全長1900メートルの暗窟の中、自動車共々崩落したトンネルに閉じ込められた男…。その手元には残量78%の携帯電話、ペットボトル水が2本、娘の誕生ケーキ…。
閉ざされた暗闇の災害現場から男は無事救出されるのか?
今回は韓国映画『トンネル 闇に鎖(とざ)された男』をご紹介します!
CONTENTS
1.映画『トンネル 闇に鎖された男』の作品情報
【公開】
2017年(韓国映画)
【脚本・監督】
キム・ソンフン
【キャスト】
ハ・ジョンウ、ペ・ドゥナ、オ・ダルス、チョン・ソギョン、パク・ヒョックォン、シン・ジョングン
【作品概要】
崩落事故でトンネル内に独り閉じ込められた男と、その男の救助をめぐり、奮闘する人間模様をサスペンスに描いた作品。
韓国で700万人以上の動員を記録したヒット作。『お嬢さん』などの話題作に出演する演技派ハ・ジョンウ、『空気人形』など日本でもよく知られた女優ペ・ドゥナが出演。
2.映画『トンネル 闇に鎖された男』のキャスト
イ・ジョンス役を演じた「ハ・ジョンウ」
ハ・ジョンウは、1978年3月11日にソウルで生まれた韓国の俳優。中央大学演劇学科卒業すると、多くの演劇に出演してキャリアを積みました。
やがて、2003年に韓国公開された『マドレーヌ』で映スクリーンデビュー。その頃には、テレビドラマの『プラハの恋人』にも出演し注目されます。
2005年に『許されざるもの』は、カンヌ国際映画祭のある視点部門で上映され話題となり、2006年にキム・ギドク監督の「絶対の愛」で演技力をつけます。
2008年に韓国の映画賞を総なめにしたナ・ホンジン監督の『チェイサー』に出演。その後も2010年と2011年に、百想芸術大賞 映画部門 男性最優秀演技賞を『国家代表!?』と『哀しき獣』で2年連続受賞するなど、話題作には事欠かない韓国俳優の1人です。
さらには、2009年の日韓合作映画『ノーボーイズ,ノークライ』(09)では妻夫木聡とともに主演を務めたことも有名です。
セヒョン役を演じた「ペ・ドゥナ」
ペ・ドゥナは、1979年10月11日にソウルで生まれた韓国の女優。漢陽大学校演劇映画科中退した後、2006年から建国大学校芸術文化学部在学中だそうです。
大学在学中の1999年よりモデルとして活動しつつ、映画デビューも果たして、テレビドラマ『学校』で注目を集めました。
その後、2000年にポン・ジュノ監督による『ほえる犬は噛まない』で初主演を務め、2001年に『子猫をお願い』で映画批評家協会賞の主演女優賞を受賞。
2005年に山下敦弘監督の『リンダリンダリンダ』に出演したのをきっかけに日本でも人気に火が付きました。この作品では韓国からの留学生を演じて、ザ・ブルーハーツの「リンダリンダ」や「僕の右手」を熱唱する姿も見られました。
また、2009年に是枝裕和監督作『空気人形』で心を持つ人形役を演じて映画ファンを驚かせました。また、ハリウッド映画にも進出すると『クラウド アトラス』『ジュピター』に出演をしています。
キム・デギョン役を演じた「オ・ダルス」
オ・ダルスは1968年6月15日に大邱に生まれ、釜山で育った韓国の俳優です。釜山東義大学工業デザイン学科中退。劇団蜃気楼万華鏡の代表を務めています。
2002年に『海賊、ディスコ王になる』でスクリーン映画デビューを果たし、2007年に『夏物語』の演技が評価され、第15回春史大賞映画祭で助演男優賞を受賞。
2015年の『国際市場で逢いましょう』は青龍映画賞と大鐘賞の助演男優賞をW受賞しました。
3.映画『トンネル 闇に鎖された男』のあらすじ
自動車ディーラーとして勤務するチョンスは、大型の契約を成功させると意気揚々と妻セションと、娘が待つ自宅に車を走らせていました。
しかし、チョンスが山中にあるトンネルに差し掛かかると、突然、頭上に轟音が鳴り響いた。
その尋常ではない音と揺れに不安が過ぎったチョンスだったが、それも束の間、トンネルは崩落して彼は車体ごと生き埋めになってしまいます。
やがて、チョンスが目を覚ますと車の周囲には巨大なコンクリートの残骸で囲まれていました。
チョンスの手元にあるのはバッテリー残量は78%の携帯電話、水のペットボトル2本、そして娘の誕生日を祝うケーキだけでした。
一方トンネルの崩落のニュースは瞬間的に韓国国内に駆け巡り、救助隊のキム隊長たちが現場に駆けつけます。
しかし、トンネルの災害現場の惨状は、誰の目にも想像を遥かに超えた厳しいものでした…。
4.映画『トンネル 闇に鎖された男』のメイキングネタバレ解説
『トンネル』の韓国版予告編が内容が分かりやすく興味津々になります!
俳優たちが緊迫の演技力に対する工夫や熱意を見せたポイント
この作品の特性上、崩落トンネルに閉じ込められた男、その妻、救助隊と登場人物たちは、顔を合わせて演技をするシーンが少なかったのは言うまでもありませんね。
彼らの多くは電話の通話という形の演技になります。俳優としては一人芝居になり易く、感情移入がかなり難しかったのではないでしょうか。
俳優は他者と呼吸を合わせることで間合いや演技の方法を決めていきます。そこで主人公を演じたハ・ジョンウは実際に俳優同士で電話で通話をしながら演技する撮影現場を提案。
実際に電話をかけながら雰囲気を確かめ合って演技をしたそうです。妻役を演じたペ・ドゥナは、ドイツに滞在していた時でさえ、ハ・ジョンウに電話で呼吸を合わせるなどの俳優魂を見せていたようです。
また、崩落トンネルに夫を閉じ込めたれた妻役を演じたペ・ドゥナは、化粧はせずに、すっぴんで撮影に挑んだようです。
女優として不安感や緊迫感のある役柄に、顔に滲む徒労や失望を表現するのにが重要だと感じたのでしょう。
撮影キャメラが回っていないところでも涙を流し続けて腫らせた眼や、その周囲のくま、または、むくんだ顔は彼女の得意な演技力なのは、過去作でも十分に理解できます。今回もどこまでやってくれているかに注目しましょう。
さらに、ハ・ジョンウは閉じ込められたトンネル内で食物がなく、空腹を満たすあまり犬の餌を食べるシーンがあります。
その際に本物のドックフォードを使って撮影して実際に食べたそうです。2人の役者根性は注目です!
となると、オ・ダルスにはどんな演技の工夫があったのでしょう?
体の芯から冷える極寒の中で救助に奔走している姿でしょうか?
それは撮影現場に暖房は使わなかったスタッフの要望なので、ハ・ジョンウやペ・ドゥナも同じ条件ですね〜。
オ・ダルス…の演技の工夫とは…???無い?ナイ?ない?
いえいえ、韓国映画通なら既にご存知でしょう。オ・ダルスは撮影現場にいるだけで良いと言わしめる、素晴らしい性格俳優。
韓国映画界ではオ・ダルスは”妖精”と呼ばれる俳優。”観客を呼び込む妖精”として、過去の出演作品7本を取り上げても1000万人以上の観客動員を上げてくれたと信頼感のある人物なのです。
韓国映画界の監督や俳優の全てが一緒に働きたがる俳優オ・ダルス。彼をスクリーンで観てると不思議と幸せになれる、それこそがオ・ダルス。それで良いのです。彼こそが韓国の名優だと皆に愛されています!
オッサン、オ・ダルスに注目です!
まとめ
『トンネル 闇に鎖された男』は、深い洞察力と斬新な手法で知られる韓国の新進気鋭のキム・ソンフン監督の作品。
前作『最後まで行く』は、第67回カンヌ国際映画祭週間で大反響を呼んだのを皮切りに、世界各国で絶賛を浴びました。
キム・ソンフン監督は、日常に突如襲いかかる災害を通してこのように述べています。
『トンネル闇に鎖ざされた男』は、究極には命についての物語です。最も大切なものである人の命が、昨今はあまりにも軽んじられるようになってきたと思ったので、この物語を選びました。(公式HPから)
しかし、監督は笑と緊張感を絡めながら極端ではなく感情の変化をスムーズに描いた才能を今作で見せてくれます。
“妖精俳優”オ・ダルスも出ています、2017年5月13日から東京・シネマート新宿、大阪・シネマート心斎橋ほか全国順次公開。
ぜひ、劇場でお見逃しなく!