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Entry 2019/08/15
Update

キアヌリーヴス映画『ブルー・ダイヤモンド』あらすじと感想評価。丁寧な人間ドラマも見どころ

  • Writer :
  • 金田まこちゃ

映画『ブルー・ダイヤモンド』は、2019年8月30日(金)から全国公開。

ロシアを舞台に、ロシアンマフィアとの取引に挑む男の、危険な駆け引きを描いた映画『ブルー・ダイヤモンド』

ダイヤモンドにだけ魅力を感じていた男が、愛情により内面が変化する様子を、丁寧に描いた人間ドラマ部分も見どころとなる、本作をご紹介します。

映画『ブルー・ダイヤモンド』の作品情報


(C)2018 MARS TOWN FILM LIMITED

【公開】
2019年(カナダ・アメリカ合作映画)

【原題】
Siberia

【監督】
マシュー・ロス

【キャスト】
キアヌ・リーヴス、アナ・ラウル、パシャ・D・リチニコフ、ドミトリー・チェポベツキー

【作品概要】
ロシアを舞台に、危険な取引に挑む宝石商を描いたサスペンス。

主人公のルーカスを、「マトリックス」や「ジョン・ウィック」シリーズのキアヌ・リーヴスが演じ、ルーカスに恋する女性カティアを、2007年のフランシス・F・コッポラ監督作品、『コッポラの胡蝶の夢』で世界的な注目を集めたアナ・ウラルが演じています。

ルーカスを追い詰めるロシアンマフィアのボス、ヴォルコフ役に、2009年公開の『スター・トレック』や、2013年の『ダイ・ハード/ラスト・デイ』などの話題作に出演しているパシャ・D・リチニコフ。監督を務めるのは、『フランク&ローラ 魔性のレシピ』(2016)のマシュー・ロス。

映画『ブルー・ダイヤモンド』のあらすじ


(C)2018 MARS TOWN FILM LIMITED

最高純度のブルー・ダイヤモンドの取引の為に、ロシアのサンクトペテルブルクを訪れた、宝石商のルーカス・ヒル。

しかし、ブルー・ダイヤモンドを所持している、ビジネスパートナーのピョートルは姿を見せず、連絡を取る事もできません。

ルーカスは仕方なく、ブルー・ダイヤモンドを持たないまま、ロシアンマフィアのヴォルコフとの取引に向かいます。

ルーカスがブルー・ダイヤモンドを持っていない事に、失望した様子のヴォルコフ。

ですが、ルーカスは、ブルー・ダイヤモンドを用意する為の猶予を与えられます。

2日間で、ブルー・ダイヤモンドを用意する事になったルーカスですが、何度連絡してもピョートルと連絡を取る事ができません。

ルーカスは唯一の情報を頼りに、ピョートルを追ってシベリアへ向かいます。

シベリアの酒場で食事をしていたルーカスは、酒場にいた客に絡まれて暴行を受けます。

酒場の外で気絶していたルーカスを、酒場の女主人カティアが救助し、自宅で療養させました。

意識が戻ったルーカスですが、カティアの住居近くに住んでいるカティアの兄に目を付けられてしまいます。

ルーカスは、カティアの兄と仲間たちに半ば強引に誘われる形で、森の中に熊狩りへ行きます。

カティアの兄から脅しとも取れる冗談を言われ、ルーカスは馬鹿にされますが、プロ並みの射撃の腕を見せて、一目置かれるように。

また、カティアは兄の不安通り、ルーカスに恋をしている様子です。

ルーカスはカティアの協力を得て、ピョートルの弟を訪ねます。

そこで聞かされたピョートル失踪の理由、そして、ブルー・ダイヤモンドに隠された絶望的とも言える真実。

ピョートルとの再取引が迫るなか、ルーカスを待つ運命は?

キアヌ演じる“普通の男”が仕掛ける危険な取引


(C)2018 MARS TOWN FILM LIMITED

ロシアンマフィアを相手に、危険な取引を仕掛ける男を描く『ブルー・ダイヤモンド』。

主人公のルーカスを演じるキアヌ・リーヴスは、『スピード』や「マトリックス」、最近では「ジョン・ウィック」シリーズと、さまざまなアクション作品でヒーローを演じてきました。

ですが、本作で演じているのはヒーローでは無い“普通の男”です。

ルーカスは、闇社会も相手にしている宝石商なので、一般の人間とは言えませんが、戦闘技術に長けている訳でも、殺人の為の装備を持っている訳ではありません。

そんな、“普通の男”ルーカスが、消えたビジネスパートナーの行方を追いながら、ブルー・ダイヤモンドを巡るロシアンマフィアとの取引にどう挑むか?

ここが本作の主軸となっています。

ブルー・ダイヤモンドの秘密とは


(C)2018 MARS TOWN FILM LIMITED

本作の、物語の鍵を握る要素の1つが、ピョートルが持ち逃げしたと思われる、ブルー・ダイヤモンドに隠された秘密です。

作品中盤で、ブルー・ダイヤモンドの秘密は明かされますが、この事により、ヴォルコフとのまともな取引は実質不可能となります。

さらに物語の中盤から、ロシア連邦保安局(FSB)も介入してくる事で、ルーカスの危機的な状況が加速し、ルーカスを取り巻くクセの強い人物たちの動きも、物語を動かします。

一見、ルーカスに好意的な態度を見せながらも、異常性を感じる悪役のヴォルコフ。

ルーカスに近付く、敵か味方か不明の謎の男、ヴィンセント。

そして、妹に近付くルーカスを良く思っていないカティアの兄と、その仲間達。

さらに、姿を消したピョートルの行方は?

クセの強いキャラクターと、ルーカスの関係性も、本作の見どころの1つになっています。

カティアとの出会いで成長

本作では、ブルー・ダイヤモンドを巡る、スリリングな展開が繰り広げられますが、カティアとの出会いを通して、1人の人間として成長するルーカスの姿を描いている事も、大きな要素となっています。

宝石にのみ魅力を感じているルーカスは、結婚をしていますが、妻への対応は表面的な心の無いもので、カティアに「信じられない」と言われてしまう程です。

また、ルーカスは、当初はカティアが自分に好意を持っている事を知りながら、ブルー・ダイヤモンドの取引に都合よく利用していただけでしたが、ヴォルコフとカティアの間に起きる、ある出来事により、ルーカスはカティアへ特別な感情を抱くようになり、人間的な成長を見せます。

そして、ダイヤモンド以外に、真に守る者の存在に気付いたルーカスが、全てを賭けて挑む戦いの結末は?

まとめ


(C)2017 -5656 FILMS -INCIDENT PRODUCTIONS -MARS FILMS -LOGICAL PICTURES

『ブルー・ダイヤモンド』のプロデューサー、スティーブン・ハーメルは本作を「愛と死、本質性を描いた大人の為の現代的な映画」と語っています。

死と隣り合わせの、危険な取引に挑まなければならなくなったルーカスが、味方が誰もいないシベリアへ向かい、本当の愛と出会い、自身が果たすべき責任に気付き、命を燃え上がらす危険な戦いへと向かいます。

作品全体も、ルーカスの内面の変化を丁寧に描いた、重厚な展開となっています。

ルーカスは、キアヌ・リーヴスが演じる事を前提に作られており、少し疲れた哀愁漂う雰囲気が、ルーカスというキャラクターに厚みを持たせています。

殺人技術も装備も持たない「普通の男」ルーカスを主人公に、現代を生きる大人向けに製作された本作は、仕事を最優先に考えてしまい、周囲の人間との繋がりが希薄になった、一般社会へのメッセージも込められていると感じます。

1人の男が、人間として命を燃え上がらせる瞬間を描いた映画『ブルー・ダイヤモンド』。

賛否が確実に分かれるラストシーンも含め、ただのサスペンスではない、本作の持つ深いテーマを是非感じて下さい。

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