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『小さな私』あらすじ感想評価レビュー。“普通の人”でありたいと願う脳性麻痺の青年の葛藤と成長|TIFF東京国際映画祭2024-10

  • Writer :
  • 松平光冬

映画『小さな私』は第37回東京国際映画祭にて観客賞受賞!

第37回東京国際映画祭コンペティション部門にて上映された『小さな私』。

脳性麻痺を患う青年を中心とした、祖母や母との家族関係を綴ったヒューマンドラマをレビューします。

【連載コラム】『TIFF東京国際映画祭2024』記事一覧はこちら

映画『小さな私』の作品情報


(C)2024 TIFF

【日本上映】
2024年(中国映画)

【原題】
小小的我(英題:Big World)

【監督】
ヤン・リーナー

【製作】
イン・ルー

【脚本】
ヨウ・シャオイン

【撮影】
ピャオ・ソンリー

【編集】
ジュー・リン

【音楽】
小林武史

【キャスト】
イー・ヤンチェンシー、ダイアナ・リン、ジャン・チンチン、ジョウ・ユートン

【作品概要】

アイドルグループ「TFBOYS」のメンバーで、『少年の君』(2019)などの映画でも活躍するイー・ヤンチェンシー(ジャクソン・イー)主演のヒューマンドラマ。ヤンチェンシー演じる脳性麻痺を患う青年を中心とした、ひと夏の出来事を描きます。

共演に、『フェアウェル』(2020)のダイアナ・リン、『西湖畔に生きる』(2023)のジャン・チンチンほか。

監督は、第22回上海国際映画祭入選および長春映画祭最優秀監督賞を受賞した『春潮』(2019)のヤン・リーナー。音楽を小林武史が担当します。

2024年の第37回東京国際映画祭コンペティション部門に出品され、観客賞を受賞しました。

映画『小さな私』のあらすじ


(C)2024 TIFF

脳性麻痺を患う青年リウ・チュンフーは、志望する大学の受験を控えるなか、祖母スーフェンが力を注ぐ舞台を手伝っています。

しかし、スーフェンの娘にしてチュンフーの母ルーは不安を隠せず、毎日言い争いが絶えません。そんななか、チュンフーは舞台の練習中に知り合った同世代の女性ヤーヤーに恋をし…。

映画『小さな私』の感想と評価


(C)2024 TIFF

本作『小さな私』の主人公で、脳性麻痺を患うリウ・チュンフーは高い知能指数を誇っており、教員を養成する師範大学(日本でいう教育大学)の受験を考えています。そんな孫を祖母スーフェンは応援し、積極的に周囲の人たちと関わらせようとします。

しかし、チュンフーの母ルーは息子の大学進学に反対するばかりか、母の孫との接し方に苦言を呈します。事あるごとに衝突する母と娘、その間に入る子の関係を軸にストーリーが展開。

脚本を手がけたヨウ・シャオインは、実母が所属するシニア合唱団に障碍を抱える男子がいたことに着想を得て、執筆したと語ります。

チュンフーを演じるのは、中国で人気アイドルとして活躍するイー・ヤンチェンシー。医学書や資料を読み、脳性麻痺患者が筋肉をどう動かすのか勉強した上で、役に臨んだそう。

東京国際映画祭では都合3回上映され、すべての回のチケットが即完売するというヤンチェンシー人気を裏付け、観客賞を受賞しました。

(C)2024 TIFF

障碍者を扱った作品は数ありますが、本作のポイントはチュンフー自身が自分が社会的弱者であることを自覚しているという点でしょう。

小学生に簡単な授業を教えられるほどの知能を持つも、障碍者という先入観から評価してもらえない。大学に進学する費用を稼ごうとカフェのバイトを始めるも、自分を雇った真の理由を薄々悟っている。そして、母のルーが自分に厳しいのは、自分が障碍者だからだと思い込んでしまう――

普通の人として接してほしいのに、世間はそうしてくれない。ここに本作の残酷さがあります。

一方のルーもまた、息子を健康に生んであげられなかったという後悔から、どう接していいか分からなくなっており、そしてスーフェンも、中国社会の変化により娘とのコミュニケーションに齟齬を感じています。

そうしたボタンのかけ違いによって起こるチュンフーの哀しい決断を経ての、3人の顛末が大きな山場となっていきます。

まとめ

(C)2024 TIFF

監督のヤン・リーナーによると、脳性麻痺患者は全世界に1700万人おり、そのうちの600万人は中国にいるのだとか。「彼らもまた普通の人間として生きていることを、チュンフーの姿を通して訴えたかった」と、本作製作の動機を語ります。

現代社会は、障碍者にどれだけ寄り添っているのか?そしてそれは、障碍者にとって本当の支援となっているのか?

障碍者福祉について核心を突いている点においても、単純にアイドル主演映画と括ることのできない作品となっています。

【連載コラム】『TIFF東京国際映画祭2024』記事一覧はこちら

松平光冬プロフィール

テレビ番組の放送作家・企画リサーチャーとしてドキュメンタリー番組やバラエティを中心に担当。『ガイアの夜明け』『ルビコンの決断』『クイズ雑学王』などに携わる。

ウェブニュースのライターとしても活動し、『fumufumu news(フムニュー)』等で執筆。Cinemarcheでは新作レビューの他、連載コラム『だからドキュメンタリー映画は面白い』『すべてはアクションから始まる』を担当。(@PUJ920219)

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