Cinemarche

映画感想レビュー&考察サイト

連載コラム

実写映画『スポーン』あらすじと解説。ジェイミー・フォックスでリブートするダークヒーローとは|最強アメコミ番付評17

  • Writer :
  • 野洲川亮

こんにちは、野洲川亮です。

今回は『ヴェノム』を生んだ作者の代表作、ダークヒーロー映画『スポーン』を解説していきます。

映画『スポーン』の魅力、そして2019年にジェイミー・フォックス主演で公開予定となっているリブート版の情報も紹介していきます。

【連載コラム】『最強アメコミ番付評』記事一覧はこちら

映画『スポーン』のあらすじ


映画『スポーン』

CIAの工作員シモンズ(マイケル・ジェイ・ホワイト)は、ある任務の中で市民に犠牲を出してしまったことを悔い、辞職を決意しました。

しかし、最後の任務として向かった場所で上司のウィン長官(マーティン・シーン)にハメられ、爆破さえ焼き殺されてしまいます。

大火傷を負った顔で目覚めたシモンズは、地獄の悪鬼クラウン(ジョン・レグイザモ)と出会い、シモンズの死から5年がたち、恋人ワンダがすでに親友テリーと結婚、子供が生まれたことを知らされ、地獄の軍団を率いるスポーンとなることを持ちかけられます。

スポーンとなり蘇ったシモンズはウィン長官への復讐を誓いますが、その裏では世界征服を企むウィン長官がクラウンにある事をそそのかされていました。

細菌兵器の起爆装置を心臓に埋め込み、心臓が止まると世界中に配備した細菌兵器が爆破される仕組みにすることで、ウィンが殺されることはないと言いました。

一方で全く従う素振りを見せないスポーンにいら立ったクラウンは、巨大な変身形態ヴァイオレーターになり、スポーンを痛めつけます。

そんな中、ウィン長官が細菌兵器で世界征服を企んでいることを掴んだテリーでしたが、それを暴露する前にウィンに捕まってしまい、ワンダと娘と共にスポーンをおびき寄せる人質になってしまいます。

クラウンの狙いは、スポーンにウィンを殺させて細菌兵器を起動させ、人間界を征服することにありました。

スポーンのウィンへの復讐、妻への愛、地獄の軍勢との戦いの行方はどうなるのか…。

フィギュアから巻き起こったスポーンブーム


映画『スポーン』

『スポーン』のコミックは1992年に新会社イメージ・コミックスから発売されました。

作画・原作を一人で務めたのはトッド・マクファーレン、あのヴェノムのデザインを手がけ、1990年に『スパイダーマン』の新シリーズをヒットさせていました。

大手出版社(マーベルやDC)では、作品やキャラクターの権利を作者ではなく会社が所有しており、たとえ作品がヒットしても、それが作者へと直接還元することがありませんでした。

そういった慣習に不満や疑問を持った作家たちが、作品の権利を自分たちが保有できるようにするため、マクファーレンらが起ち上げたのがイメージ・コミックスでした。

その新しい出版社で、マクファーレンは『スポーン』のヒットをさせた勢いそのままに、玩具会社マクファーレン・トイズを作り、スポーンのアクションフィギュアを製作します。

それまでのフィギュアを一線を画すリアルな造形は、マニアたちから垂涎の的となり、アメリカのみならず当時の日本でも“部屋に飾るオシャレアイテム”として、映画公開よりも前にスポーンのフィギュアブームが広まっていきます。

こうした作品人気の高まりを背景に、1997年『スポーン』の実写映画が公開されます。

ところが壮大になっていた原作を映画化するには、96分と言う上映時間では十分ではなく、駆け足のストーリー展開は高い評価を得ることは出来ませんでした。

当時はまだ進化途上だったCGでの、スポーンの代名詞である“たなびく漆黒で巨大なマント”表現こそ、一定の評価を得て、原作を丁寧になぞろうとする試みも野心的で興味深いものでした。

しかし、全米での興行収入は製作費4000万ドルに対し5500万ドル、全世界でも製作費の2倍程度しか稼げず、大コケではなかったものの、コミックやフィギュアの大ヒットを考えると寂しい状況となってしまいました。

豪華メンバーによるリブート版の製作が決定

そして『スポーン』公開から20年、再びの映画化が発表されました。

監督を務めるのは何と『スポーン』原作者、トッド・マクファーレン本人です。

2016年に企画が発表、2019年に公開予定となっていて、スポーン役にはジェイミー・フォックス、そのスポーンを手助けする刑事役にジェレミー・レナーと、超A級の俳優陣がキャスティングされています。

三部作が予定されているとのことですが、MCUなどの大作映画のようなシリーズとは一線を画す、R-15のハードな描写が満載になるということです。

これは監督のマクファーレン自身が『LOGAN/ローガン』、『デッドプール』などのアメコミR-15作品名を自ら比較対象に挙げる形で、より大人向けの表現と、従来のヒーロー映画の枠組みから外れた作品になると宣言していることからも明らかです。

ストーリーもタイトルロールを演じるジェイミー・フォックスではなく、ジェレミー・レナー演じる刑事を中心に進行するということで、スポーンの出番は異例の少なさになる?と言われており、待望の再映画化にあたり、マクファーレンのこだわりが隅々まで行き届いていることが見受けられます。

ただ、マクファーレンにとっては監督デビュー作ともなるわけで、果たしてイメージ通りの作品に仕上がるのかどうか?マクファーレンの監督としての手腕に注目が集まります。

『スポーン』を観た人へのオススメ作品

同じ作者という事もあって、デザインに類似性も見受けられる『ヴェノム』(2018)は是非チェックしてもらいたいです。

同様にアメコミ映画では、ニコラス・ケイジ主演の『ゴーストライダー』(2007)も、悪魔に魂を売り渡すダークヒーローという共通点が、以前当連載でも取り上げた『ヘルボーイ』(2004)は、やはりリブートが計画されており、見比べる楽しさもあることでしょう。

さらに一歩進んで、社会派サスペンス的要素も備えた大人向けR-15アメコミ映画の『ウォッチメン』(2009)は必見です。

DCコミック映画を多数手掛けて来たザック・スナイダー監督作品で、スタイリッシュな映像、アクションと合わせて、徹底的にハードボイルドなストーリー展開は、旧来のアメコミ映画が苦手な大人の観客すら満足させるものに仕上がっています。

次回の「最強アメコミ番付評」は…

いかがでしたか。

次回の第18回戦では、『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』を考察していきます。

お楽しみに!

【連載コラム】『最強アメコミ番付評』記事一覧はこちら

関連記事

連載コラム

映画『ヤクザプリンセス』ネタバレあらすじ感想とラスト結末の解説。原作グラフィック・ノベルの合作アクションは妖刀村正が悪を斬る|未体験ゾーンの映画たち2022見破録1

連載コラム「未体験ゾーンの映画たち2022見破録」第1回 映画ファン毎年恒例のイベント、今回で11回目となる「未体験ゾーンの映画たち2022」が、2022年1月7日(金)よりヒューマントラストシネマ渋 …

連載コラム

映画『バスケットケース』ネタバレ感想。ラスト結末までのあらすじ紹介も|SF恐怖映画という名の観覧車44

連載コラム「SF恐怖映画という名の観覧車」profile044 新宿の映画館「K’s cinema」で6月8日より開催される「奇想天外映画祭 Bizarre Film Festival~F …

連載コラム

映画『蒲田前奏曲』安川有果監督「行き止まりの人々」感想と考察。セクハラ・パワハラを受けた女優たちが見た“わずかな光”|映画という星空を知るひとよ14

連載コラム『映画という星空を知るひとよ』第14回 中川龍太郎、穐山茉由、安川有果、渡辺紘文という4人の監督による連作スタイルの長編映画『蒲田前奏曲』。今回は、第3番安川有果監督「行き止まりの人々」をご …

連載コラム

映画『アネット』あらすじ感想と意味考察解説。アダムドライバーは“アダム”を演じる?スパークス×レオスカラックスが紡ぐ“病める愛の歌”|のび編集長の映画よりおむすびが食べたい6

連載コラム『のび編集長の映画よりおむすびが食べたい』第6回 「Cinemarche」編集長の河合のびが、映画・ドラマ・アニメ・小説・漫画などジャンルを超えて「自身が気になる作品/ぜひ紹介したい作品」を …

連載コラム

映画『ドーナツキング』感想解説と考察評価。一文無しから億万長者へ資産2000万ドル (約21億6000万円)を所有する“ドーナツ王”|だからドキュメンタリー映画は面白い64

連載コラム『だからドキュメンタリー映画は面白い』第64回 今回取り上げるのは、2021年11月12日(金)より、新宿武蔵野館ほかにて全国順次公開の『ドーナツキング』。 『エイリアン』(1979)、『グ …

Cinemago|想像力の海へ、シネマダイビング。
ACT1|次の物語は、人からはじまる。
Cinemagoオンラインショップ|DVD・鑑賞チケット・オリジナルグッズ
『血を吸うスマトラオオコンニャク』
【坂井真紀インタビュー】ドラマ『家族だから愛したんじゃなくて、愛したのが家族だった』女優という役の“描かれない部分”を想像し“元気”を届ける仕事
【光石研インタビュー】映画『逃げきれた夢』
映画『ベイビーわるきゅーれ2ベイビー』伊澤彩織インタビュー
映画『Sin Clock』窪塚洋介×牧賢治監督インタビュー
映画『ONE PIECE FILM RED』谷口悟朗監督インタビュー
【連載コラム】NETFLIXおすすめ作品特集
【連載コラム】U-NEXT B級映画 ザ・虎の穴
星野しげみ『映画という星空を知るひとよ』
編集長、河合のび。
映画『ベイビーわるきゅーれ』髙石あかりインタビュー
【草彅剛×水川あさみインタビュー】映画『ミッドナイトスワン』服部樹咲演じる一果を巡るふたりの“母”の対決
【柄本明インタビュー】映画『ある船頭の話』百戦錬磨の役者が語る“宿命”と撮影現場の魅力
日本映画大学