豪華キャストで贈る衝撃の実話をもとにしたサスペンス・アクション!
マイケル・オブロウィッツが脚本・製作・監督を務めた、2023年製作のアメリカのサスペンス・アクション映画『ザ・コンフィデンシャル』。
かつて戦場で共に戦い、現在はニューヨーク市警の麻薬取締官としてコンビを組んでいるソーントンとモラン。
しかしソーントンは酒と女に溺れ、モランはガンに体を蝕まれ余命いくばくもありませんでした。
自分が死んだ後の家族を心配したモランは、ソーントンにある計画を持ちかけます。2人が企てた計画は、警察組織を揺るがす事件へと発展して………。
映画『ザ・コンフィデンシャル』のネタバレあらすじと作品解説をご紹介いたします。
映画『ザ・コンフィデンシャル』の作品情報
(C)2024 DOOR E&M CORPORATION ALL RIGHTS RESERVED
【公開】
2023年(アメリカ映画)
【脚本】
マイケル・オブロウィッツ、マイケル・ケイチェック、ブルック・ナッサー
【監督】
マイケル・オブロウィッツ
【キャスト】
メル・ギブソン、ドミニク・パーセル、ニック・スタール、ケイト・ボスワース、ラッセル・リチャードソン
【作品概要】
『タリー・ブラウン、ニューヨーク』(1985)や『沈黙の標的』(2004)のマイケル・オブロウィッツが脚本・製作・監督を務めた、実話をもとにしたアメリカのサスペンス・アクション作品です。
『マッドマックス』(1979)や「リーサル・ウェポン」シリーズのメル・ギブソンや、アメリカのテレビドラマ『プリズン・ブレイク』(2005~2009)のドミニク・パーセルら豪華キャスト陣が出演しています。
映画『ザ・コンフィデンシャル』のあらすじとネタバレ
(C)2024 DOOR E&M CORPORATION ALL RIGHTS RESERVED
1995年、アメリカ・ニューヨーク。アメリカ海兵隊員として数年間の従軍のあと、ニューヨーク市警の麻薬取締官となったマイク・ソーントンとトム・モラン。
コカインブームの90年代、彼らの戦場は砂漠から都会に移りました。2人は時に揉めますが、生涯の相棒だと互いに分かっていました。
愛する妻と息子と幸せな日々を送るモランでしたが、だいぶ前から父親と同じ胃ガンによって体を蝕まれていました。
対してソーントンは、退役後の生活になじめず、酒とストリッパーのジンジャーに溺れる日々を送っていました。モランと家族を妬んでいました、自分より彼が窮地にいるとは知らずに…。
そんなある日、ソーントンたちは情報屋、通称セニョールとの待ち合わせ前に立ち寄ったバーで、かつての同僚である警官のフランクと会い老後の話をしました。
夢の年金暮らしを楽しみにしているソーントンたちに、フランクは給料が半減されるなど年金生活の現実は厳しく、いっそ殉職していればよかったと零します。
なぜなら自分が頑張った分、家族には自分の給料の満額の年金の他に市から50万ドル、遺族基金やあらゆる奨学金など多額のお金を遺すことができて、今よりも家族にいい暮らしをさせることができるからです。
翌日。ソーントンたちは夜の港で待ち合わせしたセニョールから、エイズ(後天性免疫不全症候群)にかかって余命いくばくもないことを告げられます。
そのせいで薬物中毒のセニョールにも妻子がいました。家族に何も残せない代わりに、そして自分の娘以外の他の子供の人生を壊させないために、彼は麻薬売買にかかわる人物の情報を売るのです。
自暴自棄になっている彼と明日また会う約束をした後、モランはソーントンに、自分も余命いくばくもないことを伝えました。
自分が死んだ後の家族を心配したモランは、昨日のフランクの話を聞いて、ある計画を思いつきます。
それは、勤務中のモランを誰かに殺させて、フランクが言っていた多額の保険を家族に遺すというものでした。
相棒の必死の嘆願に、ソーントンは計画に協力することにしました。
かつて共に戦った戦場で、ソーントンはモランに命を救われました。ソーントンにとってもこの計画の実行は危険な橋でしたが、命の恩人である彼の頼みとあらば断れません。
モランを殺す役として、セニョールが選ばれました。彼が情報屋だということは、2人だけしか知りません。
セニョールはこの計画に協力する代わりに、麻薬の売人コットから盗んだ大金を、プエルトリコにいる家族に送ってくれと2人にお願いしました。
ソーントンとモランは、早速コットのところへ強盗に入りました。セニョールの情報にはなかったもう1人売人がいて銃撃戦になったものの、誰も殺さずに大金を盗みました。
ソーントンたちは覆面で顔を隠しましたが、制服の上着を着たままでした。
彼らがやった強盗事件は、すぐに彼らのボスである警部補のケビン・ヒッキーの耳に入り、来週内部調査が行われることに。
それを知ったソーントンたちは、強盗に使った制服の上着と覆面を処分し、セニョールの要望どおり盗んだ金を彼の家族に送金しました。
計画の実行直前、ソーントンはモランに計画の実行に尻込みしていることを打ち明けます。
毎日悪夢を見ていること、それが計画を実行したらもっと苦しむことになること。モランの死後、彼の妻アナと息子のマークに真実を隠したまま向き合わなければならないこと。
もしモランを撃ったのが自分たちの情報屋だと誰かにバレたら、検察や内部調査局の質問を受けなければならない。でもモランの葬儀とチャイヨの警官殺し事件のことで頭が回らないこと。
もしかしたら終身刑となるかもしれない。そうなるくらいなら、死んで逃げる方が楽に思えてくることを…。
そう思う一方で、無意味に生きるより有意義に死ぬほうがいいということは理解できると、ソーントンはいいました。
そこへ、麻薬でハイになっているセニョールがやってきます。それをモランが咎めると、セニョールがやはり協力できないと言い出したのです。
2人は言い合いになりました。銃を突きつけられたセニョールは、思わず持っていた銃でモランを撃ってしまいました。
パニック状態に陥ったセニョールは、ソーントンの制止の声も聞かず、彼に向かって銃を乱射。ソーントンはやむを得ず彼を撃ってしまいました。
ソーントンは半分放心状態で車に戻り、その場から逃走。その後、ケビンと内部調査局の監査官ラーナーからの事情聴取を受けました。
ラーナーからの質問に対し、ソーントンは「デカい麻薬売買取引を追っていた俺たちは、麻薬常用者が多いあの場所で情報を探そうとしていた」「私服だったけれど警察だと2回叫んで奴に告知し、ランプも点灯していた」と答えました。
事情聴取を終えたソーントンはさらに酒にジンジャー、そして麻薬に溺れていきました。
映画『ザ・コンフィデンシャル』の感想と評価
かつて戦場で共に戦い、今では麻薬取締官としてコンビを組み、日々命懸けで悪党と戦っているソーントンとモラン。
2人が考えた計画は、モランが家族との最後の日々を犠牲にしてまでも、自分が死んだ後の家族が何不自由なく暮らせるようにと思ってのもの。
そしてそれを協力した情報屋で薬物中毒者のセニョールもまた、せめて最後に家族に何か残したいと思ってのことでした。
偶然にも利害が一致した3人は、計画を実行していきますが、全員がこの計画をすることによって訪れる未来を考えていないわけありません。その証拠に、計画実行するまでの3人が三者三様に悩み葛藤する姿が描かれています。
ソーントンがこの計画を実行せずとも、モランとその家族が幸せに生きる選択肢はないかと、何度も何度も彼に必死に訴える姿。相棒のもっともな意見を聞いても、家族のためと思って意思を曲げないモランの姿はとても切なかったです。
モランの死の真相を隠したまま、彼の遺志であるチャイヨ逮捕のためにチームと奮闘するソーントン。
ただでさえ相棒を目の前で失って悲しみ、彼の名誉のために計画を話すまいと必死に取り繕っている彼に、ラーナーが執拗に真実を求めて追い詰めていく様は、観ているこちらもモヤモヤするばかり。
どんなに反感を買っても、周りの制止を振り切って真実を求め続けたラーナー。
物語の後半まで彼は悪者に見えましたが、最後に計画のことは知らずとも2人がしたことに察しがついていたケビンとの話し合いの後に、ソーントンたちにとっていい人に変わりました。
そしてなんと、ラーナーが麻薬取締課に異動したなんてビックリです。安全圏にいた彼も、その正義を持って現場の警官として命懸けで悪党と戦うことを選択しただなんて。
まとめ
(C)2024 DOOR E&M CORPORATION ALL RIGHTS RESERVED
かつて戦場で共に戦い、今は麻薬取締官としてコンビを組んでいるソーントンとモランによる極秘計画と、その真相に迫る内部長局の監査官との戦いを描いたアメリカのサスペンス・アクション作品でした。
本作の見どころはモラン考案の極秘計画、それを実行するにあたっての彼らの葛藤、モランの意志であるチャイヨ逮捕のために奮闘するソーントンたち、真実を求めてそれを間接的に妨害してくるラーナーとの戦いです。
戦場の傷痕が心に深くえぐり込み、酒と女に溺れる日々を送るソーントンと、愛する家族との幸せな日々を送るも胃がんによって余命わずかとなってしまったモラン。対照的な生活を送る彼らですが、そのことで喧嘩することもなく、彼らのこれまで築き培ってきた強い絆は、モランの死後も続いていて感涙します。
また、本作の主演ではないメル・ギブソンも、部下思いで2人と同じ元軍人であるケビン警部補役を好演。こんな上司のもとで働きたいと誰もが思うほど、とっても頼りになる格好良い上司を演じていて惚れ惚れします。
そして、最初観た時は分からなかった物語の冒頭にあったケビンとラーナーの会話、これが物語の終盤にちゃんと描かれていて、「ああ、これはそういう意味だったのか」と伏線回収されている納得の傑作でした。