引退した凄腕スパイが復讐のため動き出すスパイアクションムービー
1994年から2002年まで4作品でジェームズ・ボンドを演じたピアース・ブロスナン。
演技派としてミュージカルからサスペンスまでジャンルを問わず映画界で活躍し続けるピアース・ブロスナンは、還暦を越えても歳を感じさせない激しいアクション映画に挑み続けています。
今回はピアース・ブロスナンが引退したスパイを演じたアクション映画『スパイ・レジェンド』(2015)を、ネタバレあらすじを含めご紹介させていただきます。
CONTENTS
映画『スパイ・レジェンド』の作品情報
【原題】
The November Man
【日本公開】
2015年(アメリカ映画)
【監督】
ロジャー・ドナルドソン
【脚本】
マイケル・フィンチ、カール・ガイダシェク
【キャスト】
ピアース・ブロスナン、ルーク・ブレイシー、オルガ・キュリレンコ、イライザ・テイラー、カテリーナ・スコーソン、ビル・スミトロヴィッチ、ウィル・パットン
【作品概要】
ビル・グレンジャーによる小説を『世界最速のインディアン』(2007)のロジャー・ドナルドソンが映像化した作品。
「007」シリーズで5代目ボンドを演じたピアース・ブロスナンが主演を務め、『007/慰めの報酬』(2009)や『オブリビオン』(2013)でヒロインを演じたオルガ・キュリレンコが共演を務めました。
映画『スパイ・レジェンド』のあらすじとネタバレ
2008年、モンテネグロ。
CIAに所属する「ノベンバーマン」ことデヴェローは自身が教育するエージェントのメイソンと共に重要人物の護衛任務にあたっていました。
現地には既にテロリストが潜入しており、デヴェローはメイソンを狙撃手として配置した上で護衛対象の服を着て囮として車を降ります。
デヴェローにテロリストと思わしき男が接近していく様子を確認したメイソンはその男を射殺しようとしますが、デヴェローは民間人に犠牲が出ることを鑑みてメイソンに無線で発砲しないようにと命令。
しかし、その男はテロリストでありデヴェローに向けて発砲し、メイソンは命令を無視し男に向けて狙撃を実行。
防弾チョッキを着ていたデヴェローは助かり犯人は射殺されましたが、メイソンの撃った弾は民間人の少年の命も奪ってしまいました。
5年後、スイスで引退生活を過ごすデヴェローの前にかつての同僚であるハンリーが現れます。
ハンリーはデヴェローに引退したロシアの諜報員が次々と殺害されている事件の概要を話した上で、次期大統領候補のフェデロフが自身の暗部を知る人間を殺し屋に始末させていると言います。
自身との関連を疑問に思うデヴェローでしたが、ハンリーは次に狙われるのはデヴェローとかつて恋仲であったナタリアであると言い、元CIAの彼女の身を救うようにデヴェローに求めます。
ロシア、フェデロフの暗部を知ったことで告発を考えるナタリアは、その行動を察知され帰路に追跡を受けます。
デヴェローが車で駆け付け、彼の車に乗ることで安全を確保したナタリアはデヴェローに対し「ミラ」と言う名前がフェデロフのアキレス腱となることを話します。
同刻、CIAはナタリアを確保するつもりで動いており、ロシアの当局に察知され「何者」かに攫われたナタリアを危険と判断し、現地にいたエージェントのメイソンに射殺命令を出します。
現地部隊を指揮するハンリーは強く反対しますが、上層部のワインスティンの判断によって命令は下され、メイソンは動き出します。
デヴェローは「ミラ」と言う名前を電話でハンリーに伝えると助手席に乗っていたナタリアが射殺されます。
慟哭するデヴェローは狙撃手の一味のものと見られるドローンを追跡し、CIAの現地部隊の撤収時に次々と諜報員を射殺していきます。
襲撃してきたデヴェローと銃を向け合わせたメイソンの2人はお互いを認知した上で驚愕し、銃を下げ別方向へと歩いていきました。
数日後、デヴェローとの繋がりを悟られたハンリーは自宅で部隊の襲撃を受け確保。
ワインスティンはメイソンになぜデヴェローを射殺しなかったのかと詰問しますが、デヴェローは突然襲撃されたために反撃しただけであり説得可能であるとメイソンは意見を変えませんでした。
ワインスティンはメイソンにナタリアがデヴェローの恋仲の人物であったことを伝え、彼が必ず復讐に動くことを警戒し改めて殺害を命じました。
CIAによる捜索が続くハンリーの家に侵入したデヴェローは諜報員を拘束すると、ハンリーのPCから「ミラ」と言う女性がフェデロフによって入国させられた難民であることに行きつきます。
彼女が現在行方不明となっていることを知ったデヴェローは担当のソーシャルワーカーであるベオグラード難民センターで働くアリスの現在位置を諜報員を装いCIAに調査させ現地へ向かいます。
デヴェローの存在を感じ取ったメイソンとロシアの殺し屋セリアがアリスのもとへと向かいますが、デヴェローが彼女を確保し逃げ落ちます。
デヴェローから自分を狙う人間の目的を聞いたアリスでしたがミラの行き先は知らないと言います。
デヴェローはアリスの事務所で難民に売春を強いるデニソフの写真を見つけ、顔見知りであることから彼を訪ねます。
チェチェン紛争時代のフェデロフの右腕だった過去を持つデニソフはデヴェローからフェデロフの暗躍を知らされると、対価としてフェデロフが石油目的でチェチェンに進攻したことやチェチェン紛争のきっかけとなったテロを仕掛けたのがフェデロフの意をくんだCIAであることをデヴェローに伝えます。
一方、二度に渡りデヴェローを取り逃がしたメイソンはワインスティンからデヴェローがかつての師であることから感情的になっていると指摘を受けます。
ワインスティンからデヴェローに関する資料を渡されたメイソンはその資料の中にデヴェローが自身の評価を「決断を急ぎすぎる」と書き「不適格」と明言している資料を見つけ落胆します。
映画『スパイ・レジェンド』の感想と評価
二転三転する黒幕と真相
ロシアの諜報員が次々と殺害される事件に、かつての恋仲の女性が巻き込まれていると知った引退済みスパイのデヴェローが立ち上がる映画『スパイ・レジェンド』。
『96時間』(2009)や『イコライザー』(2014)のような、いわゆる主人公の最強さが際立つジャンルの本作ですが、デヴェローの巻き込まれる陰謀の様相はサスペンス映画としての驚きを与えてくれます。
追う者と追われる者、スパイの世界では敵味方すらも簡単にひっくり返ることが分かる騙し合いの世界。
諜報員殺害事件の黒幕と真相、そして全てのカギを握る「ミラ」と言う女性の現在、アクションだけでなくサスペンス要素にも必見の作品です。
敵対するベテランとルーキーの関係性が熱い
引退したデヴェローは独断で事件に首を突っ込んだことから、現役時代に指導を行ったかつての弟子メイソンに命を狙われることになります。
しかし、師への尊敬と越えたいと言う想いを同居させるメイソンは上層部による殺害命令との間に葛藤を募らせていきます。
一方で、複雑な想いを抱えながらもメイソンに対し親友に近い感情を覚えているデヴェローは、容赦の無い反撃をしながらも「殺人者」と「人間」狭間で揺れるメイソンを導いていきます。
敵対する師匠と弟子のぶつかり合いが終盤で熱い展開を見せる、ベスト師弟ムービーとすら言える1作です。
まとめ
狂気と優しさを同居させるデヴェローを演じたピアース・ブロスナンが洗練されたアクションを見せてくれる本作。
しかし、彼の魅力に負けずメイソン役のルーク・ブレイシーも苦悩と成長と言う若手ならではの演技と力強いアクションで作品を盛り上げていました。
二転三転する物語の様相と熱すぎる師弟関係の行方に心躍ること間違いなしのスパイアクション映画『スパイ・レジェンド』。
アクション好きにもスパイ映画好きにも、そしてサスペンス映画好きにもオススメの作品です。