メガヒットカーアクション「ワイルド・スピード」シリーズの第4作。
ジャスティン・リンが監督を務めた、2009年製作のアメリカのメガヒットカー・アクション映画『ワイルド・スピード MAX』。
輸送車トラック襲撃事件の犯人として指名手配された凄腕のストリート・レーサー、ドミニク・トレットが仲間と共に南米へ拠点を移し、なおも輸送車を襲撃していく姿とは、具体的にどんな内容だったのでしょうか。
危険が及ばないように遠ざけた恋人が殺されたとの知らせを受け、危険を承知の上で復讐のためにロサンゼルスに戻ったドミニクの姿を描いた、「ワイルド・スピード」シリーズ第4作目、『ワイルド・スピード MAX』のネタバレあらすじと作品解説をご紹介いたします。
映画『ワイルド・スピード MAX』の作品情報
(C) 2009 Universal Studios. ALL RIGHTS RESERVED.
【公開】
2009年(アメリカ映画)
【脚本】
クリス・モーガン
【監督】
ジャスティン・リン
【キャスト】
ヴィン・ディーゼル、ポール・ウォーカー、ミシェル・ロドリゲス、ジョーダナ・ブリュースター、ジョン・オーティス、ラズ・アロンソ、ガル・ガドット、テゴ・カルデロン、ドン・オマール、シェー・ウィガム、ライザ・ラピラ、ジャック・コンレイ、サン・カン、マーサ・ミシェル、グレッグ・サイプス、ロン・ユアン、アレハンドロ・パティーノ、セサール・ガルシア、ニール・ブラウン・Jr
【作品概要】
『Better Luck Tomorrow(原題)』(2002)や『ワイルド・スピードX3 TOKYO DRIFT』(2006)のジャスティン・リンが監督を務めた、アメリカのメガヒットカー・アクション作品。
本作は「ワイルド・スピード」シリーズ第1作目『ワイルド・スピード』(2001)のキャストが再結集した、「ワイルド・スピード」シリーズ第4作です。
「トリプルX」シリーズや『ワイルド・スピード』(2001)などに出演するヴィン・ディーゼルが主演を務めています。
映画『ワイルド・スピード MAX』のあらすじとネタバレ
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南米のドミニカ共和国。超一流の運転技術を持つ凄腕のストリート・レーサーであるドミニク・トレット(愛称ドム)は、恋人のレティ・オルティスとチームのハンとテゴ・レオ、テゴの相棒リコ・サントスと一緒に、ガソリン給油車からガソリンを強奪し荒稼ぎする日々を送っていました。
しかし、ドムたちも派手にやり過ぎたせいか、警察の捜査の手が迫ってきていました。警察の狙いは、ロサンゼルスで輸送トラックを襲撃した前科があるドムです。
ハンの車庫がガサ入れにあったことを受け、ドムはチームに危害が及ばないよう、チームの解散を告げます。そしてドムは、特にレティに危害が及ぶことを恐れて、何も言わず彼女の元を去りました。
パナマ・パナマシティに逃れたドムは、彼の妹ミアから、レティが何者かに殺されたと知らされます。
ドムは危険を承知の上でロサンゼルスに戻り、レティの葬儀後にトレット家へ帰宅。レティがロサンゼルスを訪れるたびに、自分が昔壊した車クライスラーダッジ・チャージャー(1970年式)を修理してくれたことを知ります。
ドムはミアの案内で、レディが殺された現場へ向かいました。道に残っていたタイヤ痕とニトロ原料を見て、ドムはレティを殺した犯人は自分と同じ、違法改造車に乗るストリート・レーサーだと確信しました。
レディを殺した犯人への復讐を誓ったドムは、違法改造車を唯一売っている男を直撃。問い詰めた結果、デビット・パークという韓国人の男に辿り着きました。
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一方、マサチューセッツ州警察の警官ブライアン・オコナーは、マイアミでの活躍によってFBI入りを果たし、ロサンゼルスである捜査をしていました。
ブライアンが同僚のマイケル・スタジアック捜査官、ソフィー・トリン捜査官、上司のペニング捜査官とチームを組み捜査していたのは、過去最大の規模を誇る麻薬密売組織です。
しかし、ブライアンたちが2年間捜査しても、何の手掛かりも得られません。というのも麻薬密売組織のボス、アルトゥーロ・ブラガが一切人前に姿を現さないため、顔写真も指紋も分からないのです。
麻薬組織の実態を掴めないどころか、潜入した捜査官は悉くブラガによって殺されてしまう始末でした。
業を煮やしたFBIの副長官は、ブライアンやFBI捜査官、FBI捜査官たち捜査チームに「3日以内に進展がなければ、捜査は中止する」と時間制限を設けました。
ブライアンは捜査を進める中で、ドムとほぼ同時に、パークに辿り着きます。パークはブラガの車をメンテナンスしたり、走り屋を手配したりしていました。
ドムがパークに食ってかかっているところに鉢合わせしたブライアンは、彼にこう言いました。
「レティは運び屋として麻薬組織に潜入し、ブラガに殺されたんだ」
これに対しドムは、「ブラガを殺す、そしてそれを邪魔する奴も殺す」と言ってパークを解放し、ブライアンの前から姿を消しました。
以下、『ワイルド・スピード MAX』ネタバレ・結末の記載がございます。『ワイルド・スピード MAX』をまだご覧になっていない方、ストーリーのラストを知りたくない方はご注意ください。
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ブライアンがパークを逮捕し尋問した結果、ブラガの右腕であるレイモン・カンポスが明晩、運び屋を選ぶレースを行うことが判明。
FBIに寝返ったパークの紹介により、ブライアンが運び屋候補のレーサーとして潜入することが決まりました。
翌日の夜。ブライアンとドムは、カンポス主催のストリート・レースに参加し、他の運び屋候補2人と激戦を繰り広げていきます。
最初に脱落したのは、銀色の日産・240SX(シルビア S14、1997年式)に乗るアフロ頭の走り屋。2つ目のカーブで対向車のフォード・エクスプローラーにぶつかりクラッシュしてしまいました。
次に脱落したのは、灰色のシボレー・シェベル SS(1970年式)に乗るドムと途中首位争いを繰り広げていた、黒/オレンジのBMW・540i E39(2001年式)に乗る小柄な走り屋でした。
彼はドムの車に果敢に体当たりを仕掛けていきますが、躱されて陸橋から落下し、クラッシュしてしまいました。
結果的にドムと一騎討ちとなったブライアンは、ニトロ噴射装置(NOS)を使って、青い車日産・スカイラインGT-R BNR34(1999年式)で追い抜きます。
しかしゴール手前で、ドムに体当たりされ、ブライアンは惜しくも敗れてしまいました。
翌朝。ブライアンはFBIの権力を使って、ブラガの運び屋の1人ドワイト・ミューラーを麻薬の密売で拘留し、彼の代理としてブラガの運び屋になりました。
ブライアンは早速、ブラガの部下フェニックス・カルデロンと、ブラガと思われる男の指紋の採取に成功。
ドムはレディを殺した犯人が、緑のフォード・トリノ(1972年式)に乗るフェニックスであることを突き止めました。
潜入2日目。フェニックスとブラガの部下ジゼル・ヤシャールに指示され、ブライアンたちは麻薬が入った箱をメキシコから輸送しました。
ドムはフェニックスに、レティを殺したことを追求します。「なあボス、ニトロを使うのは腐れ野郎だ」
「車はプリマス、名はレティ。彼女の車は大破」………これに対しフェニックスは、素直にレティを殺したことを認めます。
実はフェニックスは、輸送を終えるごとにブラガの運び屋を殺していたのです。
フェニックスと一触即発となったドムが不敵に笑い、「面白いことが起きる」と言った瞬間、ドムたちの車と、他の運び屋が運転するインフィニティ・G35(2003年式)とフォード・マスタング GT “Tjaarda” (2007年式)の計4台の車が爆発。
実はドムは、ジゼルが自分にだけ言っていた、「無事でいてね」の言葉で危険を察知。
フェニックスに促され車を降りる前に、NOSを使って車を爆破するよう仕向けていたのです。
ドムはこの場でフェニックスを殺す気満々でしたが、ブライアンに退散を促され、やむを得ず彼と一緒に組織の車ハマー・H1(2002年式)に乗って逃走。
その後、ブライアンはペニングに、証拠品として車を押収したことを報告。すると監視カメラでドムの姿を確認した彼から、証拠品と共にドムをFBIに連れてくるよう命じられます。
ペニングとの通話後、ブライアンはドムから、ハマーには総額6,000万ドルほどの大量の麻薬が積まれていたことを知らされました。
ブライアンはFBIにドムを連れてはいかず、ハマーをFBIの押収車両保管所に隠しました。その見返りとして、ブライアンは爆破されたGT-Rの代わりになる車をドムに要求します。
するとドムは、FBIの押収品としてあった銀/黒の車スバル・インプレッサWRX STI(2009年式)をブライアンに譲りました。
ブライアンとドムは、ミアがいるトレット兄妹の家へ行き、ミアと3人で食卓を囲みました。
食事が終わった後、ドムはミアが引き取ったレディの遺品の中から、レティの携帯を発見。着信履歴の一番最新の番号にかけてみました。
かかったのは、ミアに「ドムを逃がしたのは、あの時ドムのことを尊敬していたから」と話していたブライアンでした。
ブライアンがレティに潜入捜査をさせたことを知って、激怒するドム。ミアの制止の声も聞かず、殺す気満々で襲い掛かってくる彼に、ブライアンは真実を話します。
「レティはお前を無罪放免にしてくれることを条件に、自ら運び屋として潜入捜査をすると言ってきたんだ。お前と2人で暮らすために!」「悪かったドム、レティを守れなくて」
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翌日。ブライアンはFBIに戻り、「押収した麻薬を利用してブラガを挙げる。その代わり、トレットを無罪放免にしてくれ」と、ペニングとスタジアックに言いました。
ドムはジゼル経由でカンポスに連絡を取り、彼と取引をしました。「俺らを殺してボスへの忠誠を誓うのか?」
「ドライバーは消耗品さ、それがビジネスとして賢いやり方だ」「取り引きは?」「ボスは応じないさ」
「そうか、なら“6,000万ドルのブツが消えた”と話せ。ボスは何て言うかな?」「望みは?」
「600万をブラガ本人に持ってこさせろ。一種の保険さ、騙されたくはないからな」
「ボスは応じない」「なら“ヘマした”と、ボスに伝えろ」「…時間と場所は?」
FBIの部隊が取引場所を取り囲む中、ついにブライアンたちの前にブラガ本人が姿を現しました。
しかし、対峙したブライアンたちは、目の前にいるグレーの背広を着た男は、本当にブラガかと疑います。
FBIでブラガの指紋認証と人相確認作業が行われる中、スタジアックは人相確認とブライアンの合図を待たず、独断で待機していた部隊に突入を命じました。
ブライアンたちがブラガの偽物だと見抜いたと同時に、人相確認が終わってブラガの正体が判明。カンポスこそが、本物のブラガだったのです。
突入したFBIの部隊とブラガの部下たちが銃撃戦を繰り広げる中、ブラガはフェニックスと共に、その場から逃走。
ドムは轢かれそうだったジゼルを助け、ブライアンが逃走用に用意しておいたスバル・インプレッサWRX STIに乗り込み、その場から立ち去っていきました。
翌日。ブラガはもちろん、ドムの確保にも失敗したブライアンのチームは、FBIの上層部によって捜査から外されてしまいました。
ブラガたちは、メキシコのテカールにあるアジトへ逃げたことまで突き止めていましたが、メキシコは管轄外で手が出せません。
その日の夜、ブライアンはドムの元を訪ねました。ドムはメキシコに逃げることなく、自宅のガレージにあるクライスラーダッジ・チャージャーを修理し、NOSから電子式燃料噴射エンジン(EFI)に進化させていました。
「俺も行くよ」「(容疑者確保しに行くんじゃなくて)始末しに行くんだぜ」「承知さ」
そうドムと話し、2人でブラガを始末しに行くことに決めたブライアン。その前に、気まずくなっていたミアとの仲を修復しました。
ミアに必ず戻ると約束し、ドムは整備を終えたクライスラーダッジ・チャージャーに乗り込み、スバル・インプレッサWRX STIに乗るブライアンと共にメキシコへ向かいました。
メキシコに到着後、ドムたちは白の車テックアート・GTスポーツ(2007年式)に乗るジゼルと合流。
ジゼルはドムに命を救ってもらった感謝の印として、2人にブラガが教会にいることを教えました。
教会で祈りを捧げていたブラガの前に、ドムたちが銃を持って襲来。ブラガを人質に取ってその場から逃走し、フェニックスたちブラガの部下を誘き寄せます。
ブラガが攫われたことを受け、フェニックスたちはドムたちを猛追。砂漠でのカーチェイスの末、輸送に使った狭いトンネルを強引に抜けたブライアンの車は、後ろにピッタリと張りついてきたフェニックスの車に追突され大破。
ブラガを奪われ、ブライアンが窮地に陥ったその瞬間、途中ブラガの部下から奪った艶消しグリーンの車シボレー・カマロ(1971年式)に乗ったドムが、ブライアンを殺そうとしていたフェニックスを猛スピードで轢き殺します。
その直後、複数台のパトカーと警察のヘリが現場に駆けつけ、ブライアンたちはブラガの確保に成功しました。
後日。傍聴席でブライアンとミアが見守る中、ブラガと共に確保されたドムは、裁判長からこう言われました。
「オコナー捜査官の“寛大な処置を”という求めを、裁判長の私も十分考慮しました」「つまり被告人の活躍で、ブラガ逮捕に至ったからです」
「しかし、当裁判所としては、今回の行いで過去の罪を帳消しにはできない」「したがって、カリフォルニア州法に基づく刑を言い渡す」
「ドミニク・トレット。懲役25年の服役刑に処する。服役場所はロンポック連邦刑務所」「早期の仮釈放は認めない、以上で閉廷とする」
その後、ドムは他の受刑者たちと共に、護送車でロンポック連邦刑務所へ送られました。
やがてその護送車の後ろから、修理したクライスラーダッジ・チャージャーに乗るブライアンと、黒のアキュラ・NSX(2003年式)に乗るミア。
そして黒のポンティアック・ファイヤーバード Trans Am(1978年式)に乗ったレオとサントスが登場。4人の車が護送車を取り囲んだところで、物語は幕を閉じました。
映画『ワイルド・スピード MAX』の感想と評価
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ブラガたちの逮捕に燃える男たち
シリーズ第1作目『ワイルド・スピード』(2001)から5年後の世界を描いた本作では、FBI入りを果たしたブライアンと、ロサンゼルスに戻ってきた連続トラック強盗犯であり凄腕のストリート・レーサー、ドムが同じ人物を追って捜査していきます。
ブライアンは友人レティを殺した犯人も含め、過去最大の規模を誇る麻薬密売組織の正体不明のボス、ブラガの確保のため。
そしてドムは、最愛の恋人レティを殺した犯人、ブラガの部下フェニックス・カルデロンに復讐するために。
5年ぶりの再会を果たしたというのに、警官と国際手配されている連続トラック強盗犯という立場のせいで、ブライアンとドムの再会が冷たくそっけないものになってしまったのは少し寂しいです。
まだギクシャクした関係でいるブライアンとドムが、ブラガの運び屋を選定するオーディションで再び勝負することになったカーアクション場面は、互いに目的達成のために一歩も譲れないという気迫、そしてどちらが勝ってもおかしくないほどの迫力があって胸が熱くなります。
そして物語の終盤、ミアが2人の仲を取り持ってくれたおかげで、ブライアンとドムという最強タッグが復活。2人で大勢の敵を相手にするカーチェイスは終始ハラハラドキドキして目が離せません。
レティを殺した犯人フェニックス
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前科があるドムを無罪放免にしてもらうため、レティは自らの意思でブライアンたちFBIに協力することを決め、ブラガの組織に運び屋として潜入捜査します。
しかしレティは、潜入して間もなくフェニックスに殺されてしまいました。フェニックスは輸送を終えるたびに、新たな仲間となった運び屋を殺害していたのです。
さらにフェニックスは、偽のブラガがブライアンたちに見抜かれた時、誤って突入したFBIの部隊と戦っている部下たちを見捨てて、ブラガと一緒に逃走するほど冷酷非道な男です。
これだけ見るとただの残忍な男なのですが、ブラガは自分のボスであるブラガへの忠誠心が誰よりも強いのでしょう。
砂漠でのブラガ奪還には一番必死になっていましたし、怪我をしたブラガを心配する素振りを見せていました。
ブラガが率いる麻薬密売組織のメンバーは皆、ブラガのためなら死をも恐れないほど忠誠心が厚い者ばかりですが、その中でダントツの忠誠心を見せたフェニックスにも注目して観て欲しいです。
まとめ
(C) 2009 Universal Studios. ALL RIGHTS RESERVED.
FBI入りを果たしたブライアンと、国際手配されている凄腕のストリート・レーサー、ドムが5年ぶりに再会を果たし、ブラガ率いる麻薬密売組織に潜入するアメリカのカー・アクション作品でした。
ヴィン・ディーゼルが演じるドムは、周囲の人を惹きつけるカリスマ性を持った男です。それは、たとえ敵でも惹かれるほどなのでしょう。
現にガル・ガドットが演じるジゼル・ヤシャールは、ドムが復讐のために潜入したと知っても知らなくても、最後まで彼に好意を寄せていました。
そしてポール・ウォーカー演じるブライアンも、今回は職務を果たしましたが、物語のラストにはミアたちと一緒にドムを奪還しようとしています。これもドムのカリスマ性に惹かれているからでしょう。
エンドロール中のテロップには、本作を鑑賞した車好きの人、「ワイルド・スピード」シリーズ好きの人に向けた注意事項が記されています。
「本作は危険なカーアクションです。撮影は閉鎖された道路で、すべてプロが行っています。絶対マネをしないでください」
ヴィン・ディーゼルやポール・ウォーカーたちが魅せる、友情と愛とスリリングなカーチェイスを描いたカー・アクション映画が観たい人に、とてもオススメな作品です。