Cinemarche

映画感想レビュー&考察サイト

SF映画

Entry 2019/02/24
Update

【ネタバレ感想】アリータ: バトル・エンジェル|少女の強さは戦闘だけではない⁈

  • Writer :
  • もりのちこ

蘇った最強のサイボーグは、人間の心を持った美しい少女でした。

実写で撮影した映像をベースにVFX技術で作り上げた主人公・アリータの存在は、人間とサイボーグの域を超え、私たちに感動のドラマを与えてくれます。

『アバター』で全世界を映像技術で驚愕させた巨匠・ジェームス・キャメロンが、更なる進化を遂げて世界に届ける映画『アリータ:バトル・エンジェル』

究極の映像体験はもちろん、人間の心を持ったサイボーグ少女・アリータに誰もが恋をしてしまうはず。

映画『アリータ:バトル・エンジェル』の作品情報


(C)2018 Twentieth Century Fox Film Corporation
【公開】
2019年(アメリカ映画)

【原作】
木城ゆきと「銃夢」

【監督】
ロバート・ロドリゲス

【製作・脚本】
ジェームス・キャメロン

【キャスト】
ローサ・サラザール、クリストフ・ワルツ、ジェニファー・コネリー、マハーシャラ・アリ、キーアン・ジョンソン、エド・スクレイン、ジャッキー・アール・ヘイリー、エイザ・ゴンザレス

【作品概要】
「タイタニック」「アバター」のジェームス・キャメロンが、日本のSFコミック木城ゆきとの「銃夢」に惚れ込み、最新の映像技術を持って映画化へと導いた作品。

監督は『スパイ・キッズ』『シン・シティ』のロバート・ロドリゲス。

実写で撮影した映像をベースにVFX技術で作り上げた主人公・アリータを演じたのは、『メイズランナー』シリーズのローサ・サラザール。彼女の表情や演技力により、アリータに人間らしい魂が吹き込まれています。

映画『アリータ:バトル・エンジェル』のあらすじとネタバレ


(C)2018 Twentieth Century Fox Film Corporation
2563年、世界は二つに分断されていました。支配する者が住む「空中都市ザレム」と、支配されるものが住む「荒廃したアイアンシティ」です。

アイアンシティに住むサイバー医師のイドは、ザレムのゴミが捨てられる瓦礫の山で、頭だけの少女のサイボーグを拾います。

イドは少女に新しいドールボディを取り付け蘇らせます。しかし目覚めた少女は、過去の記憶を失っていました。

少女の美しく細工されたドールボディは、イドの亡くなった娘のものでした。名前を付けてと頼まれたイドは、娘の名「アリータ」と名付けます。

アリータは、好奇心旺盛で心の優しい女の子です。オレンジを与えると美味しいそうに食べます。大きな目とクルクル変わる表情がとてもキュートです。

少しづつ、この世界のことをアリータに教えていくイド。ザレムには選ばれたものしか行けないこと、アイアンシティのルール。まるで本当の親子のようです。

そこでアリータは、人間の少年ヒューゴと出会います。急激に仲良くなるアリータとヒューゴ。ヒューゴはアリータに、チョコレートの美味しさや誰もが熱狂する「モーターボール」を教えます。ヒューゴの夢は、いつかザレムに行くことでした。

アイアンシティでは、夜な夜な人が襲われる事件が起きていました。

ある夜、アリータは、腕に怪我をして帰ってきたイドを見かけます。不審に思い後をつけると、大きな剣でいまにも女性を襲おうとするイドの姿が。

慌てて止めに入るアリータ。しかし、そこに現れたのは「ハンター戦士」と呼ばれる、サイボーグの部品を狩り、賞金稼ぎをしている連中でした。

窮地に立つイドをかばい、アリータは立ち上がります。体が戦闘を覚えているかのように勝手に動き、戦いの記憶がよぎります。

イドの裏の顔は「ハンター戦士」でした。それには娘の死が関係していました。モーターボールで最強の選手を作る手助けをしていたイドは、強さを求めて薬を奪いにきたサイボーグに娘を殺されてしまいます。

自分が強化したサイボーグに娘の命を奪われたイドは、ハンター戦士へと転身。

妻のチレンは悲しみでイドの元を離れザレムに戻ろうと、闇の顔を持つモーターボールのオーナー・ベクターと行動を共にしています。

モーターボールを良く思っていないイドの気持ちに反比例するかのように、アリータは、モーターボールにのめり込んでいきます。戦うことで、自分が何者なのか、少しづつ記憶が戻りつつありました。

ある日、ヒューゴに連れられ水辺に沈む戦闘機を見に出かけます。その戦闘機は300年前、ザレム同様、空中都市が数多くあった時代にURM(火星連合)との戦い、ザ・フォールで使用されたものでした。

ためらうことなく司令塔に向かうアリータ。そこで発見したのは、頭のないサイボーグでした。

自分の脳がこの体を求めている。真の姿になりたい。アリータはイドに、この体に戻して欲しいとお願いするも、許してくれません。

力を持て余すアリータは、イドと同じハンター戦士の登録を行います。そのままハンターの集まるBarへ出向くアリータ。そこで、以前イドを襲ったグリシュカと因縁の対決となります。

グリシュカはベクターの手下で、イドの元妻チレンにより、アップグレードされていました。

戦いは互角、仲間の協力もありグリシュカは去りますが、アリータは頭と片腕だけの姿になってしまいます。

イドによりURMのボディを移植したアリータは、みるみる適合を見せ、真の姿に生まれ変わりました。

アリータは300年前URMによって創られた最終兵器99番でした。記憶を取り戻し、アリータは少女からレディに変身していきます。

アリータは感情も目覚めていくように、ヒューゴへの愛を深めていきます。ヒューゴの夢、ザレムに行く資金を稼ぐためモーターボールに出場するアリータ。

アリータの最先端のテクノロジーと戦闘能力を知り、どうしても手に入れたいベクターは、モーターボールの試合にハンター戦士を集め、アリータを潰しにかかります。

一方、試合会場へ向かうヒューゴは、ある決意を胸に仲間の所に立ち寄っていました。

以下、『アリータ:バトル・エンジェル』ネタバレ・結末の記載がございます。『アリータ:バトル・エンジェル』をまだご覧になっていない方、ストーリーのラストを知りたくない方はご注意ください。


(C)2018 Twentieth Century Fox Film Corporation
ヒューゴはアリータに秘密にしていたことがありました。ベクターの命令で強いサイボーグを襲い、部品を回収する闇の仕事をしていたのです。

アリータに出会い自分の間違いに気付いたヒューゴは、足を洗おうと決めます。しかしそこで最強のハンター戦士・ザパンに捕まります。

ザパンは、ヒューゴに殺人の汚名をきせ追い詰めます。ハンター戦士と警察に追われるヒューゴ。アリータに連絡するも、モーターボールの試合はすでに始まっていました。

ゲームを無視し、アリータに襲い掛かる選手たち。アリータは攻撃をかわし、ヒューゴの元へ向かいます。

待ち合わせ場所に着くも、ヒューゴはザパンの剣に刺されてしまいます。ヒューゴを抱え教会へ身を寄せるアリータ。

ヒューゴは自分の罪を告白します。それでも2人の愛は変わりません。泣き崩れるアリータの元に現れたのは、チレンでした。

2人の愛に母親の心を取り戻したチレンは、サイボーグ手術の腕でヒューゴの頭と体を切断し、2人を生かし逃がせます。

ヒューゴはイドにより、サイボーグの体を移植しました。命は吹き込まれたものの、犯罪者の汚名は消えません。

アリータは、ザレムへ行けるとヒューゴをだまし、2人の命を狙うベクターの元へ向かいます。

ベクターの所で待ち伏せていたのは、さらにパワーアップしたグリシュカでした。激しい戦闘が繰り広げられます。しかし、アリータも今や戦士の力がみなぎっています。

グリシュカを倒し、ベクターにせまるアリータ。その時、何者かがベクターに憑依します。その正体は、ザレムに住む黒幕ノヴァでした。本当の敵を知るアリータ。

ノヴァと直接会うにはザレムに行くしか方法はない。

その頃、追われたヒューゴはザレムを目指し、配管を上っていました。人間の体では到底行けない道をサイボーグの体で昇って行きます。

アリータの記憶は鮮明に蘇っていました。ヒューゴが昇っている配管は、罠が仕組まれていて上からサイボーグをバラバラにする歯車が落ちてくる仕組みです。

ヒューゴを止めに走るアリータ。戻るように説得するもヒューゴは上を目指します。落ちてくる歯車。手を伸ばすも間に合わず、歯車にぶつかるヒューゴ。

体はバラバラに砕け散り、頭と片腕だけが残ります。何とか片腕を掴んだアリータは、ヒューゴを持ち上げようとしますが、サイボーグの腕が千切れていきます。

ヒューゴの腕は取れ、頭だけが落ちていきます。

すべての決着をつけるために、アリータはモーターボールの試合会場にいました。チャンピオンになったものはザレム行きが約束されています。

剣を高らかと掲げ、空中都市ザレムを指すアリータ。宣戦布告です。観衆は、美しき最強戦士アリータの登場に沸き上がります。

映画『アリータ:バトル・エンジェル』の感想と評価


(C)2018 Twentieth Century Fox Film Corporation

今や大ヒット映画には、最新のグラフィック技術が使われており、よりリアルで迫力ある映像が欠かせません。

映画『アリータ:バトル・エンジェル』は、一から作り上げるCGとは違い、実写で撮影した映像をベースにVFXを組み合わせ、現実にあるものと作り上げた架空のものを合成、違和感がないように作り上げられています。

主人公のアリータの元を演じているのは、「メイズランナー」シリーズのローサ・サラザールです。

確かにアリータの表情やしぐさは人間そのものです。

目が異様に大きいアリータの姿に最初は戸惑いを感じるものの、早い段階で違和感は消え、可愛らしいアリータのファンになってしまいます。これは『アバター』のナヴィを最初に見た時と似ています。

原作が日本のSFコミック木城ゆきとの「銃夢」ということで、人間ドラマとしてもその世界観に引き込まれます

300年の時を経て蘇ったサイボーグの少女が、食べ物の美味しさに感動したり、少年に恋をしたり、家族を守るために戦う姿は、誰よりも人間らしいです。

自分の記憶を取り戻し自分の存在が危険なものと知っても、アリータは強く前を向き、戦います。アリータの魅力は、戦闘の強さだけではなく、心の強さにあります。

まとめ


(C)2018 Twentieth Century Fox Film Corporation

世界を映像技術で驚かせ続ける巨匠・ジェームス・キャメロンが、日本のSFコミック木城ゆきとの「銃夢」に惚れ込み、長い年月をかけ完成させた映画『アリータ バトル・エンジェル』を紹介しました。

『アバター』をも超える究極の映像技術に、誰もが驚くことでしょう。現実と架空が融合した世界はまるでゲームの世界に自分が入り込んだような感覚です。

迫力ある映像美はもちろん、人間とサイボーグが暮らす世界、その世界観に魅了されます。

人間よりも人間らしい心を持ったサイボーグ少女・アリータの、世界を変える戦いが始まります。

続編も待ち遠しい『アリータ バトル・エンジェル』この映像美をぜひ堪能してください。

関連記事

SF映画

【ルパVSパトあらすじネタバレと感想】快盗戦隊ルパンレンジャーVS警察戦隊パトレンジャー en film

2つの戦隊と悪の組織による三つ巴の戦いが展開する現在放映中の『快盗戦隊ルパンレンジャーVS警察戦隊パトレンジャー』。 360度カメラによる縦横無尽なカメラワーク、モーションキャプチャーによるCGと着ぐ …

SF映画

『アバター』ネタバレあらすじ結末と感想評価の解説。続編を見る前にジェームズ・キャメロンの“SF映画の金字塔”にして21世紀の代表作品【SF恐怖映画という名の観覧車167】

連載コラム「SF恐怖映画という名の観覧車」profile167 2009年に公開された後、『アベンジャーズ/エンドゲーム』(2019)が公開されるまで興行収入歴代1位を記録し続けた映画『アバター』(2 …

SF映画

映画『囚われた国家』感想とレビュー評価。近未来SFの地球外生命体の侵略という物語を2つの名作映画をヒントにリアルに描く

映画『囚われた国家』は2020年4月3日(金)よりイオンシネマほかでロードショー。 地球外からの侵略者に支配され、絶滅の危機に瀕した地球。果たして人類に未来はあるのか? エイリアンの侵略に降伏した現代 …

SF映画

映画『ジュピターズ・ムーン』感想。浮遊の評価とラスト結末の考察は

映画『ジュピターズ・ムーン』は1月27日より全国順次公開。 コーネル・ムンドルッツォ監督は、前作で犬たちと少女の対峙を描いた『ホワイト・ゴッド 少女と犬の狂詩曲』に引き続き、信頼をテーマに3部作の2作 …

SF映画

映画『ザ・シェル第三次大戦』あらすじ解説。 DVDレンタルと発売日

アンドロイドの身体=シェルを装着した女性軍曹。自分の肉体に戻れなくなった彼女の運命とは? サスペンスあり、またSFスリラー要素も加わって、最後まで途切れない緊迫感はSFファンを魅了! 2017年12月 …

【坂井真紀インタビュー】ドラマ『家族だから愛したんじゃなくて、愛したのが家族だった』女優という役の“描かれない部分”を想像し“元気”を届ける仕事
【川添野愛インタビュー】映画『忌怪島/きかいじま』
【光石研インタビュー】映画『逃げきれた夢』
映画『ベイビーわるきゅーれ2ベイビー』伊澤彩織インタビュー
映画『Sin Clock』窪塚洋介×牧賢治監督インタビュー
映画『レッドシューズ』朝比奈彩インタビュー
映画『あつい胸さわぎ』吉田美月喜インタビュー
映画『ONE PIECE FILM RED』谷口悟朗監督インタビュー
『シン・仮面ライダー』コラム / 仮面の男の名はシン
【連載コラム】光の国からシンは来る?
【連載コラム】NETFLIXおすすめ作品特集
【連載コラム】U-NEXT B級映画 ザ・虎の穴
星野しげみ『映画という星空を知るひとよ』
編集長、河合のび。
映画『ベイビーわるきゅーれ』髙石あかりインタビュー
【草彅剛×水川あさみインタビュー】映画『ミッドナイトスワン』服部樹咲演じる一果を巡るふたりの“母”の対決
永瀬正敏×水原希子インタビュー|映画『Malu夢路』現在と過去日本とマレーシアなど境界が曖昧な世界へ身を委ねる
【イッセー尾形インタビュー】映画『漫画誕生』役者として“言葉にはできないモノ”を見せる
【広末涼子インタビュー】映画『太陽の家』母親役を通して得た“理想の家族”とは
【柄本明インタビュー】映画『ある船頭の話』百戦錬磨の役者が語る“宿命”と撮影現場の魅力
日本映画大学