殺し屋女子コンビのズボラな日常を描くバディムービー第2弾!
激しいアクションシーンとオフビートな日常シーンのギャップが人気を集め、異例のロングランヒットを記録した映画『ベイビーわるきゅーれ』(2021)。
本作は海外でも『Baby Assassins』のタイトルで公開され、「低予算ながら優れたバディムービー」と高い評価を得ました。
そんな前作の高い評価が冷めやらぬ2023年、髙石あかり・伊澤彩織をはじめ主要キャストが続投したシリーズ第2弾『ベイビーわるきゅーれ 2ベイビー』が劇場公開を迎えました。
今回は、前作同様のノリとともに“パワーアップ”を遂げた続編『ベイビーわるきゅーれ 2ベイビー』を、ネタバレ有りあらすじとともにご紹介いたします。
CONTENTS
映画『ベイビーわるきゅーれ 2ベイビー』の作品情報
【公開】
2023年(日本映画)
【監督・脚本】
阪元裕吾
【アクション監督】
園村健介
【主題歌】
新しい学校のリーダーズ「じゃないんだよ」
【オープニングテーマ曲】
KYONO「2bRaW feat. N∀OKI(ROTTENGRAFFTY)」
【キャスト】
髙石あかり、伊澤彩織、水石亜飛夢、中井友望、飛永翼(ラバーガール)、橋野純平、安倍乙、新しい学校のリーダーズ、渡辺哲、丞威、濱田龍臣
【作品概要】
殺し屋女子二人組の笑いあり・殺しありの生活を描き、劇場公開時にロングランヒットを記録した『ベイビーわるきゅーれ』(2021)の続編となるシリーズ第2弾。1作目同様に『ある用務員』(2020)などで知られる阪元裕吾監督が自身のオリジナル脚本のもと本作を手がけた。
ドラマ『生き残った6人によると』(2022)、映画『わたしの幸せな結婚』(2023)の髙石あかり、スタントパフォーマーとして活躍する伊澤彩織が、主人公のちさと役・まひろ役をそれぞれ再び演じた。
また第2作目の新たな敵として二人の立ちはだかるゆうり・まこと兄弟を『燃えよデブゴン TOKYO MISSION』(2020)の丞威、『ウルトラマンジード』(2017)の濱田龍臣が演じた他、水石亜飛夢、中井友望、飛永翼(ラバーガール)、渡辺哲が脇を固める。
映画『ベイビーわるきゅーれ 2ベイビー』のあらすじとネタバレ
車中でラジオを聞きながら殺しの準備をするまこと(濱田龍臣)と兄・ゆうり(丞威)。
ゆうりは今回の殺しに不安を覚えますが、ターゲット以外誰も住んでいないアパートで一人の男を殺すだけという依頼内容に、まことは気楽に構えていました。
ターゲットの住む部屋に着いた兄弟でしたが、部屋の中に武装した男たちがたむろしているのを目撃。依頼の仲介人・赤木(橋野純平)に電話で文句を言い終えたゆうりは男の一人を射殺し、兄弟は男たちと乱戦状態に陥りました。
なんとか武装した男たち全員を始末した兄弟は、死体を片付けると食堂で赤木と接触。赤木は「殺し屋協会」からの依頼の通達ミスがあり、異なるターゲットを殺害してしまったことで依頼料がもらえなかったと兄弟に伝えます。
兄弟は仲介人・赤木を通じて殺し屋協会から依頼を受けていたものの、あくまでも「協会所属の殺し屋」ではなく「アルバイト」でした。そのため兄弟に回ってくる依頼は不利な条件ばかりであり、赤木もその待遇に徐々に不満を募らせていました。
「協会所属に昇格できないのは、殺し屋が多すぎるから」という噂を信じた赤木は、協会所属の殺し屋を殺害し、自分たちがその座を奪うことを計画。東京を根城にする殺し屋コンビ・ちさと(髙石あかり)とまひろ(伊澤彩織)の始末を兄弟に持ちかけます。
その頃、ちさと・まひろの元には、5年前に契約して以来1度しか使っていなかった殺し屋専用のジムと、殺し屋専用保険の滞納金の計400万円近い請求が届いていました。
ズボラな性格な二人は請求期限日になっても「相方が支払った」と勘違いしていたため、期限である15時が近づいた時にようやく事の重大さに気づきます。
銀行に走る二人でしたが、運悪く銀行強盗に遭遇。謹慎覚悟で銀行強盗を圧倒的な戦闘能力で制圧しますが、滞納金を支払うことができなかった上に警察沙汰になったことで、殺し屋協会から謹慎を命じられてしまいました。
殺し屋協会の須佐野(飛永翼)に相談するも謹慎処分は覆せず、滞納金の滞納金を含めた大金だけでなく収入源も失ってしまったちさと・まひろは、謹慎が明けるまでフリーター生活を余儀なくされます。
他者と上手くコミュニケーションがとれないまひろのために、商店街の着ぐるみバイトを選んだちさととまひろは慣れない仕事をがんばり、それぞれ8000円の収入を得ます。
ところが、殺し屋として大金を得ていた暮らしを忘れられないちさとは、そのお金を賭け将棋につぎ込んで全額を損失。まひろと「2度とギャンブルをしない」という約束したちひろは、二人で家に戻り『花束みたいな恋をした』を鑑賞します。
そんな二人の行動は、赤木によってゆうり・まこと兄弟に筒抜けでした。また食堂で働くさくら(安倍乙)に恋していたまことは、ちさと・まひろの殺害後にさくらをデートへ誘うことを兄・ゆうりに明かしました。
映画『ベイビーわるきゅーれ 2ベイビー』の感想と評価
シリーズ前作のノリ&テンポは健在!
「日常モノ」というジャンルは日本の映画・映像作品の中でも独特な空気感を持つジャンルであり、映像から「あるある」を感じられるほどに作品への共感性が増していきます。
しかし、一般人の「日常」からは程遠い存在である「殺し屋」を主人公とした「ベビわる」シリーズは、一見すると日常モノの重要なファクターである「共感性」に欠けていると誤解されるかもしれません。
実際、同じく殺し屋の日常を描いた「ザ・ファブル」シリーズは、休暇中の殺し屋が彼にとっての「非日常」である一般人の「日常」を体験していくズレを楽しむ作品となっていました。
ところが「ベビわる」シリーズは、主人公の殺し屋二人「仕事」以外ではごく普通の暮らしをしており、同棲している二人ならではのあまりにもリアルな空気感の会話が繰り広げられます。
気に入ったワードを繰り返し言い続けたり、コンビニのおにぎり100円セールについてを話したりと、殺し屋が主人公でありながら「あるある」を感じてしまう二人の会話劇。
『ベイビーわるきゅーれ』がヒットした要因の一つでもあるその魅力は続編でも健在であり、殺し屋活動を謹慎となったことでより「一般人」に近くなった2人の日常は、今作でも同じノリとテンポで観る者を楽しませてくれました。
さらに「切れ味」が増したアクションシーン
前作と同様に「日常」が8割、アクションシーンを含む「仕事」が2割の構成でストーリーが展開される『ベイビーわるきゅーれ 2ベイビー』。しかしアクションシーンで魅せる殺陣は、「前作以上」と断言できてしまうほどに切れ味が増していました。
スタントダブル/スタントパフォーマーとして活躍するまひろ役・伊澤彩織はもちろん、続編の新キャストでありダンサー・アクション俳優としても活躍する丞威も出演。
『HiGH&LOW THE MOVIE 2/END OF SKY』(2017)でも記憶に残る殺陣を見せた丞威と伊澤彩織による映画終盤での戦闘シーンは、2023年のベストバトルと言っても過言ではないほどの迫力のある映像となっていました。
まとめ
あくまでも「日常」に焦点を当て、普通の人と変わらないような理由で喧嘩をしたり、映画の細かな部分にハマったりする殺し屋を見ることのできる本作。
シリーズ前作でそんな二人の空気感に惹かれた方は、本作でも変わらない空気感で送られる彼女たちの「日常」に満足すること間違いなしです。
映画『ベイビーわるきゅーれ 2ベイビー』は、「日常」をリアルに描くことで「殺し屋」と言う裏稼業の異質性を際立たせている、独特なお仕事ムービーでした。