映画『Fate/stay night Heaven’s Feel II. lost butterfly』はTYPE-MOON原作のビジュアルノベルゲーム『Fate/stay night』の物語を三部作で映画化した第二弾。
本作では10年ぶりに開かれた聖杯戦争が謎の「影」によって大きく歪めれれていく様を描きます。
次々と倒れていく魔術師(マスター)と英霊(サーバント)達。
偶然から魔術師となった少年、衛宮 士郎もまた、自身の英霊・セイバーが謎の「影」に飲まれてしまいます。
「俺の戦うべき相手は―ーまだこの街にいる」
士郎は想いを寄せる少女、間桐 桜を守るため再び立ち上がりますが、桜にもまた黒い「影」の魔の手が迫ります。
CONTENTS
映画『Fate/stay night Haven’s Feel Ⅱ. lost butterfly』の作品情報
【公開】
2019年(日本映画)
【監督】
須藤友徳
【キャスト】
杉山紀彰、下屋則子、神谷浩史、川澄綾子、植田佳奈
【作品概要】
TYPE-MOON原作のビジュアルノベルゲーム『Fate/stay night』の物語を三部作で映画化した第二弾。
アニメーション制作をufoteble、監督はこれまでFateシリーズにも携わってきた須藤友徳が担当。
謎の「影」の出現で狂い始めた聖杯戦争に望む主人公・士郎と物語の鍵を握る少女、桜の明かされる秘密を描きます。
映画『Fate/stay night Haven’s Feel Ⅱ. lost butterfly』のあらすじとネタバレ
雪の夜、柳洞寺の境内を衛宮士郎が自身の英霊(サーバント)、セイバーを探し、歩いています。
セイバーの姿を目にし、士郎は追いかけ、池に辿り着きます。
池の上で佇むセイバーに士郎は声をかけますが、池の中から伸びた多数の黒い帯がセイバーを飲み込み、自身もまた飲み込まれてしまいます。
目が覚めた士郎は自室で寝ていたことを思い出し、夢を見ていたことに気付きます。
朝食を摂る士郎に一時的に同居している間桐桜はセイバーの帰国が突然であったことを残念がる一方、夜間の外出が無くなることに安どの表情を見せますが、士郎はこれからも夜間に外出することを桜に告げます。
登校する途中、士郎はマスターである少女、イリヤスフィール=フォン=アインツベルン(イリヤ)と遭遇します。
以前の経緯からイリヤに襲われることを警戒する士郎ですが、イリヤに戦闘の意思は無く、ただ、士郎と会話をしにきただけでした。
士郎はイリヤに自身の義父、切嗣を知っているか問いますがイリヤは急に表情を曇らせると知らないと告げ、立ち去ってしまいます。
イリヤを追う士郎はマスターである遠坂凛に出会い、協力者でもある凛の家に招かれた士郎は今後の方針を相談します。
話し合いを終えた士郎は帰宅しますが、玄関の鍵が開いていることを不審に思います。
すると、電話のベルが鳴り、受話器を取った士郎の表情は見る見る変わり、再び家を飛び出していきます。
自身が通う高校の図書室に辿り着いた士郎を待っていたのは桜の兄、間桐慎二で、桜を人質にとり、傍らに英霊・ライダーを控えさせています。
マスターでもある慎二はかつて士郎に敗北した雪辱を晴らすため、桜の命が惜しければライダーと戦うことを強要、慎二はライダーを士郎へけしかけます。
士郎はライダーの猛攻に一方的にやられてしまい、虚空へ殴り飛ばされ宙を舞う中、空中で体制を変え慎二に襲い掛かり、桜を救出します。
なおもライダーをけしかけようとする慎二ですが、その時、窓を破って凛とその英霊・アーチャーが現れます。
瞬く間にライダーを撃退した凛とアーチャーの出現で慎二の敗北が確定していましたが、諦めない慎二は動けないライダーを無理やり戦わせようとします。
「もうやめて、ライダー!」と突如、叫び声を発した桜の声に重傷を負っていたはずのライダーの傷は癒え、発せられる魔力はこれまでの比ではありませんでした。
それを見ていた凛はライダーの真のマスターが桜であることに気がつきます。
蘇ったライダーを見て喜ぶ慎二は桜に士郎、凛、アーチャーを倒すように命令しますが、桜は拒否します。
いいなりにならない桜に痺れを切らした慎二は、取り出した結晶を割ると、桜の左耳につけられていた同じ結晶の形をしたイヤリングが割れ、中から謎の薬品が飛び散り、桜にかかります。
すると、苦しみ始める桜の周りに次々と黒い球体が表れ、球体からとげが飛び出す現象が発生し、アーチャーは桜が自身の力を制御しきれず暴走していることを見抜きます。
桜を救うためライダーは結界を発動し、周囲の魔力を桜へ供給しようとします。
結界を破壊しようとするアーチャーを阻止するため、ライダーは封じられた魔眼を解放、石化の呪いを三人にかけます。
足が石化し、倒れる凛の目の前に黒い球体が現れ、凛を助けるため、士郎は凛を押しのけ身代わりになり、球体から伸びたとげに貫かれ、それを見た桜は取り乱し、自身のとげに貫かれてしまいます。
目を覚ました士郎は凛に聖杯戦争の監督役、言峰綺礼が住まう言峰教会に桜と共に運ばれていたことを聞かされます。
姿を見せる綺礼が桜の治療が終わり一命を取り留めた事を二人に告げますが、いずれまた暴走し、最後には桜自身が自らを殺してしまうと断言します。
綺礼の話を聞いた凛は桜を殺そうと桜の部屋へ向かいます。
止めようとする士郎に凛は今度は関係の無い人間を巻き込む可能性があり、殺すことが冬木市を管轄する魔術師の務めと言い捨てます。
黙って聞いていた綺礼は「実の妹でもか?」と尋ね、驚く士郎に凛は桜が実の妹であることを明かします。
遠坂家の次女として生まれた桜は魔術師の血が絶えた間桐家へ養子に出されていたのです。
あっけに取られる士郎を尻目に凛は桜が眠る部屋に向かいますが、桜は既に目覚め、教会から出ており、凛はすぐに後を追い、桜を連れ戻そうと説得します。
「私は自分で自分が許せない」と言う桜に、士郎は「たとえ桜が自分を許せなくても俺が桜を許し続ける」といい、桜の手をとり、衛宮家への道を歩き始めます。
途中、凛とすれ違いますが凛は何もいいません。
凛の傍らのアーチャーは士郎へ「桜の手をとったならせめて桜を守れ、いずれ衛宮士郎が衛宮士郎でいられなくなる」と告げます。
翌朝、朝食を取る士郎、桜、桜についてきたライダーは今後の方針を相談し、士郎はイリヤに協力を求めることを決意します。
イリヤの暮らす城を目指す士郎は異変に気付きます。
城では桜の祖父、間桐臓硯とその英霊・アサシンの襲撃をイリヤとその英霊・バーサーカーが受けていました。
そこへかつて士郎の英霊であったセイバーが「影」にのまれ変わり果てた姿、セイバー・オルタが現れます。
臓硯はアサシンにイリヤの身柄を確保するよう指示すると消え去ります。
現れたセイバー・オルタとバーサーカーの対決は熾烈を極め、戦闘の衝撃波を士郎、イリヤを襲いますが、突如張られた障壁に助けられます。
障壁を張ったのは士郎と同じく、イリヤに協力を求め城を訪れていた凛でした。
映画『Fate/stay night Heaven’s Feel II. lost butterfly』感想と評価
『Fate/stay night』の3つ目のストーリーを映画化した本作はこれまでのシリーズを周到しつつ新たな『Fate』として楽しめる作品となっています。
本シリーズは魔術や剣戟による迫力のある戦闘シーンが定評ですが、本作では特に緩急をつけた演出で、より迫力のある濃厚な戦闘シーンを表現しています。
そのほかにも、戦闘による大気の流れや日光が当たる角度の変化により霧や土煙、舞う埃などを細かく描写しており、臨場感を感じさせるシーンが多くありました。
また、キャラクターの表情の表面が非常に豊かで、登場人物の心理を濃く反映していたり、逆にキャラクターによっては何を考えているのか読めないなどと演出を付け、重厚なストーリーを彩っています。
本作のヒロインである間桐桜は、他のヒロイン達に比べ非常に残酷な運命に立ち向かうことになります。
その中で、主人公・士郎への想いを強くしていきますが、自分の背負った運命や境遇から、必死に士郎への想いを断ち切ろうとする姿に胸が張り裂けそうになります。
桜のすべてを受け入れようとする士郎の覚悟は次作、最終章でより試されることになるでしょう。最終章での二人の結末に注目です。
まとめ
2004年にPCゲームが発売されて以降、独特の世界観と重厚なストーリーで人々を魅了し続けてきたFateシリーズはこれまで様々なメディアで展開し多くのスピンオフ作品を生んできました。
その正伝たる『Fate/stay night』を織り成す三つのストーリーのうち、ファンからもっとも残酷でもっとも美しい物語とされる『[Haven’s Feel]』の第二章、『lost butterfly』は衝撃的な結末で幕を閉じました。
これから士郎は残酷な現実にどう立ち向かうのでしょうか?そして桜の運命は? 物語の結末に目が離せません。
『Fate/stay night [Haven’s Feel]』最終章、『spring song』は2020年春公開予定です。