映画『高速道路家族』は2023年4月21日(金)よりシネマート新宿、アップリンク吉祥寺、池袋シネマ・ロサ他で全国公開!
釜山映画祭で「『パラサイト 半地下の家族』に次ぐ大傑作」とさえ称賛されたチョン・イルとラ・ミランW主演作『高速道路家族』が2023年4月21日(金)よりシネマート新宿、アップリンク吉祥寺、池袋シネマ・ロサ他で全国公開されます。
『スキャンダル』(2018)のイ・ジェヨン監督に師事してきたイ・サンムン監督による初の長編作です。
高速道路を転々としながら暮らす貧しい一家と、中古家具店の社長夫婦が出逢い、予測できない物語が展開します。
貧困問題、家族の絆、トラウマのつらさなど、さまざまなことを考えさせられる一作であり、怒涛の展開を見せる衝撃作『高速道路家族』魅力についてご紹介します。
映画『高速道路家族』の作品情報
【日本公開】
2023年(韓国映画)
【監督・脚本】
イ・サンムン
【キャスト】
チョン・イル、ラ・ミラン、キム・スルギ、ペク・ヒョンジン
【作品概要】
大ヒット作『スキャンダル』(2018)のイ・ジェヨン監督に師事してきた新鋭イ・サンムン監督による衝撃のパラサイティック・スリラー。
韓国国内ではスマッシュヒットを記録した本作。高速道路で暮らすホームレス一家と、家具屋を経営する裕福な訳あり夫婦が出逢ったことから、予測不可能な物語が展開していきます。
ホームレス一家の父親・ギウを、ドラマ『太陽を抱く月』で知られる韓国トップスターのチョン・イルが好演。経営者のヨンソンを『正直政治家 チュ・サンスク』『ガール・コップス』(2019)のラ・ミランが演じます。
映画『高速道路家族』のあらすじ
高速道路のサービスエリアを転々としながらテントを張って暮らすギウ一家。初めて出会う他人から2万ウォンを借りるという名目でだましとり、その金で食いつないで生活していました。
親切なヨンソンは、お腹をすかせた子どもたちを哀れに思い、多めに金を渡して去っていきます。
ある日、ギウはヨンソンと別のサービスエリアで偶然に再会してしまいました。不審に感じたヨンソンは警察に通報し、ギウは拘留されます。
残された妊娠中のギウの妻ジスクと子どもたちを放っておけず、ヨンソンは彼らを自宅に連れ帰りました。
ヨンソンのもとでごく普通の生活を手に入れたジスクたち。一方、牢に入れられていたギウは家族が恋しくなり……。
映画『高速道路家族』の感想と評価
流浪する家族の悲喜劇
恐ろしいほどの貧困を描き出す衝撃作『高速道路家族』。暗い物語なのに常に漂うユーモラスな空気感は『パラサイト 半地下の家族』と似た印象を抱かせますが、まったく異なるストーリー展開となっています。
訳ありの男・ギウを父とする主人公一家は、サービスエリアを転々としながら暮らす貧困家庭です。人のよさそうな人をターゲットに、財布を落としたと嘘をいって2万ウォンをだましとってその日暮らしをしています。
幼い子どものいる4人家族でそんな綱渡りのような生活をしていることに、恐怖を感じるほど驚かされます。しかも、その後妻のジスクはさらにもうひとり子どもを妊娠するのです。
ギウは妻と9歳の娘のウニ、5歳の息子のテクを心から愛しており、明るく陽気に振る舞っては家族を楽しませようとします。一見能天気に見えるギウは深い心の傷を持っており、家族への愛でその穴を埋めようとしていました。
貧しいながら、ひとつの料理を分け合う仲睦まじい姿には、うらやましさを感じさせるほどの温かみがあります。
しかし、遠距離を歩いて渡り歩く旅はつらく、幼いテクは足が痛いと言って泣き、テントの中で固い床の上で眠るために皆腰の痛みに苦しんでいます。時にはテントが撤去されそうになるなどのトラブルにも遭い、疲労しきって毎日を過ごす姿には胸が痛むばかりです。
しかも子どもたちは学校にも通っておらず、読み書きもできないありさまでした。ウニは学校にいきたいと父に頼みますが、きいてもらえません。
そんなある日、以前金を受け取った相手・ヨンソンと再会したことから、ギウは詐欺を見破られて牢に入れられてしまいます。苦境を見かねたヨンソンが残された母子3人を引き取ります。
ヨンソンもまた、心にぽっかり大きく空いた穴を埋めるようとしていました。野良猫にさえエサをやらずに素通りできないヨンソンにとって、ジスクたちを見捨てるなど到底できることではなかったのです。
ここで悲劇とも喜劇ともつかない事態が起こります。ジスクら3人は、屋根の下の柔らかい布団で眠れば腰が痛くならないことを知り、温かいご飯をお腹いっぱい食べられる幸せを知ってしまうのです。
これまでの生活が異常なものだったことに気づいた彼らは、果たしてどんな未来を選び取るのでしょう。衝撃のラストにはきっと言葉を失うに違いありません。
まとめ
怒涛のストーリー展開で観る者の心を最後までつかんで離さない衝撃作『高速道路家族』。観終えた後は放心状態になってしまうほど、スリリングで心を揺さぶる一作です。
登場人物の誰もが大きな心の傷を抱え、身を寄せ合ってその苦しみを埋め合って生きています。共感せずにはいられない人々です。
誰が悪いわけでもないのに、一度下り坂を転がり始めたら何かにぶつかるまで止まれない怖さ。一家の父のギウは、ボロボロに傷つきながら崖を転げ落ちていきます。
一家に救いは訪れるのか、どうぞ最後まで見届けて下さい。
映画『高速道路家族』は2023年4月21日(金)よりシネマート新宿、アップリンク吉祥寺、池袋シネマ・ロサ他で全国公開です。