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『ソングバード』あらすじ感想と評価解説。マイケルベイのプロデュースで描くパンデミックの恐怖

  • Writer :
  • 桂伸也

映画『ソングバード』は2022年10月7日(金)より全国ロードショー!

パンデミックの脅威に見舞われた世界の片隅で、恋人の救出に挑む一人の男性の姿を描いた『ソングバード』。

世界的な感染拡大に包まれた日常の裏にうごめく陰謀の闇の中、恋人に訪れた危機を回避すべく奔走する男性を通して、現代社会の真の姿に迫ります。

撮影は2020年7月のロックダウン下のロサンゼルスで行われました。プロデュースは「ハリウッドの”破壊王”」の異名を持つマイケル・ベイ。

映画『ソングバード』の作品情報


(C)2020 INVISIBLE LARK HOLDCO, LLC. ALL RIGHTS RESERVED.

【日本公開】
2022年(アメリカ映画)

【原題】
Songbird

【監督・共同脚本】
アダム・メイソン

【共同脚本】
サイモン・ボーイス

【キャスト】
K・J・アパ、ソフィア・カーソン、クレイグ・ロビンソン、ブラッドリー・ウィット、ピーター・ストーメア、アレクサンドラ・ダダリオ、ポール・ウォルター・ハウザー、デミ・ムーア

【作品概要】
パンデミック下の世界で危機に陥った恋人を救うべく奔走する男性の姿を追ったアクションスリラー。

『レジェンド・オブ・エクリプス 導かれし勇者の戦い』、『ネバダ・バイオレンス』、『ハングマン』などのアダム・メイソン監督が作品を手がけました。

主人公ニコ役をドラマ「リバーデイル」のK・J・アパ、ヒロイン・サラを『ディセンダント』シリーズのソフィア・カーソンが担当しました。

映画『ソングバード』のあらすじ


(C)2020 INVISIBLE LARK HOLDCO, LLC. ALL RIGHTS RESERVED.

2024年。世界では新たな感染症拡大が世界的規模となり、街は外出禁止令があちこちで出され廃墟のような風景を映し出していました。

人々は免疫所有者とそうでない人間に分けられ、それぞれ接触を禁止されていました。

また免疫を持っていると認められない人々は日々検温を義務づけられ、発熱すると自動で通報されるシステムが確立しており、感染者と確認された場合には「Qゾーン」と呼ばれる隔離施設に収容されるという状況を余儀なくされていました。

免疫保持者で配達員として働くニコは、ある日ひょんなきっかけで出会った免疫の非保持者であるサラといつしか恋に落ち、ドアやスマートフォン越しに愛を育んでいました。

ところがある日、サラの家で働く女中が発熱し、サラも感染を疑われ「Qゾーン」に収容される危機に陥ってしまいます。

パンデミックの裏でうごめく陰謀の中、ニコは法に背いてまでもサラを救うべく奮闘を始めます……。

映画『ソングバード』の感想と評価


(C)2020 INVISIBLE LARK HOLDCO, LLC. ALL RIGHTS RESERVED.

本作はちょうどコロナウィルスが感染爆発した2020年製作の作品。

当時の情勢の例として2011年の『コンテイジョン』のストーリーなどを引き合いに出されることもありましたが、本作はある意味

「ポスト・コロナ」の時代、つまりウィルスによる脅威の蔓延より世界や社会が変化していく様子を、一組のカップルと彼らを取り巻く人々の姿より描いています。

この方向性は、ある意味『コンテイジョン』などの作品で描かれた社会の移り変わり方とはまた違ったポイントも垣間見れ、非常に興味深い物語となっています。

過去作品ではウィルス感染拡大という事件に対し社会が大きく混乱していく様子を描いていました。

一方で本作は、ある程度その脅威の存歳を建前上でも認められ社会的にはさまざまな対策が打たれながらも、その裏側ではとんでもない問題がはびこっているというテーマにフォーカスが当てられています。

感染拡大を防ぐための外出禁止令、隔離政策、そして人間観の関係における分断。つまりウィルスなどの脅威というよりも、その脅威の存在が社会にあるということに対して、有効な手段だろうと講じられた対策に対する問題自体にポイントを置いているといえるでしょう。


(C)2020 INVISIBLE LARK HOLDCO, LLC. ALL RIGHTS RESERVED.

本作において注意すべきは、この対策というもの自体は非難していない一方で、脅威に対する対策を重視することにより避けられない問題、不正などの問題が発生する可能性があることを示唆しています。

具体的には、脅威に対する対策のために著しく制限される権利をめぐり裏で不正が横行するというもの。ゆえに物語の結末は決して正当性を示したものではありません。

それでも社会が様々な要因で移り変わっていく中で、人間が失ってはならないものを強く主張しているようなメッセージ性を感じ取ることもできます。

物語の背景にはどこかディストピア的なカラーが垣間見られますが、反して物語の最後には非常にポジティブな方向性も感じられることでしょう。

まとめ


(C)2020 INVISIBLE LARK HOLDCO, LLC. ALL RIGHTS RESERVED.

ハリウッドの「破壊王」という異名をとるマイケル・ベイのプロデュースだけに物語は荒廃した街の風景から幕を開けており、『28日後…』『アイ・アム・レジェンド』のオープニングを彷彿するその光景からは、まさに破壊された社会の一端を見ているようでもあります。

一方、映像に特撮的な表現などはなくドキュメンタリー的な視点で描かれるその画作りには、逆にベイらしさのようなテイストとは違う、アダム・メイソン監督ならではの視点で描かれた作品といえるでしょう。

何もかもがネガティブな要素に包まれる中で、ウィルス感染の脅威があったからこそ出会ったという一組のカップルの関係こそがポジティブなポイントとして光っています。

現代社会に蔓延している不遇の状況があるからこそできたという本作の経緯にも重なり、非常に印象深い物語の核心を表現しています。

映画『ソングバード』は2022年10月7日(金)より全国ロードショー

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