世界的な人気を誇るゲームキャラクター「スーパーマリオ」のアニメーション映画
任天堂のアクションゲーム「スーパーマリオ」シリーズでお馴染みの、マリオの冒険を描いた、アニメーション映画『ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービー』。
マリオとルイージの他、ピーチ姫やピノキオ、クッパ、そしてドンキーコングなど、ゲームでお馴染みのキャラクターが多数登場し、大冒険を繰り広げます。
本作で印象的なのは、ゲームの内容を映像化しただけでなく、ただの配管工だったマリオが、スーパーヒーローになっていくという、サクセスストーリーになっている点です。
「スーパーマリオ」シリーズだけでなく、任天堂ゲームの小ネタも多数織り交ぜた、本作の魅力をご紹介します。
CONTENTS
映画『ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービー』の作品情報
【日本公開】
2023年映画(アメリカ映画)
【原題】
The Super Mario Bros. Movie
【監督】
アーロン・ホーバス、マイケル・ジェレニック
【脚本】
マシュー・フォーゲル
【製作】
クリス・メレダンドリ、宮本茂
【キャスト(声の出演)】
クリス・プラット、アニヤ・テイラー=ジョイ、チャーリー・デイ、ジャック・ブラック、キーガン=マイケル・キー、セス・ローゲン、フレッド・アーミセン、ケビン・マイケル・リチャードソン、セバスティアン・マニスカルコチャールズ・マーティネー
(日本語版吹き替え)
宮野真守、志田有彩、畠中祐、三宅健太、関智一、武田幸史
【作品概要】
世界的人気ゲーム「スーパーマリオ」シリーズを、「怪盗グルー」「ミニオンズ」「SING シング」シリーズなどのアニメーションスタジオ「イルミネーション・スタジオ」が「任天堂」と共同でアニメーション映画化。
「イルミネーション・スタジオ」創業者のクリス・メレダンドリと、マリオの生みの親、宮本茂が製作に携わっています。
映画『ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービー』のあらすじとネタバレ
ニューヨークで配管工を営む、双子の兄弟マリオとルイージ。
マリオは勤めていた会社を退職し、ルイージを誘って新たに配管工の仕事を立ち上げましたが、街の住人はマリオとルイージを「負け犬」と馬鹿にします。
また、マリオの父親も「ルイージを巻き込んだ」とマリオの独立を良く思っていません。独立後の仕事が軌道に乗らないこともあり、マリオは落ち込んでいました。
ある日、ブルックリンの地下配水管が破裂したニュースを見たマリオは「ブルックリンを守る」と立ち上がります。マリオとルイージはブルックリンの地下配水管を調査していた際、謎の土管を発見し、ルイージが土管に吸い込まれます。
ルイージを追いかけて、土管に吸い込まれたマリオですが、ルイージは別の土管に吸い込まれていきます。ルイージとは別の土管から外に出たマリオは、キノコだらけの「キノコ王国」へ辿り着きます。
そこで知り合ったピノキオから「ルイージは大魔王クッパの住む、ダークワールドに飛ばされた可能性が高い」と聞かされます。
大魔王クッパは、全ての世界の征服を企んでおり、無敵になる「スーパースター」を手に入れていました。
次の侵略先は「キノコ王国」との情報を入手した、「キノコ王国」の女王であるピーチ姫。なんとかクッパに対抗しようとしますが、「キノコ王国」の住人であるキノピオは可愛いだけで、戦いには不向きでした。
そこでピーチ姫は、最強の軍隊を持つ「コング王国」へ、同盟を結びに行こうとします。そこへ、ルイージを助けてもらう為、ピーチ姫の城に忍び込んだマリオが現れます。
ピーチ姫は、もともとはマリオと同じ別の世界から来た人間で、同じ境遇のマリオに驚き共感します。ピーチ姫は「ある条件をクリアしたら、一緒にコング王国に連れて行く」と、マリオに約束します。
映画『ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービー』感想と評価
今や世界的な有名キャラクターである、マリオの冒険を描いたアニメーション映画『ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービー』。
宿敵である大魔王クッパとの戦いを描いた本作は、マリオの生みの親である、宮本茂が製作に携わっていることもあり、かなりゲームに忠実な内容となっています。
マリオは、もともとは「ドンキーコング」というゲームの悪役として初登場して以降、「マリオブラザーズ」というゲームで初の主役となり「スーパーマリオブラザーズ」が大ヒットし、以降のファミコン人気、そして日本のテレビゲームの世界的な人気を牽引した、象徴的なキャラクターとなりました。
『ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービー』も、ゲームキャラクターとしての、マリオの歴史に重ね合わせたような、サクセスストーリーとなっています。
まず、弟のルイージと共に配管工として独立したマリオですが、周囲から「成功する訳が無い」と馬鹿にされています。
それでも諦めないマリオは、ブルックリンの配管を修理しに行き、そこから不思議な土管に吸い込まれ、別世界に飛ばされクッパにルイージが捕まってしまいます。
ファミコンの「スーパーマリオブラザーズ」だと、クッパにさらわれるのはピーチ姫なのですが、映画版におけるピーチ姫は、クッパと勇敢に戦うお姫様で、マリオのトレーナー的な役割となっています。
ピーチ姫に鍛えられたマリオは、その後、ドンキーコングとの戦いを経て成長します。
やはり、マリオをキャラクターとして成長させる役割を持つのは、ドンキーコングなんですね。
ちなみにですが、ドンキーコングの見た目が、ファミコン版ではなく、スーパーファミコンの「スーパードンキーコング」シリーズ以降の、ネクタイをした、最近ではお馴染みのデザインになっています。
そして、クッパとの戦いの中で、マリオは無敵になれるアイテム「スーパースター」を手に入れクッパを倒し、文字通りのスーパースターとなります。
つまり、本作は冴えない配管工だったマリオが、最終的にはスーパースターとなるまでの物語で、完全にゲーム版と重なる内容となっているのが印象的です。
また、宿敵となる大魔王クッパは、逆らう者は容赦しない残虐性を持ちながら、ピーチ姫への密かな恋心を抱く、少し可愛いキャラクターになっています。
特に、ピーチ姫への想いをピアノを演奏しながら歌い上げる場面は、力だけでは手に入らない「愛」を欲する、独裁者の孤独を表現した名場面となっています。
本作は「イルミネーション・スタジオ」が任天堂と共同で製作しているのですが、ゲーム版を知っていれば、思わずニヤリとしてしまう、細かい演出も見どころとなっています。
特に、マリオがカートに乗り込み「キノコ王国」へ向かう場面ですが、カートを選ぶ為の機械が「マリオカート8」のマシン選択画面そのままだったり、近道として走る場所が「レインボーロード」だったり、マリオが裏技の「ドリフトダッシュ」をしたりと「マリオカート」シリーズが好きな人には、堪らない演出が目白押しです。
何気に、この「レインボーロード」での戦いは「マッドマックス」っぽいのも「イルミネーション・スタジオ」ならではの遊び心でしょう。
さらに、マリオが食事をしているお店の名前が「パンチアウト」(任天堂のボクシングゲーム)だったり、マリオがプレイしているゲームが「パルテナの鏡」だったり、キノピオの格好が、パズルゲーム「キノピオ隊長」の時の姿だったりと、任天堂に関する小ネタも満載です。
ゲーム版と重なるマリオのサクセスストーリーを描きつつ、ゲーム同様とにかく観客を楽しませることに振り切った本作。
ゲームを原作にした映画のお手本のような作品なので、「スーパーマリオブラザース」に触れたことがある、幅広い世代にオススメしたい映画です。
まとめ
『ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービー』の見どころの1つが、ゲーム同様に横スクロールを意識したアクションが展開される場面です。
オープニングで、マリオとルイージが依頼人の所に走って行く場面や、後半のクッパ城を突き進む場面。
そして、クライマックスで、無敵状態になったマリオとルイージが、クッパに向かって走って行く場面など、何度か横スクロールを意識したアクションが出て来るのですが、全ての場面に飽きないような工夫がされています。
その1つが音楽で、ゲームで印象的な音楽のアレンジなのですが、クッパ城の戦いで、マリオが「タヌキスーツ」でパワーアップする場面では、「タヌキスーツ」が初登場したゲーム「スーパーマリオブラザース3」のアレンジ版の音楽が一瞬だけかかるなど、とにかく演出が細かいです。
また「スーパーマリオ64」に登場したボスキャラ、ボムキングや「マリオカート」シリーズなどでお馴染みのキングテレサも登場するなど、キャラクター探しも楽しいのではないでしょうか?
特にボムキングは、ちょっと可哀想なことになるので、そこも注目してください。
本作はエンドクレジット後も注目で、最後の最後に、あの大人気キャラクターも本当にちょっとだけですが登場しますよ。