『おそ松さん』放送開始6周年の完全新作映画が期間限定上映!
人気アニメ『おそ松さん』の、放送開始6周年を記念して製作された、完全新作の劇場版アニメ『おそ松さん ヒピポ族と輝く果実』。
シリーズ初のアドベンチャーとなる『おそ松さん ヒピポ族と輝く果実』は、伝説の「キラキラフルーツ」を探し、6つ子の大冒険が巻き起こる…と思ったら、いい意味でこちらの期待を裏切ってくれます。
実に『おそ松さん』らしいと言える、本作の魅力をご紹介します。
映画『おそ松さん ヒピポ族と輝く果実』の作品情報
【公開】
2022年公開(日本映画)
【原作】
赤塚不二夫
【脚本】
松原秀
【監督】
小高義規
【キャスト】
櫻井孝宏、中村悠一、神谷浩史、福山潤、小野大輔、入野自由、遠藤綾、鈴村健一、國立幸、上田燿司、飛田展男、斎藤桃子
【作品概要】『
赤塚不二夫原作の「おそ松くん」を原作に、大人になった6つ子を描き、大人気となったテレビシリーズの劇場版第2弾。
冴えない日常から脱却する為に、伝説の「キラキラフルーツ」を探す、6つ子の大冒険を描いたギャグアニメ。
これまで『おそ松さん』のテレビシリーズに長年携わり、名作と呼ばれる「イヤミはひとり風の中」を担当した小高義規が、初監督を務めています。
映画『おそ松さん ヒピポ族と輝く果実』のあらすじとネタバレ
20歳を超えても、ニートで冴えない毎日を送る、おそ松、カラ松、チョロ松、一松、十四松、トド松の6つ子達。
彼等はコンビニの雑誌で偶然目にした、食べると誰でもキラキラできる「キラキラフルーツ」を目指し、冒険に出発しました。
冒険の途中で、6つ子はヒピポ族という、謎の部族と遭遇します。
何故か、ヒピポ族に気に入られた6つ子は、ヒピポ族の村に招待され、歓迎を受けます。
いつしか「キラキラフルーツ」のことすら忘れてしまった6つ子ですが、カラ松が偶然「キラキラフルーツ」を発見します。
それは、ヒピポ族が栽培している畑で成長した果実で、6つ子は念願の「キラキラフルーツ」を手に入れ、食べようとします。
ですが、あることに気付きます。
手に入れた果実は、よく見ると…いや、よく見なくても「キラキラフルーツ」とは似ても似つない、別の果物でした。
映画『おそ松さん ヒピポ族と輝く果実』感想と評価
2015年の放送開始以降、テレビシリーズが3期まで放送され、Snow Man主演の実写映画も記憶に新しい、人気アニメ『おそ松さん』。
アニメの劇場版は、2019年の『えいがのおそ松さん』に続く2作目となります。
『えいがのおそ松さん』は、タイムスリップなどのSF要素を取り入れ、大人と学生時代の6つ子のエピソードを描いた『おそ松くん』と『おそ松さん』を繋ぐ、劇場版にふさわしい壮大な物語でした。
そして、今作の『おそ松さん ヒピポ族と輝く果実』ですが、何の説明も無しに、いきなり6つ子が冒険に出ている所から物語が始まります。
テレビシリーズでも、いきなり三国志のパロディが始まったり、宇宙人と野球で戦ったり、地獄で大暴れして生き返ったりと、めちゃくちゃな展開が当たり前のように巻き起こっていたので、今回の劇場版は、良い意味で「いつも通りの、おそ松さん」となっています。
6つ子の目的としては、食べると誰もがキラキラになれる「キラキラフルーツ」を探すことで、劇場版にふさわしい、壮大な冒険が繰り広げられる!かと思いきや、途中で出会ったヒピポ族の村で、6つ子がダラダラする展開が続きます。
ですが、このダラダラこそ『おそ松さん』の真骨頂と言えます。
『おそ松さん』と原作の『おそ松くん』との大きな違いは、6つ子それぞれに個性があるという点です。
長男のおそ松は、ギャンブル好きのだらしない性格、次男のカラ松はナルシスト、三男のチョロ松は意識だけがやたら高い面倒くさい性格、四男の一松は根暗でネガティブ、五男の十四松は天真爛漫でド天然、末っ子のトド松は、あざとい程に可愛いけど、素顔は凶暴。
この6人の掛け合いこそ『おそ松さん』の魅力で、物語が全く進まなくても楽しめます。
特に、ヒピポ族の果実を手に入れる為に、6つ子が農作業をやることになる場面。
「畑を誰が耕すか?」を決める展開が異常に長く、完全に劇場版でやるような流れではないのですが、作中でも「このくだり長いよ!」と言っているので、ここは確信犯でしょうね。
ただ、全く話が進まない前半の流れと対照的に「ヒピポの実」の争奪戦が始まる後半では、怒涛の急展開が巻き起こります。
謎のマシンに乗ったデカパンがミサイルを放ち、ダヨーンが口からビームを吐き、トト子のワガママが炸裂する、この辺りも『おそ松さん』お馴染みの展開ですね。
2019年の『えいがのおそ松さん』は、テレビシリーズとは違う作品にしようと、2004年のアニメ映画『マインド・ゲーム』を意識した演出なども取り入れていました。
ですが、今回の『おそ松さん ヒピポ族と輝く果実』は、前作とは逆に、テレビシリーズでお馴染みの、いつもの『おそ松さん』に振り切った作品です。
第1期放送から6周年を迎えた、特別プロジェクトとして製作された本作は、お祝いの意味も込めて、お祭り気分で観賞すると楽しめますよ。
まとめ
6つ子の絶妙な掛け合いが魅力でもある『おそ松さん』。
本作で特におススメなのが「キラキラフルーツ」と信じていた果実が、実は「ヒピポの実」であると知ったうえで、自分を騙して食べようとする場面。
最初にチョロ松が「これは、キラキラフルーツだよ、そうに違いないよ」と、変なイントネーションで喋り始め、それが6つ子全体に広がっていく、どうしようもない様子が本当に面白いです。
また、おそ松が「ヒピポの実」のことを「キラキラフルーツ」と言い、それが世界に報道され、嘘の情報により世界が混乱する様子は、近年の「フェイクニュース」を風刺した展開で、こういった毒を入れてくるのも『おそ松さん』の魅力です。
本作は68分という短い上映時間ですが、テレビシリーズの魅力を詰め込んだ、スペシャル版のような内容です。
あらためて本作と『えいがのおそ松さん』を見比べると、ギャップの凄さを感じますが、いろいろな作風で違和感なく物語を作れるのが『おそ松さん』と、原作である『おそ松くん』の魅力なんだと、再確認しました。
2023年公開予定の新作映画は、どんな作風になるのでしょうか? 楽しみですね。