パク・サンヨンのベストセラー小説をキム・ゴウンとノ・サンヒョン主演で映画化
映画『ラブ・イン・ザ・ビッグシティ』は、“普通に馴染めない2人”が、傷つきながらも自分らしく生きようと奮闘する姿をソウルを舞台に描きます。
他人の目を気にせず自由奔放に生きるジェヒと、ゲイであることを隠しているフンス。
タイプの違う2人は大学で出会い、あることをきっかけに生活費を折半することを条件に同居生活を始めます。
「国際ブッカー賞」や「ダブリン文学賞」にノミネートされたパク・サンヨンのベストセラー小説『大都会の愛し方』を映画化。
自由奔放に生きるジェヒを演じたのは『破墓/パミョ』(2024)のキム・ゴウン、穏やかで繊細なフンス役にはドラマ『Pachinko パチンコ』(2022)で話題となったノ・サンヒョン。
監督を務めたのは、『女は冷たい嘘をつく』(2017)のイ・オニ。
映画『ラブ・イン・ザ・ビッグシティ』の作品情報

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【日本公開】
2025年(韓国映画)
【英題】
Love in the Big City
【監督】
イ・オニ
【原作】
パク・サンヨン
【キャスト】
キム・ゴウン、ノ・サンヒョン、チョン・フィ、オ・ドンミン、チャン・へジン、イ・サンイ、クァク・ドンヨン、チュ・ジョンヒョク、イ・ユジン
【作品概要】
「国際ブッカー賞」や「ダブリン文学賞」にノミネートされたパク・サンヨンのベストセラー小説『大都会の愛し方』を映画化。
W主演を務めたのは、『破墓/パミョ』(2024)のキム・ゴウン、ドラマ『Pachinko パチンコ』(2022)のノ・サンヒョン。
監督を務めたのは、『女は冷たい嘘をつく』(2017)のイ・オニ。
映画『ラブ・イン・ザ・ビッグシティ』のあらすじとネタバレ

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ゲイであることを隠して生きるフンスは、ある日、クラブの近くの路地で大学の教授とキスをしているところに、背中を叩かれます。
振り返るとそこにいたのは同じ大学で同じフランス語学科に通うジェヒでした。「がっつきすぎ」と笑うジェヒは相手が大学の教授と知り、気まずそうに会釈をします。
「飲みに行こう」と誘うジェヒに「弱みを握ったつもりか、女とは飲みに行かない」とフンスは言い、ジェヒは不思議そうな顔をしていました。
秘密を抱え、周囲を気にするフンスとは真逆で、ジェヒは何かと目立つ存在でした。高校生の頃にフランスに留学していたというジェヒは、個性的なファッションで授業が終わると人目も気にせず一番にタバコを吸いに行きます。
そんなジェヒについて、「目立ちたいだけ」と馬鹿にしたり、嫌味を言う人ったり、ジェヒの恋愛事情をあることないこと陰口叩く生徒がいる中、フンスは静観していました。
ある日、数人の男子生徒がホテルに入っていく男性2人の姿を見たという話をしていました。その2人のうち1人がフンスに似ていたとヒソヒソ言う声が聞こえ、フンスは動揺します。
「ごめん、昨日持って帰っちゃった」とフンスの視界に飛び込んできたのは、何とジェヒでした。ライターを渡し、フンスの頬を両手で押さえると、フンスにしか聞こえないように「笑いなよ」と言います。ジェヒなりにフンスを庇ってくれたのです。
そして、ジェヒが学校の大きな噂の種となってしまう事件が起きました。誰かが女性の胸の写真を流出させ、その写真の人物がジェヒだと言うのです。
ジェヒは、試験の日に試験を提出して教室を去る際に、服を捲し上げ胸を皆に見せ「ホクロなんかない」と写真の人物は自分ではないと皆の前で証明したのです。
ジェヒの驚くべき行動は事件として語り継がれるようになってしまいました。フンスはジェヒに飲みに行こうと誘い、2人は人に話せない、話しても噂話にされるような互いの恋愛の話をし、毎晩のようにクラブで飲み明かす仲になりました。
「あなたらしさがどうして弱みになるの?」。自分らしく振る舞うジェヒは、それ故に誤解され、特に恋愛においては相手に合わせようとして振り回されていました。
一方で、フンスはクラブで知り合った人とホテルに行き肉体的な関係は持ちますが、恋愛関係になることを避けていました。ゲイであることで、世間から向けられる視線を気にしていました。
2人は毎晩のように飲み歩き、一人暮らしをしているジェヒの家にフンスが泊まることもありました。
下着が盗まれたというジェヒの話を相手にしていなかったフンスでしたが、ジェヒの家にいた際にベランダの向こうに男性がよじ登っている姿を発見し、警察に通報しましたが、強がっていても怯えているジェヒに、フンスは一緒に住むことにします。
生活費を折半し、2人の共同生活が始まりました。
映画『ラブ・イン・ザ・ビッグシティ』の感想と評価

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「男女の間に友情は成立するのか?」という議論をしたことがある、もしくは耳にしたことがある人は多いかもしれません。
その問いが、いかにシスジェンダーの異性愛者中心で差別的であるかということについて考えたことのある人はどのくらいいるでしょうか。
映画『ラブ・イン・ザ・ビッグシティ』は、パク・サンヨンの小説『大都会の愛し方』の一編「ジェヒ」を元に映画化されました。
『大都会の愛し方』は、ゲイの登場人物が出てくる小説ですが、著者のパク・サンヨン自身はカミングアウトしていません。
クィア文学を書く著者のアイデンティティまで公開する義務はなく、本人以外がアイデンティティを決めつけるものでもありません。
そのようなカミングアウトについても、本作では描かれています。フンスは、自身が男性が好きであることは自認していますが、自分から「ゲイだ」とは周りはおろか家族にも言っていませんでした。
だからこそ、フンスを守るためであったとしても、ジェヒがフンスにアウティングをしたことは大きなショックでした。
ありのままのフンスを受け入れ親友となったジェヒは、分かってくれていると思っていたけれど、やはり決定的に違う、そちら側の人間なのだとはっきりフンスが感じてしまうのです。
それでも、ジェヒがピンチの時は咄嗟に助けに行くのが、フンスとジェヒの友情であり、フンスにとってジェヒは大切な存在でした。
LGBTQ映画といえば、ラブロマンスや性自認、カミングアウトを中心に描いていた地点から少しずつ新たなLGBTQ映画が出始め、様々な生きづらさや社会との壁が可視化されてきました。
その延長線にあると言ってもいい本作は、同性愛者であるフンスと異性愛者であるジェヒを通して、それぞれの生きづらさを描くとともに、成長譚として2人が過ごしてきた歳月を描き出します。
自分の思うまま、他人を気にせず自由奔放に生きるジェヒは、それによって偏見や陰口の対象になってしまいます。
目立つ存在に対する厄介や爪弾きは、集団の深層心理として同じくムラ社会的な価値観が残る日本においても共感できるものはあるかもしれません。
自由奔放に生きているように見えるジェヒは、本当は不器用で、恋愛に関しては相手に好かれようと合わせてしまう側面もあり、相手の男性に都合よく扱われ、うまくいかない恋愛ばかり繰り返しています。
そんなジェヒも、学生から社会人になると、周りに合わせなくてはいけないと学生の時以上に思い始め、会社に合う服装、空気を呼んで発言することを意識し始めます。
その頃出会った恋人も同様にジェヒを支配し、コントロールしようとする存在でした。そんなジェヒに「らしくない」と言ったのはフンスでした。フンスなりにジェヒのことを心配し、本当にその恋人で良いのか、と事あるごとにジェヒに言います。
社会に出てついていくのが必死で自分らしさを見失ってしまうジェヒの姿は、観客にとっても共感できると言えるでしょう。
一方で、フンスは中学生の頃に男性といるところを母に見られ、母は問い詰めらなかったけれど、それから教会に通うことになったというトラウマを抱え、常に気を張っている姿がうかがえます。
恋愛は面倒と、割り切った遊びの関係しか持とうとしないのも、トラウマがあるからでしょう。お酒を飲んで誰かと関係を持つのは、本当は誰かに愛されたい、ちゃんと恋愛をしたいという気持ちの表れともいえます。
だからこそ、面倒だと言いながらも恋愛関係を求めるスホに「そういうのはやめてくれ、面倒だ」と言いながらも、スホとの関係を切ることもなく続けていたのでしょう。
初めて会った時に汚してしまったグッチの靴も、ずっと前に買っているのに渡せずにいたのも、スホが離れた時に、会いにいく口実としてとっておきたかったのかもしれません。
「別れてくれ」と言ってもどこかで自分のことを待っていてくれると思っていたフンスは、別れると言ってからしばらく経ってスホに会いに行きます。
本当は靴を渡してやり直そうと言うつもりだったのかもしれませんが、スホは「恋人ができた」と言います。その言葉を聞いて、やっとフンスは自分が言葉にしてこなかった、スホの優しさに甘えていたことに気づくのです。
「執着が愛じゃないのなら、僕は愛したことがない」原作小説にも出てきたこの言葉は、映画ではスホがフンスに言った言葉です。
スホにとっては、自分がどんなに愛していてもフンスは変わらず、追いかけることに疲れたことを実感する言葉であり、フンスにとってはスホを失ってはじめて、自分の中にあったスホへの思いに気づく言葉になっています。
ジェヒとフンスが出会い、成長していく姿を通してそれぞれの生きづらさを矮小化せず描いている本作は、今までになかったLGBTQ映画であり、青春映画になっていると言えます。
まとめ

(C)2024 PLUS M ENTERTAINMENT AND SHOWBOX CORP. ALL RIGHTS RESERVED.
パク・サンヨンのベストセラー小説をキム・ゴウンとノ・サンヒョン主演で映画化した映画『ラブ・イン・ザ・ビッグシティ』。
2人の駆け抜けた青春を思い起こさせるようなエモーショナルな披露宴でのフンスのパフォーマンス。
原作小説でもジェヒの結婚式に主人公が祝歌を披露する場面がありますが、映画ではmiss Aの「Bad Girl Good Girl」を披露していますが、原作小説ではFin.K.L.になっていました。
この映画に合う曲をと探し選曲された「Bad Girl Good Girl」の歌詞には、「外見はバッドガール 中身はグッドガール うわべだけしか知らないくせに」などジェヒのキャラクターにピッタリと合った歌詞になっています。
不器用だけれど、ありのままを曝け出せて、肯定してくれる友人、自分の身近にそんな友人はいるでしょうか。
ありのままで生きることが簡単ではない現代において、非難されるよりは合わせたほうがマシだと思うことも多いでしょう。
だからこそ、傷つき葛藤しながらもぶつかっていく2人が眩しく見えるのです。


































