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Entry 2024/07/01
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『めくらやなぎと眠る女』あらすじ感想と評価考察。村上春樹短編が初アニメ化!かえるくんやあの猫も登場|映画という星空を知るひとよ213

  • Writer :
  • 星野しげみ

連載コラム『映画という星空を知るひとよ』第213回

音楽家でアニメーション作家のピエール・フォルデスが、村上春樹の6つの短編を翻案した長編アニメ映画『めくらやなぎと眠る女』

ピエール・フォルデス監督にとって初の長編アニメーションで、村上春樹作品も初のアニメ化となる作品です。

映画『めくらやなぎと眠る女』は22024年7月26日(金)よりユーロスペース他全国ロードショー!

ピエール・フォルデス監督が行った、<イメージ>のなかに、実際の俳優の動きを撮影してアニメーションの動きに取り込む“ライブ・アニメーション“とよぶオリジナルの手法で、リアリティが倍増となった本作です。

村上春樹の世界観に魅了されるアニメーション『めくらやなぎと眠る女』をご紹介します。

【連載コラム】『映画という星空を知るひとよ』一覧はこちら

映画『めくらやなぎと眠る女』の作品情報


(C)2022 Cinéma Defacto – Miyu Productions – Doghouse Films – 9402-9238 Québec inc. (micro_scope – Productions l’unité centrale) – An Original Pictures – Studio Ma – Arte France Cinéma – Auvergne-Rhône-Alpes Cinéma

【日本公開】
2024年(フランス、ルクセンブルク、カナダ、オランダ合作映画)

【監督・脚本】
ピエール・フォルデス

【原作】
村上春樹:『かえるくん、東京を救う』、『バースデイ・ガール』、『かいつぶり』、『ねじまき鳥と火曜日の女たち』、『UFOが釧路に降りる』、『めくらやなぎと、眠る女』

【原題】
Saules Aveugles, Femme Endormie

【英語題】
Blind Willow, Sleeping Woman

【演出】
深田晃司

【翻訳協力】
柴田元幸

【音響監督】
臼井勝

【オリジナル版 声の出演】
ライアン・ボンマリート、ショシャーナ・ビルダー、マルセロ・アロヨ、スコット・ハンフリー、アーサー・ホールデン、ピエール・フォルデス

【日本語版 声の出演】
磯村勇斗、玄理、塚本晋也、古舘寛治、木竜麻生、川島鈴遥、梅谷祐成、岩瀬亮、内田慈、戸井勝海、平田満、柄本明

【作品概要】
長編アニメ映画『めくらやなぎと眠る女』は、『ドライブ・マイ・カ―』(2021)の原作者である村上春樹の初アニメ化作品です。音楽家でアニメーション作家のピエール・フォルデスが、自身初の長編アニメーションとして製作しました。

本作は、村上春樹の6つの短編『かえるくん、東京を救う』、『バースデイ・ガール』、『かいつぶり』、『ねじまき鳥と火曜日の女たち』、『UFOが釧路に降りる』、『めくらやなぎと、眠る女』を翻案しています。

アヌシー国際アニメーション映画祭2022で審査員特別賞、第1回新潟国際アニメーション映画祭でグランプリを受賞しました。

映画『めくらやなぎと眠る女』のあらすじ


(C)2022 Cinéma Defacto – Miyu Productions – Doghouse Films – 9402-9238 Québec inc. (micro_scope – Productions l’unité centrale) – An Original Pictures – Studio Ma – Arte France Cinéma – Auvergne-Rhône-Alpes Cinéma

2011年、東日本大震災から5日後の日本。

刻々と被害を伝えるテレビのニュースを見続けたキョウコは、置き手紙を残して小村の元から姿を消しました。

妻の突然の失踪に呆然とする小村は、図らずも中身の知れない小箱を女性に届けるために北海道へと向かうことになります。

同じ頃のある晩、小村の同僚の片桐が家に帰ると、そこには2メートルもの巨大な“かえるくん”が彼を待ち受けていました。

“かえるくん”は迫りくる次の地震から東京を救うため、こともあろうに控えめで臆病な片桐に助けを求めたのでした――。

めくらやなぎ、巨大なミミズ、謎の小箱、どこまでも続く暗い廊下――大地震の余波は遠い記憶や夢へと姿を変えて、小村とキョウコ、そして片桐の心に忍び込みます。

人生に行き詰まった彼らは本当の自分を取り戻すことができるのでしょうか……。

映画『めくらやなぎと眠る女』の感想と評価


(C)2022 Cinéma Defacto – Miyu Productions – Doghouse Films – 9402-9238 Québec inc. (micro_scope – Productions l’unité centrale) – An Original Pictures – Studio Ma – Arte France Cinéma – Auvergne-Rhône-Alpes Cinéma

村上春樹の6つの短編小説を1本の作品として映像化した本作。それぞれの小説が映画の中で合体し、ひとつの異次元で生きる人々の日常を描き出します。

主人公は、妻キョウコから離婚を告げられたサラリーマンの小村と、“かえるくん”に東京を救うために一緒に戦ってくれと頼まれる中年サラリーマンの片桐です。

2019年に舞台化された『かえるくん、東京を救う』の“かえるくん”が、今回はアニメとなって登場するのも見逃せません。

初めてのアニメーション映画に挑戦したのは、音楽家でアニメーション作家のピエール・フォルデスです。

彼はニューヨークに住んでいた時に出合った村上春樹さんの本に感動し、彼の書き方とか様式にもすごく惹かれ、その後映画を作るようになって、機会が訪れたと思い、村上さんの作品を映画化したと言います。

そんなアニメ作品には、ピエール・フォルデス監督がイメージする村上春樹作品の世界観がたっぷり描かれました。“かえるくん”に寄り添う猫(ファンにはおなじみの“ワタナベノボル“)にも注目を。

日本版キャストには、小村に磯村勇斗、突然失踪してしまう小村の妻を玄理、小村の同僚で東京を救うべく“かえるくん”とタッグを組む片桐に塚本晋也、“かえるくん”に古舘寛治ら実力派が参加しています。

映画は、キャストも映像のキャラクターの動きに合わせて演技し、それをマイクで追いかけるというスタイルで収録。英語と日本語では抑揚や響きも違うことから、絵の口とセリフを合わせる作業や全体の音のトーンの調整など非常に繊細な作業が行われた上で、日本語版の完成を迎えました。

アニメーションならではの自由な感性で描がかれ、英語(日本語字幕付き)のオリジナル版と日本語版の2バージョンで公開されるので、それぞれの音の響きの違いにもぜひ注目を!

まとめ


(C)2022 Cinéma Defacto – Miyu Productions – Doghouse Films – 9402-9238 Québec inc. (micro_scope – Productions l’unité centrale) – An Original Pictures – Studio Ma – Arte France Cinéma – Auvergne-Rhône-Alpes Cinéma

村上春樹の6つの短編小説を原作とした、ピエール・フォルデスによるとてもリアルな画像とオリジナルな収録手法で出来上がった『めくらやなぎと眠る女』。

フォルデス監督が「言葉にならないほど繊細で、想像を超えるほど奥深い感情、そんな感情を掻き立てる小説を使わないことなど考えられなかった」と語る6つの短編のもつ美しさやリズムが失われることなく、生き生きとストーリーを紡いでいきます

村上春樹の世界観もたっぷりと魅せる本作には、多くのファンもを抱える“かえるくん”と猫の“ワタナベノボル“も登場しますので、お楽しみに!

映画『めくらやなぎと眠る女』は22024年7月26日(金)よりユーロスペース他全国公開!

【連載コラム】『映画という星空を知るひとよ』一覧はこちら

星野しげみプロフィール

滋賀県出身の元陸上自衛官。現役時代にはイベントPRなど広報の仕事に携わる。退職後、専業主婦を経て以前から好きだった「書くこと」を追求。2020年よりCinemarcheでの記事執筆・編集業を開始し現在に至る。

時間を見つけて勤しむ読書は年間100冊前後。好きな小説が映画化されるとすぐに観に行き、映像となった活字の世界を楽しむ。



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