湯川と少年の切なく美しいひと夏を描くサスペンス
東野圭吾原作、福山雅治が天才物理学者・湯川学を演じる人気テレビドラマ「ガリレオ」シリーズの劇場版第2作。
子ども嫌いの湯川が、少年・恭平と海辺の町で夏を過ごすことになり、殺人事件に巻き込まれていきます。
吉高由里子、北村一輝らシリーズのレギュラー陣に加え、杏、風吹ジュン、前田吟らが出演。監督は前作『容疑者Xの献身』(2008)と同じく西谷弘が務めます。
思いがけない事件に巻き込まれていく湯川でしたが、その結末はあまりにも苦いものでした。少年と奇妙な友情を結ぶ異色のガリレオシリーズの魅力をご紹介します。
映画『真夏の方程式』の作品情報

(C)2013 フジテレビジョン アミューズ 文藝春秋 FNS27社
【公開】
2013年(日本映画)
【原作】
東野圭吾
【監督】
西谷弘
【脚本】
福田靖
【編集】
山本正明
【キャスト】
福山雅治、吉高由里子、北村一輝、杏、前田吟、風吹ジュン、白竜、塩見三省、山崎光、西田尚美、田中哲司
【作品概要】
福山雅治主演の人気テレビドラマ「ガリレオ」シリーズ劇場版第2作。原作はベストセラー作家の東野圭吾。監督を前作『容疑者Xの献身』(2008)に続き西谷弘が務めます。
美しい海辺の町で少年と出会った天才物理学者の湯川。すると、そこで元刑事の変死体が発見され、16年前の殺人事件との関係が浮かび上がり、ふたりは事件に巻き込まれていきます。
吉高由里子、北村一輝らレギュラー陣が顔を揃えるほか、杏、風吹ジュン、前田吟らが出演します。
映画『真夏の方程式』のあらすじとネタバレ

(C)2013 フジテレビジョン アミューズ 文藝春秋 FNS27社
美しい海が残る玻璃ヶ浦で海底資源の開発計画が持ち上がり、科学者の湯川は海底鉱物資源開発説明会のアドバイザーとして招かれました。
玻璃ヶ浦へ向かう列車の中で、湯川は恭平という少年と出会います。恭平は親戚の川畑家が営む旅館「緑岩荘」で過ごすこととなっていました。
説明会で開発反対派のリーダー的存在の川畑家の娘・成実と湯川は顔を合わせます。
その後、湯川は宿泊先の「緑岩荘」で恭平と成実と再会しました。
やがて旅館の近くの海辺で男性の変死体が発見され、遺体の身元が「緑岩荘」に宿泊していた元捜査一課の刑事・塚原とわかります。
地元警察は誤って転落した事故死として処理しようとしますが、塚原の堅実な人柄を知る元同僚の刑事らは他殺を疑います。
現地入りした捜査一課の岸谷美砂は、塚原の死に不可解な点があることに気づき、湯川に事件解決への協力を依頼しました。
映画『真夏の方程式』の感想と評価

(C)2013 フジテレビジョン アミューズ 文藝春秋 FNS27社
湯川と少年・恭平との運命の出会い
あまりにも切ないひと夏の友情の物語です。子供嫌いの湯川が、海辺の町で出会った少年・恭平と、忘れられない夏を過ごします。
いつもなら子供の相手をするとじんましんが出てしまうほど子供嫌いの湯川。ところが、恭平相手なら症状が出ないことに気づきます。湯川自身でも気づかないうちに、少年を運命の相手だと悟っていたのかもしれません。
恭平は、湯川が泊まった旅館・川畑家の親戚の子供でした。理科嫌いだという恭平を連れて、湯川はペットボトルで作ったロケットを沖に飛ばし、中に仕込んだ携帯のカメラを使って少年に美しい海底を見せてやります。
狙った200m先に飛ばすために何度もテストを繰り返す湯川を見て、少年は実験、検証、修正をする大切さと面白さを目の当たりにします。画面に映った美しい魚の泳ぐ海底を見て、歓喜の声をあげる少年を見つめる湯川の優しい瞳に心動かされることでしょう。
真っ青な空、透き通るほどに美しい海、降り注ぐ太陽の光。目を輝かせる少年と彼を見つめる湯川。この情景の美しさが、ラストの厳しい真実との対比によって、より鮮烈な輝きを放ちます。
過去を探りにやって来た元刑事・塚原を脅威に思った重信は、娘を守るために彼の殺害を決心します。しかし、それは、自分ではなく恭平が手を下すという恐ろしく罪深い方法でした。
ロケット花火が室内に飛び込まないようにと言い含められ、素直に屋上の煙突に濡れた段ボールを乗せた恭平でしたが、それは、ボイラーで一酸化中毒を起こすために重信が考えついた工作でした。
まだ自分がやったことの意味がわからない恭平の将来を、湯川は深く心配します。重信の殺人の罪を暴かなかったのは、知らぬうちに実行犯にされてしまった恭平の人生を守るためでした。
そして、16年前の殺人事件の真犯人・成実に、将来恭平の心を守るという使命を与えます。
湯川と恭平が過ごしたキラキラ輝く時間。そして、湯川が言った「君はひとりじゃない」という言葉。恭平が真実にたどり着くまでに過ごすであろう苦悶の時代、湯川との想い出がきっと恭平の心のお守りになってくれるに違いありません。
成実を愛し抜いた家族たち

(C)2013 フジテレビジョン アミューズ 文藝春秋 FNS27社
本作の大きな見どころのひとつは、旅館を営む川畑一家の強い家族愛です。本作のヒロイン・成実は玻璃ヶ浦の海をこよなく愛し、ブログを開いてその美しさを発信していますが、そこには大きな秘密がありました。
成実は16年前、少女だった頃に殺人を犯していました。ブログは、彼女の罪をかぶって服役してくれた玻璃ヶ浦出身の実の父・仙波へのメッセージだったのです。
成実の育ての父親・重信は、実の子ではないと知りながらも、成実を愛して大切に育ててきました。妻・節子への深い愛も、娘を愛する原動力となっていました。
重信は、真実を追い求める元刑事・塚原を恐れ、娘を守りたい一心で彼を殺害してしまいます。湯川はすべてを知りながらも、恭平の心と重信らの愛を守る道をとります。
娘の罪をかぶって服役した実父・仙波、それを認め、娘には秘密を守るように諭し続けた母・節子、真実を知っていることを明かさぬまま、娘を守るために元刑事を殺害した養父・重信。彼らのとった行動はあまりにも愚かです。しかしながら、そこには間違いなく真実の愛がありました。
愛に包まれ守られてきた成実は、この先もきっと前を向いて生きていけるはずです。そして、いつの日か彼女に真実を聞きにくる恭平を強く抱きしめ、支える存在となるに違いありません。
まとめ

(C)2013 フジテレビジョン アミューズ 文藝春秋 FNS27社
事件の真相が明らかになった後も、苦い後味が残る秀作『真夏の方程式』。人の心のどうしようもない哀しさと共に、この上ない美しさも映し出します。
子供を守るために嘘をつき、幾重にも罪を重ね続ける大人たち。間違ったことだとわかっていても、善悪の区別がつかなくなるのが親の愛なのかもしれません。
湯川もまた、幼い恭平の心を守ることを一番に考えます。彼は恭平の親戚である成実に託すことで、少年の未来を守る確かな方法を選びとりました。
側にいてやることは叶わなくても、湯川はずっと恭平の心に寄り添い続けることでしょう。大人になった恭平は、きっとその事実に気づいてくれるに違いありません。


































