大人気スパイアクション映画「007」シリーズ第13作!
ジョン・グレンが監督を務めた、1983年製作のイギリス・アメリカ合作の大人気スパイアクション映画『007/オクトパシー』。
「007」ことMI6の敏腕諜報員ジェームズ・ボンドが、米軍基地爆破を企む悪党たちの謀略に挑む姿とは、具体的にどんな姿だったのでしょうか。
前作『007/ユア・アイズ・オンリー』(1981)のシリアス路線から一変。3代目ジェームズ・ボンド役を務めるロジャー・ムーアの持ち味を活かしたコミカルさと、白熱としたアクションがマッチして描かれた、「007」シリーズ第13作『007/オクトパシー』のネタバレあらすじと作品解説をご紹介いたします。
映画『007/オクトパシー』の作品情報
(C) 1983 Danjaq, LLC and Metro-Goldwyn-Mayer Studios Inc. All Rights Reserved.
【公開】
1983年(イギリス・アメリカ合作映画)
【原作】
イアン・フレミングの「007」シリーズ第2短編集『007号/ベルリン脱出』
【監督】
ジョン・グレン
【キャスト】
ロジャー・ムーア、モード・アダムス、ルイ・ジュールダン、クリスティナ・ウェイボーン、カビール・ベディ、スティーヴン・バーコフ、ヴィジェイ・アムリタラ、ウォルター・ゴテル、ロバート・ブラウン、デスモンド・リュウェリン、ロイス・マクスウェル、アルバート・モーゼス、デイヴィッド・マイヤー、アンソニー・マイヤー、ジェフリー・キーン、ダグラス・ウィルマー、ティナ・ハドソン、ミカエラ・クラヴェル、ポール・ハードウィック、ピーター・ポーテウス、ブレンダ・カウリング、ゲイリー・ラッセル
【作品概要】
前作『007/ユア・アイズ・オンリー』(1981)のジョン・グレンが監督を務めた、イギリス・アメリカ合作のスパイアクション作品。
原作であるイギリス人のスパイ小説・冒険小説家イアン・フレミングによる「007」シリーズ第2短編集『007号/ベルリン脱出』に収録された作品『オクトパシー(007号の追及)』と『所有者はある女性(007号の商略)』をもとに描かれた、「007」シリーズ第13作目です。
「007」シリーズのロジャー・ムーアが3代目ジェームズ・ボンド役を務め、『007/黄金銃を持つ男』(1974)のモード・アダムスや、『忘れじの面影』(1948)のルイ・ジュールダンら豪華キャスト陣と共演しています。
映画『007/オクトパシー』のあらすじとネタバレ
(C) 1983 Danjaq, LLC and Metro-Goldwyn-Mayer Studios Inc. All Rights Reserved.
中南米某国。「007」こと英国情報局秘密情報部「MI6」の敏腕諜報員ジェームズ・ボンドは開発中の高性能偵察機を破壊するべく、トロ大佐という軍人に変装し軍事基地の格納庫へと侵入。
するとそこへ本物のトロ大佐が大勢の部下を引き連れて現れたため、見つかってしまったボンドは拘束され、仕掛けた爆弾も撤去されてしまいます。
CIAの女性アシスタントであるビアンカは、基地外に連行されたボンドを救うため、ボンドと一緒に車に乗っている監視の兵士を誘惑し注意を逸らしました。
その隙を突いて、ボンドは用意していた超小型ジェット機、通称「アクロスター」で逃走。地対空ミサイルで追尾されるものの、上手く誘導し格納庫を爆破させます。
結果的に、ボンドは「開発中の高性能偵察機を破壊する」という任務を成功させました。
一方東ベルリンでは、ボンドと同じ「00部署」の諜報員「009」が「宝石作戦」という、「レディーの卵(ファベルジュの卵)」を手に入れるための任務に当たっていました。
「レディーの卵」とは、宝飾職人ファベルジュがロシア硬質に献上したものです。「009」は無事レディーの卵を手に入れることに成功。
しかしすぐさまそれを持ち出したことが見つかり、挙句の果てにサーカス団の双子の投げナイフ芸人ミシュカとグリシュカに致命傷を負わされてしまいました。
それでも何とか西ベルリンにある英国大使館まで逃げた「009」。英国大使館の公邸に辿り着いたと同時に、手に入れたレディーの卵を持ったまま倒れ死んでしまいました。
ですが「009」が手に入れたものも、これまで世界最古の国際競売会社「サザビーズ」のオークションに3回出品されたものも、全て巧妙に作られた偽造品でした。
その売り手は匿名で、スイス銀行の口座を使って金のやり取りをしていることと、今夜開かれるオークションに再びレディーの卵が出品されることしか分かっていません。
おそらくそのレディーの卵は本物だろうと推測したMI6の部長であるMと、MI6の美術鑑定部のジム・ファニングは、そのオークションに参加し出品者を調べるよう、ボンドに命じました。
さらに米国の国防大臣フレデリック・グレイから、「その出品者がもしソ連の人間なら、ファベルジュの卵を出品する目的は外貨稼ぎか、諜報活動の資金調達だろう。その辺を確かめてもらいたい」と命じました。
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一方ソ連では、ソ連の情報機関・秘密警察「ソ連国家保安委員会(KGB)」とソ連の政府が、北米と欧州を中心に30ヶ国が加盟している北大西洋条約機構(NATO)に対する防衛態勢と内政問題について協議していました。
KGBのアナトール・ゴーゴル将軍がNATOと軍縮交渉をし、内政問題に目を向けるべきだと提案するなか、ソ連タカ派(交戦的で戦争など武力を辞さない政治思想を持つ集団や人物のこと)のオルロフ将軍は、東側の陣営の軍備はNATOを圧倒しているとして西ヨーロッパへの侵攻を提案しました。
ですが政府は、「我が国の軍備は防衛のためにある」と言い、オルロフ将軍の提案を却下し、社会主義による平和化のため、ゴゴール将軍の提案を採用しました。
一方その頃、オークションに参加したボンドたちは、出所が怪しい粗悪な品物を売ることを専門としている男カマル・カーンが買い手に回ったことを不審に思い、彼に目をつけました。
必死になってレディーの卵を買おうとするカマルの出方を探るべく、ボンドは彼に対抗して競りに参加。さらに高く値段をつり上げていった結果、カーンが50万ポンドで落札しました。
これで本物のレディーの卵はカーンの手に渡った。かと思いきや、ボンドは出品されたレディーの卵を本物かどうか確かめるフリをして、誰にも悟られることなく発信機を仕込んだ偽物のレディーの卵とすり替えていたのです。
一度MI6本部に戻り、Mにこのことを報告したボンドは、早速カマルを追ってインドの首都デリー連邦直轄地へ向かいました。
以下、『007/オクトパシー』ネタバレ・結末の記載がございます。『007/オクトパシー』をまだご覧になっていない方、ストーリーのラストを知りたくない方はご注意ください。
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デリー連邦直轄地に到着後、ボンドは現地の情報部員サドルディンとビジェイと合流。カマルがアフガニスタンの亡命貴族で、ピチョーラー湖畔の山頂にあるモンスーン・パレスに住んでいることと、毎日ホテルのカジノへ行っているという情報を得ました。
ボンドは早速、カマルが出入りしているホテルのカジノへ行き、カマルとオークション会場で彼と一緒にいた美女マグダに接触します。
そしてカマルにカモにされていた客に代わり、ボンドはバッグギャモン(盤上に配置された双方15個の駒をどちらが先に全てゴールさせることができるかを2人で競うゲーム)を得意とするカマルに、レディーの卵を担保にして勝負を挑みました。
その結果、カマルのイカサマを逆手に取ったボンドの勝利。これに激怒したカマルは、手下のゴビンダにボンドを殺すよう命じました。
三輪タクシー「トゥクトゥク」に乗ってホテルを後にしたボンドとビジェイ。ボンドの読み通り、ゴビンダがボンドを殺すべく後をつけてきました。
さらにそこへ、カマルの私兵が襲来。雑踏の中、ボンドたちは協力してカマルの私兵と、ゴビンダとその手下を撃退しました。
その後、ビジェイと共にMI6の秘密のアジトへ行ったボンドは、MI6の特務装備開発課「Q課」の課長であるQに頼んで、レディーの卵の中に高性能のマイクロホン付きの探知装置を取り付けてもらいました。
その探知装置は、ボンドの腕時計の無線方向探知機に同調することができます。さらにQから、金属を溶かす硫酸と塩酸の濃縮混合液を仕込んだインクと、高性能の盗聴用イヤホンが入っている万年筆を受け取りました。
その日の夜。宿泊先のホテルに戻ったボンドは、待ち構えていたマグダの誘いに乗り、彼女と一夜を共にします。
ですが朝日が昇る前、マグダにレディーの卵を持ち去られてしまいました。挙句の果てに、ボンドは部屋にやって来たゴビンダに背後から襲われ、モンスーン・パレスに監禁されてしまいました。
モンスーン・パレスにて、カマルたちから手厚いもてなしを受けた後、ボンドは万年筆のインクを使って自力で脱出。マグダに盗まれたレディーの卵を取り戻そうとします。
ですがその前に、ボンドはヘリに乗ってモンスーン・パレスにやって来たオルロフ将軍が、カマルと共謀して宝石密輸を行っていること、2人が東ベルリンにある街カール=マルクス=シュタットでの再会を約束した現場を目撃しました。
それに気づいたカマルが、大勢の手下とゾウを使ってボンドを探し殺そうとします。間一髪のところでモンスーン・パレスから脱出したボンドは、サドルディンたちにマグダの背中に彫られたタコの入れ墨について何か知ってるかと尋ねました。
これに対しサドルディンは、「そのタコは、瞬時に人を殺す猛毒を持っている」「その入れ墨のタコの絵を入れた湖のボートは、水上御殿“レイク・パレス”に住む女オクトパシーのものだ」と答えました。
レイク・パレスには大勢の美女が住んでいますが、男子禁制となっていると言います。なのでボンドは、ワニに変装してレイク・パレスに近づき潜入することにしました。
オクトパシー以外、誰にも気づかれることなくレイク・パレスに潜入できたボンドは、彼女に接触し宝石密輸の裏と東ベルリンでの諜報員暗殺について問い詰めました。
オクトパシーはその問いに答えない代わりに、スマイス少佐を覚えているかと尋ねます。軍隊を退き諜報部員となったスマイス少佐は、盗まれた金塊を追って北朝鮮へ潜入。
現地のガイドと共に行方不明となり、金塊も蒸発しました。それから20年後、その調査を命じられたボンドは、遺体となって発見されたガイドの頭蓋骨からスマイス少佐の弾丸が発見されたことを知り、ガイドを殺した彼をスリランカで捕らえました。
ですが連行するまで、24時間の猶予を与えられたスマイス少佐は自分を恥じて自殺してしまいました。しかもスマイス少佐は、オクトパシーの父親だったのです。
オクトパシーは父を辱めたお礼をするべく、ずっとボンドに会いたかったと話しました。そこへオクトパシーのビジネスパートナーであるカマルが現れるも、オクトパシーが自分の手でボンドを殺すと言い追い返しました。
翌日。オクトパシーは父の遺産を全て使い果たした後、ダイヤの密輸グループに誘われたことをきっかけに、犯罪の道を歩むこととなったとボンドに明かしました。
東南アジアで放浪する美女たちを集め、配下として従えているオクトパシーは、船舶・ホテル・サーカスと多角経営を行っています。
しかしそれはあくまで表の顔。裏では宝石の強盗・密輸を行う組織のリーダーとして君臨していたのです。
オクトパシーがボンドを殺さず、自分の秘密を明かした理由は、彼の才能を見込んで自分の組織に入らないかと勧誘するためでした。
そんなオクトパシーと一夜を共にするボンドに迫る怪しい影。その正体は、カマルが金で雇った殺し屋たちです。
ボンドはオクトパシーを守り守られながら、レイク・パレスで肉弾戦を繰り広げていきます。
最後に残った敵とワニが潜む湖へ落ちたボンドは、敵もろともワニに捕食されたフリをして、Qの元へ戻りました。そしてQから、ビジェイが殺し屋たちに殺されたことを知らされます。
(C) 1983 Danjaq, LLC and Metro-Goldwyn-Mayer Studios Inc. All Rights Reserved.
翌日。カール=マルクス=シュタットでは、オクトパシーが経営するサーカス団「オクトパシー・サーカス」によるサーカスが上演されていました。そこは「009」が潜入した場所でした。
ボンドは西ベルリンで落ち合ったMから貰った身分証明書を使い、オクトパシー・サーカスへと潜入。そこでカマルとオクトパシー、オルロフ将軍が密会している現場を目撃します。
カマルとオルロフ将軍、オクトパシーはオクトパシー・サーカスを隠れ蓑にして、ソ連の国立美術館「エルミタージュ美術館」から盗んだ「ロマノフの星」を含めたソ連の宝飾品を西ベルリンへ密輸しようとしていたのです。
ですが、カマルとオルロフ将軍の目的はそれではありません。彼らの本当の目的は、人間大砲に隠した宝飾品とすり替えた核弾頭を、オクトパシー・サーカスの興行先であるフェルド・シュタット米軍基地に運び爆発させることだったのです。
それは敵国空の核攻撃ではなく、「米軍の過失」による事故に見せかけて、米国を失墜させるためでした。
そうすれば反核運動はエスカレートし、ソ連が軍事的に有利になるとオルロフ将軍は考えました。
尾行してオルロフ将軍たちの本当の目的を知ったボンド。ソ連の宝飾品が隠された人間大砲がある方の貨車に忍び込み、そこで交換作業をしていたミシュカ(兄)を倒して「ロマノフの星」を回収します。
そこへオルロフ将軍が登場。オルロフ将軍がフェルド・シュタット米軍基地で核弾頭を爆発する理由を明言せずとも、ボンドは「米国は誰に報復するんだ?」と問う彼の言葉から察しました。
核弾頭が隠された人間大砲がある方の貨車は、既に列車と連結しており、フェルド・シュタット米軍基地に向けて発車してしまいました。
ボンドはその列車を今すぐ止めるよう言いましたが、オルロフ将軍は聞く耳を持たず逃走。
ボンドはオルロフ将軍を追いかけるよりも、核弾頭の爆発を阻止することを優先し、オルロフ将軍の愛車メルセデス・ベンツ250SEを盗んで列車を追いかけます。
しかしオルロフ将軍の部下に銃撃され、タイヤ4本が損失。それでもボンドは、鉄道用の線路にホイールをはめて、列車を追いかけました。
ですが別の列車がボンドの目の前に現れたことで、ボンドが列車に飛び移った直後にメルセデス・ベンツ250SEはその列車と衝突。橋から転落しました。
一方ゴゴール将軍は、ソ連国内の美術館から盗まれた宝飾品について調べていました。そこでクレムリン美術収蔵所を訪れ、そこにあった「ロマノフの星」をエルミタージュ美術館の館長ボルチョイに鑑定してもらいます。
当然、その「ロマノフの星」は偽物です。オルロフ将軍は、盗んだソ連の宝飾品をレンキンという男に複製してもらっていました。
ゴゴール将軍はレンキンからオルロフ将軍の居場所を聞き出し、彼の後を追いかけます。そして橋の下から引き揚げられたメルセデス・ベンツ250SEのトランクから、盗まれた宝飾品が発見されたことで、オルロフ将軍への疑いが確信に変わりました。
列車が東西ドイツ国境駅を通過したその時、オルロフ将軍は車から飛び出し列車に駆け寄りますが、東ベルリンの警備兵に撃たれてしまいます。
這いずってでも列車を追いかけるオルロフ将軍に、追いついたゴゴール将軍は「ドロボーめ、軍人の面汚しだ」と吐き捨てました。
これに対しオルロフ将軍は、「見てろよ。明日になれば、私はソ連の輝ける英雄だ」と言って絶命しました。
11時45分。それを知らないカマル一味は、今から3時間45分後に核弾頭が起爆するようタイマーを設定します。
その直後、列車に忍び込み隠れていたところを見つかってしまったボンドは、ゴビンダとミシュカの弟グリシュカに襲われ、グリシュカ共々列車の屋根の上から転がり落ちてしまいました。
兄の仇を討とうと襲い掛かってくるグリシュカを、ボンドは「“009”の仇だ」と言って返り討ちにします。
核弾頭が爆発するまで刻一刻と迫る中、途中の西ドイツの街で公衆電話で電話中の女性からアルファロメオ・GTV6を拝借し、何とかフェルド・シュタット米軍基地に辿り着くことができたボンド。
地元警察に追われていたため、咄嗟の判断で009のようにピエロに変装した彼は、上演中のサーカス会場にいる米空軍司令官とその補佐官に爆弾の存在を知らせます。
当然ながら、ピエロに変装したボンドの言葉など信じて貰えません。米空軍司令官たちと一緒にいたオクトパシーは、ボンドから本物の「ロマノフの星」を見せられたことで、カマルたちに裏切られたことを悟りました。
オクトパシーが土壇場で助太刀してくれたおかげで、ボンドは爆発の寸前で起爆装置を取り外すことに成功します。
一方カマルは、オクトパシーたちを見殺しにする形でモンスーン・パレスに戻り、インドへ逃亡しようとしていました。
そこへオクトパシーとその一味が攻め込み、カマル一味と激闘を繰り広げていきます。ボンドはQと一緒に空から合流し、オクトパシーを連れ去っていったカマルとゴビンダを追いかけました。
Qとオクトパシー一味がモンスーン・パレスを制圧したと同時に、カマルたちは馬から双発の小型飛行機に乗りかえ飛び立ちます。
しかし離陸直前に飛び乗ったボンドが、片方のエンジンを停止させ昇降舵の動きを妨げたことにより、小型飛行機は墜落しカマルが死亡。
ゴビンダはボンドとの死闘の末、小型飛行機が墜落するより先に転落して死にました。ボンドは墜落直前にオクトパシーと脱出し、生還を果たします。
その後、ゴゴール将軍はMたちに「わが政府は例によって、オルロフ将軍が起こした事件のことを否定する」と前置きしたうえで、ボンドが持つ「ロマノフの星」の返却を求めました。
これに対しMたちは、「英ソ協調のため何とかしましょう」、「ですがご承知のように、ボンドは重傷を負っておりしばらく静養する必要がある」と答えました。
ですが、この時にはボンドの傷はすっかり癒えており、オクトパシーと過ごす休暇を楽しんでいました。
映画『007/オクトパシー』の感想と評価
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レディーの卵の謎を追うボンド
密輸調査のためとあるサーカス団に潜入していた009が、命懸けで手に入れ、死ぬまで離さずに持っていた秘宝「レディーの卵」。
しかし、009が持っていたのは偽物であることが分かり、ボンドはその謎を追うことになりました。
調査を進めていくにつれて、危険度が増していくボンドの任務。本作の悪党であるカマルや、彼のビジネスパートナーであるオクトパシー、彼らと計画している恐るべき陰謀を秘めたオルロフ将軍相手に、今回もたった1人で挑んでいくボンドの姿は、毎度のことながらハラハラドキドキさせられます。
何といっても物語の後半で描かれている、列車の屋根の上でのボンドvsゴビンダ・グリシュカの肉弾戦、小型飛行機でのボンドvsカマル・ゴビンダの最終対決は、一番スリルがあって迫力があるアクション場面です。
オルロフ将軍が計画する恐るべき陰謀
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ソ連の平和のためにNATOと軍縮交渉を進めようとするソ連政府とKGBのゴゴール将軍に不満たらたらなオルロフ将軍。
彼はカマルとオクトパシーと手を組んで、ソ連の宝飾品を盗み西ドイツへ密輸するだけにとどまらず、ついに米軍基地への爆破テロという国際問題に発展するほどの凶悪犯罪にまで手を染めてしまいます。
しかもソ連からの攻撃だと思われぬよう、宝飾品の密輸のために隠れ蓑にしていたオクトパシー・サーカスを使って核弾頭を運び、米国が失墜するよう仕向けていたのです。
ただそれは、何の罪もない人が大勢死ぬことを意味しています。そこまでしてでも、ソ連軍はNATOに負けない、いつでも西ヨーロッパへ侵略できるほどの軍事力があると、オルロフ将軍は証明したかったのでしょう。
それはオルロフ将軍なりに、自分が率いるソ連軍に誇りを持っていたことと、祖国を思ってのことだと考察します。
まとめ
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「007」ことMI6の敏腕諜報員ジェームズ・ボンドが、殺された009が持っていた秘宝の謎を追うにつれて見えてきた、恐るべき陰謀に立ち向かうイギリス・アメリカ合作のスパイアクション作品でした。
ボンドが列車や小型飛行機に飛び乗って、その上で敵と激闘を繰り広げていくアクション場面はもちろん、ボンド・Q・オクトパシー一味が物語の終盤で魅せる敵城での戦いなど、これまでの「007」シリーズ作品よりもアクションを多く取り入れており、そのどれもが見応えがあるものばかりです。
そして、3代目ジェームズ・ボンド役を務めるロジャー・ムーアの持ち味を活かしたコミカルな場面も随所描かれています。
特に物語の終盤、ボンドが009と同じピエロに変装し、米空軍司令官たちに核弾頭があることを知らせる場面。ピエロに変装したことが仇となり、彼らに信じて貰えなかった時のボンドの焦りと悲しみが入り混じった表情が、ちょうどピエロのメイクにマッチしていてとても面白いです。
また作中では、ボンドと同じ「00部署」の諜報員である「009」が初登場。これまでの「007」シリーズ作品では、「002」が名前のみ登場していましたが、「009」は顔まで出しています。
滅多に見られないボンド以外の「00部署」の諜報員も登場する、コミカルでスリルがあるボンドの戦いを描いたスパイアクション映画が観たい人に、とてもオススメな作品です。