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Entry 2023/10/29
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『ポトフ美⾷家と料理⼈』あらすじ感想と評価解説。トラン・アン・ユンが描く料理によって“愛と⼈⽣”を味わう感動の物語|TIFF東京国際映画祭2023-8

  • Writer :
  • 星野しげみ

映画『ポトフ 美⾷家と料理⼈』は第36回東京国際映画祭ガラ・セレクションにて上映!

第76回カンヌ国際映画祭で最優秀監督賞を受賞したトラン・アン・ユン監督が創り出した、美食家と料理人の愛と人生を味わう感動作『ポトフ 美⾷家と料理⼈』。

第36回東京国際映画祭ガラ・セレクションで上映された本作は、2023年12⽉15⽇(⾦)よりBunkamura ル・シネマ 渋⾕宮下、シネスイッチ銀座、新宿武蔵野館ほかで全国順次公開されます。

《食》を追求し芸術にまで高めた美食家ドダンと、彼が閃いたメニューを完璧に再現する料理人ウージェニー。二人が生み出した極上の料理の数々は、ミシュラン三つ星シェフのピエール・ガニェールが完全監修しました。

主役の2人を演じるブノワ・マジメルとジュリエット・ビノシュの息もピッタリの本作。19世紀末のフランス片田舎の美しい風景と、広い厨房で調理される芸術的な料理を堪能できます。

【連載コラム】『TIFF東京国際映画祭2023』記事一覧はこちら

映画『ポトフ 美⾷家と料理⼈』の作品情報


(C)2023 CURIOSA FILMS- GAUMONT – FRANCE 2 CINEMA

【日本公開】
2023年(フランス映画)

【原題】
La Passion de Dodin Bouffant

【監督・脚本・脚色】
トラン・アン・ユン

【料理監修】
ピエール・ガニェール

【キャスト】
ジュリエット・ビノシュ、ブノワ・マジメル

【作品概要】
料理への情熱で強く結ばれた美食家と料理人の愛と人生を味わう『ポトフ 美食家と料理人』。『青いパパイヤの香り』(1993)『シクロ』(1995)『エタニティ 永遠の花たちへ 』(2017)など繊細な映像美で高く評価されてきたトラン・アン・ユン監督が7年ぶりに手がけました。

プロとして矜持を持って生きる天才料理人ウージェニーをフランスの名優ジュリエット・ビノシュ、ウージェニーを愛する美食家ドダンを『ピアニスト』(2001)のブノワ・マジメルが演じます。

映画『ポトフ 美⾷家と料理⼈』のあらすじ

19世紀末の頃。フランスの片田舎に《食》を追求し芸術にまで高めた美食家ドダンと、彼が閃いたメニューを完璧に再現する料理人ウージェニーが暮らしていました。

二人が生み出した極上の料理は人々を驚かせ、類まれなる才能への熱狂はヨーロッパ各国にまで広がっていました。

ある時、ドダンはユーラシア皇太子から晩餐会に招待されますが、豪華なだけで論理もテーマもない大量の料理にうんざりします。

《食》の真髄を示すべく、最もシンプルでいながら古くから伝わる郷土料理「ポトフ」で皇太子をもてなそうと、ウージェニーに打ち明けるドダン。

ですが、その中でウージェニーが倒れてしまいます。ドダンは人生初の挑戦として、すべて自分の手で作る渾身の料理で、愛するウージェニーを元気づけようと決意するのですが……。

映画『ポトフ 美⾷家と料理⼈』の感想と評価


Carole-Bethuel(C)2023 CURIOSA FILMS- GAUMONT – FRANCE 2 CINEMA

視覚からも聴覚からも楽しめる料理たち

本作で注目されるのは、最初から最後まで、次々と出てくる豪華な料理です。

主役の二人が美食家と料理人ですから、料理がメインになるのも当然ですが、早朝に畑からとって来た野菜を使って広い厨房で丁寧に料理を仕上げていく様子などが、ひとつのドキュメンタリーのように美しく映し出されます。

料理人の制服ともいえるエプロン姿も美しいウージェニーが、颯爽と腕を振るいます。スープを作るにしても、出汁をとる鶏を捌くところから始まり、音楽や効果音など一切使われていません。

その上で、調理中に自然に出る包丁の音や鍋が煮える調理音と厨房に差し込む柔らかな日差しが、できあがっていく料理の隠し味となっています。大きな寸胴鍋に詰め込むようにして煮られる素材の数々。さぞかし美味しく煮つめた料理になっていることでしょう。

こんな見ているだけで涎が出そうな料理の数々は、ミシュラン三つ星シェフのピエール・ガニェールが完全監修しました。

スクリーンでは香りを楽しめないのが残念なほど、調理過程から美しく撮影され、盛り付けも見事な出来栄えの料理が勢ぞろいします。

古典的料理の再現

映画『ポトフ』の原作は、1920年のマノレセノレ・ルーフが書いた『美食家ドダン・ブーファンの生涯と情熱』です。

フランス人にとって料理を芸術に高めたドダン・ブーファンと言えば、稀代のガストロノーム(美食家)を指す人物となっているのですが、実はドダンは作者が創作した人物でした。

また作中の19世紀末という時代は、近代フランス料理が勃興しつつも、新旧料理がせめぎ合う時代でした。

物語の舞台となるのは、地方のブルジョワの城館内の厨房です。そこは見栄えと使い勝手良く整えられた厨房で、料理人にとっては聖職の仕事場でした。

映画では、居心地の良さすら感じるその厨房に据えられた銅製の調理器具で作られる古典的料理の「コンソメ」「仔牛のポアレ」「ポトフ」「ジピエ」などが、まるでレシピを見ているかのように、一つずつ丁寧に再現されています。

実際に料理を食べられなくても、作られる過程を見るだけで、典的料理を楽しめますので、視覚・聴覚を研ぎ澄まして、本作を味わうことをおすすめします。

まとめ

料理への情熱で強く結ばれた美食家と料理人の愛と人生を描いた『ポトフ 美食家と料理人』をご紹介しました。

美食家と料理人の二人。愛する2人の間には必ずと言っていいほど「料理」がありました。2人の愛することは料理をすることだったのです。

また『ポトフ 美食家と料理人』は扱われる芸術性の高い料理からも、『最後の晩餐』(1973)『パベットの晩餐会』(1987)『宮廷料理人ヴァテール』(20009の3作に連なる美食映画の金字塔と言われています。

美味しい料理は人々の心を癒し、満腹感は至福のひとときを招きます。本作では、美食文化の本質までも問われているかのような本作には、監督の料理に対する想いも込められています。美しく芸術的な料理をどうぞお楽しみに。

2023年12⽉15⽇(⾦)よりBunkamura ル・シネマ 渋⾕宮下、シネスイッチ銀座、新宿武蔵野館ほかで全国順次公開!

【連載コラム】『TIFF東京国際映画祭2023』記事一覧はこちら





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