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【ネタバレ】ゴールデン・イーグル スペシャル・フォース|あらすじ感想と結末の評価解説。カザフスタン最強の特殊部隊を描いたアクションムービー

  • Writer :
  • 秋國まゆ

謎に包まれたカザフスタンの最強特殊部隊の活躍を描いたアクション!

ダニヤー・イブラギモフが監督を務めた、2023年製作のカザフスタンのアクション映画『ゴールデン・イーグル スペシャル・フォース』。

凶悪な麻薬犯罪組織の壊滅を目指すルスランと仲間の最終目標は、カザフスタンの最強の特殊部隊「ベルクト」に入隊し、えんじ色のベレー帽「マルーン・ベレー」を手にすること。

共に助け合い、過酷な訓練を積み重ねる彼らは友人でありライバルでもあり、潜入捜査においては互いに任務を秘密にしなければなりません。

そんな彼らの友情に決定的なひびが入る事件が………。

映画『ゴールデン・イーグル スペシャル・フォース』のネタバレあらすじと作品解説をご紹介いたします。

映画『ゴールデン・イーグル スペシャル・フォース』の作品情報


(C)State Center Of National Cinema” Non-Profit Joint Stock Company, 2023

【公開】
2023年(カザフスタン映画)

【脚本】
マリク・カサベコフ

【監督】
ダニヤー・イブラギモフ

【キャスト】
サンジャル・マディ、ダウレン・セルガジン、アシルハン・トリポフ、ザドス・アイバソフ、アザマット・サティバルティ

【作品概要】
ダニヤー・イブラギモフが監督を務めた、カザフスタンのアクション作品。

本作のプロデューサー、『狼の追撃』(2011)のカマル・ザクシリコフはカザフスタンの最強の特殊部隊「ベルクト」の元指揮官であり、カマル・ザクシリコフを通じて国家が映画製作に全面協力した作品です。

ガーディアンズ』(2017)のサンジャル・マディが本作の主演を務め、『カザフスタン・ソルジャーズ』(2020)のダウレン・セルガジン、『女王トミュリス 史上最強の戦士』(2020)のアシルハン・トリポフやアザマット・サティバルディらと共演しています。

映画『ゴールデン・イーグル スペシャル・フォース』のあらすじとネタバレ


(C)State Center Of National Cinema” Non-Profit Joint Stock Company, 2023

カザフスタン共和国。凶悪な国際犯罪組織は警察の取り締まりをかいくぐり、大量の麻薬を生産し続けていました。

生産された大量の麻薬を国外に輸送しようとしている、という情報を入手したカザフスタンの警察は、これを機に組織の構成員を一網打尽し、早急に組織を壊滅しようと作戦を計画・実行していきます。

まずは組織の警備用の大量の武器を押収。その武器を調達し、クラブの床下に隠していた組織の構成員の1人スーラをカーチェイスの末に逮捕しました。

一方、カザフスタン共和国の最強の特殊部隊「ベルクト(ブルキートとも呼ばれる)」への入隊を志す軍人であり、ベルクトの候補生ルスラン・ヴァリカノフとその仲間グロムとセドイ、アヤックス、トゥンドラ、カイサル・ヌルガリエフ、アイビン・サディコフ。

過酷な訓練を積み重ねた末、グロムは足を痛めて行軍訓練の最初に脱落、セドイは行軍訓練の途中で眠って脱落、アヤックスは熱中症で倒れて脱落。

トゥンドラはアイビンを担ぎきれずに脱落、カイサルはガスマスク付きで走って呼吸困難になり脱落、ルスランは空砲の装填に失敗し脱落。

最後まで過酷な訓練を耐え抜いたアイビンは見事合格し、ベルクトの隊員の証であるえんじ色のベレー帽「マルーン・ベレー」を手にしました。

ルスランは試験に落ちたことが悔しくて、カジノで憂さ晴らしをしていました。そのカジノでは、ルスランの恋人アセルが働いていました。

ルスランはこの1年、電話もせずに突然彼女の前から消えた理由を話そうとしますが、聞く耳をもってくれませんでした。

そのこともあってか、ルスランの訓練態度は悪化。したものの、上層部から呼び出しを受けて気を引き締め、仲間と共に訓練に励むのでした。

一方組織のボスのムーハは、構成員のブーラに、協力者のセイキから金を使って密告者の情報を探るよう命じます。

金を受け取ったセイキは、武器の情報を売ったのはイェルジャン・サビトビッチという、6年前に組織に入った元特殊部隊員だと答えました。

しかし軍の司令官であるセイキでも、彼の情報は機密扱いとされているため、簡単に手に入りません。

ブーラはそれでも情報を手に入れるよう命じるも断られ、銃口を向けられ追い返されてしまいます。

翌日。セイキに捜査の手が及びましたが、特殊部隊が彼の自宅に駆けつけた頃には拳銃自殺した後でした。

以下、『ゴールデン・イーグル スペシャル・フォース』ネタバレ・結末の記載がございます。『ゴールデン・イーグル スペシャル・フォース』をまだご覧になっていない方、ストーリーのラストを知りたくない方はご注意ください。

ルスランはある目的のために、アセルとアイビンに金を貸してほしいとお願いします。アセルには断られてしまいましたが、アイビンは2時間後に全額返金することを条件に金を貸してくれました。

そのおかげでカジノでギャンブルに興じるルスラン。すると、セイキが死ぬ前に釈放させたスーラを連れた、組織の構成員たちがカジノに姿を現します。

ルスランは携帯を手に取り、カジノに向かっている部隊のリーダーに暗にそのことを伝えました。

部隊のリーダーから号令がかかり、ルスランの表情は一変。すぐさまトイレでボヤ騒ぎを起こし、無人となった受付から鍵を盗みます。

アイビンとカイサルを含む部隊がカジノに到着するまであと数分。組織の壊滅を指揮する警察官のティマは組織に拉致され、イェルジャンの情報を吐けと尋問されていました。

顧客がきたため、ムーハからティマの尋問を任された組織の構成員。その構成員こそ、ムーハたちが探していたイェルジャンでした。

ムーハがそのことに気づいた時には、時すでに遅し。イェルジャンは持っていた銃で、スーラを含むその場にいた組織の構成員を全員射殺、ティマを救出します。

銃声を聞いて銃を持って駆けつけたムーハを銃撃し、イェルジャンはティマを連れて逃走。ムーハは傷を負うも、応援に駆けつけた他の構成員たちにカジノを封鎖するよう命じます。

イェルジャンたちを逃がさないようにするつもりが、逆にムーハたちがカジノの一室に閉じ込められてしまいました。ルスランが鍵を使って、ムーハたちの逃走経路を封じたのです。

さらにルスランは、車のトランクに入れておいた銃を使って、カジノの防犯カメラを1つずつ潰していきます。

裏口の扉も施錠し、これでムーハたちは逃げられない。と思っていたルスランは、どこかに見落とした抜け道があったのか、カジノから出てくるムーハの姿を発見。

ムーハは、車の不調でなかなか帰路につくことができなかったアセルの車に乗り込み、凶器を突きつけ車を出すよう脅します。

その直後、部隊がカジノに到着。アイビンたちはルスラン不在の中、他の隊員と3人1組になり、予備チームと部隊と共に一斉にカジノへと突入。

訓練どおり、1人が盾役となり、敵と交戦していきます。次々と敵を制圧し逮捕していく中、盾役のカイサルが被弾し、意識不明に………。

葛藤の末、部隊に合流せず、アセルの救出に向かうことにしたルスラン。まずはアセルの車を後ろから銃撃して窓ガラスを破壊、ムーハに脅されている彼女を運転できなくします。

すぐさまアセルの車の前に停車させ、ルスランはサイレンサー付きの銃をムーハに突きつけ、アセルの解放を要求しました。

これに対しムーハは、武器を捨てるよう要求しました。ルスランはやむを得ず、銃を地面において後ろに下がりました。

アセルを人質に取ったまま前進し、銃を手にしたムーハ。アセルを離して銃を撃とうとするも、ルスランの銃には弾が入っていませんでした。

この時を狙っていたルスランは、ムーハの隙をついて先制攻撃を仕掛け、そのまま死闘を繰り広げていきます。

しかしルスランもまた、左太ももと腹を刺され重傷を負ってしまいました。それでも車に乗り、車で再び逃走したムーハを追いかけます。

カーチェイスの末、ムーハが乗る車を横転させ炎上させたルスラン。車が爆発する前に、ムーハの体を引き摺って自身の車の後ろに避難させました。

後日。組織の壊滅に成功した警察とベルクトでしたが、その作戦によって命を落とした者もいて素直に喜べませんでした。

なかでもアイビンは、ルスランのことが許せずにいました。ルスランは松葉杖をついて歩けるほど傷が回復しましたが、カイサルは未だ搬送された病院で眠ったままです。

ルスランは、「訓練を続けて隊に戻りたい」「入隊試験をまた受けたい」と、隊を指揮する上官に言いました。

上官は、「ムーハを捕らえたという功績で君の合格は決まりだ」と言い、まだ現場復帰は早いといいました。

それを聞いても、ルスランは喜ぶことなく、ベルクトに入る実力があると試験で証明したいのだと訴えます。

さらにルスランは、訓練中のアイビンの元を訪ね、約束どおり金を返しました。

そしてカイサルのケガの原因は、本来盾役だったはずの自分がいなかったせいだと思っているアイビンに、話をしようとします。

しかし、ルスランがムーハを逮捕したことは上官と彼しか知らない極秘事項であるため、アイビンたちや他の隊員たちはそのことを知りません。

なのでアイビンたちには、自分たちが命を張っている間に、ルスランは酒によって事故を起こしたことになっています。当然、アイビンの怒りはおさまりません。

孤独感を抱えながら、実力で入隊試験に合格しようとトレーニングの日々を送るルスラン。

そこへマルーン・ベレーを被ったアイビンがやってきて、「誰もお前を待っていない」「言いたいことは1つだ、軍を辞めろ」と、彼を冷たく突き放します。

ですがルスランの意思は固く、「マルーン・ベレーを手に入れて隊に戻る」「もし不合格なら軍を辞めて、二度とお前に顔を見せない」とアイビンに宣言しました。

そんなルスランのもとに吉報が。カイサルの婚約者マディナから、彼の意識が戻ったという知らせが届いたのです。

ルスランはマディナに、カイサルへの伝言を託します。カイサルと自分たち仲間のために、必ず入隊試験に合格すると。

そして迎えた次の入隊試験、ルスランは前回の試験で失敗した空砲の装填を見事成功させました。

最終試験項目であるボクシングを控えたルスランに、上官は作戦の終了を告げます。ムーハが麻薬の流通網を全て白状したからです。

そう、ムーハを捕まえ、組織の麻薬の流通網を全て白状させることこそ、ルスランに課せられた極秘の任務でした。

しかしルスランの任務が終わったからと言って、まだ仲間に話すことは許可されず…。上官は表彰式にてこの事実を発表し、ルスランをベルクトの一員にしようと考えていました。

ですがルスランは、入隊試験に最後まで参加することを望みました。この入隊試験に参加する自分を、誰よりも厳しく見ているアイビンがいるから。

ルスランのボクシングをリングの外から観戦していたアイビン。彼に宣言したとおり、彼の最後の相手に名乗りをあげ、彼と戦います。

その結果、ルスランはアイビンの猛攻を耐え抜き、自身の実力で入隊試験に合格。ベルクトの一員となり、表彰式で念願だったマルーン・ベレーを授与されました。

さらにその表彰式では、組織の排除を目的とする特別作戦におけるルスランの功績も発表され、国の英雄であり皆が見習うべき軍人だと称えられました。

アイビンを含むベルクトの隊員たちに歓迎されるルスラン。カイサルも入隊試験に合格し、マルーン・ベレーを手に入れ、特別作戦にて命懸けで仲間を救った功績を称えられました。

後日。ルスランはアイビンたち仲間の協力によって、アイススケート場でのアセルへのプロポーズを成功させました。

映画『ゴールデン・イーグル スペシャル・フォース』の感想と評価

ムーハ率いる麻薬を扱う国際犯罪組織の排除を目的とする、カザフスタン共和国の警察とベルクト、カザフスタン共和国軍による特別作戦。

ルスランが作中でカジノで遊んでいたのは、最初ただ入隊試験に受からなかった鬱憤を晴らしているように見えます。しかしそれは、ルスラン単独による極秘任務があったからだということが、物語の終盤で明らかとなりました。

作中のルスランと上官の会話から察するに、ムーハの逮捕および組織の麻薬の流通網を調べることが、ルスランの任務だったのだと考えられます。

それがいつ、命じられたものだったのか……。物語の最初から?それとも、上官に呼び出しを受けた時に?と、いろいろ考察する面白さはもちろん、特別作戦決行シーンやルスランvsムーハの対決などといった迫力と緊張感あるアクション場面があって夢中になります。

その一方で、ルスラン単独の極秘任務は作戦終了を告げられても、表彰式まで仲間にも恋人にも話せないものだったため、作戦後のルスランの孤独感は胸が痛いです。

これまで共に助け合い、過酷な訓練を積み重ねてきた仲間との友情に決定的なひびが入ってしまっても、それでも仲間のために実力で入隊試験に合格したルスランが、アイビンとカイサルと握手とハグをかわした場面なんてもう……。

良かったねルスラン、もう1人じゃないよ。仲間との友情を取り戻せてよかったねと、思わず声を掛けたくなるぐらい感情移入して感涙します。

まとめ


(C)State Center Of National Cinema” Non-Profit Joint Stock Company, 2023

カザフスタン共和国の全ての特殊部隊と、全ての士官に捧げられた物語

カザフスタン共和国の最強の特殊部隊「ベルクト」の活躍、そしてベルクトへの入隊を志すルスランたちの友情が、本作の見どころとなっています

物語の終盤、アイススケート場内で無線で話し合うルスランとその仲間たちの姿を見て、ルスランが入って最初のベルクトの任務なのかなと思いきや、まさかのサプライズプロポーズ作戦だったとは驚きでした。

でもその最中、背中合わせになったルスランとアイビンが、「緊張する」「カジノでは一人だったが、今は仲間がいる」と話し合っているのが最高でテンション上がります。

エンドロール中。「今目の前にいる若者たちは、兵卒としてここにいる」「彼らの多くは今日この場で、国家警備隊や特殊部隊に志願することを決意した」

「こうして志は継承される」「我々に共通するのは、カザフスタン共和国が祖国であること」

「若い世代が愛国の道を歩むよう、我々は力を尽くし導かなければならない」「祖国が平和な空の下にあることを、我々は何よりも願っている」

「ご清聴ありがとう、皆の健闘を祈る」との演説と共に、実際のベルクトの一員となった者たちの表彰式と、集合写真を撮った映像が流れています。

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