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Entry 2017/03/14
Update

映画『キングコング髑髏島の巨神』ネタバレ感想。2017版のラスト結末

  • Writer :
  • シネマルコヴィッチ
  • リョータ

2017年版のコングは次元が違う!!!

全編がクライマックスの怪獣映画『キングコング 髑髏島の巨神』をご紹介します。

映画『キングコング 髑髏島の巨神』の作品情報

【公開】
2017年(アメリカ)

【原題】
Kong: Skull Island

【監督】
ジョーダン・ヴォート=ロバーツ

【キャスト】
トム・ヒドルストン、サミュエル・L・ジャクソン、ジョン・グッドマン、ブリー・ラーソン、ジン・ティエン(景甜)、ジョン・オーティス、テリー・ノタリー、ジョン・C・ライリー、トビー・ケベル、トム・ウィルキンソン、トーマス・マン、シェー・ウィガム、ジェイソン・ミッチェル、コーリー・ホーキンズ、MIYAVI

【作品概要】
キングコングを題材とした映画としては通算8作目であり、レジェンダリー・ピクチャーズ製作の怪獣映画を同一世界観のクロスオーバー作品として扱うモンスターバースシリーズとしては『GODZILLA ゴジラ』に続いて2作目となる作品。

監督にはジョーダン・ヴォート=ロバーツを起用し、主演には今注目のトム・ヒドルストンを迎え、ブリー・ラーソンやサミュエル・L・ジャクソン、ジョン・グッドマン、ジョン・C・ライリーらが脇を固めるという豪華キャストが勢ぞろいしている。

映画『キングコング 髑髏島の巨神』のキャスト一覧


(C)2016 WARNER BROS. ENTERTAINMENT INC., LEGENDARY PICTURES PRODUCTIONS, LLC AND RATPAC-DUNE ENTERTAINMENT LLC. ALL RIGHTS RESERVED

ジェームズ・コンラッド / トム・ヒドルストン


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1981年生まれのイギリス人俳優トム・ヒドルストンは、ケンブリッジ大学で学び、ペンブルック・カレッジ校を優等成績で卒業。その後、2005年に王立演劇学校を卒業しています。

長身187㎝を生かした弟ロキ役!『マイティー・ソー』(2011)

トム・ヒドルストンが一躍脚光浴びたのはケネス・ブラナー監督作の映画『マイティ・ソー』(2011)のロキ役でしょう。

当初はソー役としてオーディションに参加していたものの、面識のあったケネス・ブラナー監督からロキ役を打診され、キャスティングに至ったのだそう。

その後もウディ・アレン監督の『ミッドナイト・イン・パリ』(2011)や、スティーブン・スピルバーグ監督の『戦火の馬』(2011)など立て続けに話題作へと出演し、『オンリー・ラヴァーズ・レフト・アライヴ』(2013)では主演を務めるなど、俳優としての地位を確かなものとしました。

2015年も『アイ・ソー・ザ・ライト』、『ハイ・ライズ』、『クリムゾン・ピーク』と出演を重ね、本作『キングコング 髑髏島の巨神』に至るという訳です。

今回トム・ヒドルストンが演じるのは、未知生命体の存在を確認しようと、“スカル・アイランド(髑髏島)”にやってきた元英国特殊部隊所属で調査遠征隊の隊長ジェームズ・コンラッド。

彼が髑髏島で出会った怪獣たちに一体どう立ち向かっていくのか?そして助かる道は存在するのか?その辺りに注目していきたいですね!

プレストン・パッカード / サミュエル・L・ジャクソン


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説明不要の“怪物的”存在感を発揮するサミュエル・L・ジャクソン。

1981年に映画『ラグタイム』でデビューしてから、出演した作品数の多さには本当に驚かされますね。

しかし、当初はエディ・マーフィ主演の『星の王子 ニューヨークへ行く』(1988)やマーティン・スコセッシ監督の『グッドフェローズ』(1990)に脇役として登場するも、そこまでのインパクトは残せていませんでした。

カンヌ国際映画祭を変えた助演賞⁉︎『ジャングル・フィーバー』(1991)

彼の転機となったのはスパイク・リー監督の『ジャングル・フィーバー』(1991)でしょう。この作品でカンヌ国際映画祭の助演賞を受賞。

サミュエル・L・ジャクソンのために異例としてカンヌ映画祭で助演賞が設けられたほどの名演技で、それ以降も個性的な演技が認められるようになっていきます。

クエンティン・タランティーノ監督作品(『パルプ・フィクション』、『イングロリアス・バスターズ』(ナレーションのみ)、『ジャンゴ 繋がれざる者』などなど)には絶対に欠かせない存在ですし、他にも『トゥルーロマンス』(ある意味タランティーノ作品)や『交渉人』など、もはや挙げればキリがありませんよね。

ただし、主演というよりも脇役で存在感を発揮しているのがほとんど。割と出演作を選ばない傾向にあるのか、どんな役でもこなしてくれるという安心感が製作サイドにはあるはず。

そんなサミュエル・L・ジャクソンが『キングコング 髑髏島の巨神』で演じるのは、経験豊かな航空部隊“スカイデビルズ”を率いるプレストン・パッカード。

かつてベトナム戦争に従軍していたという男で、不本意な結果に終わったという思いを引きずっているようですね。今回“スカイデビルズ”を率いて調査隊に同行するのは何か思惑があるのでしょうか?その辺り注目しましょう!

ウィリアム・”ビル”・ランダ / ジョン・グッドマン


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サミュエル・L・ジャクソンと同様、クセの強い脇役を演じることが多いジョン・グッドマン。

脇役なら任せろ!『『赤ちゃん泥棒』(1987)

『赤ちゃん泥棒』(1987)や『バートン・フィンク』(1991)、『ビッグ・リボウスキ』(1998)など(他多数)のコーエン兄弟の作品には欠かせない存在ですよね。

近年でもミシェル・アザナヴィシウス監督の『アーティスト』(2011)やベン・アフレック監督の『アルゴ』(2012)などの話題作に多数出演しています。

今回彼が演じるのは調査隊の1人であるビル・ランダ。どうやら彼は未知の怪物を30年間も研究してきた人物のようで、髑髏島の秘密を最初から知っていたようなのですが…。

彼の過去や目的など、注目すべきことがたくさんありそうな人物ですね。もしかしたら物語の鍵を握っているのかも?!

メイソン・ウィーバー / ブリー・ラーソン


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『ベン・スティラー 人生は最悪だ!』(2010)や『21ジャンプストリート』(2012)、『ドン・ジョン』(2013)など、どちらかというとコメディ寄りの作品に出演していたブリー・ラーソン。

彼女の転機は主演を務めた映画『ショート・タイム』(2013)でしょうか。この作品で数々の賞レースを席巻した(作品自体も含め)ことで、彼女の名が一躍世間に知られるようになりました。

見事!オスカー女優となった『ルーム』(2015)

2015年の『ルーム』では、見事アカデミー主演女優賞受賞に輝くなど(他にもゴールデングローブ賞主演女優賞、ナショナル・ボード・オブ・レビュー賞主演女優賞を受賞)、最高の栄誉を獲得しました。

そんなブリー・ラーソンが今回演じるのは、調査隊の一員であり戦争写真家のメイソン・ウィバー。

これまでアクションのイメージがあまりないブリー・ラーソンがこのようなタイプの映画に出演すること自体がまず注目ポイントですね。

さらには彼女はキングコングのヒロイン的立場になりました。主人公コンラッドとの恋の予感なんてのもの見られるのでしょうか?!注目して見ていきましょう。

ジャック・チャップマン / トビー・ケベル

オリバー・ストーン監督作の『アレキサンダー』(2004)が映画デビューのトビー・ケベル。同年ウディ・アレン監督の『マッチポイント』にも出演を果たしていますが、端役ということで、特に印象に残らずといった感じでしたね。

間違いなく転機となったのはアントン・コービン監督の『コントロール』(2007)です。この時の演技は非常に高く評価され、英国インディペンデント映画助演賞を獲得。

対抗馬だったケイト・ブランシェットやコリン・ファースを抑えての受賞ですから、その評価の高さが良く分かると思います。

翌年にはガイ・リッチー監督作の『ロックンローラ』で、ヤク中のミュージシャンを演じて注目を集め、『猿の惑星:新世紀』(2014)、『ファンタスティック・フォー』(2015)、『ウォークラフト』(2016)など話題作に次々と出演を果たしました。

そんなトビー・ケベルが今回演じるのは、空軍少佐ジャック・チャップマン役。主にサミュエル・L・ジャクソン演じるパッカードと行動を共にするようです。

彼の劇中での運命も気になりますが、サミュエル・L・ジャクソンに負けない演技を見せてくれたのか?という点が非常に気になる所です!

ハンク・マーロウ / ジョン・C・ライリー


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ブライアン・デ・パルマ監督の戦争映画『カジュアリティーズ』でデビューを飾ったジョン・C・ライリー。

その後も『ギルバート・グレイプ』(1993)や『激流』(1994)などに脇役として出演した他、『ハードエイト』(1996)、『ブギーナイツ』(1997)、『マグノリア』(1999)などポール・トーマス・アンダーソン監督作品の常連として名を連ねることに。

ジョン・C・ライリーが助男優賞にノミネート!『シカゴ』(2002)

2002年にはミュージカル映画『シカゴ』でアカデミー賞助演男優賞にノミネートされるなどの高い評価を受け、近年でもロマン・ポランスキー監督の『おとなのけんか』に出演するなど、名バイプレイヤーとして欠かせない存在になっていますね。

そんなジョン・C・ライリーは、大戦中に髑髏島へと不時着したアメリカ人パイロットのハンク・マーロウ。

彼は唯一島の秘密を知る男で調査隊の生存をかけた案内役となりますが、島にはどんな秘密があるのでしょうか?そしてこれまでどうやって生き延びて来たのか?その辺が注目ポイントになりそうですね。

サン・リン / ジン・ティエン(景甜)


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ドニー・イェンが主演したアクション映画『スペシャルID 特殊身分』(2013)や、ジャッキー・チェン主演の『ポリス・ストーリー/レジェンド』(2013)で知られるジン・ティエン。

彼女が『キングコング 髑髏島の巨神』で演じるのはサン・リン。調査隊に同行した若き生物学者です。サンという名前は名作アニメ『もののけ姫』に登場した、主人公サンから拝借をしたそうです。

グンペイ・イカリ / MIYAVI

「サムライギタリスト」の異名を持つのが、ミュージシャンのMIYAVI。独特なスラップ奏法で欧米などでも支持を受けているMIYAVIですが、俳優としては実は3作目の映画出演になるのだそう。

そんなMIYAVIが登場するのは冒頭シーン。大戦中に不時着した日本軍のパイロットであるグンペイ・イカリ。

同じく不時着したハンク・マーロウと対峙した時に、ちょうどキングコングが現れるとのことですが、このシーンは実は“何か”を示唆しているようですね~。

そんなことも頭に入れながら観てみると面白いかもしれませんよ!

映画『キングコング 髑髏島の巨神』の監督紹介

映画『キングコング 髑髏島の巨神』の演出したのは、ジョーダン・ヴォート=ロバーツ監督

ジョーダン・ヴォート=ロバーツ監督のデビュー作!
キングス・オブ・サマー』(2013)

この物語は高校生のジョーと、その親友のパトリックは一緒になって、親への不満を抱いたことで家出を計画。

2人は風変わりな少年ビアジオとともに、森の中に秘密基地の隠れ家で自立をする生活を目指ます。しかし、そこにジョーが恋心を寄せるクラスメイトのケリーが訪れると…。

『キングス・オブ・サマー』はダラス国際映画祭にて最優秀長編賞ほか、多くのノミネート受賞して注目を集めました。

その後この作品を観たプロデューサーは、映画監督としての実績の少ない若干30歳前半のジョーダン・ヴォート=ロバーツ監督にキングコング映画化の企画に白羽の矢を立てます。

ジョーダン・ヴォート=ロバーツ監督は70年代の映画をこよなく愛し、日本の特撮やアニメなどの文化にも精通しています。実はもともと、監督は日本通になったのは任天堂やゲームが始まりだったそうです。

コッポラ監督の『地獄の黙示録』(1979)へのオマージュ!

確かに作中からはフランシス・フォード・コッポラ監督の『地獄の黙示録』(1979)などのベトナム戦争を題材とした戦争映画の匂いがプンプンと伝わってきますよね。

例えば、ジョン・C・ライリー演じるハンク・マーロウは、『地獄の黙示録』でカーツ大佐(マーロン・ブランド)の下に敢えて留まるデニス・ホッパーが演じた報道写真家の役回りと似ているのだとか。

また、『地獄の黙示録』の原作『闇の奥』の著者はジョゼフ・コンラッド。そう、この『キングコング 髑髏島の巨神』の主人公コンラッドは明らかにここから名前を拝借しているはずです。

そういった70年代映画へのオマージュに加え、当然日本の『ゴジラ』や『ガメラ』からも影響を受けており、そういった意味では単なる怪物映画とは一線を画し、クラシカルかつ現代的という稀有な感覚を持ち合わせた監督だと言えるでしょう。

ギャレス・エドワーズ監督版の『GODZILLA ゴジラ』(2014)は見るべし!

この怪獣映画の潮流としては、ギャレス・エドワーズ監督の『GODZILLA ゴジラ』(2014)の成功(興行と評価の両面で)が大きいと思われます。(この成功がなければプロジェクトは頓挫したのかも?!)

そしてその時に脚本を担当したマックス・ボレンスタインが本作でも名を連ねており、そういった点でも注目度が高まっていますね。

そもそもキングコングの企画をやるにあたって、当初は『パシフィック・リム』(2013)でおなじみのギレルモ・デル・トロの名前が挙がっていたのだそう。

結果としては監督を務めるには至りませんでしたが、怪獣・特撮映画を敬愛しているという点では、ジョーダン・ヴォート=ロバーツはギレルモ・デル・トロの方向性を抑えつつも、今作では新しい怪獣映画を作り上げた点に注目です!

最後に撮影監督にも少し触れておきましょう。本作の撮影監督を務めるのはラリー・フォンです。

創造的で美しい動きのカメラワーク!『グランド・イリュージョン』(2013)

ザック・スナイダー作品にはおなじみで、『300〈スリーハンドレッド〉』(2007)、『ウォッチメン』(2009)、『エンジェル・ウォーズ』(2011)、『バットマン vs スーパーマン ジャスティスの誕生』(2016)で撮影監督を務めています。

他にもJ・J・エイブラムス監督の『SUPER8/スーパーエイト』(2011)や、ルイ・ルテリエ監督の『グランド・イリュージョン』(2013)を手掛けるなど、CGを多用したアクション作品はお手の物といった感じでしょう!

彼の映像はいつも美しくそれでいて強烈なインパクトを残しているので、どんな映像に仕上がっているのか今から楽しみですね!

映画『キングコング 髑髏島の巨神』のあらすじ


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第二次世界大戦の終盤に差し掛かった1944年。

空中戦を行なったP51ムスタングと零戦。前線で力尽きた両機はとある島に墜落。機内からパラシュートで脱出したハンク・マーロウだったが、地上に降りてからも戦いは続きます。

日本兵のグンペイ・イカリが日本刀を手に斬りかかってきます。もみ合いながら2人は死闘を繰り広げると、その背後には巨大生物のキングコングが姿を現します…。

時は移り、アメリカがベトナム戦争から撤退をした1973年のワシントン。

上院議員の元にモナークの上級工作員ビル・ランダと地質学者ヒューストン・ブルックスが陳情に向かいます。モナークという組織は、1946年にトルーマン大統領が設立した、未知なる巨大生物などの特殊案件を扱う特務研究機関。

ランダとブルックスの目的は、地球観測衛星ランドサットの衛星カメラで発見した謎の島(髑髏島)への調査費の要望でした。

モナークで30年にわたり巨大生物を研究してきた第一人者のランダは、過去に巨大生物との遭遇体験があり、その際にの約300人の死者を出した大惨事の生存者。

しかし、それを証明する成果もあげられないまま、モナーク自体の組織も解散の危機に追い込まれていたのです。

地球には人類以外にも太古から支配してきた巨大生物が今もなお生息している確信するランダは、ブルックスが研究していた地球空洞説が自分の説を裏付ける証拠になるとも考えていました。

また、ランドサットで発見した永久暴風圏で守られていた人類未確認の髑髏島こそが、地上と地底を結ぶ通路ではないかと予測を立てていたのです。

陳情を受けた上院議員は、その説には懐疑的であったものの、すでにソ連もその島の存在を察知していたことを聞かされると、島調査を保有資源を観測調査する名目で調査団の結成を許諾します。

ベトナムのダナンのアメリカ空軍基地。撤退命令を受けた兵士たちは本土帰国する時間を待ちわびていました。

しかし、第3攻撃ヘリ部隊「スカイデビル」を率いる大佐のプレストン・パッカードだけは、多くの自分の部下を亡くしたベトナム戦線からの撤退にただ1人納得ができないでいました。

そんなパッカード大佐の心情に決着がつけられない様子に、彼の右腕として任務するジャック・チャップマン少佐は心配をして見つめていました。

やがて、そんなパッカード大佐の元にウォード大将から電話が掛かってきます。ある島に送る政府の遠征隊を援護警備をして欲しいという命令でした。

簡単な任務ではあったがパッカードにとっては、信頼する部下との出勤は何よりの心の在りどころでした。

一方で部下のアール・コール大尉や下級准尉グレン・ミルズ、レグ・スリフコたちは、帰還モードに喜んでいました。

パッカードは彼らの尻を叩くかのように任務命令を下し、バンコクに停泊する遠征隊の貨物船アテナ号に向かいます。

同じ頃、ランダとブルックスは、サイゴンにいた元英国陸軍特殊空挺部隊のジェームス・コンラッド大尉と会っていました。

彼はベトナムでアメリカ兵にサバイバル戦術を教えていた過去を持っていたが、現在はその職も辞めてくすぶっていました。

巨大生物に遭遇したことのあるランダは、コンラッドのような男を島探査のリーダーに抜擢することにうってつけの人材で、高額のギャラに値する人材だと思っていました。

依頼を受けたコンラッドとランダとブルックスの島への探査同行を承諾します。

国家からの輸送班や護衛部隊、また腕利きの傭兵のリーダーの他にも、2年間にわたりベトナムの戦場カメラマンを務めていたメイソン・ウィーバーも決定。

軍事援助司令部に出入りをしていたコネクションを使い同行を許されたウィーバー。

しかし、彼女は自称“反戦カメラマン”。彼女の真の目的は、政府が行う謎の島への資源調査には何か裏があると推測をしていたのです。

貨物船アテナ号に乗り込んだメンバーを前に、ランドサットに関わる科学者ビクター・ニーブスは兼務する調査遠征隊の総責任者として計画の概要を発表をしました。

髑髏島に上陸後は、衛星収集するニーブスとその部下のスティーブ、モナークのランダとブルックス、生物学者サンと共に地質計測機器を設置。

その後、パッカード率いる「スカイデビル」が空中からサイズミックを投下して、その爆破振動によって地層の密度を系剃ることで、地球空洞説を確認するという計画でした。

しかし、そのこと裏に隠されたは巨大生物の証明は、過去に目撃のあるランダだけの秘密。たのメンバーはこの調査が危険なことを知る余地もありませんでした…。

髑髏島の南から上陸した調査団。北上しながら調査を進めていく計画は、3日後に島の北端で補給部隊と再び合流。

しかし、それまでの間は船舶と上陸班の無線機器は暴風圏の影響で使用不可能。また、ベイス・キャンプのリーダーコンラッドが指揮するものでした。

計画を聞いた調査団メンバーは、アテネ号から「スカイデビル」のヘリに乗り込んで巨大な暗雲を抜けて島へと上陸。

計画通りに地上班はニーブスを中心に地質計測機器を設置した後、パッカード率いた空中へり班の「スカイデビル」が、島のジャングルに爆弾を次々に投下していきます。

逃げ惑う島の生物たち。未開の島の自然は火炎に包まれていきます。

地上班のブルックスは計測器の振動の波長を確認すると、地下空洞の可能性があることを認識しますが、その喜びを打ち消すように、何者かの手によってヘリが墜落していく。


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パッカード乗り込んだヘリから部下のヘリに連絡を取りますが音信不通…。ヘリをまるで虫けらのように叩き落としていくのは今までには見たことのない山のように大きいゴリラ。

島を脅かす異端者たちの上陸に怒りを露わにしたキングコングは次々にヘリを叩き落としていきます。

パッカード率いる「スカイデビル」も攻撃をして応戦しますが、キングコングにはまるで歯が立ちません。

スカイデビルは全機墜落。地上班にいたリーダーのコンラッドは、髑髏島の巨神とも呼ぶべき存在のキングコングを目の前に事態の異常さを感じます。

コンラッドやパッカードは、この島では人間は虫けらに等しい存在だと悟るも、すでに時は遅し、究極の生き残りサバイバルを強いられることなったことに気が付きます。

やがて、生き残った調査隊メンバーは、コンラッドと共に島の北端目指しますが、彼を襲う巨大生物はキングコングだけではないことも知ります。


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特に凶悪な巨大生物は、あのキングコングの存在すら脅かす、地底からやってくる“地底の邪神”スカル・クローラーであることを思い知らされます。

果たして調査隊一行の誰が?何人生き残り?無事に髑髏島から脱出は出来るのでしょうか?!

映画『キングコング 髑髏島の巨神』感想と評価


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この作品を演出したジョーダン・ヴォート=ロバーツ監督は、ハリウッド・メジャー作の実績がない監督でありながら、それを感じさせない見事なエンターテイメントに徹した作品を作り上げました。

同じくレジェンダリー・ピクチャーズ作品の『GODZILLA ゴジラ』を演出したギャレス・エドワーズ監督をはるかに超えた、ハリウッド映画が“真の怪獣映画”を製作しています。

もちろん、正確には往年の怪獣映画に近づきつつあるのですが、キングコングと魔海の大ダコを死闘させた点や、過去作のキングコングが未開の地の黒人というメタファーから解き放ち、巨神としたこと大きな変化と言えましょう。

東宝がかつて得意としてきた怪獣映画は、現在の日本映画では作られることが難しくなりましたが、『キングコング 髑髏島の巨神』を観たあなたなら怪獣映画への期待は高まるはずです。

もちろん、怪獣映画を見慣れない世代の映画ファンも十分に楽しめる作品なっています。

実はこの作品には、映画やゲーム、アニメといった小ネタを作品全体に散りばめた作品でもあり、マニアなら随所に笑いや思わず声をあげてしまうこと満載でした。


『新世紀エヴァンゲリオン劇場版 シト新生』

ジョーダン監督は、いったいどのくらいオタクでマニアなのかと思ってしまうほどです!

例えば、物語の中に登場する日本人のグンペイ・イカリは、『新世紀エヴァンゲリオン』の碇シンジの名前から「碇」を借用したりしています。

また、グンペイはジョーダン監督がゲーム好きであることから、任天堂の開発第一部部長として、『ゲーム&ウオッチ』『ゲームボーイ』などを開発した横井軍平の名前「軍平」から借用して命名したのです。

それだけではなく、ジョーダン監督は宮崎駿監督ファンということもり、登場した女性生物学者サン・リンは『もののけ姫』に登場する「サン」から命名という具合で遊び心は探せば探すほど出てきたりします。

このような小ネタは劇場パンフレットではジャンクハンター吉田が「髑髏島トリビア」として触れていて、他にも今作の字幕監修を務めた町山智浩が詳しくラジオ等で述べているのそちらをお聞きください。

さて、では今回の『キングコング 髑髏島の巨神』のどのようなことに注目をしてみたいか、ポイント2つあげてみましょう。

1つ目のポイントは、髑髏島の先住民族イーウィスの無言についての考察。

2つ目のポイントは、メイソン・ウィーバーの涙についての考察。

この2つのポイントについて考えていきましょう。

ポイント1:髑髏島の先住民族イーウィスの無言について

物語の中で先住民族はまったく会話をしませんでした。欲とは無縁の生活を送る彼らは、争う必要がなく共同体として物を分け合いながら穏やかに暮らしには言葉が必要がなかったのです。

このことは非常に興味深くことです。未開の島の先住民族イーウィスには、外敵(侵略者)な人間たちがいないことが言葉の必要がない理由です。

一方でスカイデビル率いるパッカード大佐やランドサットの科学者ニーブスなどは、対立する考え方があると強い言葉で喋ることで自己意見を述べました。

言語があることで争いや対立が生まれたのか、自己主張対するために言葉が生まれたのか。あなたはどのように思われますか。

また、コングとカメラマンのメイソン・ウィーバーが心を解き放ち、お互いを認識し合う場面でも会話はありません。

さらにウィーバーと接触した際には無言で身体を触らせます。それは過去作のキングコング映画では、女性と男性という恋愛行為のような形として描かれていましたが、今回はそのようには見られません。

つまり、巨神と人間はテレパシーのような形で心の在りようを見えてしまう様子でした。

もちろん、ウィーバーが怪獣スケル・バッファローを無心で助け出そうした姿を目撃していたから良い人間だと判断したとも考えられます。

しかし、先住民族イーウィスとの関係のように、自称“反戦カメラマン”の真理をコングが読み取ったと、言葉のいらない関係だと思う方が自然ではないでしょうか。

その点を踏まえても今回のキングコングは、巨大生物やモンスターではなく巨神なのでしょう。

ポイント2:メイソン・ウィーバーの涙について

まず、ウィーバーの名前に関しては、個人的にオタクな笑いの壺として、女優シガニー・ウィーバーがから借用したのではないかと考えられます

シガニー・ウィーバーと言えば、映画『エイリアン』をまずは思い出すしますが、1988年に彼女はゴリラとの共演作である『愛は霧のかなたに』という作品を思い出す映画ファンも多いのではないでしょうか。

この作品は、ルワンダにある森林で18年間に及びマウンテンゴリラの生態系の調査を行った動物学者ダイアン・フォッシーを描いた映画。

シガニー・ウィーバーがフォッシー役を演じ、実際にマウンテンゴリラの群れの中に入って撮影を行なった物です。

真意はジョーダン監督のみぞ知るところですが、コングとウィーバーなのかと笑わせてくれた小ネタでした。

そのウィーバーが涙を流すショットが妙に気になりました。あまりハリウッド女優には見慣れない、意図的な様式美のような涙の流し方だと感じたのです。

もちろん、ブリー・ラーソンはオスカー女優。演技が下手だということは考えられません。そこで感じたのは映画『大魔神』のことでした。

参考映画:大魔神第2作は水の魔神として描かれていた!
大魔神怒る』(1966)

もちろん、この点もどこにも触れられていないので仮説として想像を脱しはしませんが、怒り狂った巨神が穏やかになり後ろ姿で去っていく時に、「巨神」が「魔神(MAJIN)」は妙にダブって見えてしまいます。

他にもコングが鎖に縛られる場面や明らかに刀を意識した道具(樹木)を使う場面、また、水辺や夕景にコングが立つことなども想起させた一因です。

あくまでも推測ではあります。しかし、このようなことを『キングコング 髑髏島の巨神』では多く見つけることが出来ます。

何度も繰り返してもいくつもの発見や考察できるて楽しみのある作品です。

まとめ

『キングコング 髑髏島の巨神』の製作を担当したレジェンダリーピクチャーズ(『パシフィック・リム』、『GODZILLA ゴジラ』などを手掛ける)は、すでに2019年に『Godzilla 2』、さらに2020年には『Godzilla vs. Kong』を企画しているのだそう。

絶対に!ゼッタイに!ぜったいに!エンディング・クレジットが流れても席は立たないでください!

そこ見落としてしまうと、本当にモッタイナイですよ!!!!!!!!!! 

アレ出ちゃいますから???

今作はそれらを繋ぐ重要なピースになるということです!それだけに無名の監督ながらも、豪華なキャスト陣を揃え、非常に期待がかかっている作品だと言えますね。

注目の劇場公開は2017年03月25日(土)全国ロードショー!ぜひ劇場にてキングコングの暴れっぷりをご覧ください!

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【坂井真紀インタビュー】ドラマ『家族だから愛したんじゃなくて、愛したのが家族だった』女優という役の“描かれない部分”を想像し“元気”を届ける仕事
【川添野愛インタビュー】映画『忌怪島/きかいじま』
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映画『ベイビーわるきゅーれ2ベイビー』伊澤彩織インタビュー
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星野しげみ『映画という星空を知るひとよ』
編集長、河合のび。
映画『ベイビーわるきゅーれ』髙石あかりインタビュー
【草彅剛×水川あさみインタビュー】映画『ミッドナイトスワン』服部樹咲演じる一果を巡るふたりの“母”の対決
永瀬正敏×水原希子インタビュー|映画『Malu夢路』現在と過去日本とマレーシアなど境界が曖昧な世界へ身を委ねる
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【広末涼子インタビュー】映画『太陽の家』母親役を通して得た“理想の家族”とは
【柄本明インタビュー】映画『ある船頭の話』百戦錬磨の役者が語る“宿命”と撮影現場の魅力
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