「ローグ・ネイション(ならず者の国家)」の正体とは?
大ヒットスパイアクション・シリーズ第5作!
クリストファー・マッカリーが脚本・監督を務めた、2015年製作のアメリカの大ヒットスパイアクション映画『ミッション:インポッシブル/ローグ・ネイション』。
CIAやKGBをはじめとする各国の元エリート諜報員で結成された無国籍スパイ組織「シンジケート」の活躍により、解体の危機に陥ったIMF。
その組織に所属するイーサン・ハントは、組織の後ろ盾を失いながらも、仲間とともに世界の危機を救おうとする姿とは、具体的にどんな内容だったのでしょうか。
史上最難関のミッションに挑むイーサンを描いた、映画『ミッション:インポッシブル/ローグ・ネイション』のネタバレあらすじと作品解説をご紹介いたします。
映画『ミッション:インポッシブル/ローグ・ネイション』の作品情報
(C)2015 Paramount Pictures. All Rights Reserved.
【公開】
2015年(アメリカ映画)
【原作】
ブルース・ゲラーの『スパイ大作戦』
【脚本・監督】
クリストファー・マッカリー
【キャスト】
トム・クルーズ、ジェレミー・レナー、サイモン・ペッグ、レベッカ・ファーガソン、ヴィング・レイムス、ショーン・ハリス、アレック・ボールドウィン、サイモン・マクバーニー、チャン・チンチュー、トム・ホランダー、イェンス・フルテン、ハーマイオニー・コーフィールド
【作品概要】
『アウトロー』(2012)や「ミッション:インポッシブル」シリーズなどを手掛けるクリストファー・マッカリーが脚本・監督を務めた、アメリカの大ヒットスパイアクション作品。
原作は、ブルース・ゲラーが原案を手掛けたアメリカのテレビドラマ『スパイ大作戦』で、本作は大ヒットスパイアクション映画「ミッション:インポッシブル」シリーズ第5作目です。
「ミッション:インポッシブル」シリーズや『ワルキューレ』(2008)、『アウトロー』(2012)などに出演するトム・クルーズが主演を務め、「アベンジャーズ」シリーズのジェレミー・レナーが共演しています。
映画『ミッション:インポッシブル/ローグ・ネイション』のあらすじとネタバレ
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IMF(Impossible Mission Force:不可能作戦部隊)の諜報員イーサン・ハントは、IMFの分析官ウィリアム・ブラントの指示のもと、仲間のベンジー・ダンとルーサー・スティッケルと協力して、ベラルーシで大都市を破壊することが可能な兵器「VX神経ガス」を押収する任務を遂行しました。
その後、イーサンは新たな指令を受けるために、連絡員がいるIMFのロンドン支部を訪れました。
しかしそこは、既に謎の組織「シンジケート」の手に落ちていたのです。シンジケートはレコードに記録した音声ファイルを使って、イーサンにこう言いました。
「こんばんは、ハント君。君の推察通り、西側に友好的な国々でテロを起こし、革命を画策する影の組織が存在する」「その組織こそ、君が去年から追っているシンジケートだ」「通常なら君たちの任務はその組織の破壊だが、今回はそうではない」
「何故なら我々こそが、IMFが疑念を抱くシンジケートだからだ」「我々の標的は君たちだ。我々を追えば捕らえられ、戦えば殺される」
「例によって君の政府は一切関知しない、幸運を祈る。」……その直後、イーサンの目の前で連絡員が射殺され、彼は拘束されてしまいます。
その後拘束されたイーサンは、3年前に死んだはずの「ボーン・ドクター」という異名を持つシンジケートの構成員ヤニク・ヴィンターから拷問を受けますが、彼の仲間であるはずの謎の美女がイーサンを逃がしてくれたのです。
イーサンはすぐさまブラントに連絡を取り、こう言いました。
「ロンドンの拠点がやられた、連絡員死亡、応援を頼む」「連絡員を殺した男は何かを探してた、だから僕を殺さなかった」「シンジケートは、我々IMFの動きを把握し、追跡を撒いてきた」
「全力で元諜報員の情報を集めろ。国籍や所属は問わない、“死亡”か“推定死亡”の奴らだ」……これに対しブラントは、元諜報員の情報を集めることは不可能だと告げます。
何故なら、世界平和への貢献のために型破りで無鉄砲な作戦を行うIMFを危険視したCIA長官アラン・ハンリーの提案により、IMFは解体されCIAの一部に取り込まれてしまったからです。
さらにハンリーは、シンジケートは「イーサンがIMFを存続させるためにでっち上げた組織」とみなした上、イーサンを国際手配し、過去に引き起こした騒動の責任をとらせようとします。
それから6ヶ月後。キューバ・バハナにいたイーサンは、CIAの捜索をかわしつつ、単独でシンジケートの調査を続けていました。
その結果イーサンはシンジケートが、死亡または推定死亡とされている世界各国の元エリート諜報員で結成された、無国籍のスパイ組織であることを突き止めます。
一方その頃、元IMFのメンバーのベンジーは、ハンリーの監視と尋問を受けながら、バージニア州にあるCIA本部でCIAの職員として働いていました。
ウソ発見器を使った尋問が終わった後、ベンジーは職場に当選の知らせが届いていた、オーストリア・ウィーンでのオペラへの招待チケットを持って、ワシントンからウィーンへ飛びました。
ウィーン到着後、地下鉄のホームを歩いていたベンジーに、フードを深く被った男がすれ違いざまに茶封筒を渡してきます。
その茶封筒の中には、オペラのパンフレットとメガネが入っていました。ベンジーがメガネをかけた瞬間、イーサンの声が聞こえてきます。彼にオペラのチケットを渡したのはイーサンでした。
「今携帯に送った人相の男を捜している。その男はシンジケートに繋がる糸だ」「そいつが今夜、現れる。一緒にその男を探すのを手伝ってほしい」
「君が見つけ、僕が奴を追う」「君は飛行機で戻り、月曜は素知らぬ顔で出勤する」「君を巻き込むのは危険だが、やむを得ない」
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イーサンと話した24時間後、ベンジーはオペラ劇場へ到着。パンフレット型の電子端末を使って、劇場の監視カメラをハッキングし男を捜索します。
すると舞台裏に怪しい人物を発見。その男は、フルート奏者に扮したドイツの元諜報員であり、シンジケートの構成員の1人でした。
ベンジーからの報告を受け、その男を追跡するイーサン。その途中で、自分を逃がしてくれた謎の美女の姿を見つけます。
なぜ彼女がここにいるのか気になりつつ、イーサンは天井の音響反射板の上で、フルートの部品に偽装されていた狙撃銃を持つ男との静かな死闘を繰り広げます。
イーサンがシンジケートの構成員と戦っている間、ベンジーは照明ブースにもう1人、別の構成員がいるのを見つけ、急いで現場に向かいます。
シンジケートの構成員は照明ブースから、謎の美女は舞台セットの中から、それぞれ銃の照準器を標的であるオーストリア首相に合わせました。
それに気づいたイーサンが、構成員が持っていた銃で首相を狙撃。オーストリア首相の肩に軽傷を負わせることで暗殺の危機を知らせ、この場から退避するよう促したのです。
暗殺の妨害に気づいた謎の美女は、照明ブースにいるシンジケートの構成員を確認。ベンジーと揉み合っていた構成員を狙撃しました。
オーストリア首相が観劇中に襲われたことを受け、劇場は厳戒態勢へ。劇場が封鎖されるより先に、イーサンは再会した謎の美女を連れて劇場から脱出します。
しかしその直後、オーストリア首相を乗せた車が、2人の目の前で爆破されてしまいました。
シンジケートによるオーストリア首相の暗殺を阻止できなかったイーサン。車を運転し駆けつけたベンジーと合流し、謎の美女と一緒に車に乗り込みその場から離れました。
走る車の中で、イーサンはベンジーに、この謎の美女はシンジケートに潜入しているイギリスの諜報員イルサ・ファウストであることを伝えます。
イーサンを逃したことで、シンジケートでの立場が悪くなったイルサは、オーストリア首相を暗殺するフリをして信頼を回復させようとしていました。そしてシンジケートはイルサが暗殺に失敗することを想定し、例の構成員2人も送り込んでいたのです。
オーストリア首相を乗せた車の爆破も「暗殺失敗時の保険」であったと察するイーサンとイルサ。イーサンはイルサの所持品を念のため没収した上で、彼女に自分が捜している男は一体何者か尋ねます。
しかしそこへ、後ろを尾けていたシンジケートの構成員が襲撃。イルサはイーサンの問いに答えないまま、車の後部座席から飛び降りて彼らを逃しました。
以下、『ミッション:インポッシブル/ローグ・ネイション』ネタバレ・結末の記載がございます。『ミッション:インポッシブル/ローグ・ネイション』をまだご覧になっていない方、ストーリーのラストを知りたくない方はご注意ください。
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隠れ家に戻ったイーサンは、ベンジーにシンジケートが無国籍のスパイ組織……「ローグ・ネイション(ならず者の国家)」であることを伝えた上で、こう言いました。
「僕がボスポラス海峡で彼(イーサンが捜す男)を追ってた日、マラウイの大統領が事故死した」「ジャカルタでも彼に逃げられ、数時間後に236人が乗った旅客機が太平洋に消えた」
「フィリピンでも同じ、彼がいた時、化学工場の火災で2,000人が犠牲になった」「旅客機の乗客には世界銀行の総裁がいて、兵器製造企業は化学工場の火災で倒産した」「マラウイの大統領の死で内戦が勃発」
「これら全ては“事故”じゃない、シンジケートが全て裏で糸を引いているんだ」「IMFの解体により、奴らの行動はエスカレートしていった。今夜の首相暗殺は、奴らの新たなる宣戦布告だ」
そこまで突き止めたものの、1人でシンジケートの目的を阻止することは難しいため、イーサンはベンジーに協力を仰いだのです。しかし結果は首相暗殺の阻止に失敗し、男を見つけ出すこともできなかったという有様……。
イーサンはこれ以上ベンジーを巻き込んではいけないと思い、彼に偽造パスポートと現金と地図、着替えが入った鞄を渡し、このまま素知らぬ顔でワシントンへ戻るよう指示します。
これに対し、ベンジーはこう言いました。「俺も現場のリスクは承知だ。それに俺はお前の友達でもある」「俺が必要で呼んだんだろ?だからここに残る!」
一方その頃、イルサはシンジケートのボスであるソロモン・レーンから、イーサンを二度も逃したことを問われていました。
イルサが「私を疑うのなら殺して、殺すなら男らしく自分で手を下して」と言うと、レーンはイルサの背後にいた構成員を射殺。イルサの耳元に顔を近づけてささやきます。
「奴と何を話した?」と尋ねるレーンに、「モロッコの発電所のことを話したけど、秘密のことは言ってない」と答えるイルサ。レーンは「ハントを捜せ」と命じますが、彼女は「現れるわよ、種を蒔いたから」と返します。
イルサの言う通り、イーサンは彼女の持っていた口紅がUSBメモリであったと気づき、モロッコの発電所の地下に隠されている、ハッキングや外部から侵入が到底不可能なセキュリティに守られた「デジタル金庫」の図面データを見つけます。
イーサンとベンジーがモロッコ・カサブランカでイルサと合流した頃、ブラントはハンリーの部下になることを拒否し辞職したルーサーを召集。
オーストリア首相暗殺の場にも居合わせていたイーサンたちをハンリーは殺す気でいること、そのために特殊部隊を出動させたことを伝え、彼らより先にイーサンたちを捜し出すのを手伝ってほしいと頼むブラント。
「1つだけ言っておく。イーサンは俺のダチだ、もし裏切るそぶりを見せたら(お前を殺す)」……ルーサーとそう答えながらも強力に応じてくれたルーサーに、ブラントはイーサンを捜す手がかりとして、彼が書き残したレーンとイルサの似顔絵を見せます。
イルサはイーサンたちに、イーサンが捜している男はレーンであること、シンジケートのボスになる前のレーンはイギリスの諜報員であったことを明かします。イギリス諜報部がレーンの存在をCIAに秘密にしているのは、シンジケートのボスが元身内であると言うのは恥だからです。
そしてイルサの任務は、レーンの信頼を勝ち取り、彼の組織を暴くことでした。イルサは2年かけて、やっと組織を暴く物証の存在を突き止めることができました。その物証とは、シンジケートの秘密につながる極秘ファイルのことです。
かつてシンジケートのある構成員がその極秘ファイルを盗み、レーンを脅迫しようとしましたが返り討ちに遭い、レーンにデジタル金庫のパスワードを吐くよう拷問されました。
しかしその男は最期までパスワードを言わずに死んでしまったことで、レーンとシンジケートを倒せるその極秘ファイルは、今もデジタル金庫に眠っているのです。
デジタル金庫へ潜入するには、メインゲートでの検問通過、エレベーターの指紋認証、3つのダイヤル式ロック、そして最終ゲートでの対象者の歩き方・喋り方・動き方による超高精度の動作認証を全てクリアする必要があります。
顔だけを完璧に変装しても、最後の動作認証をクリアできなければ即刻モロッコの刑務所行き。それは死を意味します。
その動作認証をパスするには、施設内の水冷式アレイにある認証データ自体をすり替える必要がありますが、水流が強いためどんなに息を止めて潜水しても、もって3分しかありません。また金属が混入すると自動的に停止されてしまうため、酸素ボンベを背負うこともできません。
巨大な吸水口から水冷式アレイのトーラス内まで滑り落ちて、認証データをすり替えて脱出……この行程を3分以内に済ませるのです。
デジタル金庫への侵入方法を話し合った3人は、イルサがシステムにハッキングして吸水を3分間停止させ、イーサンが潜水によるデータのすり替え、ベンジーが変装しての極秘ファイルの入手を担当することに。
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思わぬアクシデントに見舞われたものの、不可能と思われたこのミッションを成功させたイーサンたち。しかしその直後、イルサが2人を裏切り、極秘ファイルが入ったUSBメモリを強奪します。
イーサンたちはレーンより先にイルサを捕まえるべく、ベンジーの車で爆走。すでにシンジケートの構成員たちと合流していた彼女を猛追しました。
その途中、イーサンたちは4WD車に乗るブラントたちと遭遇。実はブラントたちは、イーサンが信用するイルサの足取りを追えば、彼に辿り着くと踏んでモロッコまで来たのです。
カサブランカでの逃走劇の末、イルサはイーサンたちと彼らが倒したシンジケートの構成員たちの追跡を撒き、ロンドンへ帰還。上司であるイギリス諜報部の長官アトリーに、入手した極秘ファイル入りのUSBメモリを渡します。
これでアトリーからの任務は完了し、復職できるはず。そう思っていたイルサに、アトリーは無慈悲な命令を下します。
「君の任務はシンジケートに潜入し捜査を行うことだ。これもレーンが君に課したテストだ。だからもう一度シンジケートに戻れ」
「ハント同様、君にも今祖国はない」「CIA長官にも君が潜入諜報員だとは言ってない。だから同盟国であるアメリカから見れば、君は悪の組織の殺し屋だ」「君の正体を知る者は少ない。我々が口をつぐみ通せば君はどうなる?君は奴のところに戻るほかないのだ」
やむを得ずイルサはレーンの元へ戻りましたが、アトリーが密かにUSB内のデータファイルを消去していたせいで、窮地に立たされてしまいます。
その頃、最後単独でイルサを追いかけていたイーサンは、ベンジーとブラントたちと合流。あらかじめベンジーがコピーを取っていた極秘ファイルを解読しようとします。
極秘ファイルはイギリス首相しか閲覧のための暗号を解除できない、イギリス政府の機密情報「レッド・ボックス」であることを突き止めた一同。そして、レーンでさえ開けられないレッド・ボックスの暗号解除のため、シンジケートがイギリス首相を拉致する気でいることにも気づきます。
イーサンたちはレーンがイギリス首相を拉致する前に、彼を捕まえるべくイルサに接触。しかし、皆がイルサとの交渉に気を取られている隙を突かれ、レーンにベンジーが拉致されてしまいます。しかもその混乱に乗じて、イルサも姿を消してしまいました。
そこへ、レーンからイーサン宛てに電話がかかってきます。
「仲間を助けたければ、今夜0時までにロックを解除したUSBメモリを持ってこい」……イーサンたちはレーンが仕掛けた罠だと知りながら、ベンジーの救出とレーンの逮捕のため、あえてレーンの思惑通りに動くことにしました。
しかしブラントはチームから抜け、ハンリーにイーサンたちが進めているイギリス首相の拉致計画を密告します。
ハンリーはブラントの情報をもとにイギリス首相の拉致を阻止すべく、彼が出席するチャリティーオークション会場へ。そこで出くわしたアトリーにも事情を説明し、イギリス首相にも拉致計画について、イーサンと彼が追う「架空の組織」ことシンジケートについて話します。
しかし首相は、シンジケートやレーンの名を知っていました。
「シンジケートとは、アトリーの理論上の計画だった」「他国の元諜報員をスカウトして、新しいIDを与えて、彼らを使って我が国の敵を排除する」「その活動資金は海外のレッド・ボックスに保管する。その金を操作できる人間は私だけだ」
「私はその提案を即座に却下し、実行してはならないとアトリーに約束させた」………イギリス首相が真実を話すと、アトリーは彼に自白薬入りの特殊弾を打ち込みます。
実は3人と一緒にいたアトリーは本物ではなく、彼に変装したイーサンでした。ブラントは敢えて裏切ったふりをしてハンリーに情報を流すことで、イギリス首相に近づき真相を知るチャンスを作ろうとしたのです。
イーサンたちは朦朧とした意識状態のイギリス首相の網膜と指紋をスキャンし、パスワードである「人々が迷い、君を疑っても、冷静を保ち、自分を信じろ」というキプリングの文章を言わせます。
レッド・ボックスの暗号が解除された直後、異変に気づいた本物のアトリーと警備班が部屋へ乱入。しかしすぐさまイーサンとブラントが特殊弾を撃って動けなくさせます。
「シンジケートを作ったあなたを、レーンが裏切った。あなたはそれを隠蔽しようと、USBメモリを空にした」……自白薬によって、イーサンが語る真相を認めていくアトリー。
本来の目的であるレッド・ボックスの解除に成功したイーサンとブラント。2人はハンリーに解毒剤を渡し「真実がバレてアトリーが首相を撃った。その首相をハンリーが救った」という筋書きを伝えてその場を去りました。
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レッド・ボックス内の極秘ファイルの正体とは、イギリス諜報部が「シンジケート計画」実行のために作成していた、莫大な活動資金を隠すための各秘密口座の情報リストでした。
タイムリミットまであと3分。イーサンが1人で向かった受け渡し場所にはイルサとベンジー、監視役のシンジケートの構成員しかおらずレーンの姿はありません。
その代わり、レーンはベンジーの体に時限爆弾を装着させ、イルサを使ってイーサンを牽制し、自分に有利になるよう交渉します。レーンはこうなることを、最初から読んでいたのです。
しかし、それはイーサンも同じでした。
「君(レーン)は任務に疑問を持った。人命を尊ぶ気持ちがいつしか薄れ、大勢を殺し過ぎて、“誰の命令でなぜ殺すのか”と自分を問わなくなった」「“悪いのは自分ではなく、社会のシステムだ”そう思って復讐を求めたが、独りではできない。人手と莫大な資金が必要だから」
そしてイーサンは、USBメモリを渡すよう急かす彼に「僕自身がレッド・ボックスだ。僕が死ねば、君は巨大なテロ計画に必要な資金を得られなくなる」と脅します。
受け渡し場所へ来る前に、レッド・ボックスに記録されていた総額24億ドルの全秘密口座の情報を記憶し、USBメモリは破棄してしまったと告げるイーサン。
時限爆弾のタイムリミットギリギリのところで、レーンは爆弾を解除しベンジーを解放。近くに待機させていたヴィンターたち部下に、イルサの殺害とイーサンの確保を命じます。
イーサンとイルサは見事な連携プレイで、次々とシンジケートの構成員たちを返り討ちにし、残ったのはヴィンターとレーンのみ。
イルサはヴィンターとの1対1の勝負を制しました。一方でイーサンの前にとうとう姿を現したレーンは、工事中の建物内へと追い込みます。
しかしイーサンを追い詰めたつもりが、レーンは防弾ガラス製の檻に閉じ込められてしまいます。レーンの動きを先読みしたイーサンは、ブラントとルーサーに作ってもらった防弾ガラスの檻に彼を捕まえるべく、この場所まで誘導するためにわざと逃げてきたのです。
ロンドン支部での雪辱も果たしたイーサン。イルサと別れ、レーンが入った檻を積んだ警察車両に、ベンジーたちと一緒に乗り込みました。
後日。イーサンたちIMFを見直したハンリーは「IMFの解体はシンジケートを潰すための策略だった」と政府に嘘をつき、IMFの復活を願い出ました。それが認められ、ブラントはハンリーを、後任のIMFの長官として迎え入れました。
映画『ミッション:インポッシブル/ローグ・ネイション』の感想と評価
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イーサンを罠に嵌めたシンジケートのボス、レーンは元イギリス諜報員です。しかし世界平和のために、時には汚れ仕事を請け負っていくにつれて、レーンは次第に祖国やイギリス情報局への不信感を募らせていったのでしょう。
作中でイーサンが言っていたように、任務のため世界平和のために大勢の人を殺し過ぎて、レーンは人命を尊ぶ気持ちが麻痺してしまい、「自分がこうなったのは全部腐った社会のせいだ」と思うようになってしまいました。
同じく世界平和のため、祖国のために命を捧げてきた諜報員だからこそ、イーサンはなぜレーンが他国の元諜報員たちを率いて、テロ活動をしているのか理解できたのではないかと考察します。
一歩間違えれば、ハンリーによって国際手配され、祖国を失ってしまったイーサンも、レーンのようになっていたかもしれません。
優秀な諜報員同士の戦いは単なる格闘戦だけでなく、どうやって相手より有利な立場に持っていくかという心理戦と情報戦もあるので、いつ何が起きるか分からないスリルがあって面白いです。
また、ロンドン支部ではレーンにしてやられたイーサンが、彼との最終対決でその雪辱を晴らす場面がとても格好良く、スカッとした爽快感があります。
まとめ
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IMFの諜報員イーサン・ハントが仲間と協力して、世界各国の元諜報員で構成された無国籍スパイ組織「シンジケート」を捜査していく、アメリカのスパイアクション作品でした。
レーンがボスとして動かしているシンジケートは、実はMI6の長官アトリーが考案した組織でした。以前から汚れ仕事を請け負う任務に疑問を持っていたレーンは、イギリス首相に却下されて実現されなかったこの組織を、アトリーを裏切って結成させます。
事の始まりはアトリーがシンジケートを作ったことだったことに、観る人全員が衝撃を受けたことでしょう。
そして作中では、祖国のため世界平和のためと思って、心を鬼にして危険な任務を遂行してきたのに、都合が悪くなったり失敗したりすれば、簡単に国や組織に使い捨てにされる諜報員の悲哀が描かれています。
トム・クルーズやショーン・ハリスら豪華俳優陣が魅せるスパイ同士の戦い、そしてスパイの悲哀を描いたハラハラドキドキのスパイアクション映画が観たい人に、とてもオススメな作品です。