シリアルキラーを父にもつプロファイラーが事件を解決するクライムスリラードラマ!
クリス・フェダクとサム・スクレイヴァーが企画・脚本・製作総指揮を務めた、2019~2020年放送のアメリカのクライムスリラードラマ『プロディガル・サン 殺人鬼の系譜 シーズン1』。
プロファイラーのマルコムは、殺人犯の思考や心理を知り尽くしています。それは、20人以上の命を奪った連続殺人鬼「外科医」を父に持つから。
NY市警のギル・アローヨ警部補は、FBI辞職に追い込まれたマルコムを捜査顧問としてチームに迎え入れます。
しかしNY市警での初めての殺人事件は、外科医の事件の模倣犯によるもので…。
ドラマ『プロディガル・サン 殺人鬼の系譜 シーズン1』のネタバレあらすじと作品解説をご紹介いたします。
CONTENTS
ドラマ『プロディガル・サン 殺人鬼の系譜 シーズン1』の作品情報
【放送】
2019~2020年(アメリカドラマ)
【企画・脚本・製作総指揮】
クリス・フェダク、サム・スクレイヴァー
【監督】
リー・トランド・クリーガー、アダム・ケイン、ロブ・ベイリー、レオン・イチャソ、オマール・マダ、ミーガン・グリフィス、ロブ・ハーディ、アントニオ・ネグレ、ヴァレリー・ワイス、デビッド・タットマン、グレン・ウィンター、リサ・ロビンソン、サティヤ・バーバー、パメラ・ロマノウスキー、ダーモット・ダウンズ、リリー・マライエ
【キャスト】
トム・ペイン、マイケル・シーン、ルー・ダイアモンド・フィリップス、ベラミー・ヤング、ハルストン・セイジ、オーロラ・ペリノー、フランク・ハーツ、ケイコ・アゲナ、ほか
【作品概要】
『アデライン、100年目の恋』(2015)のリー・トランド・クリーガーや、アメリカのテレビドラマ「HEROES/ヒーローズ」シリーズのアダム・ケインらが監督を務め、『アンビュランス』(2022)の脚本担当クリス・フェダクとアメリカのテレビドラマ『Ben&Kate』(2012~2013)の脚本担当サム・スクレイヴァーが企画・脚本・製作総指揮を務めた、アメリカのクライムスリラードラマ作品です。
テレビドラマ「ウォーキング・デッド」シリーズのトム・ペインと、アメリカ・イギリスのテレビドラマ「グッド・オーメンズ」シリーズのマイケル・シーンが父子役で共演しています。
ドラマ『プロディガル・サン 殺人鬼の系譜 シーズン1』のあらすじとネタバレ
物語の舞台は2019年、アメリカ。主人公のマルコム・ブライトは、殺人犯の思考や心理を知り尽くしている優秀なプロファイラーです。
その犯罪心理学者として随一の才能を持つ理由は、1998年に23人を殺害した容疑で逮捕された残忍な連続殺人鬼(シリアルキラー)「外科医」こと心臓外科医のマーティン・ウィットリーを父に持つから。
父の被害者を見たトラウマによる複雑性PTSDで精神が不安定になること、FBIや地元警察の考えに同意できず衝突したことが理由で、FBI辞職に追い込まれてしまいました。
マルコムの幼い頃から付き合いがあり良き指導者であるニューヨーク市警(NYPD)のギル・アローヨ警部補は、彼を自身が率いる重大犯罪課の捜査チームの捜査顧問として迎え入れます。
実はギルは、マーティンの趣味部屋である家の地下室で24人目の被害者「箱の中の女」を見つけたというマルコムの通報を受け、彼を逮捕した警官でした。
マーティンはギルを迎え入れ、麻酔薬入りのお茶で彼を殺そうとしました。それをマルコムが教えてくれたおかげで、ギルは命拾いしました。
そしてギルは長い間、名家の生まれで慈善家のマルコムの母ジェシカに恋をしています。
マルコムのNYPDでの初めての仕事となった連続婦女殺人事件は、マーティンの事件「四重奏」の模倣犯でした。
そのためマルコムは、FBIの訓練校に入ることを決めて以来、10年ぶりにクレアモント精神病院に収監されている父と再会します。
息子との再会に歓喜するマーティン。この事件をきっかけに、息子と会うために殺人事件の助言をちょくちょくするようになります。
父との再会をきっかけに、「箱の中の女」の記憶を徐々に思い出していくマルコム。
「箱の中の女」を見た直後に、マーティンにクロロホルムを嗅がされ眠らされたこと。名家の生まれで慈善家の母ジェシカ・ウィットリーがそれを知っていたことを。
ギルに頼んでジェシカの当時の供述記録を見せてもらった結果、マーティンの様子がおかしかったのは浮気をしているのではなく人を殺していると知って、被害者に罪悪感を抱いていたことを知りました。
ギルが率いる重大犯罪課の捜査チームのメンバー、男勝りで何事にも真剣なダニ・パウエル刑事と、疑り深い性格のJT・ターメル刑事。
チームに加わったマルコムが外科医の息子だと知り、最初は彼もサイコパスではないかと疑っていました。
ですが、マルコムと一緒に殺人事件の捜査をし続けていくにつれて、2人は彼を信頼し仲間だと思うようになりました。
頻発する殺人事件をマルコムのプロファイリングに基づく懸命な捜査により解決していったある日、廃車場のプレス機で車もろとも潰された薬物中毒者や娼婦ら10人以上の遺体が発見されました。
被害者を生きたまま車の中に閉じ込め、車もろともプレス機で潰して殺害するシリアルキラー「廃車場キラー」がマーティンと繋がりがあると推測したマルコム。
彼に話を聞きに行くと、ローカル局の記者をしている妹のエインズリーと鉢合わせします。
エインズリーは物心つく前に逮捕された父を知りたい気持ちと、己の野心からマーティンの取材をしに来ていたのです。
エインズリーなりに策を弄しましたが、マーティンの方が一枚上手でした。
インタビューの日に限り英雄になろうと、自分の言いなりの囚人テビンに事件を起こすように命令し、見事彼に胸を刺されたカメラマンの命を救った英雄として報道されたのです。
またその後の調べで、廃車場キラーの正体は、祖父母に愛する母が薬物中毒者で娼婦で罪人であると憎しみを持つよう教え込まれ折檻された過去をもつ、マーティンがブロンクスの聖エドワード病院で働いていた時に知り合ったジョン・ワトキンスという男だと判明。
しかしそこまで突き止めるのに、長年外科医の事件を追っていたシャノン元悪徳刑事、最後の相棒である彼の名誉回復のために外科医の事件を調べ直しワトキンスに行き着いたターナー刑事局長が、ワトキンスに殺されてしまいました。
シャノン殺害後、ワトキンスはウィットリー家の屋敷の地下貯蔵庫に拉致・監禁したマルコムに、衝撃的な真実を告白しました。
男3人だけのキャンプ旅行と称して、「箱の中の女」と、クロロホルムにより消された彼女のことを思い出し始めたマルコムを、マーティンの発案で殺そうとしたこと。
しかし土壇場でマーティンは怖気づき、そのことで彼と揉めているのを見たマルコムにナイフで腹を刺され逃げられたことを。
その証拠に、ワトキンスの腹にはナイフで刺された傷痕があり、「箱の中の女」が手首につけていたブレスレットを持っていました。
祖父を殺害して殺人鬼に目覚めたワトキンス。マルコメを同胞にするべく彼の腹をナイフで刺し、彼の家族を生贄として殺そうとします。
重傷を負ったマルコムは手首を折って無理やり手錠を外し、地下貯蔵庫から脱出。ワトキンスのトラウマを利用して、二度と家族を襲えなくしました。
弁護士のイブ・ブランチャードは、ジェシカが「箱の中の女」の情報提供を求めていると知り、彼女に近づきました。
「箱の中の女」は、同じ養護施設で育ったイブの年の離れた姉ソフィー・サンダースだからです。
ソフィーは16歳で養護施設から脱走。その翌年に養子にもらわれたイブにNYからハガキを送りましたが、それ以降音信不通に…。
そんなある日、外科医の記事を読んで、彼が逮捕された日は、ソフィーの連絡が途絶えた数週間後だと知りました。
ですがジェシカはソフィーのことを何も知らず、イブはマルコムから情報を聞き出そうと親密な関係に。
マルコムを本気で好きになり、自分の全てを打ち明けて交際するも、マーティンから姉の話を聞いてショックを受け、彼の元から去ることに…。
マーティンはマルコムを眠らせている間に、地下貯蔵庫に拘束・監禁したソフィーを殺そうとしました。するとソフィーからある人物の話をされ、マーティンは彼女を解放しました。
マーティンはソフィーの失踪はイブに探して欲しくないからだと、彼女に警告したからでした。
ジェシカは友人のニコラス・エンディコットと交際するも、子供たちの調査によって彼の恐るべき本性を知りショックを受けます。
ソフィーは彼に拾われ、彼の製薬会社で働いていましたが、冷酷無比な彼から卑劣な要求をされ、彼を潰すほどの情報がある証拠書類を持って逃走。彼が金で雇った殺し屋に命を狙われてしまう羽目に…。
ニコラスは口封じのために、殺し屋を使ってイブを殺害。その殺し屋である刑務官のエディは、マーティンを殺そうとするも返り討ちにされました。
マルコムたちはイブ殺害の容疑でエディを逮捕。両眼を抉られた彼は救急搬送されました。
ドラマ『プロディガル・サン 殺人鬼の系譜』シーズン1とシーズン2の見どころ
シーズン1の見どころ
作中ではマーティンのようなシリアルキラーの他に、私怨や痴情の縺れ、営利目的、素行障害でなったサイコパスやストーキング行為などによって殺人行為に至る殺人犯が多く登場しています。
主人公のマルコムのプロファイリングは、本当に的確に犯人像と犯行理由を捉えており、毎回彼は凄いなと感銘を受けることばかりです。
姓を変えるほど父のマーティンを避けているマルコムですが、NY市警での初めての殺人事件のような彼の事件が関わっていることや、捜査に行き詰った時はちょくちょく彼に助言をもらって事件を解決することもしばしば。
マーティンも少しでも息子とのかかわりを持ちたくてニュースをチェックし、彼の力になろうと捜査協力に前のめりな姿勢でいます。
ですがその一方で、逮捕される前は自分の犯行を見た幼い息子を殺そうとしたことがある冷酷で残忍な殺人鬼の顔を持っており、なんとも複雑な親子関係も本作の見どころの一つです。
外科医の事件によるトラウマ、「箱の中の女」の真実、外科医に協力した者や恨んでいるものからの襲撃に幾度となく翻弄され苦しめられるマルコムたち家族の姿。
トラウマによって人間不信となってしまったマルコムが、ダニたちと共に捜査にしていくにつれて築いた友情、そして全てを受け入れてくれた恋人イブとの出会いと別れは、心が和んだりハラハラドキドキしたり涙したりします。
シーズン2の見どころ
物語の終盤まで、登場人物も視聴者もマーティンというシリアルキラーが一番恐ろしいキャラだと考えていました。
ですが第18話あたりから、あのマーティンでさえ恐れる人物、ニコラス・エンディコットが登場。彼に逆らったもの、彼に関する情報を喋ってしまった者はソフィ―とマーティン以外、彼が雇った殺し屋によって命を落としています。
しかも厄介なことに、ニコラスは警察の上層部でさえ言いなりにできるほどの権力を持っており、また殺人鬼とは思えないほど真摯で優しい一面を持っているのです。
最終話でのマルコムとニコラスの対決、令状を取ったことで彼の家宅捜索が行われ逮捕になるかと思ったその時、なんと普通の感覚で育ったはずのエインズリーが彼を惨殺しました。
このマルコムたち家族を引き裂くような事態に、マルコムはどう対処するのか。ギルたちに正直に打ち明けるのか、それともマーティンに頼ってしまうのか……。
また、どのような殺人犯による事件が起きていくのかがシーズン2の見どころです。
まとめ
殺人犯の施行や心理を知り尽くしている天才プロファイラーのマルコムが、NY市警のギルたちと協力して頻発する殺人事件を解決していくアメリカのクライムスリラードラマ作品でした。
本作の登場人物を演じる俳優たちは皆演技が素晴らしく、特に主人公のマルコム役を演じたトム・ペインや、マルコムの父でシリアルキラーのマーティン役を演じたマイケル・シーンの鬼気迫る演技はとても素晴らしかったです。
しかもほとんどの話の最後に、必ずと言っていいほど物語に重要な出来事が起きていたり、伏線があったりするので最後まで目が離せません。
十人十色な殺人犯による殺人事件の捜査が行われていく一方で、マルコムとイブ、ジェシカとギルといったカップルたちの恋模様や、マルコムに心ときめくイドリサの言動をギルたちがからかったり呆れたりするほんわかした描写が描かれていて面白いです。
シリアルキラーの父をもつも、普通の人間のように育ったはずのエインズリーによるニコラス殺害という衝撃的なラストを迎えた『プロディガル・サン 殺人鬼の系譜 シーズン1』。シーズン2もきっとミステリーやサスペンス好きな視聴者を大いに楽しませてくれることでしょう。