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Entry 2025/09/21
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【映画ネタバレ】チェンソーマン レゼ篇|考察あらすじ感想と結末評価解説。漫画との違いד鈴付の飼い猫”ではないレゼの正体は?心中しても消え去った“あり得ない瞬間”

  • Writer :
  • 河合のび

なんで…初めて出会った時に 殺さなかったんだろう

ルックバック』の藤本タツキによる大人気漫画を、テレビアニメ化に続き劇場版アニメーション化した映画『チェンソーマン レゼ篇』。

年上の女性・マキマに恋するデンジの前に現れた、同年代の少女・レゼ。原作漫画でも1・2を争う人気エピソードの映像化が実現しました。

本記事では映画『チェンソーマン レゼ篇』のネタバレあらすじと共に、本作の魅力をご紹介

マキマの「飼い犬」なデンジに対するレゼの「飼い猫」のような描写、それが“ミスリード”の描写である理由とレゼの真の正体を考察・解説していきます。

映画『チェンソーマン レゼ篇』の作品情報


(C)藤本タツキ/集英社・MAPPA

【公開】
2025年(日本映画)

【原作】
藤本タツキ

【監督】
吉原達矢(*吉は「士」が「土」の異体字表記)

【脚本】
瀬古浩司

【主題歌】
米津玄師

【EDテーマ】
米津玄師、宇多田ヒカル

【声のキャスト】
戸谷菊之介、井澤詩織、楠木ともり、坂田将吾、ファイルーズあい、高橋花林、花江夏樹、内田夕夜、内田真礼、津田健次郎、高橋英則、赤羽根健治、乃村健次、喜多村英梨、上田麗奈

【作品概要】
シリーズ累計発行部数3,000万部を突破し、2025年9月現在は集英社「少年ジャンプ+」で第2部が連載中の人気漫画『チェンソーマン』の劇場版アニメーション作品。2022年のテレビアニメ版に引き続き、アニメスタジオ「MAPPA」が制作。

テレビアニメ版キャストの続投に加え、レゼ役・上田麗奈をはじめ高橋英則、赤羽根健治、乃村健次、喜多村英梨が出演。

主題歌はテレビアニメOPテーマ「KICK BACK」に続き担当したヒットメーカー・米津玄師。さらにEDテーマでは、日本を代表する歌手・宇多田ヒカルとの初コラボが実現した。

映画『チェンソーマン レゼ篇』のあらすじとネタバレ


(C)藤本タツキ/集英社・MAPPA

《チェンソーの悪魔》ことポチタとの契約を経て、自身の心臓にポチタの魂を宿し、何度殺されようとも蘇っては全てを斬り刻む《チェンソーマン》への変身が可能となったデンジ。

あらゆる概念の名をもって地獄から人間界へ生まれ落ち、人間の恐怖・嫌悪により強大な力を持つ超常存在《悪魔》に対処する公安対魔特異4課の長・マキマに拾われた彼は、デビルハンターとして同課の先輩隊員・早川アキやバディの《血の魔人》パワーと共に悪魔たちと戦うことに。

《刀の悪魔》と融合した《武器人間》サムライソードの一派による襲撃事件は解決したものの、どこか浮かない表情にするデンジに対して、マキマは映画館のはしごデートに誘います。

デートでのマキマに対する心臓の“ドキドキ”に「オレにも心がある」と実感し、「絶対に他の人を好きになったりしない」と決意するデンジでしたが、雨宿りのために入った公衆電話ボックスでカフェ・二道(ふたみち)のバイト店員であるレゼと出会います。

カフェ・二道に毎日通うようになり、自身に好意を向けてくれるレゼにすっかり恋してしまい、マキマとレゼの二人の女性の間で心が揺らぎ続けるデンジ。

一方のアキは、居場所が判明した家族の仇《銃の悪魔》の討伐遠征に参加できるだけの実績作りのため、手で触れた人間の寿命を無差別に吸い取り武器に変える力を持ち、サムライソード襲撃事件で殉職した先輩・姫野の代わってバディとなった《天使の悪魔》エンジェルと共に任務に明け暮れていました。

ある時「学校に行ったことがない」と話すデンジを、レゼは夜の学校探検に誘います。互いに裸になってプールで戯れるなど、デンジはさらにレゼに惹かれていきますが、トイレのために一人きりとなったレゼの前に、正体不明の男が姿を現しました。

裏社会の人間である男は、《台風の悪魔》との契約条件である「チェンソーの悪魔の心臓を入手する」を果たすため、レゼを殺害してその顔面の皮膚と眼球を材料に「お前の大切な女性はまだ生きている」と騙し、デンジまでも殺害する魂胆でした。

しかし、卓越した格闘術によってレゼは男を殺害。“格下”である台風の悪魔に死体の後始末を命じると、デンジの元へと戻っていきました。

レゼの誘いで、夏祭りに訪れるデンジ。それまで味わったことのない楽しさの中、学校にも通えず、悪魔との殺し合いを強いられる彼の境遇に以前から違和感を抱いていたレゼに「仕事やめて………私と一緒に逃げない?」と告白されます。

なぜそこまでするのかと問うデンジに「好きだから」と答えるレゼ。しかしながら、現在の仕事にやりがいを、同居人のアキ&パワーとの生活にも幸せを見出しつつあったデンジは、現在の境遇を捨ててしまうことをためらいます。

「デンジ君」「私の他に好きな人いるでしょ」……花火が上がる夜空をバックに、デンジにキスをするレゼ。そのままデンジの舌を噛みちぎり、喉を掻き切り、チェンソーマンに変身するための胸のスターターロープを引く前に腕を切り落としました。

以下、赤文字・ピンク背景のエリアには映画『チェンソーマン レゼ篇』ネタバレ・結末の記載がございます。映画『チェンソーマン レゼ篇』をまだご覧になっていない方、ストーリーのラストを知りたくない方はご注意ください。


(C)藤本タツキ/集英社・MAPPA

レゼがデンジの体内のチェンソーの悪魔の心臓を奪おうとしたその時、「血抜き」のために不在となったパワーのバディ代理として待機していた《サメの魔人》ビームは瀕死のデンジを抱えて逃走を図ります。

レゼはチェンソーの悪魔の心臓奪取のため、首の安全ピンを引き抜き《爆弾の悪魔》の姿へと変身。サムライソード同様に悪魔と融合した武器人間である彼女は、圧倒的な力でビームを追い詰めます。

公安対魔2課に所属していた頃の先輩・野茂に誘われ、同課の施設での格闘術訓練に参加していたアキ。そこに、一時ながらも辛うじてレゼの追跡を逃れたビームとデンジが到着します。

まもなくレゼが出現する中、野茂はアキたちを逃すため居合わせた2課メンバーと共に足止めを試みます。しかし、武器人間としての異能を最大限に活用し、デンジや同じ武器人間・サムライソードとは明らかに練度が異なる戦闘能力に、野茂や2課メンバーは歯が立ちませんでした。

野茂と2課副隊長の生首を手に、アキたちに追いつくレゼ。それでもアキたちは車での逃走を試み、その間にデンジ&ビームはエンジェルに与えられた血を糧に回復。チェンソーマンへ変身したデンジは、再び追いついてきたレゼに応戦します。

レゼの多種多様な爆弾攻撃と徹底した対策ぶりに、チェンソーマンの自慢である不死身の再生能力も追いつきません。手足ももげ黒焦げの塊と化したデンジを手にその場を去ろうとするレゼに、《未来の悪魔》との契約で寿命を代償に未来予知の能力を得たアキが立ち向かいます。

一時は撤退していた《暴力の魔人》ガルガリがアキに加勢するも、レゼの方もビル並みの巨躯を持つ台風の悪魔が加勢。そこに、エンジェルとビームの手で蘇生されたデンジが乱入します。

チェンソーの悪魔を慕い、その“勇姿”を知るビームに「チェンソーのチェーンを伸ばし、建物から建物へ高速移動する」というチェンソーの悪魔の戦闘スタイルを教えられるも、デンジは完全に無視。異形の鮫に変貌したビームの口にチェーンを引っ掛けた乗馬スタイルで、高い機動力を持つレゼや超大型の台風の悪魔に対抗します。

台風の悪魔が放つ暴風がますます強まる中、吹き飛ばされかけるエンジェル。助けようとするアキに彼は「死ぬ覚悟はずっとできている」と諦めるよう促しますが、かつて目の前で家族と姫野を失ったアキは、僅かな寿命ながらもエンジェルの手を掴んで暴風から救いました。

ビームとの協力で、台風の悪魔も見事に斬り刻んでみせたデンジ。しかし、レゼはビームへの集中攻撃によってデンジの機動力を奪い、港へと追い詰めました。

戦闘能力の差は以前として変わらぬ中、デンジはビームから教えられた通りチェンソーのチェーンを伸ばしたかと思うと、自らとレゼの体をチェーンで巻きつけて共に海へ落下。そのまま暗い海底へと沈んでいきました……。

夜明け、波打ち際で目覚めるレゼ。彼女と共にビームに海底から救助されたデンジは、レゼにトドメを刺すことなく蘇生させました。助けた理由についてデンジは、レゼを捕まえて公安に引き渡したら「魚の骨がノドに突っかかる気がする」とだけ答えました。

「殺されるなら美人に」という座右の銘を語るデンジに、レゼは今までの好意の仕草は“訓練”で身につけた嘘でしかないと告げると、“任務の失敗”を理由に逃亡することを明かします。そんな彼女に、デンジは「一緒に逃げねえ?」と誘います。

彼の言葉を受けたレゼは、デンジに近づいたかと思いきや首を折って行動不能状態にし、その場を後にします。デンジは身動きが取れない中、それでも「今日の昼に、あのカフェで待ってるから」と叫びました。

その後、これまでの給料と僅かな荷物を手に、アキ&パワーと暮らす部屋を出るデンジ。そして、たくさんの花を包んだ花束を手に、カフェ・ニ道でレゼを待つことにしました。

ソ連が国家戦士を作成するため、人体実験要員として集めた子どもたち「モルモット」の一人だったレゼ。彼女は一度は逃亡を図りますが、デンジが待っているかもしれないカフェ・ニ道へと向かいました。

しかしカフェへと通じる路地裏の道で、レゼはネズミの大群……そして、マキマと遭遇。レゼは爆弾の悪魔に変わろうとするも、屋上で待機していたエンジェルの奇襲に遭い、変身すらできずに決着がつきました。

「デンジ君 ホントはね」「私も学校いった事なかったの」……レゼの心の声が、カフェで待つデンジに届くことはありませんでした。

カフェの閉店時間になっても、デンジの前にレゼが訪れることはありませんでした。カフェのマスターに慰めの言葉をかけられる中、店の扉が開きましたが、そこに現れたのはパワーでした。

落胆するデンジのこともお構いなしに、手にしている花束を見るや、いつもの調子で「差し出せ!!」とねだってくるパワー。デンジは言葉を発することなく、ただムシャリと花を食べるのでした……。

映画『チェンソーマン レゼ篇』の感想と評価


(C)藤本タツキ/集英社・MAPPA

“主人”の違う、飼い犬と飼い猫

映画終盤でレゼと対峙したマキマが語った、作物を荒らす田舎のネズミを犬たちに食い殺させる話。その話の中に登場する犬が、マキマにとって「親のいない元・野良の飼い犬」であるデンジを象徴しているのは、原作漫画ひいてはテレビアニメ版で描かれていた彼の境遇を振り返れば明白です。

対して、レゼもまた「飼い犬」ならぬ「飼い猫」なのだと象徴的に描かれていることも、デンジとの初対面で来ていたTシャツの「鈴」の柄、そして映画オリジナル描写としてたびたび作中に登場した野良猫たちから推察できます。

また、同じく映画オリジナル描写である「アキ&パワーと同居する家を離れる場面で、デンジがパワーの愛猫・ニャーコに手を振って別れを告げる姿」からも、デンジが猫のことを「レゼを象徴する存在」として認識していたのが理解できます。

主人にゾッコンな元・野良のおバカな飼い犬が、別の主人の下で生きる元・野良の美しい飼い猫に恋をする……誰が見ても失恋という結末しか待ち受けていない恋の物語は、公衆電話ボックスで出会った時点で提示されていたのです。

猫のフリをした“逃げたいネズミ”


(C)藤本タツキ/集英社・MAPPA

まるで「飼い猫」のような存在だと象徴的に描かれているレゼですが、それがあくまでもミスリードに過ぎなかったことは、イソップ寓話の一篇『田舎のネズミと都会(町)のネズミ』を通じて明かされていきます。

『田舎のネズミと都会のネズミ』の内容を聞かせ、どちらのネズミの境遇を選ぶのかをデンジに尋ねるレゼ。田舎の方が平和でいいと言う彼女に対して、デンジは「都会で暮らす飼い犬」としての答えを返します。

それは、「デンジとレゼは、決して結ばれることはない」という致命的な予感を、読者と観客に抱かせる場面でもあります。

そして映画終盤に明かされる、レゼの真の境遇。「飼い猫である彼女の“主人”は国家だった」という事実を通り越して、通称「モルモット」と呼ばれる人体実験要員の孤児……国家の重要機関が置かれる“都会”で虐げられてきた“ネズミ”こそが、レゼの真の正体であったことが語られるのです。

ネズミを狩る強い飼い猫のフリをした、“都会”から逃げたがっている弱々しいネズミ。そんなレゼの本当の姿をデンジにすべて知ってもらう前に、彼女はデンジの“主人”であるマキマに狩られます。

しかしながら、レゼを狩ったマキマの“飼い犬”の一頭である《天使の悪魔》エンジェルもまた、「都会に連れてこられた田舎のネズミ」を感じさせる過去が描写されていることも無視できないでしょう。

まとめ/犬とネズミの雨宿り、あり得ない瞬間


(C)藤本タツキ/集英社・MAPPA

雨宿りを通じて出会ったデンジとレゼは、その後の夜の学校探検でも台風の悪魔による大雨のために校舎内で雨宿りをするなど、その逢瀬ではたびたび「雨宿り」が描かれていました。

それは、「本来は狩り・狩られる立場である『犬』と『ネズミ』が、争うことなく同じ場所・時間を過ごすとしたら、どんなシチュエーションなのか」という問いへの答えであり、雨が止んでしまった途端、本来はあり得ない=かけがえのない瞬間は消え去ってしまうことも意味しています。

決して叶うことのない、続くことのない、犬とネズミの恋

もし誰にも救助されることなく、二人で海底に沈んだままでいられたら。そこで、二度と体験できないであろうプールでの戯れの記憶を、いつまでも思い出せていたら……。

デンジとレゼの死闘の果てにたどり着いた決着方法。それが、どうあがいても「悲恋の果ての心中」の方法にしか見えないのは、原作漫画でも映画でも変わらないはずです。

編集長:河合のびプロフィール

1995年生まれ、静岡県出身。2019年に日本映画大学を卒業。映画評を寄稿する一方、映画配給レーベル「Cinemago」宣伝担当として、『ザ・エクソシズム』『Kfc』のキャッチコピー作成なども行う他、『獄舎Z』『トレジャー・アイランド』の字幕監修を手がける。2025年公開のタン・チュイムイ監督・主演作『野蛮人入侵(原題)』では、日本公開版タイトル『私は何度も私になる』を命名した(@youzo_kawai)。


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