『名探偵コナン 黒鉄の魚影』へと続く灰原哀の物語!
コロナウィルスが世界的に流行した2020年を除き1997年から毎年新作が上映され、その年の興行収入ランキングで必ず上位に食い込む『名探偵コナン』の劇場版アニメシリーズ。
2022年に公開された25作目となる映画『名探偵コナン ハロウィンの花嫁』は興行収入が92億円を突破し、大台となる100億円に迫るほどとなりました。
そして2023年、人気キャラクターたちの登場が決まり、さらなる注目が集まる26作目『名探偵コナン 黒鉄の魚影』の公開を控える中、物語の主軸となる登場人物・灰原哀にが深く関わる重要エピソードを劇場用に編集した映画が公開されました。
今回は『名探偵コナン 灰原哀物語〜黒鉄のミステリートレイン〜』(2023)を、ネタバレあらすじを含めご紹介させていただきます。
CONTENTS
映画『名探偵コナン 灰原哀物語〜黒鉄のミステリートレイン〜』の作品情報
【公開】
2023年(日本映画)
【構成・脚本】
宮下隼一
【キャスト】
高山みなみ、林原めぐみ、緒方賢一、堀之紀、池田秀一、古谷徹、立木文彦
【作品概要】
テレビアニメ版『名探偵コナン』から、2013年に地上波で放映されたエピソード「漆黒の特急」を劇場公開用に再編集した特別総集編。
劇場版シリーズお馴染みのオープニングなどの新規カットや、灰原哀のコナンとの出会いや少年探偵団との絆を描いた過去の放送エピソードのカットが本編内に挿入されました。
映画『名探偵コナン 灰原哀物語〜黒鉄のミステリートレイン〜』のあらすじとネタバレ
亡き両親の研究を継ぎ、「黒の組織」で薬の研究開発に携わっていたコードネーム「シェリー」こと宮野志保。
姉が殺害されたことで組織に反発した志保は、自身が開発した薬「APTX4869」を自殺目的で服用することで幼児化し、組織からの脱走を成功させました。
同じく「APTX4869」の服用者である工藤新一こと江戸川コナンの所在地を訪ね、阿笠博士に匿われた志保は、組織から身を隠すため「灰原哀」の偽名を名乗ってコナンに接触。
こうして灰原は、コナンとともに小学校の同級生である吉田歩美・円谷光彦・小嶋元太の所属する「少年探偵団」に属し、さまざまな事件を通し絆を深めていきました。
ある日、鈴木財閥が制作した列車「ベルツリー急行」で開催される推理イベント「ミステリートレイン」に、毛利蘭の友人であり財閥の令嬢・鈴木園子の計らいで乗車することになった少年探偵団の面々。
列車には少年探偵団の付き添いとして毛利蘭や毛利小五郎だけでなく、イベントに興味を持った女子高生探偵の世良真純も訪れていました。また園子は、列車内に展示された希少な宝石を目当てに「怪盗キッド」の予告状が届いたことを自慢げに話します。
列車内でも特に高額な一等客室「8号車」には、毎年イベントに参加する大きな荷物を持った鑑定士の安東、頬に傷を持つ能登、車椅子に乗る小蓑とメイド・住友、キツい性格の出波が乗り込みますが、同じく毎年参加する室橋だけが園子たちの急な参加により「7号車」へと移動となってしまいました。
列車に乗り込んだ少年探偵団の客室に、「7号車のB室」に向かうように記載された手紙が届きます。コナンは「推理イベント」の一環だと考え、その指示に従います。
すると、「7号車のB室」では室橋が何者かに撃たれる寸劇が始まり、少年探偵団は犯人役の人間を追いますがその姿を見失ってしまいます。
ところが、少年探偵団の姿を見て話しかけてきた車掌は「推理イベントはまだ始まっていない」と口にします。コナンはもう一度7号車のB室へと向かいますが、そこは園子たちのいる「8号車のB室」へと変わっていました。
コナンは7号車消失のトリックについて、室橋の射殺騒動後に園子たちが「7号車のB室」に移ることで「7号車」の存在を消したのだと推理すると、園子たちも何者かによる手紙で「共犯者役」に指名されたと白状しました。
同室の蘭と世良を連れ、室橋のいるはずの8号車のB室に向かうコナンでしたが、チェーンロックがかけられた8号車のB室で彼らは室橋の“本物”の射殺体を発見。室内の状況から即座に他殺と見抜いたコナンは、灰原を含む少年探偵団に個室へと戻り、部屋から出ないよう強く命じました。
個室内に戻った灰原は少年探偵団の会話から、数日前に解毒薬を飲み「宮野志保」の姿に戻った状態で少年探偵団と接触した時に撮影した映像が他者に渡った可能性を知り、列車内で目撃した「黒の組織」の構成員の姿に怯え始めます。
やがて「黒の組織」の構成員ベルモットからの脅迫メールを受け取った灰原は、少年探偵団を巻き込まないために、ひとり個室を出ていきました。
動画の情報から宮野志保が「ベルツリー急行」に乗ることを確信していたベルモット。そのことを組織の構成員ジンに報告した後、同じく構成員のバーボンを連れて宮野志保の殺害のためにこの列車に乗り込んでいました。
映画『名探偵コナン 灰原哀物語〜黒鉄のミステリートレイン〜』の感想と評価
灰原哀を主軸とした大人気キャラ集結回!
「名探偵コナン」シリーズでの最大の敵となる「黒の組織」にかつて属し、工藤新一の身体を幼児化させた薬「APTX4869」を開発した張本人である宮野志保こと灰原哀。
姉の死をきっかけに組織を脱走した彼女はコナンたちと出会ったことで、仲間を想う気持ちと自分の生を望み、「黒の組織」との対峙を覚悟していくこととなります。
そんな灰原哀にまつわる登場人物が総登場するエピソード「漆黒の特急」では、今やシリーズに欠かせない登場人物となった安室透が、「黒の組織」の構成員「バーボン」であることが発覚。
さらに組織の構成員ジンを始め、怪盗キッドや『名探偵コナン 緋色の弾丸』(2021)の赤井秀一とその妹・世良真純が登場するなど、オールスターといえるキャラクターの勢ぞろいぶりからも、原作ファン人気が特に高いエピソードでもありました。
灰原哀とコナンたちの「絆」を中心に再編集したことで、各登場人物の動きも分かりやすくなった『名探偵コナン 灰原哀物語〜黒鉄のミステリートレイン〜』。『名探偵コナン 黒鉄の魚影』の関連作としてだけでなく、シリーズの重要エピソードの復習映画としても必見の作品でした。
『オリエント急行』オマージュの密室ミステリー
行き先を乗客には知らせない「ミステリートレイン」の中で起こる殺人事件を描いた本作は、作中でも明言されている通りアガサ・クリスティの名作推理小説『オリエント急行の殺人』を意識した作りとなっています。
このエピソードにのみ登場する人物の名前はすべて『オリエント急行の殺人』の登場人物が基となっており、人物のそれぞれの役割も名前の基となったキャラクターに準じているほどの徹底ぶり。
チェーンロックで施錠された個室と、各個室の入り口を常に監視していた車掌の存在によって生まれた“二重の密室”の殺人。「黒の組織」の暗躍だけでなく、車内で起きる殺人事件とその解明にも、強いクリスティ色を感じるミステリファン必見のエピソードでもあります。
まとめ
灰原哀の過去と決意、そしてコナンによる彼女を守るための奮闘のすべてが詰まったエピソード「漆黒の特急」。
映画『名探偵コナン 灰原哀物語〜黒鉄のミステリートレイン〜』は、登場人物たちによる騙し合いと、殺人事件の謎を巡る推理劇の魅力をすべて味わえる同エピソードを再編集した作品でした。
それぞれの思惑が張り巡らされた運命の列車と灰原哀を巡る物語は、各登場人物のファンは特に必見です。