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Netflix『君に届け』ネタバレ結末あらすじと感想評価。椎名軽穂の少女漫画で描いた“個人の尊重と思いやる気持ち”

  • Writer :
  • からさわゆみこ

Netflixドラマ『君に届け』が2023年3月30日(金)から配信されています。

Netflixドラマ『君に届け』は、2006年から2017年まで「別冊マーガレット」で連載された椎名軽穂の人気少女漫画が原作で、テレビ東京がNetflixと共同制作したNetflixシリーズドラマです。

この漫画『君に届け』はアニメ化もされ、2010年には多部未華子の主演で映画化されるなど、ファンの間では「きみとど」と呼ばれ愛され続けている作品です。

高校1年生の黒沼爽子は小学4年生の時、友達が間違って「さだこ」と呼んだことで、長い黒髪だった彼女はホラー映画の「貞子」にかけてあだ名にされてしまいます。

心機一転の高校生活。入学式の朝、高校への行き方に迷う男子生徒の風早翔太と出会い、同じクラスになります。

内気な性格と見た目から気味悪がられ、高校に進学しても浮いた存在になりますが、彼は気にせず爽子に話しかけ、やがて爽子の良き理解者となる友人もでき、夢の高校生活がはじまります。

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映画『君に届け』の作品情報

(C)椎名軽穂/集英社・「君に届け」テレビ東京

【日本配信】
2023年(日本ドラマ)

【監督】
新城毅彦、菊地健雄

【原作】
椎名軽穂

【脚本】
宮本勇人

【キャスト】
南沙良、鈴鹿央士、櫻井海音、久間田琳加、中村里帆、戸田菜穂、平山浩行、三浦翔平、鈴木仁、犬飼貴丈、香音、杉本哲太

【作品概要】
漫画『君に届け』は第32回講談社漫画賞少女部門を受賞しました。

ヒロインの黒沼爽子役は『志乃ちゃんは自分の名前が言えない』(2018)で、映画賞の新人賞を多数受賞し、『もみの家』(2020)『この子は邪悪』(2022)で主演を務めた南沙良が演じます。

爽子が恋愛感情を抱く同級生の風早翔太役には、『蜜蜂と遠雷』(2019)で天才ピアニスト役が評価された、鈴鹿央士が務めます。

ドラマ『君に届け』のあらすじとネタバレ

(C)2023 Netflix

高校の入学式に向かう黒沼爽子は、満開の桜に魅入っている男子学生に出くわします。彼は爽子を見て同じ高校だと知り、新入生かと聞き爽子はうなずきます。

「桜が満開だね」と気さくに話しかける彼は、入学式に遅れると間違った方に走りだします。爽子が方向が違うと教えると彼は笑顔で「ありがとう」と言って行ってしまいます。

爽子は気さくで親切な彼の態度と爽やかな笑顔に、今まで感じたことのない気持ちを覚え、その気持ちを彼に届けたいと思い始めます。

爽子は高校に入学しても“貞子”と呼ばれ、何かの能力があると噂され避けられてしまいます。クラスの誰もが彼女の本名は知らないと、知りつついつかは“爽子”という名前にふさわしい爽やかな人になりたいと希望を持っていました。

桜の木の下で出会った風早翔太とは同じクラスになって、彼だけは「黒沼」と苗字で呼び挨拶をしてくれます。風早は誰にでも平等に優しく接する人気者でした。

爽子はそんな彼に憧れと尊敬を抱き、自分も風早のような人望のある人になりたいと思います。

一学期最後の日、クラスイベントとして“肝試し”が企画されます。自由参加でしたが翔太は爽子に参加するよう誘い、彼女もそうするつもりでいました。

しかし、帰りの駅のホームでクラスメイトの矢野あやねと吉田千鶴が、肝試しに“脅かし役”がいれば盛り上がると話し、爽子の噂話しをしていました。

その話しを聞いていた爽子は幽霊役になって、みんなが喜ぶなら肝試しを盛り上げたいと名乗り出ます。あやねと千鶴はそんな爽子の意気込みに驚きつつ協力を約束します。

この企画を知らない風早は、幽霊役の爽子に驚きますが爽子と話す機会を作り、彼女が自分に過剰な好印象を抱いていることを知って困惑します。

そこにあやねと千鶴が来て爽子に飲み物の差し入れをすると、彼女はその気持ちに感動しクラスの“役に立てた”と喜びました。

以下、『君に届け』ネタバレ・結末の記載がございます。『君に届け』をまだご覧になっていない方、ストーリーのラストを知りたくない方はご注意ください。

(C)2023 Netflix

二学期になるとくじ引きで席替えがあります。爽子の後ろの席には千鶴の幼なじみの龍が座り、風早は爽子の隣りになるよう仕向け、あやねと千鶴も同じように近くの席に座ります。

こうして肝試しがきっかけで、あやねと千鶴は爽子の良さに気づき仲良くなり、風早もクラスのためになろうと努力する爽子と親しくなろうとしました。

爽子は数学が得意で教えるのも上手でした。図書室で自習をしていると、本領発揮しクラスメイトに数式の解き方を教え評判になりました。

ところが風早が爽子を気づかい仲良くなる様子を見て快く思わない者がいます。それは風早と同じ中学校で、彼に思いを寄せていた胡桃沢(くるみ)です。

ある時、あやねと千鶴の悪い過去を爽子が流しているという噂が立ち始め、爽子と一緒にいる人達の株が下がっていると聞き、あやねや千鶴、風早から距離を置きはじめます。

あやねと千鶴、風早は爽子のそんな態度に戸惑い、風早はそんな爽子に事情を聞くと、噂の話を聞き出し「その噂の中に俺の意思はない」と、あやねや千鶴も不安に思ってるはずと諭します。

爽子は女子トイレであやねと千鶴を侮辱する女子生徒達に、「吉田さんと矢野さんは優しい人なので取り消して欲しい」と反論します。

爽子は突き飛ばされ噂を流してるのは彼女で、2人に近づいたのは風早目当てじゃないかと言われます。爽子はあやねと千鶴のことを「好きよりももっと大好き」だと訴えます。

トイレで騒動が起きていると知ったあやねと千鶴が駆けつけると、女子生徒達から爽子を助けだします。千鶴は「友達っていうのは、気づいたらなってるものなんだよ」と涙を流し、3人の仲は元に戻ります。

風早のことが好きなくるみ(胡桃沢)は爽子に近づき、仲良くなるふりをして風早に恋愛感情がないなら、仲をとりもってほしいと頼みます。

爽子の心は混乱しますが、風早が好きな気持ちから「それはできない」と断ります。

千鶴は中学時代にくるみが“みんなの風早同盟”を作ったと話し、自分達の悪口を流し爽子に濡れ衣を着せたのが彼女だと気づきます。爽子はそれを知ってもくるみを責めません。

体育祭の日、野球に参加する風早を応援する爽子とくるみですが、悪送球が爽子に当たりそうになったところを、千鶴の幼なじみ龍が助けます。爽子は龍にお礼が言えなかったと後悔していると、くるみが体育用具倉庫前に行くよう言います。

体育祭委員のくるみと風早は、用具を片付けをしているとき、爽子は龍に気があるようだと話します。用具倉庫の前に呼び出された龍は爽子から礼を言われ、しばらく千鶴のことなどを話していました。その様子を見た風早はたまらず、爽子の腕を掴んで走りだしました。

くるみの言っていたことが誤解だと知り、風早は安心しますが、体育祭の片づけをしている時に、くるみから告白されます。風早は「好きな人がいる」と彼女に言いました。

(C)2023 Netflix

千鶴は龍の年の離れた兄、徹のことを幼いころから好きでした。札幌で仕事をする徹が週末に来る予定でしたが、龍はそのことを千鶴に隠します。

ところが1日早く実家に帰ってきた徹は千鶴と対面します。久しぶりに会えた千鶴は大喜びでしたが、実は彼は婚約者を連れて来ていました。

ショックをうけた千鶴は龍に八つ当たりし、素直におめでとうといえない自分に落ち込みます。千鶴のことが好きな龍は複雑な気持ちですが、こうなってよかったと言い切り千鶴を激怒させました。

龍は徹を再び呼び出し千鶴に会うよう仕向けます。2人は思い出の場所を散歩し、最後に千鶴は「好きだ」と思いを告げ、徹も“妹”のように好きだと答えます。

2学期の終わりにクラスでクリスマスパーティーが企画されますが、爽子の家では毎年、父が家族とのクリスマスパーティーを楽しみにしているため言い出せずにいました。

爽子は家族とクリスマスを過ごすことを決めますが、パーティー会場から千鶴が電話をし風早に変わると、爽子の母が電話に出ます。

クラスメイト達の楽しそうな雰囲気が聞こえ、母は爽子が行きたいと言えなかったと察します。爽子は父に少しだけ行かせてほしいと頼みます。

父は「そういうことは早く言いなさい」と許し、爽子は二次会のカラオケから参加し、クラスメイト達と楽しい時間を過ごしました。

大晦日になり千鶴とあやねは、爽子と風早の2人きりで初詣に行くよう仕向けます。大晦日は爽子の誕生日でしたが、おみくじを引くと爽子は凶で風早は大吉でした。

風早はそのおみくじを誕生日プレゼントと渡し、取り替えてあげます。2人の距離は縮まり恋人同士にしか見えなくなりますが、互いに思いは伝えていません。

バレンタインデーになり爽子は風早に手作りチョコを作りますが、くるみから風早は「義理チョコはもらうけど、本命チョコはもらわない」と言われ、渡せないまま終わります。

爽子からのチョコを期待していた風早は、両思いではないのかと混乱してしまいます。

2年生になるとクラス替えがありましたが、爽子は千鶴とあやね、龍そして風早と同じクラスになり、これで持ち上がりの3年も同じクラスになります。

ところが爽子の隣の席になった三浦健人がお調子者で、爽子になにかとつきまとい、爽子に“師匠”と呼ばせます。

健人は爽子にもうクラスに溶け込めているし、風早には“好きな子”がいるから、彼に頼ると誤解されると言われます。爽子は風早とどう向き合えばいいかわからなくなります。

そこに複数の男子生徒が現れ、爽子をからかい始めると追いかけてきた風早は、仲間の前で彼女に告白します。

しかし、風早に好きな子がいると聞いた爽子は「そんなこと言ったら誤解される」と言ってしまい、風早は「迷惑ならそう言えばいいんだ」と去っていきました。

爽子は風早が彼女に気をつかっていると感じ、迷惑をかけていると思っていました。風早はもう一度爽子のことが好きと言い、彼女に自分のことが好きか聞きます。

爽子は頷きますが風早は「自分の好きと、爽子の好きは違うね」と聞くと爽子は頷いてしまいます。風早の“好き”は気遣いからくるもので、恋愛感情はないと思っています。

爽子自身も風早への好きがどういう“好き”なのか、混乱してしまい2人はお互いにフラれたと思い込んでしまいます。

そこに千鶴とあやねが駆けつけると、爽子は風早にふられたと報告し、自分が勝手に好きになって、気を使わせてしまったといいます。

すると千鶴は私たちのことも気を使っていると思っているなら気分が悪いと怒り、風早も爽子に気をつかってるわけではないと言い放ちます。

「いつまで自分を下げて生きるつもり?鈍さに慣れるな」と一喝して去っていきます。

風早が爽子にふられた話を偶然聞いたくるみは、爽子を呼び出します。爽子は風早にふられたと言いますが、くるみは爽子が鈍いせいで風早を傷つけていると言い放ちます。

そして、恋愛感情で好きと告白もしていないくせに、自分と一緒にするなと怒ります。

学園祭の出し物は爽子による“貞子の黒魔術相談”に決まり、大人気で盛り上がりました。休憩中、健人は爽子に風早との間に壁を作っているのは、爽子の方ではないかと指摘します。

文化祭が終わり爽子はあやねたちと下校しますが、意を決したように教室に戻ると、1人残っていた風早に「恋愛感情で好きです」と告白すると、風早は爽子を抱きしめました。

晴れて爽子と風早は付き合うことになり、爽子の手を繋ぎたい・・・という願望も叶い初めて手を繋いでデートをします。

一方、龍が他の女子生徒から告白され、好きな子がいると断るのですが、その相手が千鶴だと思った女子生徒は彼女を追及します。そのことを聞いた龍は否定せず、千鶴に告白し彼女は驚きます。

爽子は風早と2人きりでクリスマスを過ごしたかったが、風早は爽子を大事にしたいあまりに2人きりになるのを避け、クリスマス会の幹事になります。

あやねは他のクラスの男子から告白されますが、男同士の賭けだったと知り落ち込み、聞いていた健人も怒りを彼らにぶつけます。

健人はあやねに大丈夫かと聞きますが、彼女は傷つきながら強がりをいいます。健人は「今まで誰も好きになったことがないなら、オレを好きになってよ」と彼女を抱きしめます。

クリスマス会がお開きになり帰る途中、爽子は風早の上着の裾をつまみ目をつぶりますが、風早は何もしません。爽子は風早に何か悩みがあるのを隠し、忙しくしていることに寂しかったといいます。

爽子は自分のことを好きでなくなったのかと泣き始めます。風早はそんないじらしい爽子に心を打たれ、ようやく彼女にキスをしました。

3年生になると進路のことを考えなければならなくなります。風早は父親が経営しているスポーツ店を継ぐと、三者面談で話しますが父親から「甘ったれるな」とビンタされます。

風早の母は病弱で何かあった時に、駆けつけられるよう野球も辞め、家業を継ぐと決めていました。

爽子は地元の大学に進学し公務員、一般事務と進路希望を出しますが、荒井は爽子に心の中に秘めている夢や目標があるはずだと、進路に関して再考するよう言われます。

爽子は風早に“教師”になりたいと話しました。風早も教えることや周囲の人に伝えたいという、思いの強さがある爽子に向いていると後押ししました。

風早はスポーツのことを学べる大学はないかと担任の荒井に相談します。風早が荒井から勧められたのは、爽子と同じ大学のスポーツ学科です。2人は大学も一緒に通えると喜びました。

(C)2023 Netflix

ところが荒井荒井は爽子に本当に教師になりたいなら、国立の札幌教育大学がいいと勧めます。すると、くるみが自分は教師一家で親も祖母も札幌教育大卒だと話します。

くるみの成績では同じ大学に行くのは厳しいが、家族の期待も大きく悩んでいました。そこで彼女は爽子に勉強を教えてほしいと頭を下げます。

あやねは希望する大学の推薦入学も確実でしたが、荒井から伸びしろがありもっと上を目指せると言われます。彼女にもまた心に秘めた夢がありました。

あやねは東京の大学で語学を学びたいと考え、もっと広い世界を見てまわりたいと思い、東京の大学を受験することを決めます。

そして、健人はあやねの心に自分がいないことに気づき、進路の邪魔になると身をひきました。

千鶴は龍がスポーツ推薦で札幌の大学へ行くことが決まっていました。千鶴は複雑な気持ちになりますが、龍の実家の中華店で働くことを決めます。

龍は最後の高校野球の予選大会で敗れます。試合後に駆けつけた千鶴は龍の野球人生はまだ続く、ずっと応援していると言い、龍は帰ってきたら家族になろうとプロポーズします。

爽子は教師になる夢を実現するために、風早と地元から離れて札幌教育大学に行くことを決めます。

風早は思い描いている、スポーツトレーナーとしてスポーツ用品店で、専門的なことも指導できる経営がしたいと、父と向き合い話します。父もようやく彼を理解し応援すると決めました。

あやねは進路を通じ自分のことを気にかけて、本心を導き出してくれた荒井に好意を抱いていました。彼女は合格したと伝えに行き、思いを告白しようとしますが察した荒井は止めます。

あやねは前に進むために伝えておきたいと「初めて好きという気持ちを抱いた」と告白します。荒井は10年早いと笑いました。

風早も希望する大学に合格し、爽子の合格発表は卒業のあとです。卒業式が終わりくるみは、爽子とあやね、千鶴に1年の時に意地悪したことを謝り、3人とも忘れていると許します。

爽子とくるみは一緒に札幌教育大学の合格発表を見に行き、無事2人とも合格していました。

あやねは東京に旅立つ日を爽子と千鶴に黙っていましたが、2人は駅のホームに駆けつけ、泣いて見送りました。

一人暮らしをすることになった風早は、爽子に引っ越しの手伝いを頼みます。その時、風早は爽子に指輪をプレゼントし、いつか本物の指輪を贈ると約束します。

爽子は帰りたくないと言い、母に「今夜は帰らない」と電話をして、風早の家で2人の夜を初めて過ごします。

札幌へ旅立つ爽子は親の見送りも断り、1人で駅のホームで列車を待ちます。風早が見送りに来る予定でしたが、アクシデントでギリギリになります。

風早は爽子に手紙と部屋の合鍵を渡しました。手紙の最後に書かれた「離れていても気持ちはずっと届いている。これからもずっと大好きです」に爽子は涙を流します。

その涙は今までの頼りない涙ではなく、自分達の気持ちは永遠に変わらず、この先も思いを届けるという強い決意に変わります。

1年後。爽子と風早が初めて出会った桜の前で、2人は再会します。風早は帰ってきた爽子に「おかえり!」といい「ただいま!」と走り寄る爽子を抱きしめました。

映画『君に届け』の感想と評価、解説

(C)2023 Netflix

Netflixドラマ『君に届け』は、“きみとど”ファンにはたまらない、漫画に描かれたエピソードが満載に描かれています

爽子役の南沙良も原作ファンで、再度読み込み爽子を探究し原作の彼女に近づき、視聴者に“届けたい!”と意気込みを強くしたとインタビューで語ります。

風早役の鈴鹿央士は映画版を観ており、どう風早役を演じればいいのか悩む中、原作の持つ力が味方についてくれると信じ挑んだと話しました。

原作者の椎名軽穂も両者の雰囲気から、ドラマ化されることを楽しみにされ、長いファン達だけでなく、初見の方にも楽しんでほしいと期待を込めていました。

“届け”と願う思いの形

原作者の椎名軽穂は自らを「不器用な性格」と分析し、セリフの一つ一つを納得いくまで考え抜くタイプです。原作のヒットはそんな作者の“届け”という思いが込められていたからでしょう。

本作には好きな人へ届けたい思い、友達に届けたい思い、両親に届けたい思いがいっぱい込められたドラマでした。

『君に届け』は椎名軽穂が深く考え抜いた、刺さる言葉が沢山散りばめられています。

爽子は小学4年生の時から“貞子”というあだ名で呼ばれ、本人の人格を無視した境遇の中で、自分を下げ鈍さの中に逃げ込んだ性格になります。

千鶴がそんな爽子に言い放った「いつまで自分を下げて生きるつもり?鈍さに慣れるな」や、「友達って気づいたらなっているもの」という言葉は、大人になっても響いてきます。

ある意味、爽子にとって“鈍さ”は自己防衛でした。だからこそ、今でいう“不思議ちゃん”的な子で純粋に成長してきました。

深刻に考えすぎる人格であったら、もっと悲壮感のあるキャラクターであったかもしれません。爽子は暗い性格ではなく、超ポジティブであり過剰な思いやりの中で、自分の気持ちを後回しにしてしまう女の子ということです。

この物語には親子の葛藤と信頼関係が描かれ、友情の葛藤と信頼も描かれていました。大切な人にこそきちんと思いを伝え、乗り越えようという物語でした。

個人の尊重と思いやる気持ち

爽子のように実はポジティブシンキングで、「みんなのためになるなら」という思考になれたら、生き辛さが少しは解消されるでしょう。

また、風早や千鶴、あやねが個人の良さを見抜き、それを引き出す本能があったことで、爽子の存在を唯一無二にさせたところが感動的です。

本作は孤立しがちな爽子のような子に対し、個人を尊重し思いやれる気持ちがあれば、いじめも減少するでしょうし、お互いの良さを引き出し高めあえると訴えかけます

また、爽子たちの担任荒井の存在も大きく、荒井役を演じた三浦翔平の演技が際立ちます。子供たちの心を鋭く見抜き、何を考えているのか分析できる大人の手本といえるでしょう。

親が言っても聞かなくても、荒井のような大人の存在があれば、子供たちが闇雲に迷走せず、自らの気持ちに沿った生き方ができるのではないかと思えます。

まとめ

(C)2023 Netflix

Netflixドラマ『君に届け』は、友情・恋愛・進路などを通して、人間関係を上手く築けず悩む爽子が成長していく物語です。また、爽子を中心とした登場人物たちの、高校生活の3年間の青春模様が描かれていました。

また、子供の心の成長に欠かせない大人の見守りとアドバイス、大人と子供の関わり方も描かれ、年代を問わない多くの気づきがありました。

そして、漫画の読者が名言と思うセリフも多く盛り込まれ、その言葉に心を動かされます。コロナ禍で人と人の繋がりがいかに大切だったかを体験した私たちには、伝えたい思いがある時は、きちんと伝えるという大切さが強く伝わりました

純粋に恋愛ドラマとして楽しい反面、この作品が長く広く愛されている意味が、観た人の心に届くことでしょう

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