イドリス・エルバとライオンが死闘!
サバンナを舞台に描く、手に汗握るサバイバルアクション!
バルタザール・コルマウクル監督が手がけた、アメリカのサバイバルアクション映画『ビースト(2022)』。
『ワイルド・スピード/スーパーコンボ』『ザ・スーサイド・スクワッド “極”悪党、集結』で知られるイドリス・エドルバが主演を務めました。
愛する妻を亡くして間もない医師が娘2人を連れ、妻と出会った思い出の地・南アフリカに旅行へ。しかし広大なサバンナには、密猟者から生き延び人間に憎悪を抱くようになった凶暴なライオンが潜んでいた……。
家族を守るために凶暴なライオンに立ち向かう医師の姿を描いた映画『ビースト(2022)』のネタバレあらすじと作品解説をご紹介いたします。
映画『ビースト(2022)』の作品情報
【公開】
2022年(アメリカ映画)
【原案】
ジェイミー・プリマック・サリヴァン
【監督】
バルタザール・コルマウクル
【キャスト】
イドリス・エルバ、シャールト・コプリー、イヤナ・ハリー、リア・ジェフリーズ
【作品概要】
『エベレスト3D』(2015)や『アドリフト 41日間の漂流』(2020)のバルタザール・コルマウクルが監督を務めた、アメリカのサバイバルアクション作品です。
『ワイルド・スピード/スーパーコンボ』(2019)や『ザ・スーサイド・スクワッド “極”悪党、集結』(2021)のイドリス・エドルバが主演を務め、『第9地区』(2009)のシャールト・コプリーと共演しています。
映画『ビースト(2022)』のあらすじとネタバレ
最愛の妻アマーレに先立たれてしまった医師のネイト・サミュエルズは、2人の娘ノラとメレディス(愛称:メア)を連れて、アマーレと出会った思い出の地である南アフリカへ長期旅行にやって来ました。
ネイトの旧友である生物学者のマーティン・バトルズの家に寝泊まりした初めての日の夜、メアとネイトは些細なことがきっかけで喧嘩してしまいます。
実はネイトは、アマーレが生きていた時はお互い同意の上で別居していました。しかしそのすぐ後にアマーレに病気があると分かりました。
メアは「パパが家を出ていったせいで、ママがガンになったことを見逃した」と責め、ネイトは「できるだけのことはした」と言い返しましたが、そんな2人を見てつらくなったノラが退席したことで話は終わりました。
頭を冷やすついでにマーティンと晩酌することにしたネイトは、「何でアマーレの葬儀に来なかった?」と、これまでずっと疑問に思ってきたことを尋ねます。実はマーティンとアマーレは子供の頃からの友人で、ネイトよりも彼女とは付き合いが長かったのです。
マーティンはアマーレと子供の頃に出会い、休日はアマーレとその家族からこの土地の話を聞いていました。そのおかげでマーティンは野生動物に興味を抱いて生物学者の道を進み、マーティンの紹介によってネイトはアマーレと出会いました。
ネイトは「アマーレがコンクリートに固められた都会に埋葬されるのを見たくなかった」「どうしても耐えられなかったし、アマーレがそう望んでいるとは思えなかった」と答えました。
医師であるはずなのに病気の妻を救えなかった、そばにいなかったせいで妻や子供たちからのSOSを見逃したと、自分を責めるネイト。
2日目の朝。そんなネイトとその娘たちを気遣って、マーティンは3人を連れて広大なサバンナへドライブしに出かけました。
その途中でネイトたちは、閉鎖された山間の学校近くに生息するライオンの群れを監視しているマーティンの友人である保護区の職員バンジーと会います。
バンジー曰く、そのライオンの群れは「ナンディーの群れ」と呼ばれており、ナンディーは群れを率いているメスのライオンの名前であり、オスのライオンはクーダとその弟カーヴェだといいます。
クーダとカーヴェの兄弟ライオンは、自分たちが子供だった時に世話をしてくれたマーティンを覚えており、群れに近づいてきた彼に飛びつきじゃれつきました。
兄弟ライオンとじゃれていた時、マーティンはナンディーのある異変に気づきます。前足を怪我していたのです。
密猟者が銃で撃った傷だと推測するも、ナンディーが警戒心を剥き出しにしたため、それ以上診察することはできませんでした。
仕方なくマーティンはバンジーにそのことを伝え、獣医を呼びに行ってもらいました。その間、マーティンはネイトたちを連れて近くの村ツォンガへ行き、ナンディーの群れに何か変わったことはないか聞き込みをすることにしました。
ところが、15世帯の家族が住んでいるはずのツォンガに、村人は誰1人いませんでした。不審に思いツォンガ内を捜索すると、ネイトとマーティンは村人たちの惨たらしい死体を発見。そのほとんどは、女性か子どもでした。
すぐさまツォンガから立ち去ろうとするネイトたちでしたが、ノラの姿が見当たりません。ネイトとメアの親子でノラを必死に探していると、彼女の悲鳴が聞こえてきました。
ネイトはノラの声を頼りに探すと、彼女もまた村の女性とその子ども、その親子が飼っていたであろう牛の無残な死体を目の当たりにしていたのです。
ネイトたち4人はすぐさまマーティンの車に乗り込み、ツァンガから立ち去ります。車を走らせながらバンジーと連絡をとろうとするも、無線はつながりませんでした。
映画『ビースト(2022)』の感想と評価
医師のネイトは娘2人を連れて、亡き妻との思い出の地である南アフリカへ長期旅行に出かけました。
物語の序盤では、マーティンの案内で野生動物の姿を間近で見ることができてドライブを楽しんでいた家族でしたが、その直後に凶暴で獰猛なライオンと遭遇した時の恐怖と絶望が入り混じった表情に変わります。
車内にいようがお構いなしにネイトたちを殺さんと襲いかかってきたり、どこへ逃げても追いかけてくる執念深さを持つライオンの姿は、観ているだけでも背筋が凍りつきそうになるほど怖ろしいです。
また、ライオンが全ての人間への憎悪を抱く「モンスター」と化したのは、自分たちの私利私欲のためにライオンを狩り、闇市場へと売り捌く密猟者たちのせいでした。
群れのリーダーと仲間を殺した密猟者グループに降りかかった不幸は、ある意味自業自得、因果応報でしょう。むしろなぜ仲間とリーダーを目の前で殺されたライオンが、復讐しに来ないと思ったのか、単に捕まるのが嫌で逃げ出しただけだと思ったのか不思議で仕方ありません。
そして物語の後半、一緒に車もろとも崖から落ちたにもかかわらず、自分を殺そうと一歩一歩近づいてくるライオンに対し、マーティンは最後まで臆することなく向き合いガソリンに火をつけ、車と運命をともにしました。
他のライオンを育てた経験を持つマーティンにとって、たとえ自分とネイトたちを殺そうとするライオンであろうとも、殺すことはとても心苦しかったはずだと考えると、胸が痛みます。
まとめ
最愛の妻に先立たれてしまった医師が2人の娘を守るため、妻との思い出の地で、人間への憎悪に燃えるモンスターライオンに立ち向かうという、アメリカのサバイバルアクション作品でした。
本作の見どころは、ネイトたち家族の複雑な関係と、ネイトとマーティンが命懸けでライオンに立ち向かっていくアクション場面です。
作中、ネイトと長女のメアには確執があることが描かれています。それはネイトが別居するために家を出ていった後に、彼の妻の病気が発覚し死んでしまったことが原因でした。
きっと作中で髄所ネイトの幻覚として現れるアマーレは、自分の死をきっかけに関係がギクシャクしてしまった2人を心配していたのでしょう。
そして、ライオンとの戦いで互いに胸の内を明かした2人が和解したことで、最後の最後でハッキリと姿を現したアマーレは「もう心配することはない」とネイトに言ったのだと考察できます。
2人の娘を守るために戦う覚悟を決めた父親と「陸のジョーズ」と化した残忍なモンスターライオンが戦うサバイバルアクション映画が観たい人に、とてもオススメな作品です。