映画『シャザム!』掟破りのコメディ×アクション・エンターテインメント。
『アベンジャーズ/エンドゲーム』(2019)の公開が控えアメコミ映画が特に熱いこの時期。
マーベル映画の巻き起こす旋風に負けじと、DCコミックスからはおバカヒーローが登場しました。
「勇者ヨシヒコ」シリーズや映画『銀魂』(2017)で脱力系のコメディに定評のある福田雄一監督が日本語吹替の監修を行ったとしても話題となった本作。
今回はそんなコメディ映画でもあり、ヒーロー誕生映画でもある映画『シャザム!』(2019)の詳細なあらすじと4DX日本語吹替版の感想レビューを紹介いたします。
映画『シャザム!』の作品情報
【原題】
Shazam!
【日本公開】
2019年(アメリカ映画)
【監督】
デヴィッド・F・サンドバーグ
【キャスト】
ザッカリー・リーヴァイ、アッシャー・エンジェル、ジャック・ディラン・グレイザー、マーク・ストロング、ジャイモン・フンスー、グレイス・フルトン
【日本語吹替版キャスト】
菅田将暉、緒方恵美、阪口大助、子安武人、杉田智和、平野綾
【作品概要】
スーパーマンやバットマンなど、DCコミックスのクロスオーバー映画シリーズである、DCEU(DCエクステンデッド・ユニバース)の7作目として製作されたスーパーヒーロー映画。
主演は「マイティ・ソー」シリーズ2作目以降でファンドラルを演じたザッカリー・リーヴァイ、敵役は「キングスマン」シリーズでお馴染みのマーク・ストロング。
日本語吹替は緒方恵美、阪口大助、子安武人などベテラン声優が脇を固め、演技派俳優として名高い菅田将暉がシャザム役を演じました。
映画『シャザム!』のあらすじとネタバレ
1974年、クリスマスの夜に祖父の家に向かうため車を走らせるシヴァナ一家。
次男のサデウスは家族内でも出来が悪く、兄にはイジメられ、父には出来損ないと虐げられていました。
車の中でオモチャの占いボールを振るサデウスは、ボールに謎の文字が浮かび上がると、突如謎の遺跡のような場所に移動していることに気が付きます。
奥から現れた魔術師と名乗る男は、老いた身体と全ての仲間を失った窮地から純粋な心を持つ後継者を探していると言いました。
その遺跡には7つの大罪を司る魔物が封印されており、その甘言に誘惑されサデウスは悪魔の石に手を出してしまいそうになります。
ですが、その行為こそが魔術師の試練であり、サデウスは魔術師に「純粋な心を持つことは今後も無い」と罵られ元の世界へと戻されてしまいます。
元の世界に戻ったサデウスはもう一度試験を受けたいと車の中で暴れ、その行為がきっかけで事故が起こり、兄に「お前のせいだ」と叱責されます。
なおも非を認めないサデウスの持った占いボールには魔物から「我らを見つけよ」とのメッセージが浮かび上がっていました。
時は流れ現代、母と共に遊園地に遊びに来ていたビリー・バットソンはダーツの景品であるトラのぬいぐるみをねだりますが、母が当てたのは小型のコンパスでした。
「帰る道が分かる」と母に言われ大事にするビリーでしたが、落としたコンパスを拾うため賑わう遊園地で母の手を離したことで迷子となってしまい、警察に保護されました。
数年後、警察を嘘の通報で騙し、パトカーの車両照会システムを使い「バットソン」と言う姓の女性を探し、家を訪ねるビリーでしたがその女性は母ではありませんでした。
ビリーは幾度となく里子に出されるも、家族ごっこに対する嫌気と本物の母親を探すため脱走を繰り返し勘当され、里親紹介の女性も頭を悩ませていました。
新たな里親として紹介されたビクターとローザは、自身も孤児であり里子だった経験から、グループホームとして多数の孤児を引き取り暮らしていました。
足が悪くスーパーヒーローマニアであるフレディ、大学進学を目指すメアリー、ゲームとパソコンが大好きなユージーン、ハグ好き少女ダーラ、筋肉オタクのペドロと新たな家族となったビリーですが、血の繋がらない彼らをまるで他人のように想い決して心を開こうとはしません。
一方、大人になったサデウスは自身と同じ経験をした人間を調査する研究者に金銭的なバックアップを行い研究を進ませていました。
1人の女性が謎の神殿に移動する前の動画の記録を残していたことから、謎の文字が「呪文」であることを見抜いたサデウスは、自身の部屋の扉に呪文を書き込み、かつて見た神殿へ移動することに成功します。
神殿内部で、少年時に見た時より老いた魔術師から悪魔の石を奪うと、7つの大罪の魔物がサデウスに取り付き、サデウスは大きな力を手にすることになりました。
フレディたちと共に新たな学校に通うビリーは、フレディがいじめっ子にいじめられている現場に遭遇します。
面倒に巻き込まれることを嫌い無視しようとするビリーでしたが、フレディが孤児であることを馬鹿にされていることを知るとビリーはいじめっ子を襲撃し逃走します。
地下鉄に乗り込みいじめっ子たちから逃れたビリーですが、乗っていた電車の電光掲示板に突如謎の文字が浮かび上がり、謎の遺跡へとワープしてしまいます。
老いた魔術師に「ホームレスみたい」と話しかけると、魔術師は自身の後継者に相応しいのはビリーしかいないと言い、ビリーが嫌がるも承諾するまでは帰さないと固辞。
魔術師仲間は全てが空座であり、7つの大罪の魔物を倒してほしいと告げるとしぶしぶビリーは承諾。
魔術師の持つ杖に手を当て魔術師の名前である「シャザム」と言うと、ビリーはイナズマのマークのついたコスチュームに身を纏い、身体が大人になった状態となりました。
力を使い果たした魔術師が砂となって消えると、ビリーは家に戻りますがシャザムの状態であるビリーはとても家に帰ることが出来ません。
仕方なく、スーパーヒーローに理解のあるフレディのみを呼び出し、自身がビリーであることを証明すると2人はシャザムにどんなスーパーパワーがあるのかを研究し始めます。
コンビニ強盗を撃退し、シャザムに電撃と高速移動、耐久性に破壊力の力があることを知った2人は初のビールで祝杯をあげますが、あまりの苦さに噴き出します。
戻る方法が分からずシャザムの状態のまま家に戻るビリーは、妹のダーラに見つかりますが「良い妹は秘密をバラさない」と言い聞かせながら、シャザムと口にしたことで元の少年の姿に戻ることに成功しました。
翌日から、いじめっ子のトラックを破壊し、パワーの研究と街で大道芸やスマホの充電ような活動を繰り返す2人でしたが、フレディがシャザムの存在を注目集めに使い始めたことにビリーは嫌気がさし始めます。
一方、力を手にしたサデウスは、長年自分を見下していた兄と父を会社のミーティング中に殺害し、力の見返りとして魔物に「魔術師の力を手に入れろ」と命じられました。
フレディがいじめっ子を見返すために計画した、街で話題のスーパーヒーローレッドサイクロン(シャザムのこと)を連れてくると言う計画を無視し、街で大道芸を繰り返すビリーの前に現れたフレディはいじめっ子たちに酷くいじめられたことをビリーに言い口論が勃発。
ビリーのミスで落ちそうになったバスを救い、一気に知名度の上がったシャザムでしたが、突如現れたサデウスに襲われ戦闘になります。
初めて経験する異能力を持った相手との戦闘にすっかり逃げ腰になったビリーは、人ごみの中で変身を解き、二度とシャザムにはならないと自分に言い聞かせ帰宅しました。
しかし、シャザムの力を狙うサデウスは、シャザムが口論になっていた相手であるフレディを尋問し、居場所を聞き出すことにします。
家に帰宅したビリーは、ビリーがシャザムであると勘付いたメアリー、ユージーン、ペドロたちに実の母親を探していたことを知られます。
ユージーンがFBIにハッキングし、ビリーの母の現在の居場所をビリーに伝えると、ビリーは家を飛び出ていき、里親のビクターとローザもビリーを追いかけ出ていきました。
そして、子供たちだけとなった家に脅迫されたフレディとサデウスが現れます。
映画『シャザム!』の感想と評価
スーパーマンの単体映画である『マン・オブ・スティール』(2013)から始まり、本作で7作目となるDCEUの世界。
バットマンの抱える苛烈な正義と孤独を描いた『バットマンvsスーパーマン ジャスティスの誕生』(2016)やヒーロー集合作『ジャスティス・リーグ』(2017)など高い人気を誇る本シリーズですが、一方でヒーロー映画にしてはシリアスすぎると言った面もありました。
しかし、本作からは、そんなシリアスなDCEUの世界に空気を読めないスーパーヒーローシャザムが大誕生。
子どもが突然大人の身体とスーパーパワーを手にすることになり、その身体とパワーを子どもらしく自由気ままに使います。
ビールを飲んでみたり、電気のパワーを使って大道芸のようにお金を稼いでみたりと、やりたい放題なビリーに思わずクスりと来てしまいます。
ですが、『シャザム!』の魅力はコメディな部分に留まりません。
主人公のビリーは生き別れになった母親を探すため幾度となく里親のもとを脱走し、その度に里親から見放される日々を繰り返していました。
そんな経験からビリーは「血の繋がらない家族」は「家族」ではない、と言う想いを抱えることになります。
新しく迎え入れられたグループホームでもその考えを貫くビリーに対し、新しい里親のビクターが妻に放つ「俺たちが出来ることはただ愛してやることだけだ」と言うセリフに胸が締め付けられます。
やがてビリーが見出すことになる「本当の家族」とは、コメディ要素だけではなくヒーローの誕生物語として、そして人間としての成長物語としても充分な魅力を持つスーパーヒーロー映画です。
4DX吹替版感想!賛否を巻き起こした福田監督起用の行方
本作は端的言えば4DXで鑑賞すべき映画だと言えます。
主人公のビリーが徐々に己の力に目覚めていき、宙を浮かぶようなスーパーパワーに目覚めていきます。
最初はビリーの浮遊時の揺れは少しですが、物語の終盤に差し掛かり、激しいバトルが繰り広げられるようになると、座席の揺れもマックスまで激しくなります。
ビリーの成長度合いと対になるような動きの立体感に、映画への没入度がより上がる4DX効果でした。
一方で、4DXを鑑賞する際に映画好きの間でネックとなっているとされているのが、日本語吹替版。
本作は独特な世界観を持つ福田雄一監督が吹替の監修を担当することが決まり、「福田組」と呼ばれる福田雄一監督映画の常連俳優が起用されたことでも賛否が巻き起こりました。
「映画本編にそぐわないギャグが多用されるのでは」と言う否定的な心配も多い本作でしたが、驚くほどに真摯に吹き替えが製作されていました。
海外のコメディ映画では、「お国柄」なご当地ギャグや本場での自治ネタ、映画ネタなどが使用されることも多く、通常の字幕や吹替では分かりにくい部分は消されてしまうことすらあります。
しかし、本作では可能な限り拾い上げようとする意志と、分かりやすく日本語に作り直す親切さの両方にキチンと取り組んでおり、映画人らしい「万人が楽しめる」作品に貢献していたと言えます。
多シリーズとの繋がりが少ないの本作であるからこそ、新規ファンの集客に寄与しようとする福田雄一監督の想いが伝わる吹き替え監修でした。
まとめ
いかがでしたか。
熱さ、ヴィランへの恐怖、笑い、そして感動。
欲張りなほどに大量な要素を組み込んでおきながら、その全てが等しく魅力を持っているDCEU最新作『シャザム!』。
2018年劇場を賑わせたクイーンの名曲も劇中で使用され、劇場でクイーンを聞けるまたとないチャンスでもある本作。
スーパーヒーローの戦いを全身で味わうためにも、ぜひ4DXでの鑑賞をオススメします!