国民的アニメ『ドラえもん』の長編映画42作目。
堂山卓見が監督を務めた、2023年製作の日本の大人気SFアニメーション映画『映画ドラえもん のび太と空の理想郷(ユートピア)』。
ある日、空に浮かぶ謎の三日月形の島を見つけた小学5年生ののび太。ドラえもんたちと一緒に、ひみつ道具「タイムツェッペリン」で理想郷探しの旅に出ます。
やっとたどり着いた、誰もがパーフェクトになれる理想の国「パラダピア」で、ドラえもんたちはパーフェクトネコ型ロボットのソーニャと出会い仲良くなりました。
しかし実はパラダピアには、大きな秘密が隠されていて………。
『映画ドラえもん のび太と空の理想郷(ユートピア)』のネタバレあらすじと作品解説をご紹介いたします。
CONTENTS
映画『映画ドラえもん のび太と空の理想郷(ユートピア)』の作品情報
【公開】
2023年(日本映画)
【原作】
藤子・F・不二雄
【監督】
堂山卓見
【キャスト】
水田わさび、大原めぐみ、かかずゆみ、木村昴、関智一、三石琴乃、松本保典、萩野志保子、井上麻里奈、水瀬いのり、松丸幸太郎、深田愛衣、石井康嗣、園崎未恵、村瀬歩、中尾隆聖、山里亮太、藤本美貴、永瀬廉
【作品概要】
国民的アニメ『ドラえもん』の演出を数多く手掛ける『げんばのじょう 玄蕃之丞』(2017)の堂山卓見が監督を務め、テレビドラマ「リーガルハイ」「コンフィデンスマンJP」シリーズなど数々のヒット作や、大河ドラマ『どうする家康』(2013)などで知られる人気脚本家の古沢良太が映画「ドラえもん」の脚本を初めて手掛けた作品。
藤子・F・不二雄の漫画『ドラえもん』を原作とした、「映画ドラえもん」シリーズ通算第42作目です。
国民的アニメ『ドラえもん』や「映画ドラえもん」シリーズでドラえもんたちの声を演じている水田わさびや大原めぐみら声優陣に加え、人気声優の井上麻里奈と水瀬いのり、お笑いコンビ「南海キャンディーズ」の山里亮太やタレントの藤本美貴、本作が声優初挑戦となる「King & Prince」の永瀬廉がゲスト出演します。
映画『映画ドラえもん のび太と空の理想郷(ユートピア)』のあらすじとネタバレ
ある日。勉強もスポーツも苦手な小学5年生の野比のび太は、同級生の出木杉英才から、争いも競争も飢えることもない、誰もが幸せに暮らせる理想郷(ユートピア)の話を教えてもらいました。
のび太が学校から帰ると、家で壊れたひみつ道具を整理している子守りネコ型ロボットのドラえもんの姿がありました。
ドラえもんは、壊れたひみつ道具をリサイクルに出すため、ひみつ道具「四次元ゴミ袋(使い終わった道具を四次元空間のごみ置き場に置いておける。ただし入れられるゴミの量は決められている)」に次々と入れていきます。
それを見て、のび太は15点・10点・0点の理科・社会・算数のテストを四次元ゴミ袋に投げ入れようとするも、ドラえもんに止められ口論になってしまいました。
学校の裏山で理想郷があればなと思いを馳せるのび太。すると空から謎の青い虫が、のび太の顔に落ちてきたのです。
さらにのび太は、空に浮く三日月の島に気づきます。それはまるで出木杉が話していた、トマス・モアという人物が書いた著書『ユートピア』に出てくる理想郷でした。
のび太からその話を聞いたドラえもんは、ひみつ道具「タイム新聞(22世紀のものから中世のものまで、色んな新聞から読みたい記事を探して読むことができる)」を使って空に浮く三日月の島のことを記した記事を探し出します。
見つけ出した記事がどれもあやふやな内容だったため、そんなものはないと疑うドラえもん。しかしのび太の口車にまんまと乗せられ、ひみつ道具「タイムツェッペリン(未来の技術で開発した飛行船にタイムマシンの機能を持たせたもの)」を購入。
未来デパートの配達員は、タイムツェッペリンを購入したドラえもんにおまけとして「インスタントひこうきセット」というひみつ道具をあげました。
「インスタントひこうきセット」とは、見た目はおもちゃの飛行機。ですがコックピットの部分を押すと押した人物を包み込むようにして、ゴーグル付きのヘルメット・上着・左手の甲に2つのボタンがついた手袋・ズボン・ブーツで更生される飛行服を装着させます。
またバックパックとして背中に装着されている飛行機は、左手袋の甲に設置された青のボタンを押すと飛行機が巨大化し、1人用の飛行機として使用できるのです。
天気雨が降って虹が出た時、ドラえもんたちはのび太の幼馴染の源静香(愛称しずかちゃん)・剛田武(通称ジャイアン)・骨川スネ夫と一緒に理想郷を探す旅に出ます。
しかし、記事にあった色んな時代・場所を探しても理想郷は見つかりませんでした。
諦めて家に帰ろうとしたその時、最後に行った1632年のヨーロッパで、ドラえもんたちはのび太が見た理想郷を見つけたのです。
その理想郷に近づこうとすると、突如タイムツェッペリンは黒い雲に覆われ、謎の集団から放たれた雷で攻撃され、ドラえもんたちは気を失ってしまいます。
目を覚ました時には、ドラえもんたちはまるで天国のような理想郷の中にいました。
先ほどドラえもんたちを襲ったパーフェクトネコ型ロボットのソーニャは、ドラえもんたちをこの理想郷を脅かす悪者だと思って襲ったことを謝りました。
そしてここが理想の国「パラダピア」であると教えました。パラダピアを守ることが役目であるソーニャは、記憶を読みとる機械「記憶スキャナー」を使って、ドラえもんたちが悪者ではないと知りました。
ソーニャはドラえもんたちを、争いも犯罪もない、誰もが幸せになれるこのパラダピアを案内します。
パラダピアのシンボルであり、周囲を照らし、住民の心を穏やかかつパーフェクトな人間に成長させる人工太陽「パラダピアンライト」。
ステルス機能と保温機能があり、紫外線をカットできる「バリア」。古代ギリシャ人のような服装と整った顔立ちが特徴の、科学・政治・文化芸術を司る3人の天才科学者にして、このパラダピアの創造主「三賢人」。
パラダピアに住めば誰でもパーフェクト小学生になれると聞いたのび太は、ここに住みたいと思いました。
そしてソーニャの主人である三賢人に会って、皆と一緒にパラダピアの一員である証を貰いました。
しかしパラダピアに来て3日後、ジャイアン・スネ夫・しずかは成長しましたが、のび太は変化の兆しすらみられませんでした。
クールなソーニャは、のび太とドラえもんの喧嘩を見て久しぶりに大笑いします。
実はソーニャは昔、ダメなロボットでした。いつもドジばかり役立たずと言われ、捨てられていたソーニャを三賢人がパーフェクトネコ型ロボットに改造してくれたのです。
その日の夜。謎の女がハンドガンの形状をしたひみつ道具「へんしんビーム(外観は下部に引き金、上部にモニターが付いているライトで、モニター部分に変身先の動物の種類を映し出した後、浴びた対象をその動物に変身させる光線を放つ。変身対象に生物・無生物の制限はないため、自律型機械相手にも使える)」を使って、パラダピアを警護するクリオネラをトンボに変えて無力化。
三賢人を襲おうとするも、ソーニャに加勢したのび太とドラえもんによって阻止され、のび太に奪われた「へんしんビーム」でテントウムシにされてしまいます。
女が持っていた「バイザー(暗視装置と通信機を兼ねているもの)」を見て、パラダピアを脅かす悪者を手引きしようとしていたと分かった三賢人は、それを破壊。パラダピアを、7世紀後半の日本近海の海底に時空移動させました。
映画『映画ドラえもん のび太と空の理想郷(ユートピア)』の感想と評価
ドラえもんたちの理想郷探しの旅やパラダピアでの生活は、老若男女問わずワクワクドキドキします。
タイムツェッペリンを届けに来た未来デパートの配達員が、ドラえもんたちに一言余計な説明をする姿はもちろん、帰り際にドラえもんに低い声でローン返済はちゃんとしてねとくぎを刺すところがまた面白いです。
それに物語の後半では、同じネコ型ロボットであるドラえもんとソーニャ、ドラえもんとのび太、のび太とジャイアンたちそれぞれの友情が熱く描かれていて感涙します。
ドラえもんたちはみんな個性豊かで欠点があるけれど、その欠点も含めて大好きなんだと、ドラえもんとのび太がそれぞれ三賢人の前で語る場面なんてもう涙が止まりません。
また作中で登場するひみつ道具「タイムツェッペリン」「インスタントひこうきセット」「四次元ゴミ袋」「へんしんビーム」は、本作オリジナルのひみつ道具です。したがって原作やアニメファンはもちろん、本作で初めて「映画ドラえもん」シリーズ作品を観る視聴者でも心躍ります。
「僕らの「らしさ」が世界を救う。」という本作のキャッチコピーどおり、ドラえもんたちの決して完璧ではないそれぞれの自分らしさが、自分たちや自分たちが暮らす町を、世界を救ったというのが胸アツですよね。
まとめ
色んな時代・場所を冒険してきたドラえもんとのび太たちが、今度は空に浮かぶ理想郷を舞台に冒険を繰り広げていく姿を描いた作品でした。
本作の見どころはドラえもんたちの友情と冒険、パラダピアで出会い仲良くなったソーニャとの友情と別れ、そして本作の悪役であるレイ博士とのび太の共通点と違った未来です。
レイ博士も実は、子供の頃、のび太と同じように何をやっても上手くいかず、周囲の人間にバカにされていました。
ですがのび太と違うのは、ダメな自分を受け入れてくれる理解者であり友達がいなかったことです。もしもレイ博士にも、のび太にとってドラえもんたちのような存在がいてくれれば…と考えてしまいます。
またエンドロール中、野球を楽しむジャイアンとスネ夫、自宅で友達にバイオリンを披露するしずか、未来に戻ったマリンバと元の世界に戻ったハンナの姿が描かれています。
そしてドラえもんと同じ鈴つきの首輪をつけたソーニャが、のび太の子孫と思われる2人の幼い子供に出会い、お揃いのスカーフを首につけてもらっている姿。
ソーニャが見上げた空を、のび太とドラえもんもいつもの空き地で同じように見上げている姿が描かれていました。