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ドキュメンタリー映画『ナイトクルージング』あらすじキャスト。全盲の監督がSFに挑む姿を追う

  • Writer :
  • 石井夏子

前代未聞の映画製作を追う

生まれながらの全盲者の映画製作を追った映画『ナイトクルージング』が、2019年3月30日(土)よりアップリンク渋谷ほか全国順次公開されます。

マジョリティとマイノリティの境界線に焦点を当て続けてきた佐々木誠が、その先を追い続けます。

映画『ナイトクルージング』とは


©撮影:大森克己

監督は、『インナーヴィジョン』(2013)や『マイノリティとセックスに関する、極私的恋愛映画』(2015)など、 マジョリティとマイノリティの境界線に焦点を当てた作品を多く手がけ、社会の在り方に問題提起をしてきた佐々木誠。

佐々木監督の友人であり、先天性全盲の加藤秀幸が映画製作に挑む姿を追った『インナーヴィジョン』。

本作は、引き続き、加藤が各分野のプロフェッショナルの協力を得て、SF映画を完成させるまでの過程を記録したドキュメンタリーです。

加藤秀幸プロフィール


©一般社団法人being there インビジブル実行委員会

1975年東京都生まれ、東京都在住。

先天性全盲。

システムエンジニア、ミュージシャン(E-bass guitar)、バンド「celcle」所属。

時々ちょっとだけ作曲するそうです。

インターナショナルスクール特別非常勤講師を務めています。

映画『インナーヴィジョン』出演。

好きなことは、料理、ものづくり、プラモ作成などの頭が痛くなるほど細かい作業とのこと。

佐々木誠監督プロフィール


©一般社団法人being there インビジブル実行委員会

フリーディレクターとして主に CM、PV、TV 番組などを演出。

2006年、初監督ドキュメンタリー映画『フラグメント』がロードショー公開され、アメリカ、ドイツなど海外上映も含め3年以上のロングランとなります。

翌2007年、オムニバス映画『裸 over8』の一編として『マイノリティとセックスに関する2、3の事例』(2007)が公開し、単体作品としても海外を含む各地で上映。

その後、『インナーヴィジョン』(2013)、『マイノリティとセックスに関する、極私的恋愛映画』(2015)、『記憶との対話』(2016)を発表。

各地で公開、上映されました。

2018年には『光を、観る』がカンヌライオンズに出品、『熱海の路地の子』が、オムニバス映画『プレイルーム』の一編として国内外で公開。

他に、『バイオハザード5 ビハインド・ザ・シーン』(2009)、フジテレビ NONFIX『バリアフリーコミュニケーション 僕たちはセックスしないの!?できないの!?』(2014)などを演出、紀里谷和明監督『GOEMON』(2008)、夏帆主演『パズル』(2014)など、多くの劇映画の脚本に関わっています。

また南カリフォルニア大学、東京大学、慶應大学などでの上映・講演、和田誠やロバート・ハリスらと定期的に映画についてのトークイベントなども行っています。

マジョリティとマイノリティの境界線に焦点を当てた作品を多く手がけており、ドキュメンタリーという手法を用いながら、マイノリティの目線から社会のあり方そのものへの問題提起を行ってきました。

佐々木誠監督コメント

佐々木誠監督は、本作に込めた想いとタイトルの意味を以下のように語っています。

健常者であろうと障害者であろうと他人の考えていることは、「理解できない」ものですが、私は決して「わからない」や「境界線の存在を認めること」がネガティブな意味を持つとは思っていません。自分と違う他者のことを「想像して」生きていく。タイトルの『ナイトクルージング』は、光が全くない「闇」ではなく、遠くの街の灯りがぼんやりと見える「夜」の海で一緒の方向に進み、遊ぶ、そんなイメージで付けました。視覚障害者と晴眼者が一緒に映画を作ることの暗喩でもあり、他人同士が同じ世界で生きていくイメージでもあります。

他者のことを理解できない、わからないからこそ、知りたくなる。そして想像する。

視覚に障碍のある方の世界を「夜」と想像し、その世界でともに生きようと呼び掛ける佐々木誠監督。

佐々木誠と加藤秀幸、ふたりの監督が描き出す世界に飛び込みたくなりますね。

映画『ナイトクルージング』の作品情報

©一般社団法人being there インビジブル実行委員会

【公開】
2019年(日本映画)

【監督】
佐々木誠

【キャスト】
加藤秀幸、山寺宏一、能登麻美子、神奈延年、金氏徹平、ロバート・ハリス、小木戸利光、三宅陽一郎、しりあがり寿、イトケン、石丸博也

【作品概要】
監督は、本作品の前作である『インナーヴィジョン』、『マイノリティとセックスに関する、極私的恋愛映画』などマジョリティとマイノリティの境界線に焦点を当てた作品を多く手がけてきた佐々木誠。

プロデューサーに、障害を“世界をオルタナティブに捉え直す視点”として、『音で観るダンスのワークインプログレス』などのプロジェクトを企画してきた田中みゆき。

また、加藤が監督する映画には、『シン・ゴジラ』『バイオハザード』シリーズのプリビズやCGの制作チーム、『ファイナルファンタジーXV』の開発チーム、国内外で活躍する美術家の金氏徹平、ミュージシャンのイトケンなど、幅広い分野のクリエイターたちが協力している他、山寺宏一、石丸博也など豪華声優陣、作家のロバート・ハリスもキャストとして参加しています。

前代未聞の映画制作をめぐる冒険ドキュメンタリーです。

映画『ナイトクルージング』のあらすじ

©一般社団法人being there インビジブル実行委員会
視覚がなく、光すら感じたことのない全盲の加藤秀幸は、ある日映画を作ることを決めます。

映画製作におけるさまざまな過程を通して、顔や色の実体、2Dで表現することなど、視覚から見た世界を知っていく加藤。

また、加藤と共に製作する見えるスタッフも、加藤を通して視覚のない世界を垣間見ます。

見えない加藤と見えるスタッフ、それぞれが互いの頭の中にある“イメージ”を想像しながら、作られて行く映画。


©一般社団法人being there インビジブル実行委員会

加藤の監督する短編映画は、近未来の宇宙の小惑星を舞台にした、生まれながらに全盲の男と、見える相棒が“ゴースト”と呼ばれる存在を追うSFアクション映画。

それはまるで、映画製作の現場で浮かび上がる、「見える/見えない世界」の間に漂う何かとも重なります。

ドキュメントとフィクション、二つの世界に漂う“ゴースト”を、捕らえることはできるんでしょうか。

まとめ

生まれながらの全盲者の映画製作を追うドキュメンタリー『ナイトクルージング』。

マジョリティとマイノリティの境界線に焦点を当てた作品を多く手がけて来た佐々木誠が、自身の友人である加藤秀幸の映画製作への道のりを記録しました。

加藤が作る映画には「生まれながらに全盲の男と、見える相棒」が登場し、本作との共通点を感じさせます。

見えない監督の映画に、あなたは何を“観る”でしょうか。

ドキュメンタリー映画『ナイトクルージング』は2019年3月30日(土)よりアップリンク渋谷ほか全国順次公開です。


©一般社団法人being there インビジブル実行委員会

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