映画『STILL LIFE OF MEMORIES(スティルライフオブメモリーズ)』は、7月21日(土)より、新宿K’s cinemaほか全国順次ロードショー!
フランスの芸術家アンリ・マッケローニの作品に触発された、『ストロベリーショートケイクス』の矢崎仁司監督。
矢崎監督はマッケローニ作品が持つ、スキャンダリズムの舞台を日本に移して、独自の視点と映像で表現したアート・ムービー。
これはエロスか…、それともアートなのか…、脳裏に焼き付くアートの数々をあなたは、どう観ますか?
CONTENTS
映画『スティルライフオブメモリーズ』の作品情報
【公開】
2018年(日本映画)
【監督】
矢崎仁司
【キャスト】
安藤政信、永夏子、松田リマ、伊藤清美、ヴィヴィアン佐藤
【作品概要】
フランスの画家で写真家でもあるアンリ・マッケローニの写真集『とある女性の性器写真集成百枚ただし、二千枚より厳選したる』の1つとして、同じ写真がない女性の肉体の豊かさと神々しさ。
それを可能にしたマッケローニと自らを撮らせ続けた愛人と過ごした2年間に触発された矢崎仁司監督が、日本に舞台を移し、日本ならではのテイストも盛り込むことで独自の解釈と視点で描き出したアート・ムービー。
矢崎仁司監督のプロフィール
監督作品:××× KISS KISS KISS(2015)
矢崎仁司は、1956年11月20日生まれ、山梨県出身の映画監督。
日本大学芸術学部映画学科在学中に『風たちの午後』で監督デビューを果たします。デビュー作にして数多くの海外の映画祭に招待され、注目を集めました。
1992年に『三月のライオン』でも海外で評価され、ベルギー王室主催ルイス・ブニュエルの「黄金時代」賞を受賞します。
その後、イギリスに留学した矢崎監督は、2000年にロンドンを舞台に4時間以上の長編『花を摘む少女と虫を殺す少女』を発表。この作品が矢崎監督のインディペンデント映画の区切りとなりました。
監督作品:『ストロベリーショートケイクス』(2006)
監督作品:『1+1=11』(2012)
2006年には商業映画として製作した『ストロベリーショートケイクス』でもロッテルダム国際映画祭他、数多くの映画祭で賞を受賞。
その後も『スイートリトルライズ』など商業映画を製作しますが、2012年からは『1+1=11』などインディペンデント映画の製作にも復帰し、商業映画とインディペンデント映画を両方手掛ける監督となりました。
【フィルモグラフィー】
監督作品『無伴奏』(2016)
1980年 『⾵たちの午後』
1992年 『三⽉のライオン』
2000年 『花を摘む少⼥と⾍を殺す少⼥』
2006年 『ストロベリーショートケイクス』
2006年 『ハヴァ・ナイスデー(短編)』
2010年 『スイートリトルライズ』
2011年 『不倫純愛』
2012年 『1+1=11』
2014年 『太陽の坐る場所』
2015年 『×××(Kiss Kiss Kiss)』
2016年『無伴奏』
2018年『スティルライフオブメモリーズ』
映画『スティルライフオブメモリーズ』の主なキャスト
安藤政信(春馬役)のプロフィール
安藤政信は、1975年5月19日生まれ、神奈川県出身の俳優。
高校生のときにスカウトされ芸能界に入ります。
1995年テレビドラマ『好きやねん』でドラマデビュー、1996年に北野武監督作品『キッズ・リターン』で映画デビューを果たします。
『キッズ・リターン』での演技が評価され、数々の映画賞を受賞します。
2000年の『バトル・ロワイアル』では悪役ながら、圧倒的な存在感を放ち、『サトラレ』『RED SHADOW 赤影』では主役に抜擢されます。
その後も数々のインディペンデンド系作からメジャー作、『コード・ブルー-ドクターヘリ緊急救命-』などのテレビドラマにまで幅広く出演、2018年7月公開の映画『劇場版コード・ブルー-ドクターヘリ緊急救命-』にも出演しています。
近年はレスリー・キープロデュースで作品を発表するなど、写真家としても活動するなどマルチな才能の持ち主です。
永夏子(怜役)のプロフィール
永夏子 は、1983年8月3日生まれ、東京出身の女優。
2004年から舞台を中心に活躍。2006年には『名古屋嬢の恋』でドラマデビュー、2010年に『恋するナポリタン~世界で一番おいしい愛され方~』で映画デビューを果たします。
2011年の映画『そのうちぼくらは』では主演に抜擢されました。
女優業のほかに、心理カウンセラー業もこなすマルチな才能を持ち、『痛快TV スカッとジャパン』の再現ドラマにも出演中です。
松田リマ(夏生役)のプロフィール
松田リマ は、1994年1月6日生まれ、群馬県出身の女優。
2013年に『山田くんと7人の魔女』でドラマデビューを果たし、その翌2014年には『ライヴ』で映画デビューを成し遂げます。
バラエティ番組やCM、舞台にも積極的に出演し、知名度を上げていきました。
『痛快TV スカッとジャパン』の再現ドラマにも出演していることでも話題となりました。
2017年の『お前はまだグンマを知らない』ではテレビシリーズ、映画版両方に出演しました。
映画『スティルライフオブメモリーズ』のあらすじ
新進気鋭の写真家である春馬の個展が開催されているギャラリーに、たまたま入った山梨県立写真美術館のキュレーターの怜は、春馬の写真に心を奪われます。
ギャラリーですれ違った春馬の眼差しに心を惹かれた怜は、春馬に撮影を依頼します。
それは、自分の性器を撮ってほしいという依頼でした。
突然の依頼に戸惑う春馬でしたが、怜の性器に向かってシャッターを切ります。そして次の週も怜から撮影依頼が入ります。
そんな依頼がきっかけで、今まで自分が撮っていた植物の写真と女性性器写真集との関連に気づきます。
何故、そんな依頼をするのかという謎を解くため、撮影を待ち侘びるようになります。
謎を解くため、密かに怜の後を尾けた春馬は、怜が自分の体を使って、マッケローニと同じことをしようとしたことを知ります。
自分の素性を探った春馬に腹を立てた怜でしたが、春馬の「やっと自分の被写体をみつけた」「作品を完成させたい」という思いに魅せられ、撮影を再開することになります。
春馬の彼女で妊娠中の夏生は、やがて怜の存在を知ることになります。しかし、創作作業という自分の立ち入れない空間にもどかしさを感じる夏生。
交差する3人はどこへ向かうのか…。
映画『スティルライフオブメモリーズ』の感想と評価
フランスの画家・写真家のアンリ・マッケローニが撮り続けた、女性器の写真の数々に触発された矢崎仁司監督。
彼の故郷でもある山梨県を舞台に移し、その写真によって、交差する3人の奇妙な愛のかたちを描いたアート・ムービーです。
この映画ではじめてアンリ・マッケローニという名前を聞いた人も少なくはないと思います。
逆に言えば、知らないからこそ、この映画を女性器アートの探求に生涯をかけたアーティストがいたということを知るきっかけとなる作品として、あなたの想像を超える、新しいアートに足を踏み入れる感覚を体験できるかもしれません。
アートとは何なのか…、改めて考えさせられることは間違いありません。
写真というアートから、映画というアートが作られ、そしてまた題材となったアートが知られる…。
アートからアートへの橋渡しができるのも映画の持つ力・特徴と言ってもいいでしょう。
近年はレスリー・キーのプロデュースで写真集を発表するなど、写真家としても活躍している、安藤政信が写真家の役を演じているため、写真家の気持ちにが演技にも投影されていて、とても説得力があります。
まとめ
そもそもアンリ・マッケローニとは?
1932年生まれのフランスの画家・写真家です。
ポストシュルレアリスムの画家として作品を発表しながら、69年からは女性器の撮影を開始します。
そして、この映画の原点となる『とある女性の性器写真集成百枚ただし、二千枚より厳選したる』が完成します。
この写真集は。その題材から女性解放運動家の標的となり、一大スキャンダルを巻き起こすことになりました。
その後、個展などで一部観ることはできましたが、写真集そのものは現在も日本への輸入が禁止されています。
そのため、写真家の間では名前が知られていても、この日本では一般的にはなかなか名前を耳にすることのないアーティストです。
長年、海外を見てきた視野の広さを持つ、矢崎仁司監督だからこその題材、映画テーマだと言っていいのかもしれません。