再び城へやって来ました。

昨日の城の中には、狼の面をかぶった少女と、自分と同い年くらいの6人の少年少女がいました。オオカミさまと名乗った少女は、彼らに説明します。

この城の奥には誰も入れない『願いの部屋』があり、鍵を見つけた一人だけがそこに入ることができ、願いを叶えることができる。期間は今日から3月30日まで。願いを叶えるか期間を過ぎると、もうこの城には入れないということ。

次に、城にいられる時間は日本時間で午前9時から午後5時までで、それ以降も残るとその人は狼に食われ、城に来ていた他の人にも連帯責任がかかるということ。

最後に、オオカミさまは「皆に自己紹介しろ」と言い残し、いなくなってしまいました。6人は次々と自己紹介を始めました。

ポニーテールのしっかりした女子、中三のアキ。ジャージ姿のイケメン、中一のリオン。眼鏡をかけた女子、中二のフウカ。ゲーム好きな男子、中二のマサムネ。そばかすの物静かな男子、スバル。小太りで気弱そうな男子、ウレシノ。

なぜ自分たちが選ばれたのか心当たりがないと誰もが言いますが、みな、学校に行っていないという共通点がありました。

再び現れたオオカミさまから教えられた各自の部屋へ行き、その日は全員家に戻りました。

それ以降、みんなは日にちも時間もバラバラに来て、鍵を探そうとしますがなかなか見つりません。

そんな毎日の中、惚れっぽいウレシノのことをきっかけにこころは他の女子たちと仲良くなり、誰にも言えなかった不登校の理由を話し、少しだけ心が軽くなりました。

夏休みに入り、旅行や夏期講習など予定が入ってみんなの足が遠のく中、こころの母親はこころの靴があるにも関わらずこころが家にいないことに気が付きました。

母に学校にも行かずにどこに行っているのかと厳しく問われました。こころの学校に行けないという気持ちをどうして理解してくれないのだろうと、こころは悲しくなります。

夏休み、久しぶりに鏡の中の城に全員で集まるとそれぞれに変化がありました。

スバルが茶髪になっていましたし、ウレシノは二学期から学校に行くと言います。

リオンはハワイの寄宿舎つきの学校で、親元を離れて一人で暮らしているのだと言います。

やがて、アキも髪色を明るい赤色にしてきました。みなそれぞれの事情や変化を知り、動揺します。

一方、現実世界では、こころの家にフリースクールの喜多嶋先生が訪れ、2人で話すことになりました。

喜多嶋先生は、こころの日々を闘っていると言ってくれ、これまでの日々は無駄じゃないと肯定してくれました。

城では相変わらず、鍵が見つかっていません。十月になってすぐに、今まで真剣に探しても鍵が見つからなかったから、協力しないかとアキとマサムネから提案がありました。

みんなは相談し、見つかったら公平な方法で願いを叶える一人を決めること、ここに一日でも長くいられるように、鍵を見つけても最後の日まで願いを叶えないことを決め、全員ですでに探した場所を挙げていきました。

すると、そこにオオカミさまが現れて、「願いを叶えた時点で、みんなは記憶を失う」と言います。

ここで知り合ったみんなのことは忘れてしまうのですが、もし願いを叶えなければ、そのままの記憶を保持することができるのだそうです。

みんなは記憶を無くしたくないと言いますが、アキだけは願いを叶えることを優先するようでした。

それからしばらくアキは来ませんでしたが、ある日こころが城を訪れると、制服姿のアキがいました。制服の右胸のポケットにはこころと同じ『雪科第五中学』の校章がついています。

みんなも驚きます。夕方になって全員が揃ったとき、ここにいる7人はリオン以外は雪科第五中学の生徒で、リオンは留学の話がなければそこに通うはずだったということを知りました。

また、スバルが通っているフリースクールの先生の名前が喜多嶋だとわかりました。

最後にアキが制服を着ている理由を聞くと、今日は曽祖母のお葬式だったので着たと言います。葬式終了後、みんなと一緒にいる方がいいからここに来たのだそうです。

この一件を境にみんなの距離感が縮まりました。

以下、赤文字・ピンク背景のエリアには『かがみの孤城』ネタバレ・結末の記載がございます。『かがみの孤城』をまだご覧になっていない方、ストーリーのラストを知りたくない方はご注意ください。

一方、こころの学校の担任の伊田先生が家を訪問し、こころは初めて美織にいじめられていることを母親に打ち明けます。

翌日、伊田が家を訪れて美織と会ってほしいと提案しますが、こころは美織は反省していないと思うとこれを拒否。

母親も美織の事情を聞くのが先だと伊田を帰らせ、久しぶりに2人で出かけます。

母親はようやくこころの気持ちを理解してくれて、こころが望むなら転校してもいいと提案してくれますが、こころはこれを保留しました。

片や城の仲間とは、クリスマスにはみんなでパーティーを開き、親睦を深めます。

みんながいる日、マサムネが、親が転校を考えているので、三学期に一日だけでみんなに学校に来てほしいといいます。

即答できる子は多くありませんが、それでも行くと答え、1月10日の始業式の日に学校に行くことを約束します。

こころはそのことを母親に伝えると、心配されると同時に始業式はもう終わっていると言われますが、城の仲間に会えることを心の支えにして学校に行きました。

学校に着くと、上履きの上に手紙が置いてありました。差出人は、伊田から今日こころが登校することを言われた美織でした。

手紙の内容は、反省しているように見えて、しかしこころへの不満がありありと見られます。こころは途中で手紙を読むのをやめて保健室に向かいます。

保健室まで行ければ誰かが待っているはず。そう期待してドアを開けますが、いたのは養護の先生だけでした。

驚く先生に、こころは、城の仲間の名前を出して来ていないか確認しますが、先生は「そんな生徒はいない」と言います。こころはパニックに陥りました。するとそこへ喜多嶋がやって来ました。

こころは緊張の糸が切れて気絶。目を覚ましてから事情を説明しますが、マサムネやウレシノとも会ってるはずの喜多嶋でも彼らのことを知らず、こころは自分の妄想が生み出した存在なのかと疑います。

喜多嶋は、こころが気絶した時に美織からの手紙が見えてしまい、その内容に激怒。これまでのようにこころの気持ちに寄り添ってくれました。

喜多嶋に付き添われ、こころはそのまま家に帰ります。一階で母親と喜多嶋が話している間にこころは城に向かいました。そこにはリオンだけがいて、みんなと会えなかったことだけを報告。

すると、リオンは自分の考えを話し、「姉ちゃんを家に帰してください」という願いやリオンの姉は彼が小学校に入った年に病気で亡くなっていたことを話してくれました。

翌日、こころが城に行くと、マサムネ以外みんながいて、こころが学校に来なかったことを責めますが、それはこころも同じです。

不思議なことに、みんな学校に行ったけれども、誰も来なかったと言うのです。マサムネは、みんなが来なかったと誤解して、城に来ないのかしれません。

そんなマサムネが城に来たのは2月に入ってからでした。みんなが誤解を解こうすると、マサムネはみんななら来てくれるはずだと今でも信じてくれていました。

彼はこの1カ月の間、その理由を自分なりに考えていました。それは、7人はパラレルワールドの住人同士で、住む世界が違うのではないかと言うのです。

ここから分かるのは、こころたちは会えないし、助け合えないということ。

その時、突然現れたオオカミさまがこれを全否定し、外でも会えないとは言っていないと言います。また、鍵探しのヒントは最初からずっと出しているとも言います。

するとリオンは、自分の部屋のベッドの下にある×印は何かと聞き、他のみんなも×印を知っていると口にします。

机の下、お風呂の洗面器の下、暖炉の中、台所の戸棚の中。しかし、これが何を意味するのかオオカミさまは答えません。リオンは、切り替えて違う質問をします。

好きな童話はなにか。これに対し、オオカミさまはこの顔を見れば分かるだろうと『赤ずきんちゃん』だと答えました。

オオカミさまはいなくなり、7人は残りの時間をどうするのか考えます。

3月になると、7人は現実社会で会うことを諦め、残りの時間を大事にしよう思いました。こころ宛てに萌から手紙が届き、そこにはごめんねと書かれていました。

喜多嶋が言う通り、この前会った時は咄嗟のことで話しかけられなかっただけで、本当はこころのことを心配してくれているのかもしれません。

また喜多嶋が家を訪問し、春の始業式に向けて学校側に美織たちとクラスを変えてもらうなどこころのために交渉しているのを教えてくれます。

そして、萌は4月から家庭の事情で名古屋に引っ越してしまうのだと言われ、こころは驚きます。こころは萌と話したいと思います。

こころは喜多嶋から転校も視野に近隣の中学をいくつか見学し、3月29日を迎えました。そして、こころは萌の家に一年ぶりに行き、帰宅途中、自宅が見えるとこころの部屋の窓が光り、バンッ!と何かが弾ける音がしました。

こころがあわてて部屋に戻ると、鏡が割れていました。こころがオオカミさまを呼ぶと、割れた鏡の向こうから「助けて。アキが、ルールを破った」という声がしました。

5時を過ぎてもアキが帰らなかったから、その日、城にいた人間はみんな呼び戻され、これから罰を受けるのだと言います。

「願いの鍵を見つけてアキを……」。最後にリオンの『赤ずきんじゃない。オオカミさまは……』という声が聞こえました。

こころは、願いを叶えてアキのルール破りをなかったことにしてもらうしかないと、思いました。

するとインターホンが鳴り、先ほどの光と音を気にした萌が様子を見に来てくれます。

こころは何でもないと言いますが、ふとさっきのリオンの言葉を思い出し、萌に『七ひきの子やぎ』の原画を見せてほしいとお願いし、萌は怪訝そうですが何も聞かずにそれを貸してくれました。

『七ひきの子やぎ』の原画を見、こころはオオカミさまの謎が解けたと思いました。こころは萌と友達になれて本当に良かったと伝え、部屋に戻ると割れた鏡から城に行きます。

このゲームのモチーフは『赤ずきん』ではなく『七ひきの子やぎ』だったのです。×印は子ヤギたちが隠れた場所を示しています。

そして絶対に見つからない安全な場所は大きな時計の中であり、そこに願いの鍵があると、『七ひきの子やぎ』を見たこころは確信します。

狼の雄たけびが聞こえる中、こころは城にある×印に触れてはみんなの記憶を読みます。ウレシノ、スバル、フウカ……。そして次にみたリオンの記憶には、死んだという姉ミオとのことがありました。

リオンが5歳の時、12歳の姉のミオは病気で入院していました。髪がなくて帽子を被っていますが、彼女はリオンに『七ひきの子やぎ』の絵本を読んであげてます。

ミオはリオンに、いつまでも元気でママたちの側にいてあげてほしいと願いを伝え、自分がいなくなったら神様に頼んでリオンの願いを一つだけ叶えてもらうと言います。

するとリオンは、ミオと学校に行きたいと言いました。ミオの死後、リオンはミオの願いを叶えようと母親のそばにいますが、それが逆に母親の気持ちを逆なでしました。

リオンがサッカーがうまいことを利用し、リオンの意思を無視してハワイへの留学を決めてしまいます。リオンは母の側にいるという願いを叶えられなかったと、天国にいる姉に謝りました。

そしてリオンは、こころよりも先にオオカミさまの正体に気が付いていたのです。リオンの記憶を見終えると、オオカミさまが現れ、アキは願いの部屋にいるといいます

アキは大きな時計の中にいました。こころは自分たちは助け合える、会える、だから生きて大人になっていい、自分はアキよりも未来に生きていることを伝えます。

オオカミさまはみんなは会えないとは言っていません。みんな大人になることでその先で生きている仲間と会うことが出来るのです。

だからこころは大時計の振り子の裏に隠された鍵を見つけると、時計の奥を開けて「アキのルール違反をなかったことにしてください」と願いました。

それから、こころはアキを呼びます。伸ばした手を握られる感触があり、こころは引っ張ります。背後からみんなの声が聞こえ、6人でアキを引っ張り上げました。

みんながアキが無事だったことで喜びます。すると拍手が聞こえ、お見事だったとオオカミさまが言いました。

ここで、みんなの名前と生きている年代が明かされます。

スバルこと長久昴は、1985年。アキこと井上晶子は、1992年。こころとリオンこと水守理音は、2006年。マサムネこと政宗青澄は、2013年。フウカこと長谷川風歌は、2020年。ウレシノこと嬉野遥は、2027年。

みんなは、7年の月日ごとに生きている7人の子どもだったのです。そして別れの時間は訪れ、7人は記憶を失っても再会を約束して現実に戻っていきました。

残されたオオカミさまのところへ、リオンが戻ってきて、彼女のことを姉ちゃんと呼びます。

リオンは初めからそうかもと予感がありました。城が3月30日で閉まるのは、この日がこの世界を作るミオの命日だからです。

さらにミオはリオンの7歳年上でした。つまり抜けていた1999年の子どもだったのです。

オオカミさまは何も答えませんが、感謝を伝えたリオンは、「みんなのこと、姉ちゃんのことを覚えていたい」と言いました。

すると、オオカミさまは「善処する」と答えました。その姿が消えゆく中、オオカミさまは最後に面を外し、リオンに向かって微笑んだように見えました。

2006年4月。中学2年になったこころは学校へ行きました。雪科第五中学の1学期が始まります。

こころが歩いていると、前から歩いてくる男の子が声をかけました。それはこの学校に転校して来たリオンでした。

記憶を失っているにも関わらず、こころはなぜか彼のことを知っているような気がして、「おはよう」と笑いかけました。

一方、自分たちの生きる時代へ戻ったアキは、結婚して喜多嶋晶子という名前に変わっていました。

中学生の頃不登校だった彼女は、祖母の友人である鮫島百合子と出会い、次第に助けを素直に求められるようになり、やがて鮫島の誘いで『心の教室』の設立に協力。

その流れで夫となる喜多嶋先生と知り合い結婚。そして、彼の紹介でアキはミオと出会いました。

彼女との出会いはアキの人生に大きな影響を与えました。学校に通いたくても通えない。けれども今学べことを貪欲に吸収したいと思う強い意思を持つミオに励まされました。

そして、『心の教室』の活動を通じて、誰かが私をこの世界に戻してくれたという思いが強くなります。

その時、新しい生徒、不登校の中学1年生の安西こころが『心の教室』へやって来ました。「私も雪科中学校の生徒だったのよ」アキは声をかけます。そして、こころに胸の中で呼びかけました。

大丈夫。待ってたよ。大丈夫だから、大人になって。

小説『かがみの孤城』の感想と評価

人気作家辻村深月が贈るファンタジックなミステリー小説『かがみの孤城』。

殺人事件も誘拐も何も起こりませんが、あらゆる理由で学校に行けない子どもたちが、鏡の中の城に集められ、望みを叶えてくれるという鍵を探すミッションを与えられます。

彼らの共通点は不登校ということ。そして、みな同じ中学校の生徒であるということ。ですが、現実社会では会えません。なぜなら、生きる時代が違っていたから……。

物語は謎めいた構成で進みます。まるで読者も鏡の中の城に招かれたように、自然と物語に引き込まれていきます。

単なる不登校児たちの話ではなく、童話の『七ひきの子やぎ』を上手くストーリーに取り込んで、ラストシーンをもりあげていました。

自分の殻に閉じこもっていた子どもたち。最初とラストで見せるその変化に驚くことでしょう。

それまでみんな学校へ行けず、友人もいません。辛い胸の内を知ってくれる人がいなかったのですが、自分と同じ境遇の仲間がいることで、自分は独りではないと悟ったのです。

城に召集された理由がわかり、共通の連帯意識を皆が持った時、はじめて城の仲間たちはお互いに親近感を持ったと言えます

たとえそれが同じ時間を共有している人でなくても、例えば大人のあの人と子どものままの自分というように、実際に年齢差があっても、いつかきっとまた会えるという希望が主人公たちの生きる希望となりました。

また、記憶はなくしても、みんなのことは覚えていたいという切ない望みは、オオカミさまのお情けで叶えられました。

なんとなく知っているような気がする転校生・リオンを笑顔で迎える主人公・こころの姿に、ホッとします。

辛い境遇を乗り越えた仲間たちは、強い絆で結ばれていると言えるラストです。

アニメ『かがみの孤城』の作品情報


(C)2022「かがみの孤城」製作委員会

【日本公開】
2022年(日本映画)

【原作】
辻村深月『かがみの孤城』(ポプラ社)

【監督】
原恵一

【脚本】
丸尾みほ

【声のキャスト】
當真あみ、北村匠、吉柳咲良、板垣李光、横溝菜帆、高山みなみ、梶裕貴、麻生久美子、宮崎あおい

まとめ

小説『かがみの孤城』の孤城には、「敵に囲まれて孤立している城」という意味があると言います。

社会からも家族からも孤立した子どもたちが集う、かがみの中の城。そこで繰り広げられる鍵探しを通して、不登校の子どもたちは自分たちの置かれた境遇の謎を解こうとします。

城の仲間たちと語ることで心の傷もいつしか癒え、皆で協力し合うことも覚え、大人の階段を上る子どもたち

ドールハウスをモチーフにしたかがみの城をはじめとするファンタジックな世界が、アニメとして描かれるのも楽しみです。

鏡の中の城の謎が全て解けた時、胸に迫るのは大きな感動の波。この感動をぜひ劇場で!

劇場アニメ『かがみの孤城』は、2022年12月23日(金)全国公開。





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