『三国志演義』を完全映画化した歴史スペクタクル・アクション巨編第1部!
ジョン・ウーが脚本・監督を務め、製作費100億円をかけて挑んだ入魂作、2008年製作のアメリカ・中国・日本・台湾・韓国合作の歴史スペクタクル・アクション映画『レッドクリフ PartⅠ』。
今から1,800年前の乱世の時代、蜀の劉備軍と呉の孫権軍が同盟を結び、天下統一を目論む曹操率いる80万の大軍に対抗しようとする姿とは、具体的にどんな内容だったのでしょうか。
長江の赤壁で繰り広げられた、三国志最大の激戦「赤壁の戦い」の序章を描いた歴史スペクタクル・アクション巨編第1部、映画『レッドクリフ PartⅠ』のネタバレあらすじと作品解説をご紹介いたします。
CONTENTS
映画『レッドクリフ PartⅠ』の作品情報
【公開】
2008年(アメリカ・中国・日本・台湾・韓国合作映画)
【脚本】
ジョン・ウー、チャン・カン、コー・ジェン、シン・ハーユ
【監督】
ジョン・ウー
【キャスト】
トニー・レオン、金城武、チャン・フォンイー、チャン・チェン、ヴィッキー・チャオ、フー・ジュン、中村獅童、リン・チーリン、ユウ・ヨン、ホウ・ヨン、バーサンジャプ、ザン・ジンシェン、トン・ダーウェイ、ソン・ジア、チャン・サン
【作品概要】
「男たちの挽歌」シリーズや『ミッション:インポッシブル2』(2000)、「ザ・クロッシング」シリーズなどを手掛ける、ジョン・ウーが脚本・監督を務めたアメリカ・中国・日本・台湾・韓国合作の歴史スペクタクル・アクション作品です。
『非情城市』(1989)や『レイダース 欧州攻略』(2018)などに出演しているトニー・レオンが主演を務めるほか、『グリーン・デスティニー』(2000)のチャン・チェンや、『ピンポン』(2002)の中村獅童らアジア映画のトップスターが多数出演しています。
映画『レッドクリフ PartⅠ』のあらすじとネタバレ
今から1,800年前、400年続いた漢王朝は既にその力を失い、ただ崩壊へと向かっていました。
各地では次々と反乱が起きましたが、もはや朝廷に成す術はありませんでした。天下はまさに、乱世の時代へと突入したのです。
そんな世にのし上がってきた男が1人。のちの魏の曹操です。圧倒的な力を誇る曹操率いる軍はその勢力を伸ばし続け、ついに朝廷までも支配し、幼い皇帝を操り巨大な権力を欲しいままにしました。
今や曹操の天下統一を阻む者は、2万の兵を率いる蜀の劉備と3万の兵を率いる呉の孫権を残すのみとなりました。
人望の厚い劉備は、生死を共にすることを誓った関羽と張飛、忠誠心の厚い趙雲、そして天才軍師・孔明を従えていました。
一方、若くして君主となった孫権は、最高司令官の周瑜と共に、自分の領土を固く守り続けていました。
ついに曹操は、80万の兵を率いて動き出します。まず標的となったのは劉備です。
追い詰められた劉備は、自分を慕う民と共に南へと向かいましたが、勢いに勝る曹操軍に追いつかれてしまいます。
三国志最大の激戦「赤壁の戦い」に向け、時代はまさに大きく動き出そうとしていたのです。
建安13年(西暦208年)、漢の都・許昌。呑気に鳥と戯れていた漢の皇帝・献帝の元に、彼を操る漢の丞相・曹操が現れます。軍を率いて劉備と孫権を討伐する許可を貰いに来たのです。
献帝は劉備と孫権討伐に気が進まず、もう少し考えさせてほしいと言いましたが、曹操に押し切られてしまい、やむを得ず2人の討伐を承認してしまいました。
すると、今まで黙っていた漢の政治家であり儒学者・孔融がこう進言します。「劉備は陛下の遠縁、孫権の治める呉は辺境の地。陛下への反乱などあるはずがない」
「曹操殿こそ権力を独占し、各地で戦を起こしていますが、それはどれも大義名分のたたぬ出兵」
「“帝位を奪う意図はない”といくら口で誓っていても、天下の信用は得られません」「今後“逆賊を討て”と命令を受けるのは、劉備と孫権でしょう」
この言葉が曹操の逆鱗に触れ、孔融は出陣のための生贄として、処刑されてしまいました。
後漢の末、「乱世の奸雄」曹操は皇帝を操り、世の乱れに乗じて立ち上がりました。狙いは漢の末裔・劉備と、呉の孫権です。
曹操軍はまず、劉備軍の本拠地・新野へ侵攻し、劉備軍の兵を圧倒的な力で蹂躙しねじ伏せていきます。
劉備軍の将軍・趙雲は槍を巧みに操り、新野と新野にいる民を守るべく、曹操軍と激闘を繰り広げていきました。
多くの民が山を越えた頃、劉備の元に新野を守っていた趙雲が帰還。2人の元に1人の兵が来て、劉備の妻である糜夫人と甘夫人、劉備の子供・阿斗がまだ村に取り残されていることを報告します。
劉備軍の軍師・諸葛亮孔明は、劉備軍の将軍・張飛の元へ向かい、間もなく新野を攻め滅ぼした曹操軍がくさび型の陣で攻めてくることを伝えました。
そこで孔明は、反射光線を使った戦術で時間を稼ぎ、劉備と彼の民を逃がそうと、張飛に進言します。その防備にはあと1,000人の兵が必要でした。
孔明は劉備の元へ向かい、民を守っていた兵から1,000人出兵させてほしいとお願いしましたが、劉備は「曹操の統治を嫌い、我々を慕ってきた民を見捨てるわけにはいかん」と言い拒みます。
そうこうしているうちに、曹操軍は劉備の妻たちと子供がいる村へ侵攻。劉備の妻子を護衛していた兵と、甘夫人が殺されてしまいました。
阿斗を抱いた糜夫人が殺されかけたその時、家族を助けに行きたくても行けない劉備の意を汲んだ趙雲が2人の元へ到着。
趙雲は2人を守るべく奮闘しましたが、赤子を片手で抱いたままでは力が十分に奮えず、次から次へと沸いて出てくる曹操軍の兵に苦戦を強いられてしまいます。
自分たち親子を守るために戦う趙雲と兵たちを見て、糜夫人は自分が彼らの足手まといになっていると思い、阿斗と趙雲をここから逃がすため、背後にあった井戸の中へ自ら落ちていきました。
同時刻。くさび型の陣で攻め入る曹操軍を前にした張飛率いる部隊は、裏が反射板となっている盾を翻し、孔明が言っていた太陽を反射した光線を使った戦術で撃退しようとします。
それによりいくらか兵を落馬させた張飛たちは突撃を開始。反射光線を使った戦術を続けつつ、曹操軍と激闘を繰り広げていきます。
趙雲は、阿斗を包んでいた布を使って彼を背負い、自由になった両手で槍を振るい、曹操軍の残党を撃退。愛馬の白龍に跨り、その場から立ち去ります。
奮戦する張飛の元へ、1,000人分の兵力に相当する力を持つ劉備の将軍であり、張飛の次兄・関羽を連れて戻ってきた孔明が合流。さらにそこへ趙雲も加わり、張飛たちを後押しします。
このまま形勢逆転できるかと思いきや、曹操軍のさらなる増援に気づいた孔明は、趙雲たちに撤退して民を守ろうと進言しました。
関羽を残し、張飛たちは撤退。張飛と孔明と共に、劉備の元へ帰還した趙雲は、命を懸けて守り抜いた阿斗を手渡します。
その間、孔明は自分の命令で、民を守る肉壁となってくれた多くの兵たちが、凄惨な死を遂げていくのを目の当たりにしました。
関羽はたった1人になろうとも戦い続け、曹操軍に踏まれた劉備軍の軍旗と、槍を両手に携え曹操の前に躍り出てから、劉備軍の元へ撤退。
そんな関羽を見送った曹操は、「敗戦一方の劉備を慕う猛将たちを、いつの日か服従させたい」と配下に言っていました。
その後、無事南にある劉備軍の軍営地「夏口」に、多くの民と共に辿り着いた劉備軍。「曹操に天下は渡さん。この私に命がある限り、非道なことをする奴から漢を守り抜く」と誓う劉備に、孔明は孫権に助力を求めに行くと言いました。
孫権が治めた呉の地の民は豊かであり、曹操と戦う兵力を持っているからです。「それに孫権は今、(曹操を共に倒すための)友を求めている」と言い、孔明は孫権に不信を抱く劉備たちを説得します。
「孫権と同盟を結んで戦えば、曹操軍は敗走」「主君は機に乗じて西に進み、北の曹操、江東の孫権、三者の鼎立を狙う。それが、曹操の侵攻を阻む唯一の道です」
映画『レッドクリフ PartⅠ』の感想と評価
2人の軍師の友情と戦術
呉の孫権軍と同盟を結ぶため、蜀の劉備軍の天才軍師・諸葛亮孔明は、単身呉へ向かいました。
孫権の返答を待つ間、孔明が次の交渉相手に選んだのは、孫権軍の軍師である周瑜でした。
最初は周瑜が孔明を警戒していたため、ギスギスした関係だった2人。次第に、互いに戦術を考えるのに長けており同じ手を考える点や、音曲にも才があるなどの共通点があることに気づいて以降、周瑜と孔明は互いの知性と人徳に惹かれ友情が芽生えます。
天才軍師である周瑜と孔明がタッグを組んだことで、連合軍は曹操軍の2,000の騎兵隊を見事撃退。砂塵が舞う陸での激闘は、観ているだけで心躍るアクション場面です。
さらに、両軍の猛将と曹操軍に劣る兵力を上手く駆使した戦術「八卦の陣」が敷かれ、状況に合わせて変化していく様はとっても格好良く感嘆させられます。
天下統一を企む曹操の目的
幼い漢の皇帝を操り、抵抗を続ける劉備軍と孫権軍を討伐し、天下統一しようと企む敵・曹操。
ただ漢の支配者となりたくて戦を始めたのかと思いきや、曹操には別の目的があったことが物語の後半で明かされます。
曹操の真の目的、それはたった一度幼い時に会っただけの周瑜の妻・小喬を我がものとすることです。
小喬に似ている驪姫に、彼女の代わりを演じさせるほど小喬にベタ惚れな曹操の戦う理由を知った時、華佗たち同様、観ている人も驚きのあまり呆れ果ててしまうことでしょう。
まとめ
たった1人の惚れた女を手に入れるため、天下統一をかけた戦を始めた曹操率いる80万の大軍と、彼の野望を阻止するべく立ち上がった劉備軍と孫権軍の戦いの始まりを描いた歴史スペクタクル・アクション作品でした。
三国志最大の激闘「赤壁の戦い」の序章を描いた本作の見どころは、打倒曹操のために手を組んだ劉備軍と孫権軍の共闘と、両軍が誇る猛将たちの活躍です。
また、同盟を組む前に孔明が魅せた反射光線を使った戦術は、同盟を組んだ後に天才軍師2人が魅せた八卦の陣を使った戦術と引けを取らないほど、素晴らしいアクション場面で描かれていました。
圧倒的な兵力を誇る曹操軍相手に、最後まで諦めず立ち向かっていった趙雲たち連合軍の猛将。その中の1人、孫権軍の将軍・甘興を演じた中村獅童の鬼気迫る演技とアクションは、観ていて惚れ惚れするほど格好良いです。
三国志最大の激闘「赤壁の戦い」の開戦前を描いた、ワクワクドキドキするアクション場面満載の歴史スペクタクル・アクション映画が観たい人に、とてもオススメな作品となっています。