映画『マンハント』は2月9日(金)より日本公開!
福山雅治&チャン・ハンのダブル主演で、監督はジョン・ウーという中国映画『マンハント』は、1976年の日本映画『君よ憤怒の河を渡れ』のリメイク版というのは、既に映画ファンはご存知ではないでしょうか。
今回はリメイク版『マンハント』とオリジナル版『君よ憤怒の河を渡れ』の比較をするにあたり、ジョン・ウーの過去作を引き合いに出して考察してみました。
もちろん、ジョン・ウー証の鳩のエピソードも触れています!
CONTENTS
1.映画『マンハント』の作品情報
【公開】
2018年(中国)
【原作】
西村寿行
【監督】
ジョン・ウー
【キャスト】
チャン・ハン、福山雅治、チー・ウェイ、ハ・ジウォン、國村隼、竹中直人、倉田保昭、斎藤工、アンジェルス・ウー、桜庭ななみ、池内博之、TAO、トクナガクニハル、矢島健一、田中圭、ジョーナカムラ、吉沢悠
【作品概要】
1976年に高倉健主演で映画化された原作西村寿行の『君よ憤怒の河を渉れ』を、「男たちの挽歌」シリーズや『M:I-2』のジョン・ウーがリメイクとして映画化。
ダブル主演として『戦場のレクイエム』のチャン・ハンユーと、『三度目の殺人』の福山雅治の挑むサスペンス・アクション作品。そのほか『第7鉱区』のハ・ジウォン、『哭声/コクソン』の國村隼、『進撃の巨人 ATTACK ON TITAN』の桜庭ななみ共演しました。
2.映画『マンハント』のあらすじ
酒井義廣社長の経営する天神製薬の顧問弁護士として雇われたドゥ・チウ。
彼は出席したパーティの翌朝にベッドで目を覚まします。
すると社長秘書である希子の死体が横たわっていました。
その現場にはドゥ・チウ自身の指紋が付いたナイフが置かれて、突如、殺人事件の被疑者となってしまいます。
何者かに仕組まれ、嵌められた事実に気が付いたドゥ・チウは、その場から逃走。
そんな彼を大阪府警の刑事矢村は、新人部下の里香とともに事件を捜査しながら追い詰めて行きます。
事件のカギを握るのは元天神製薬研究員で、かつて3年前に婚約者を失った真由美。
しかし矢村は、警察の包囲網を次々と潜り抜けるドゥ・チウの存在に近づけば近づくほど、なぜか事件に違和感を覚えていました。
次第に捜査見解に変化を見せていく矢村ですが、真由美の実家が営む牧場で、ドゥ・チウを逮捕に成功します。
ドゥ・チウに手錠をかける矢村ですが、女殺し屋レインたちからの襲撃を受けます。
矢村はその事実からドゥ・チウが無実の罪であることを確信します。
しかし、何者かによって捜査妨害されるなか、矢村とドゥ・チウは身分や国籍を超え、2人はともに手を組み事件の真相に立ち向かう…。
3.映画『マンハント』の感想と考察
『君よ憤怒の河を渉れ』VS『マンハント』
なんで『君よ憤怒の河を渉れ』が40年後に『マンハント』になったのか?
2017年のヴェネツィア国際映画祭、中国語圏に続いていよいよ公開される映画『マンハント』。
中国の人気俳優チャン・ハンユーとともにダブル主演として勤めるのは、海外作品初出演の福山雅治。
韓国から人気女優ハ・ジウォンが出演。福山の部下役で桜庭みなみ、ハリウッドでも活躍するTAO、海外作品への出演経験も多い池内博之、竹中直人、國村隼、倉田保昭も登場します。
監督は「男たちの挽歌」シリーズから『フェイス/オフ』(1997)『レッドクリフ』(2008、09)など話題作・ヒット作が多い中国語圏の巨匠ジョン・ウー。
実は『マンハント』が日本映画のリメイクだということは宣伝でも語られているのですが、しかしそのオリジナルのタイトルを言われてもピンと来る人はあんまりいないでしょう。
その映画は1976年の『君よ憤怒の河を渉れ』。
主演はあの高倉健、共演に原田芳雄。監督はその後、1977年『野生の証明』、1978年『人間の証明』など大型作品を撮ることになる佐藤純彌。
という豪華な陣営で作られたものの大変、失礼ながら映画の出来やヒットの度合いで言えばそこまでのものでもない映画であります。
それがなんでわざわざ40年も経って中国でリメイクされるほどのものになったかというと。
この『君よ憤怒の河を渉れ』が、中国で文化大革命後に初めて公開された外国映画で、驚異的な大ヒット作品となったからです。
この大ヒットで高倉健は中国でも大人気俳優となりました。後々巨匠チャン・イーモウ監督は自分の『単騎、千里を走る。』(2006)に主演で招いたほどです。
思い出すのは『ミッション・インポッシブル』と『M:I-2』
リメイク作『マンハント』を見て思い出したのが、あの人気映画シリーズの第一作1996年の『ミッション・インポッシブル』とその第2弾『M:I-2(ミッション:インポッシブル2)』(2000)です。
細かく説明することもいらないのではと思われる、文字通りの大スターのトム・クルーズ主演の今ではライフワークとなりつつあるサスペンスアクション作品。
もともとは1960年代中盤から70年代までアメリカで放映されていた同じタイトルのテレビドラマで、日本では『スパイ大作戦』のタイトルで知られていました。
そんな古典ともいうべきドラマをハリウッドで映画化するというなかで、最初に白羽の矢が立った監督は自他ともにサスペンス王様アルフレッド・ヒッチコックのフォロワーであるとされているブライアン・デ・パルマでした。
その映画人生をほぼサスペンスだけに捧げてきたデ・パルマ監督に、場合によってはシリーズ化も視野に入れたプロジェクトを託しました。
結果、映画『ミッション・インポッシブル』はオールドファンからまずまずの合格点をもらえたケレン味たっぷりの映画となりました。
全米・そして世界市場でも大ヒットを記録した『ミッション・インポッシブル』はシリーズ化が決定。ところが、ここでデ・パルマ監督が次のプロジェクトもあったりと降板。
そして、続編の『ミッション・インポッシブル2』のちに『M:I-2』となる続編の監督に抜擢されたのが、ハリウッド進出後着々と成功を重ね、作品のスケールも着々と広げてきたジョン・ウーでした。
結果映画がどうなったかというとゴリゴリのスパイサスペンスであった一作目からうって変わってひたすら力業のアクション映画となりました。
トレードマークの二丁拳銃にスローモーションアクション、白い鳩も飛び交い丸々ジョン・ウー印の映画となり、“スパイ大作戦はどこへ行ったのか!?”と思わず言ってしまうような映画となりました。
一応、殺人ウィルス“キメラウィルス”をめぐる攻防戦もあるにはあるのですが、最後はなんと銃撃戦を経ての殴る蹴るの肉弾戦で決着をつける映画となっていました。スパイ映画なのに!?
そして『マンハント』はどうなったのか?
結果からいうとやはり『マンハント』は『M:I-2』になりました。
刑事ものではありましたがどちらかというとウェットな人情物語だった『君よ憤怒の河を渉れ』が、明朗快活なアクション映画に大きくシフトチェンジしました。
ただ、今回は良い方に転んだといっていいでしょう。
『M:I-2』はスパイ映画でなければならないところをジョン・ウー映画にしてしまったことで映画自体のスタンスを変えすぎてしまった感がありました。
しかし、巻き込まれ型サスペンスだった『君よ憤怒の河を渉れ』は派手なアクション映画へのアレンジは相性も良く、結果として『マンハント』は『君よ憤怒の河を渉れ』の現代版アップデートであるとともに、ジョン・ウー映画としても実に久しぶりの現代アクション映画となっています。
現代劇でいうとハリウッドの最期の作品となった『ペイチェック消されて記憶』以来14年ぶりの作品となります。
やはり、スローモーション、二丁拳銃、カーチェイス(今回は水上バイクチェイスも)、そして鳩もみんな出てきます。
物語もまず主役の高倉健ありきでそれを追う原田芳雄という並びでしたが、今回はチャン・ハンユー、福山雅治が完全に並び立っているのもはったりを利かせるにはぴったりの陣容です。
『君よ憤怒の河を渉れ』を見たいと思わると困るのですが、ジョン・ウー印の娯楽アクション映画だと思ってみてもらえれば、全く損することがないエンターテイメント作品となっています。
まとめ
本作は中国映画でありながら、日本の各地でオールロケを敢行!ダブル主演の福山雅治&チャン・ハンの2人の強烈な存在感を見せた、ジョン・ウー監督の力強い演出力で『君よ憤怒の河を渡れ』を超えたリメイク作品となっています。
映画『マンハント』は2月9日(金)より日本公開!
ぜひ、お見逃しなく!