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Entry 2024/05/08
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『キッチンから花束を』あらすじ感想と評価考察。中華風家庭料理店のふーみんママが作る料理から人気の秘密を探る|映画という星空を知るひとよ205

  • Writer :
  • 星野しげみ

連載コラム『映画という星空を知るひとよ』第205回

人気料理店「ふーみん」で中華風家庭料理が生まれていくストーリーと数々の証言、お店のママの家族を3年半にわたり追いつづけた長編ドキュメンタリー映画『キッチンから花束を』

台湾人の両親をもち、日本で生まれ育った斉風瑞 。1971年、神宮前に小さな中華風家庭料理のお店「ふーみん」をオープンしました。2024年現在、斉風瑞は「ふーみん」厨房を勇退後も、溝の口の自宅兼ダイニングにて、1日1組だけのお客様を迎える「斉」を営んでいます。

45年にわたって愛されつづけている中華風家庭料理「ふーみん」。なぜ、これほどまでに斉風瑞が作る料理は愛されるのでしょうか。斉風瑞とその周囲の人々にスポットライトをあて、人気の秘密を探ります。

ドキュメンタリー映画『キッチンから花束を』は、2024年5月31日(金)より、ヒューマントラストシネマ有楽町他にて順次公開

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映画『キッチンから花束を』の作品情報


(C)Eight Pictures

【日本公開】
2024年(日本映画)

【監督】
菊池久志

【語り】
井川遥

【プロデューサー】
菊池久志、岩本桃子

【キャスト】
斉風瑞(さいふうみ ※ふーみんママの本名)

【作品概要】
『キッチンから花束を』は、南青山にある中華風家庭料理店「ふーみん」のママである斉風瑞(さいふうみ)と、その家族を3年半にわたり追いつづけた長編ドキュメンタリー映画です。

監督は『STAND STRONG』(2020)を手がけた映像ディレクターの菊池久志。俳優の井川遥がナレーションを担当しています。

映画『キッチンから花束を』のあらすじ


(C)Eight Pictures

東京・南青山の小原流会館の地下にある中華風家庭料理の店「ふーみん」。連日長い行列が出来る超人気店です。

扉をあけて店内に入ると、正面には広々とした厨房があり、大きなスタッフたちにまじって、ひときわ小さなふーみんママが中華鍋を振っています。

看板メニュー “納豆チャーハン”や、 故・和田誠さん(イラストレーター)が生み出した“ねぎワンタン”、”豚肉の梅干煮”など数々の名物料理も誕生しました。

70歳で「ふーみん」を勇退した後も、自宅でお店を営むふーみんママ。

料理が生まれていくストーリーと日本と台湾、そして斎風瑞の家族からの数々の証言から、ふーみんママの料理の魅力に迫ります。

映画『キッチンから花束を』の感想と評価


(C)Eight Pictures

南青山で行列ができる人気のお店「ふーみん」。中華風家庭料理を食べさせてくれるお店として、1971年の創業以来、みなに愛されています。

厨房を取り仕切るのは、台湾人の両親をもち、日本で生まれ育った斉風瑞(ふーみんママ)。70歳で「ふーみん」厨房は勇退したそうですが、2024年では自宅で1日1組限定のお客様にその腕を振るっています。

映画では、看板メニュー の“納豆チャーハン”や、 故・和田誠さん(イラストレーター)が生み出した“ねぎワンタン”、”豚肉の梅干煮”など、人気メニューの誕生秘話や料理をおいしく調理するコツなども披露されています。

大皿に盛られた点心や鍋料理、焼き物など、台湾のホームパーティーの主役級の料理も頻繁に登場し、食欲をそそります。

四人姉妹の斉風瑞。幼い頃の食卓は父が振るった料理を囲み、笑いが絶えなかったようです。姉妹たちと笑顔と談笑で食卓を囲むワンシーンに、こちらも笑みがこぼれます。斉風瑞の料理への愛情はこんなところからきていると思われます。

未だに現役で、美味しい家庭料理を作り出す斉風瑞。

映像からはわからないのが残念ですが、料理の美味しそうな香りとそれを作る温かなふーみんママの気持ちが確かに伝わってくることでしょう

まとめ


(C)Eight Pictures

斉風瑞と南青山「ふーみん」の物語である、ドキュメンタリー『キッチンから花束を』をご紹介しました。

どんな風に育てば、美味しい家庭料理を作りたくなるのか。また、「ふーみん」が長年みなに愛されるお店となっているのはなぜか。斉風瑞を追って作り上げた本作の中に、確かな答えがありました。

本作には、人気メニューのレシピも紹介されています。貴重なレシピですが、本物の料理を食べたくなり、南青山のお店「ふーみん」を訪ねてみたくなることは間違いありません。

ドキュメンタリー映画『キッチンから花束を』は、2024年5月31日(金)より、ヒューマントラストシネマ有楽町他にて順次公開

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星野しげみプロフィール

滋賀県出身の元陸上自衛官。現役時代にはイベントPRなど広報の仕事に携わる。退職後、専業主婦を経て以前から好きだった「書くこと」を追求。2020年よりCinemarcheでの記事執筆・編集業を開始し現在に至る。

時間を見つけて勤しむ読書は年間100冊前後。好きな小説が映画化されるとすぐに観に行き、映像となった活字の世界を楽しむ。



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