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『歯まん』舞台挨拶リポート。岡部哲也監督が「時代がようやく追いついた」と語る衝撃作とは

  • Writer :
  • 中村綾子

満席でのスタートとなった『歯まん』

カリテ・ファンタスティック!シネマコレクション(通称:カリコレ)2018で連日満員を記録した超話題作、岡部哲也監督の『歯まん』が2019年3月2日(日)に公開初日を迎えました

ゆうばり国際ファンタスティック映画祭をはじめ、モントリオール世界映画祭やシッチェス映画祭など数々の映画祭に招待され受賞もしてきた日本映画界の新たな異才・岡部哲也監督の最新作『歯まん』。

満席でのスタートとなった公開初回の上映後に行われた舞台挨拶は、拍手と笑いに包まれました。

主演を務めた前枝野乃加と小島祐輔、岡部哲也監督が登壇し、作品についてたっぷりとトークを繰り広げた様子をご紹介します。

映画『歯まん』の初日舞台挨拶

©2015「歯まん」

3月2日(日)に東京都渋谷区のアップリンクで公開初日を迎えた『歯まん』は、満席という幸先のいいスタートを切り、初回が上映されました。

その上映終了後に行われた舞台挨拶には、『歯まん』のオリジナルTシャツを着て作品をアピールする前枝野乃加と小島祐輔、そして岡部哲也監督が登壇。

公開の喜びをかみしめる前枝野乃加

©2015「歯まん」

堂々の映画初主演を務めた前枝野乃加は撮影されてからの長い道程をしみじみと語りました。

「この映画はインパクトが強い設定があるので、コメディになるのか、純真なストーリーになるのかどちらに行くんだろう?と思ったんですが、岡部(監督)さんの演出のお陰で自分の中でもどんどん役柄にリアリティが出てきて、自分のことのように感じながら演じられました。撮影してから完成された作品を観るまでに2年程かかり、今こうして多くの方に観て頂けてとても有り難いです」

作品完成から公開までに主演を務めた前枝野乃加にもいろいろな苦労があった分、喜びもひとしおなんでしょうね。

ゆうばり国際ファンタスティック映画祭での裏話

©2015「歯まん」

ヒロインに惹かれながらも、ヒロインとともに異常事態に巻き込まれ、衝撃の結末を展開させる男性役の小島祐輔は、各国の映画祭で上映された本作について次のように思い出します。

「ゆうばり国際ファンタスティック映画祭で北海道知事賞を頂いた時はビックリしましたね。北海道の知事さんがこの映画を観て下さったのかと思うと…(笑)。前枝さんと顔を見合わせた覚えがあります」

小島祐輔の言葉に、客席からどっと笑いが起きました。

10年以上前の構想が実を結ぶ

©︎ Cinemarche

本作が自身の監督作初の全国公開となる岡部監督。

「22歳の時に脚本を書いた作品が36歳となった今、ようやく公開されて本当に感慨深いです。時代がようやく『歯まん』に追いついたのだと思います」

感動した面持ちでそう語りました。

また前枝野乃加と小島祐輔、岡部哲也監督の3人は、仲睦まじい様子でスペインのシッチェス・カタロニア国際映画祭での思い出話に花を咲かせます。

「観て下さっていた方々がとてもテンションが上がった瞬間があって、スプラッタシーンで大爆笑が起きたんです。それを見ていて驚いたんですが、海外の方にも受け入れて頂けたみたいで嬉しかったですね」

最期は大きな拍手に包まれ終了しました。

言葉は違えど、この作品が問いかける普遍的なテーマへの思いは世界共通なのかもしれないですね。

しかしなぜスプラッタシーンで大爆笑?

血まみれなのに笑いの要素があるんでしょうか。

その答えは劇場でお確かめください。

映画『歯まん』の作品情報


(C)2015「歯まん」

【公開】
2019年(日本映画)

【監督・脚本】
岡部哲也

【キャスト】
馬場野々香(現在は前枝野乃加に改名)、小島祐輔、水井真希、中村無何有、宇野祥平、泉水美和子、坂井天翠、古川真司、瓜生真之助、大石結介ほか

【作品概要】
これまでフリーの助監督として多くの監督の作品に従事してきた岡部哲也の初監督作品。

変わった体質が原因で彼氏を殺してしまった遥香と、彼女と出会い恋をする青年のファンタジック・ラブストーリーです。

主人公の女子高生遥香を演じるのは今回が映画初主演の馬場野々香(現在は前枝野乃加に改名)。難しい役を体当たりで演じました。

共演は舞台を中心に活躍中の小島祐輔。彼が演じる裕介の姉みどり役には、映画監督やグラビアアイドルなどマルチな才能を見せる水井真希。

そのほか主人公遥香の彼氏役に中村無何有や、八百久のおやじ役に宇野祥平など個性的な俳優が顔を揃えています。

本作は、ゆうばり国際ファンタスティック映画祭をはじめ、モントリオール世界映画祭、シッチェス映画祭など数々の映画祭に招待され各賞を受賞しました。

映画『歯まん』のあらすじ

(C)2015「歯まん」

女子高生の遥香は、初めてのセックスの最中に恋人を殺してしまいました。

原因は自らの肉体の変化で、恋人の局部を食いちぎってしまうというものでした。

突然吹き出す血飛沫に呆然とし、恐怖に駆られた遥香はその場から逃げ出してしまいます。

家族、友人、誰にも言えない不安と孤独が日々遥香を蝕んで行きます。

そんな日々の中、遥香は一人の男性と出会います。工事現場で働く裕介です。

裕介と言葉を交わす機会が増えていく中で徐々に惹かれていく遥香でしたが…。

遥香は肉体にかかった呪いを乗り越えることができるんでしょうか。

まとめ

主演の前枝野乃加は、撮影当時は馬場野々香という本名で活動していましたが、2016年の所属事務所倒産に伴いフリーになり、芸名も前枝野乃加と改めて活動しています。

構想に10年以上、作品完成から公開まで2年以上かかった、岡部哲也監督の熱い思いが詰まった映画『歯まん』。

テーマが「生と性と愛」の本作は、衝撃的なタイトルとともに、設定もかなり衝撃的です。

本作はゆうばり国際ファンタスティック映画祭をはじめ、モントリオール世界映画祭やシッチェス映画祭など数々の映画祭に招待され受賞もしてきました。

『ハード・コア』(2018)の山下敦弘監督、塚本晋也監督作『斬、』(2018)で主演を務めた演技派俳優・池松壮亮さん(以下敬称略)など映画界の著名人からも多くのコメントが寄せられている注目作です。

真剣に向き合った主演の前枝野乃加の度胸の強さ、岡部哲也監督の熱い思いなどが巡り巡ってようやく公開という形になりました。

日本国内外で高い評価を受け、岡部哲也監督の言葉を借りるとするならば、「時代が『歯まん』に追いついた」のでしょう。

愛とは何か?生きるとは何か?という普遍的な問いかけを突き付けてくる作品です。

映画『歯まん』は3月2日(土)よりアップリンク渋谷ほかで公開です。

ぜひお見逃しなく!

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