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沢尻エリカ映画『猫は抱くもの』あらすじと感想。公開する劇場情報も

  • Writer :
  • シネマルコヴィッチ

映画『猫は抱くもの』は、6月23日(土)から東京・新宿ピカデリーほか全国公開

沢尻エリカが演じた沙織は元アイドル。しかし、今では誰も自分を知らない田舎のスーパーのレジ係として勤務。

そんな彼女が唯一心を開く相手は、スーパーの倉庫で飼っているロシアンブルーの猫・良男の前だけ…。

“上手くいかないことの輝きや、置いてけぼりをくらっている時間の豊かさ”を、犬童一心監督が心温まるファンタジックな作風で仕上げた意欲作『猫は抱くもの』をご紹介します。

映画『猫は抱くもの』の作品情報


(C)2018「猫は抱くもの」製作委員会

【公開】
2018年(日本映画)

【原作】
大山淳子

【監督】
犬童一心

【キャスト】
沢尻エリカ、吉沢亮、峯田和伸、コムアイ、岩松了、藤村忠寿、内田健司、久場雄太、今井久美子、小林涼子、林田岬優、木下愛華、蒔田彩珠、伊藤ゆみ、佐藤乃莉、末永百合恵、柿澤勇人、益子寺かおり、中尊寺まい、澤山璃奈、西原有紀、樽見麻緒、長谷川佳奈、高嶋莉子

【作品概要】
「猫弁」シリーズで知られる原作・大山淳子の同名小説を沢尻エリカと吉沢亮の主演で映画化。『ジョゼと虎と魚たち』などで知られる犬童一心監督が、人間と猫の交流や恋愛を描いたファンタジック・コメディ。

沙織役を沢尻エリカ、良男役を吉沢亮が演じ、「銀杏BOYZ」の峯田和伸が映画初出演。また「水曜日のカンパネラ」のコムアイも脇を固めています。

映画『猫は抱くもの』のあらすじ


(C)2018「猫は抱くもの」製作委員会

河原に集まる猫たち。彼らがいる「ねこすて橋」のたもとに集まった猫たちは、気ままなノラやオシャレ猫もいて、誰もが猫ゆえに猫らしく自由気ままに生きていました…。

そんな町にあるスーパーには、元アイドルという事実を隠したの沙織が、レジ係として働いていました。

華やかな芸能界にデビューするも、成りたかった自分になれず、誰も知らないこの町に逃げて来きた彼女は、いつのまにか投げやりな生き方に、すっかり慣れきっていました。

そんな沙織が心を開けるのは、スーパー裏にある倉庫でこっそりと飼っているロシアンブルーの猫だけ。

沙織はその猫に“良男”という人間のような名前をつけ、話し相手にしています。

良男は沙織に与えて貰えるキャットフードを楽しみに、その日にあった出来事や、気になっているスーパーの上司のことなど、沙織は妄想混じりで話しに付き合います。

そのことは良男もまんざらでなく、沙織の心に寄り添い猫なで声を出しながら、嬉しそうに彼女の話を楽しみにしていました。

そんなこともあり、猫である良男は、いつしか自分は人間だと思い、沙織を守れる恋人は自分なのだと思いを抱きます。

ある日、スーパーで万引きをした女子高生が捕まえ、奥の事務所に留めていると、保護者の代わりに引き取りやって来たのは、叔父の後藤保という男でした。

女子高生は彼を“ゴッホ”と呼び、いかにも売れない画家であるゴッホはスーパーの店長に深々と頭を下げると、その後、万引きをした少女からお金を手渡されいます。

そんなやり取りを見ていた沙織は、なぜかゴッホのことが気になって仕方ありません。

彼の服に付いた黄色い絵の具の跡が、沙織の妄想に火を付けると、あれこれと倉庫で待っている良男に語ってあげました。

それからしばらくして、レジ係の沙織は、接客の速さが評価されことをきっかけに、上司と食事に行きデートを重ねるようになりました。

いつものように沙織は、そんな話を良男に嬉しそうに語ってあげますが、一方の良男はどこか面白くないようです。

そんな沙織の夢のような出来事もつかの間、スーパーの上司が彼女に見せていた態度には裏があって、元アイドルグループのメンバーであった過去を知ったうえで彼女を弄んでいただけでした。

沙織はスーパー裏の倉庫に行き良男を抱きしめ、「もう、男はあんただけでいいよ」と涙を流します。

その夜、沙織のそばで寄り添ってあげたいと思った良男は、倉庫の窓から飛び出して、沙織の住むアパートに走り出します。

しかし、夜道で足を滑らせると、そのまま暗い川に落ち流されてしまいます。

意識を失っていた良男が気がつくと、そこは「ねこすて橋」のたもとでした。

良男はそこでゴッホの飼い猫だったキイロや不思議な力を持った長老猫と出会いますが…。

映画『猫は抱くもの』の感想と評価


(C)2018「猫は抱くもの」製作委員会

等身大の沙織役に沢尻エリカ自身が輝く

この作品の沢尻エリカは、『パッチギ!』や『ヘルタースケルター』以来と言って良いくらい、たっぷりと演技力を見せてくれたのが印象的でした。

例えば、2015年公開の『新宿スワン』のアゲハ役も、どこなく影がある孤独な女性で、“力になってあげたい”と思わせる雰囲気を出した役柄でした。

本作『猫は抱くもの』では、等身大の女性として、沙織を思わず応援したくなる魅力的な女性で、どことなく沢尻エリカ自身が、沙織にシンクロしているように感じました。

沢尻エリカは沙織役について、このように語っています。

「沙織を演じて感じたのは、すごく多面的なキャラクターだなということ。彼女は過去にアイドルとして挫折していて、その経験から逆に、自分というものをうまく出せなくなっている。でも芯の部分には「本当はこういう風に生きたかった」という強い想いも抱えている。沙織が心に抱えているもの自体は、実は多くの人たちと共通してるんじゃないかなとも感じました」

沢尻エリカの言葉に、なんとなく本人と似ているなと感じるのは、気のせいなのでしょうか。

沙織は売れなかったアイドルグループ「サニーズ」のメンバーでした

物語のなかでは誰からも見向きもされず、話し相手になる人もいません。

芸能界から消えかかったことで、沙織自身が田舎で逃げ隠れた道を選んだという理由がありますが、やはり、寂しさは感じます。

唯一の話し相手は、自宅アパートでは飼えないロシアンブルーの猫・良男。

彼にだけ心を開き、勤務先の倉庫で猫の面倒を見ている時のみ、心は開かれ、“妄想族”さながらにあれこれと夢見がちなところは、チョッと可愛い気もします。

ギュッと抱き寄せる良男に沙織は満遍の笑みを浮かべると、猫役を演じたのは本物の猫だけでなく、俳優の吉沢亮が何ともいえない表情を演技力で見せてくれます。

犬童一心監督も吉沢亮を「役柄に憑依できる俳優」と認める、猫の目で涙を流す場面では演技に釘付けとなったようです。

犬童一心監督のワンダーランド


(C)2018「猫は抱くもの」製作委員会

なんだか、“単に猫が出演する猫映画”かと思えば、良男は吉沢亮が演じていて、「猫が憑依する俳優?」とか、あなたの頭の中も疑問だらけなのも無理はありません。

本作は犬童一心監督らしい語り部で、実に斬新作風で描いています。

“人間の沙織”と“猫の良男”の関係を物語を語るうえで、一つだけの世界観で描かずに、立体的に浮かび上がらせた世界観の重なりという演出を試みています。

この作品は「人の視線」と「猫の視線」を共存させながら、可愛らしい本物の猫に加えて、俳優たちが擬人化した猫を演じている場面を登場させます。

映画が始まった際は、チョッと度肝を抜かれますが、コレが見慣れてくると、とてもクセになってしまう面白さなのです。

しかも、それだけでなく、主人公沙織の周囲にいる町に住む人と、猫の世界を演じる俳優が一人二役で猫になって演じたりもしています。

さらには、実写で進行する場面と、現実に見立てた舞台劇で進行する場面が重なり合い、そこに手書き風な作画のアニメショーンで進行する場面がモザイクとなって物語の世界観を繰り広げていきます。

映画がはじまった時は、「これ、どんな風な映画なのだろう?」と、観客はちょっぴり戸惑いを見せるでしょうが、そこは沢尻エリカの表現者としての新境を見せた演技力でグイグイと引き込まれていきます。

映画にリアルさを求める映画ファンもいるとは思いますが、本作は犬童一心監督は『ヘルタースケルター』の壮絶な芝居に魅了されてから、「いつか自分も彼女(沢尻エリカ)か違った魅力を引き出した」と語っています。

だからこそ、本作を遊び心満載で、沢尻エリカの違った一面を引き出すように作品を楽しんで作ったのではないでしょうか。

また、犬童一心監督は作品について、このように述べています。

「うまくいかないことの輝き、置いてきぼりを食らっている時間の魅惑。 成功への希求ではなく、積極的な諦めを選んだ時にこそ踏み出せる一歩、その爽快さ。元アイドルの沙織が自分を見つめ、未来への答えを探す最中、揺れる心のダイナミックな動きを、映画の遊びと、演者たちの魅力でエンターテインメントにしていきたい。そして、究極の相棒「猫」、その存在の大きさを表現したい。世代や年齢に関係なく楽しめる、人生の絵本を描いてみました」

沙織と良男を応援したくなるといいましたが、そのことは沢尻エリカが語っていた「実は多くの人たちと共通してるんじゃないかな」というように、誰もが持っていたり、あるいは味わったことがある気持ちを登場する全ての人物たちから感じます。

それこそが、犬童一心監督の語った、「うまくいかないことの輝き、置いてきぼりを食らっている時間の魅惑。 成功への希求ではなく」という、人生のひと休みという遊びの時みたいなものでないかと思います。

だからこそ、この映画は監督の言葉にある「人生の絵本」なのかも知れません。

豊かな時間がありあまった子どもにとって、絵本は読んで楽しさそのもの。

しかし、時間があるようで無くなってしまった大人にとって絵本は、時に人生観のような大切ものをあっさりと、確信を突いて気づかせてくれます。

『猫は抱くもの』という作品は、まさしく、沙織を始め、良男、キイロ、そしてゴッホまでもが、それぞれ代償を払って何かに気が付きます。

そのどれもが痛くもありますが、まさに豊かなものであったりします。

それを見つめるあなたの心に、何かがそっと触れてくるそんな瞬間があるはずです。

そんな誰もが持つ揺れる心を掴むため、本作『猫を抱くもの』には、実写パートあり、舞台パートあり、アニメーションパートありのダイナミックな作風が必要不可欠なんです。

だって、子どもってそういうの好きじゃないですか。まるで、おもちゃ箱から飛び出した楽しさのパレードは、かつて見た“日本映画の豊かさ”を感じさせてもくれます。

“大人の絵本”映画『猫を抱くもの』見たく、にゃ〜ですか。

本作が上映される劇場情報


(C)2018「猫は抱くもの」製作委員会

【北海道地区】
北海道 札幌シネマフロンティア 6/23(土)~

【東北地区】
宮城 MOVIX仙台 6/23(土)~
宮城 MOVIX利府 6/23(土)~

【関東地区】
埼玉 MOVIXさいたま 6/23(土)~
埼玉 シネプレックス幸手 6/23(土)~
埼玉 MOVIX川口 6/23(土)~
埼玉 MOVIX三郷 6/23(土)~
埼玉 ユナイテッド・シネマ ウニクス南古谷 6/23(土)~

千葉 イオンシネマ幕張新都心 6/23(土)~
千葉 京成ローザ10 6/23(土)~
千葉 シネプレックス幕張 6/23(土)~
千葉 MOVIX柏の葉 6/23(土)~

東京 角川シネマ有楽町 6/23(土)~
東京 新宿ピカデリー 6/23(土)~
東京 池袋HUMAXシネマズ 6/23(土)~
東京 イオンシネマ板橋 6/23(土)~
東京 T・ジョイPRINCE品川 6/23(土)~
東京 MOVIX亀有 6/23(土)~
東京 ユナイテッド・シネマ アクアシティお台場 6/23(土)~
東京 イオンシネマ シアタス調布 6/23(土)~
東京 MOVIX昭島 6/23(土)~

神奈川 イオンシネマ港北ニュータウン 6/23(土)~
神奈川 横浜ブルク13 6/23(土)~
神奈川 イオンシネマ海老名 6/23(土)~
神奈川 MOVIX橋本 6/23(土)~

茨城 MOVIXつくば 6/23(土)~
茨城 イオンシネマ守谷 6/23(土)~

栃木 MOVIX宇都宮 6/23(土)~
栃木 フォーラム那須塩原 6/23(土)~

群馬 ユナイテッド・シネマ前橋 6/23(土)~

群馬 MOVIX伊勢崎 6/23(土)~

【中部地区】
新潟 T・ジョイ新潟万代 6/23(土)~

長野 長野ロキシー 6/23(土)~

静岡 MOVIX清水 6/23(土)~
静岡 CINEMAe_ra 6/23(土)~

愛知 イオンシネマ ワンダー 6/23(土)~
愛知 ミッドランドスクエア シネマ 6/23(土)~
愛知 ユナイテッド・シネマ豊橋18 6/23(土)~
愛知 ユナイテッド・シネマ岡崎 6/23(土)~
愛知 ミッドランドシネマ名古屋空港 6/23(土)~
愛知 MOVIX三好 6/23(土)~

【近畿地区】
滋賀 ユナイテッド・シネマ大津 6/23(土)~

京都 MOVIX京都 6/23(土)~

大阪 大阪ステーションシティシネマ 6/23(土)~
大阪 なんばパークスシネマ 6/23(土)~
大阪 MOVIX堺 6/23(土)~
大阪 109シネマズ箕面 6/23(土)~
大阪 MOVIX八尾 6/23(土)~

兵庫 神戸国際松竹 6/23(土)~
兵庫 MOVIXあまがさき 6/23(土)~

奈良 ユナイテッド・シネマ橿原 6/23(土)~

【中国・四国地区】
鳥取 MOVIX日吉津 6/23(土)~

岡山 MOVIX倉敷 6/23(土)~

広島 109シネマズ広島 6/23(土)~

山口 MOVIX周南 6/23(土)~

香川 ホール・ソレイユ 順次公開

愛媛 ユナイテッド・シネマ フジグラン今治 6/23(土)~

【九州・沖縄地区】
福岡 T・ジョイ博多 6/23(土)~
福岡 ユナイテッド・シネマなかま16 6/23(土)~
福岡 ユナイテッド・シネマ トリアス久山 6/23(土)~

長崎 ユナイテッド・シネマ長崎 6/23(土)~

熊本 ユナイテッド・シネマ熊本 6/23(土)~

大分 T・ジョイパークプレイス大分 6/23(土)~

宮崎 宮崎キネマ館 6/23(土)~

鹿児島 鹿児島ミッテ10 6/23(土)~


(C)2018「猫は抱くもの」製作委員会

まとめ


(C)2018「猫は抱くもの」製作委員会

犬童一心監督のこだわりの見せ方を、おもちゃ箱から飛び出した楽しさのパレードと言いましたが、日常と妄想が入り混じることで、日常がカラフルな魔法の輝きを見せる映画となっています。

見せ場となるのは、視覚的に目で楽しむものばかりではありません。

本作では元アイドル歌手という設定もあるので、沢尻エリカのアイドル姿でダンスの振り付けと楽曲を歌うシーンが何度も登場します。

沙織の歌う楽曲「ロマンス交差点」は耳に心地よく残り、昭和のアイドルの歌詞のように、あなたもついつい口ずさみますよ

また、ゴッホの飼い猫でキイロを演じたのは、2012年に結成された音楽ユニット「水曜日のカンパネラ」のメンバーのコムアイ。

もちろん、彼女とメンバーが作詞作曲した楽曲を、コムアイが得意な歌を披露する場面も用意され、「キイロのうた」を歌います。ここも要チェック!

そして、キイロを演じたコムアイは、演じたキイロ役と本作についてこのように語っています。

「私が演じた猫・キイロは人間の元で飼われたり、野良として過ごしたり、流れに任せながらも自分で決めているキャラクター。この映画には遠野物語に登場する迷い家(まよいが)の要素があり、キイロや本作に登場する猫たちは、その境界に立ち、主人公を奥へ導いたり、時には観客を映画の中に導いたりする役割があると感じました」

あなたもキイロ(コムアイ)のように流れに身を任せ、こちら側からあっち側へとチョッと猫のように自由な冒険ひと時に出かけて見ませんか。

ぜひ、“大人の絵本”映画『猫は抱くもの」をご覧になってはいかがでしょう。

映画『猫は抱くもの』は、6月23日(土)から東京・新宿ピカデリーほか全国公開

お見逃しなく!

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