2016年3月に公開された『家族はつらいよ』の続編を、ふたたび山田洋次監督で贈る人情喜劇。
前作のヒットを受けて制作されたこの作品。あの平田家の愉快な面々は今回どのように描かれるのか。
山田洋次監督や主要キャスト、また作品の魅力とともにご紹介します。
CONTENTS
1.映画『家族はつらいよ2』の作品情報
【公開】
2017年(日本映画)
【脚本・監督】
山田洋次
【キャスト】
橋爪功、吉行和子、西村雅彦、夏川結衣、中嶋朋子、林家正蔵、妻夫木聡、蒼井優、小林稔、風吹ジュン、中村鷹之資、丸山歩夢、有薗芳記、藤山扇治郎、オクダサトシ、広岡由里子、北山雅康、徳永ゆうき、近藤公園、劇団ひとり、笑福亭鶴瓶
【作品概要】
名匠山田洋次監督による熟年離婚をめぐる騒動に巻き込まれた家族たちの姿を描いた人情『家族はつらいよ」の続編にあたる作品。橋爪功、吉行和子、妻夫木聡、蒼井優ら前作のキャストが再結集し、前作から数年後の平田家で巻き起こる新たな騒動が描かれる。
2.映画『家族はつらいよ2』のあらすじ
平田周造の細やかな楽しみはマイカーに乗る外出。しかし、車に凹み傷が目立ち始めたことに気が付いた家族は、高齢者の危険運転を心配するようになります。
家族は周造から運転免許を返上させようと画策の思案し始めます。しかし、頑固モノの周造を説得する面倒な役回りを互いになすりつけ合う家族たち。
その息子娘たちの心境を見透かした周造は大激怒。平田家は不穏な空気に包まれてしまいます。
そんなある日、富子が旅行に出かけることになり、束の間の独身気分を楽しむ周造は、お気に入りの居酒屋の女将かよをマイカーに乗せてドライブと決め込みます。
その途中、高校時代の同級生であった丸山と意外なところで再会を果たした周造。しかし、直後に交通事故を起こしてしまう…。
主演を務める名優に深掘り!
名優の橋爪功のプロフィール
橋爪功(はしづめいさお)は、1941年9月17日に大阪府東住吉区生まれの日本の俳優。彼は演劇集団円の代表を務めながら円企画所属しています。
1961年に文学座附属演劇研究所の1期生募集に応募して合格。同期には岸田森、草野大悟、寺田農、樹木希林、小川眞由美、北村総一朗がいました。
1963年に文学座を離れ劇団雲に参加する大きな決断を若かりし頃の橋爪功は選択をします。
また、1974年に尊敬する芥川比呂志が演出した舞台『スカパンの悪だくみ』で関西弁でスカパンを演じて俳優としての転機を迎えることになります。
芥川比呂志(1920年3月30日〜1981年10月28日)
ちなみに、芥川比呂志は、羅生門』や『杜子春』、また『トロッコ』などいった小説で知られる有名作家の芥川龍之介の長男です。
1975年に芥川比呂志、仲谷昇、岸田今日子、有川博らとともに、「演劇集団 円」の創立に参加。
その後も所属する円を中心に舞台活動を続けています。2006年に前代表の仲谷昇の亡き後、円の代表に就任しました。
以降も野田秀樹との二人芝居『し』や椎名桔平と共演の『レインマン』など他との外部との舞台交流の活動にも盛んな俳優です。
舞台で汗をかくことが俳優の力と語る橋爪功
それほど、橋爪功は舞台で演じることが好きな俳優。実は彼にとっては映像の仕事は“二の次”ということは言わずと知れた事実。
根っからの俳優ではなく、役者といえるでしょう。
【橋爪功の主な受賞歴一覧】
【映画受賞歴】
第13回日本アカデミー賞優秀助演男優賞『キッチン』『ジュリエット・ゲーム』『善人の条件』
第15回日本アカデミー賞優秀助演男優賞 『おいしい結婚』
第20回日本アカデミー賞優秀主演男優賞 『お日柄もよくご愁傷さま』
第37回日本アカデミー賞 優秀主演男優賞『東京家族』
【演劇などの受賞歴】
第9回読売演劇大賞優秀男優賞 舞台『シラノ・ド・ベルジュラック』
第15回読売演劇大賞選考委員特別賞 舞台『実験』『レインマン』
第46回紀伊國屋演劇賞個人賞 舞台『ゴドーを待ちながら』『ウエアハウス circle』
第67回芸術選奨文部科学大臣賞 舞台『景清』
第36回放送文化基金賞演技賞 ラジオドラマ『かわり目〜父と娘の15年〜』
円のメンバーからは“ヅメさん”と慕われている橋爪功
橋爪功が尊敬をしていた同志である芥川から継承している「演劇集団円」には多くの俳優たちが所属しています。
例えば、意外なところでは、アニメ『鋼の錬金術師』主人公エドワードの声優である朴璐美も「演劇集団円」に所属。円メンバーは挙げればきりがありません。
また、円は劇団ではないことから、代表の橋爪功が外部との交流をして見せるように、基本的には集団という縛りしかないようです。
あの渡辺謙も橋爪功とは師弟関係⁈『インセプション』
さらには、過去に円の研究所生として俳優の豊川悦治がおり、ハリウッド俳優となった渡辺謙も、元々は演劇集団円に所属していた俳優。
渡辺謙は俳優としての活躍を大きく外部に求めた際にも「演劇集団円」に残りたいと誇示しましたが、橋爪功はそれを認めませんでした。
渡辺謙を大きく飛躍させることのみ優先して、足かせにしなかった親心は見事な采配。それがなければあれほどまでにハリウッドスターとしての活躍なかったかもしれません。
円を離れて袂を分けたどちらの俳優たちのその懐には橋爪イズムがあるのかもしれませんね。
このような役者を重んじる橋爪功が山田洋次監督の同列キャラクターや『家族はつらいよ』シリーズに出演する映画は舞台ではなく映像の仕事。
それは彼にとっては内心に大きな意味のあることなのではないでしょうか。
汗をかくことが俳優の力という橋爪功の演技が見られる映画に注目しましょう。
3.山田洋次監督のプロフィール
山田洋次(やまだようじ)は、1931年9月13日に大阪府豊中市で生まれた日本を代表する映画監督。
東京大学法学部卒業後。1954年に松竹に補欠入社して助監督となります。初監督作品は1961年『二階の他人』。
1977年に『幸福の黄色いハンカチ』にて第1回日本アカデミー賞で最優秀作品賞をはじめ6部門を受賞。
1969年からは『男はつらいよ』シリーズの監督、1988年からは『釣りバカ日誌』シリーズの脚本を手がけます。
2002年に米国アカデミー外国語映画賞にノミネートされた『たそがれ清兵衛』でも話題になりました。
その他、1996年に紫綬褒章を受賞、2004年に文化功労者に選ばれています。
5.続編『家族はつらいよ2』の原点はどこにあるのか?
前作『家族はつらいよ』(2016)
2016年の前作では、平田周造の妻富子が誕生日プレゼントに離婚届を要求したことから巻き起こる騒動で大いに観客を楽しませてくれました。
2017年の続編では平田家の家族にどんな大騒動が展開するのでしょう。
物語は平田夫婦の離婚騒動の危機から数年がたったというところで始まり、唯一の楽しみをマイカーでのドライブとしているを周造と、高齢者運転を心配する家族の騒動を描いたようで、時勢の社会問題を笑いに変えた作品です。
前作のテーマは、“熟年離婚”であったの引き続き、続編では“無縁社会”を描いたようです。
『家族はつらいよ』の原点的な作品『東京家族』
元々、山田洋次監督と『家族はつらいよ』の俳優陣と出会いとなった作品は、2013年の山田洋次監督作品『東京家族』。
『家族はつらいよ』の主人公の名前の平田周造は「平山周吉」。また、妻の富子は「とみこ」など、他の家族も名前な少しずつ変更していますが、2013年の『東京家族』と家族のキャスティングは同じメンバーを起用しています。
『東京家族』は世界的な映画監督として知られる巨匠・小津安二郎監督の『東京物語』のリメイク版です。
また、先ほどの家族の微妙な名前変更などは小津監督の十八番でもあります。
さらには、山田洋次監督が小津安二郎監督の一環とした作品テーマの「親子関係の行き違い」を同じ松竹という映画会社で育てられた監督として、リメイク版を制作した思いは感慨であったようです。
世界の映画監督や映画評論家から愛される『東京物語』
特に小津安二郎監督は親子の人情話を描いた作家であると、世間的には誤解を受けることが多いですが、日本的なアバンギャルド手法を用いて映画を制作した世界に類のみない監督です。
この機会に『家族はつらいよ』の山田洋次監督の2つ原点。『東京家族』『東京物語』もご一緒に鑑賞してみるのもオツなものかと思います。
7.『家族はつらいよ2』キャスト初日舞台挨上映会は?
現在のところ『家族はつらいよ2』の公開初日のキャストによる舞台挨拶は、現在まだ未定のようです。
また、舞台挨拶付きの試写会の応募に関しまして開催はあるものの、すでに応募の締め切りは終了しております。
これから舞台挨拶付きの上映を楽しみにされている方は、ぜひ、公開初日の舞台挨拶の情報に期待しましょう。即座に解禁され次第、当サイトにてもご紹介します。
7.まとめ
85歳を迎えた山田洋次監督による最新作『家族はつらいよ2』。心の底から笑わせてくれる山田節の円熟の演出に期待したいですね。
また、主演を務める名優の橋爪功も75歳。これまでにもないパワフルな演技で大騒動を巻き起こし、平田家の家族たちをあたふたとさせてくれそうですね。
最近の映画館では元気な笑い声が少ないなか、きっと映画ファンを満足させてくれる作品です!
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