大人気スパイアクション映画「007」シリーズ第12作!
ジョン・グレンが監督を務めた、1981年製作のイギリス・アメリカ合作の大人気スパイアクション映画『007/ユア・アイズ・オンリー』。
「007」ことMI6の敏腕諜報員ジェームズ・ボンドが、東西両陣営のパワー・バランスを突き崩す秘密兵器「ATAC」の行方を追う姿とは、具体的にどんな姿だったのでしょうか。
3代目ジェームズ・ボンド役を務めるロジャー・ムーアが、限界まで肉体を駆使して危険極まりないアクションを次々とこなしていく、「007」シリーズ第12作目『007/ユア・アイズ・オンリー』のネタバレあらすじと作品解説をご紹介いたします。
CONTENTS
映画『007/ユア・アイズ・オンリー』の作品情報
【公開】
1981年(イギリス・アメリカ合作映画)
【原作】
イアン・フレミングの「007」シリーズ第1短編集『007号の冒険』の収録された作品、『読後焼却すべし-For Your Eyes Only-』と『危険-Risico-』
【監督】
ジョン・グレン
【キャスト】
ロジャー・ムーア、キャロル・ブーケ、トポル、リン=ホリー・ジョンソン、ジュリアン・グローヴァー、ジル・ベネット、カサンドラ・ハリス、デスモンド・リュウェリン、ロイス・マクスウェル、ウォルター・ゴテル、チャールズ・ダンス、ジョン・モレノ、ステファン・カリファ、ジェームズ・ヴィリアーズ、ジェフリー・キーン、ジョン・ワイマン、ジャック・ヘドレー、ジョン・ホリス、ピーター・フォンテイン、コーネリアス・ギャレット、ロビン・ヤング
【作品概要】
編集・アクション監督出身のジョン・グレンが監督を務めた、イギリス・アメリカ合作のスパイアクション作品。
原作であるイギリス人のスパイ小説・冒険小説家イアン・フレミングによる「007」シリーズ第1短編集『007号の冒険』に収録された作品『読後焼却すべし-For Your Eyes Only-』と『危険-Risico-』をもとに描かれた「007」シリーズ第12作目です。
「007」シリーズのロジャー・ムーアが3代目ジェームズ・ボンド役を務め、『欲望のあいまいな対象』(1977)のキャロル・ブーケ、『スター・ウォーズ エピソード5/帝国の逆襲』(1980)のジュリアン・グローヴァーら豪華キャスト陣と共演しています。
映画『007/ユア・アイズ・オンリー』のあらすじとネタバレ
「007」こと英国情報局秘密情報部「MI6」の敏腕諜報員ジェームズ・ボンドは、亡き最愛の妻テレサの墓参りをしました。
そこへMI6のダミー会社である「ユニバーサル貿易」のヘリコプターが、ボンドを迎えにやって来ます。
ボンドはそのヘリコプターに乗り、MI6本部に戻ろうとしますが、突如パイロットが死亡。首にコルセットを巻き、電動車椅子に乗る謎の男にヘリコプターの操縦を乗っ取られてしまいました。
膝に座るペルシャ猫を愛でながら、ボンドを弄び殺そうとする男。ボンドは自力で操縦席に移動し、遠隔操作のケーブルを切って反撃にうってでます。
追い詰められヘリコプターに吊り上げられた男は、慌ててボンドに助命を乞うも、「ノース・テムズ・ガス・ボード社」という会社の建物の煙突の中へ落とされてしまいました。
一方その頃、英国の電子監視船「セント・ジョージ号」は漁船に偽装し、地中海のアルバニア沖にて調査活動を行っていました。
しかし何者かが仕掛けた機雷により、セント・ジョージ号は沈没してしまいました。
その5日後、ロンドンにあるMI6本部。米国の国防大臣フレデリック・グレイと参謀本部長ビル・ターナーは、休暇中のMI6の部長であるMに代わり、ボンドにある指令を命じました。
それはセント・ジョージ号に搭載された、「ATAC」の捜索。ATACとは、原子力潜水艦からの弾道ミサイルをどこへでも進められる装置のことです。
そのATACがもし敵である東側に渡れば、ポラリスが無力となるだけでなく、東西両陣営のパワー・バランスを突き崩されてしまいます。
既にグレイたちは、ATACの引き揚げ作業をハブロック卿という海洋学者に依頼していました。
しかしハブロック卿とその妻は、ゴンザレスというキューバ人によって殺されてしまいした。
そこでグレイたちは、スペインの首都マドリード近郊にいるゴンザレスを尋問し、誰に雇われたかを白状させるよう、ボンドに命じました。
一方ソ連では、セント・ジョージ号の沈没事件を知ったソ連の情報機関・秘密警察「ソ連国家保安委員会(KGB)」のゴゴール将軍がATACを手に入れるべく、ギリシャ人に船の引き揚げ作業を依頼していました。
それを知らないボンドは、マドリード近郊にあるゴンザレスの屋敷に侵入。物陰に隠れ、ゴンザレスの雇い主が誰か探します。
侵入者の存在に気づいたゴンザレスの仲間はボンドを捕まえ、ゴンザレスの元へ連行しました。
武器を取り上げられ、窮地に立たされてしまったボンド。それを嘲笑うゴンザレスでしたが、何者かが放ったクロスボウの矢で殺されてしまいました。
この機を逃すまいと逃げるボンド。そこへクロスボウを持ったハブロック卿の娘メリナが現れ、命を狙われているボンドを助けてくれました。
ボンドはメリナを連れて、新しいボンドカーこと白のロータス・エスプリターボに乗って逃げようとします。
しかし、先回りしたゴンザレスの仲間がドアウィンドウを叩き割ったせいで、ボンドカーに装備されていた盗難防止(自爆)装置が作動し、あっけなく自爆してしまったのです。
頼みの綱をなくしたボンドは、仕方なく馬力不足のメリナの愛車シトロエン・2CVに乗り、カーチェイスを繰り広げることに。
その最中、ボンドはメリナがゴンザレスを撃った犯人であることを知りました。カーチェイスの末、何とか追っ手を撒いたボンドはメリナと別れてMI6本部へと帰還。グレイたちにこのことを報告しました。
ゴンザレスが死んでしまったら、ハブロック卿とその妻殺害事件の黒幕を突き止められないではないかと、嘆くグレイたち。
ボンドは2人に、「ゴンザレスの雇い主であろう男の顔を見た。その男を追えばまだ希望がある」と言います。グレイたちの承諾を得て、早速ボンドはゴンザレスの雇い主の身元を調べます。
MI6の特務装備開発課「Q課」の課長であるQが開発した立体人相グラフを使って調べた結果、男はベルギーの首都ブリュッセルの殺し屋エミール・ロックであることが判明。
彼は何度も残虐な殺人を犯し服役していましたが、診察中に医師を殺して脱獄していたのです。
脱獄後、ロックはマルセイユと香港で麻薬組織に雇われていましたが、今はあるギリシャ人の手先となっていました。ロックが今いるのは北イタリアにあるスキーリゾート、コルチナ・ダンペッツォです。
映画『007/ユア・アイズ・オンリー』の感想と評価
ATACの行方を追うボンド
東西の両陣営のパワーバランスを突き崩すほど重要な秘密兵器「ATAC」の行方を追うことになったボンド。
これまで彼は危険極まりないミッションをこなしてきましたが、作中ではヘリコプターから振り下ろされそうになったり、断崖絶壁から落ちそうになったりしました。
物語の序盤と後半に描かれたそのアクション場面は、観ているだけでも肝が冷えます。ロジャー・ムーアがどれほど体を張ってアクションに挑んでいるかがビシビシ伝わってくる場面です。
そんなロジャー・ムーアと、ロジャー・ムーアが演じる3代目ジェームズ・ボンドの姿は、心が痺れるほど格好良いため、またしても「007」ファンとロジャー・ムーアファンを魅了していくことでしょう。
事件の黒幕の正体は英ソの二重スパイ
物語の後半までボンドたちはもちろん、観ている人も事件の黒幕の正体はコロンボだと考えていました。
ところがどっこい、そのコロンボの口から明かされた真犯人の正体は、親英派を謳っているクリスタトスだったのです。
麻薬を密輸していたのも、政府の高官を操って逮捕されないようにしていたのも、ハブロック卿とその妻の殺害を命じたのも全てクリスタトスでした。
さらに英ソの二重スパイだったという衝撃的な事実も発覚。クリスタトスは大金を得るために、ゴゴール将軍からの依頼を引き受け、ATACを手に入れようとします。
おそらくコロンボを事件の黒幕に仕立て上げたのは、商売敵である彼を潰すためでしょう。そんな卑しいクリスタトスに、コロンボが止めを刺したのは観ているこちらも胸がスカッとします。
まとめ
「007」ことMI6の敏腕諜報員ジェームズ・ボンドが、行く先々で協力者を得ながら、東西の両陣営のパワーバランスを突き崩すほどの秘密兵器「ATAC」の行方を追う、イギリス・アメリカ合作のスパイアクション作品でした。
作中ではMは休暇中のため不在、といった設定でしたが、それは本作の撮影前にM役を務めるバーナード・リーが逝去してしまったからです。
これまで「007」シリーズ作品に数多く登場し、ボンドの上官であるMを演じ続けてくれたバーナード・リー。心よりご冥福をお祈り申し上げます。
また、実はクリスタトス役を演じたジュリアン・グローヴァーは、かつてボンド役の候補になったことがありました。
ジュリアン・グローヴァー演じるクリスタトス役は格好良い悪党でしたが、ボンド役を演じたらどんなキャラになっていただろうかと想像するのも楽しいです。
冷戦下の緊張感を思わせるシリアスな展開も魅力的な、ボンドのATAC奪還ミッションを描いたハラハラドキドキのスパイアクション映画が観たい人に、とてもオススメな作品となっています。