綾野剛が映画宣伝を兼ねてテレビ出演をしている様子を見るたびに、彼は人柄を感じる俳優。
昨日2月1日にも、バラエティ番組に出演した際に、過去の映画「20世紀少年』のオーディション・アクターを務めた経験を語り、彼らしい相手への配慮の魅力を感じました。
今回ご紹介するのは、現在公開中の『新宿スワンⅡ』、綾野剛主演の代表作になるだろう人気シリーズです!
映画『新宿スワンⅡ』の作品情報
【公開】
2017年(日本映画)
【監督】
園子温
【キャスト】
綾野剛、浅野忠信、伊勢谷友介、深水元基、金子ノブアキ、村上淳、久保田悠来、上地雄輔、広瀬アリス、高橋メアリージュン、桐山漣、中野裕太、中野英雄、笹野高史、要潤、神尾佑、山田優、豊原功補、吉田鋼太郎、椎名桔平
【作品概要】
ヤングマガジンに連載された和久井健による人気コミックを、前作『新宿スワン』に引き続き、園子温監督との主演を綾野剛で実写映画化した続編。
前作に引き続き出演の伊勢谷友介ほか、新たなキャスティングに浅野忠信、広瀬アリス、椎名桔平が共演。プロデューサーも前作に引き続き、『クローズ』シリーズの山本又一朗。『るろうに剣心』シリーズの谷垣健治がアクション監督で参加。
映画『新宿スワンⅡ』のあらすじとネタバレ
南秀吉が亡くなってあれから1年。歌舞伎町を仕切るスカウト会社「バースト」のスカウトマンの白鳥龍彦は、小沢マユミと出会い助けを求められます。
龍彦は闇金融からの借金返済に追われるマユミと食事をしながら、ちゃんと働いて借金を返すように言い聞かせます。
そこに龍彦に助けを求め駆けつけて来た鼠賀信之介は、スカウトマンたちが揉めてるので来て欲しいと訴えました。
龍彦はマユミに、ムーランルージュの涼子ママの名刺を差し出して店に行くように告げると、マユミを残して飛びして行きます。
龍彦が現場に着くと、渋谷のパラサイツの森長千里が暴れていて、今度は森長は龍彦と取っ組み合いの乱闘。やがて、警察が止めに入ると、龍彦は森長と自分は友達である一件落着。
一方で、ハーレムとの合併によりバーストは、スカウトマン雇用の数が増えすぎてしまい、女性スカウトの取り合いが頻繁となり、社内でもスカウトマンの飽和状態に頭を悩ませていたのです。
バーストの山城神社長は、歌舞伎町だけでは状況の打開にならないと、横浜に進出してバーストのスカウトのシマを広げる決断をします。その任務を横浜出身である幹部の関玄介と、龍彦に命じます。
気乗りせず嫌がる龍彦に、山城社長は、突然新宿から姿を消した元部下の洋介が横浜に居る噂を告げると、龍彦は元同僚の洋介を見つけ出したいこともあって、横浜に向かう決断をします。
山城社長が横浜に関と龍彦を送り込んだ理由は、全日本酒販連合会の会長の住友宏樹が、横浜に大規模な飲食店を2店舗オープンさせるという噂に勝算があると目論んでいたからです。
しかし、横浜にはヤクザの宝来会組長の田坂晃と、警察の砂子と裏で組んでいる武闘派スカウト会社「ウィザード」を率いる滝マサキが支配した”タキ王国”があったです。
一方で、全日本酒販連合会の会議の席で、大型店舗開業の女性求人について、梶田は横浜のスカウト会社「ウィザード」に全て任せたいと提案。
しかし、他のスカウト会社にお願いした方が良いのでないかと、倉石も提案をしますが、その場は住友会長の判断でウィザードに任せることが決まります。
ウィザードの滝の元を訪問した全酒連の住友会長は、現金1億円支払いスカウトのお願いしますが、その半分を自分にキックバックを要求。しかし、滝はその要求はフェアではないと断ります。
その後、滝は、警察の砂子とシマのケツモチをしているヤクザの宝来会に、現金の一部を手渡すようハネマンに指示。
その夜、龍彦はマユミと会って、新宿歌舞伎町とのしばしの別れにサヨナラパーティーを開き2人で吞み明かします。帰り際にマユミは、「信じてれば空をも飛べる、次は夢の場所で会おう」と意味深な言葉を残して龍彦と別れます。
横浜へフェリーで向かうバーストの関玄介と白鳥龍彦。関は12年ぶりに地元に帰って来た万感の思いに昔の出来事を思い出す。チンピラたちとの喧嘩で、日本刀を振り回し相手を切りつけてしまった滝の身代わりになって、関は警察に自首して逮捕されたのです。
やがて、留置所から出所した関に、宝来会の田坂は現金を散らつかせ横浜から出て行くよう指示をします。出所の迎えに滝が来なかったことで関と滝の信頼関係がズレてしまったことで、12年もの歳月が流れてしまったのです…。
いよいよ、横浜へ乗り込みスカウトをはじめる龍彦とバーストのメンバーたちですが、鼠賀と井出がウィザードの罠にハマり、助けに入ったバーストメンバー大乱闘となります。
その場に、警察の砂子が警官たちを引き連れ来ると、バーストメンバーだけを逮捕連行していきます。一方のウィザードのメンバーには被害届を出せと言うだけでした。
一方のウィザードの滝は、新宿の紋舞会の天野修善会長に面会すると、全酒連から受け取った現金の中から5千万円を持参して、新宿バーストを切って新宿進出するウィザードのケツモチをお願いの提案をします。
天野会長はそれを受け取った事実を知ったバーストの山城社長は焦ります。後ろ盾をなくして、ウィザードが新宿に進出してくるとなればバースト解散を余儀なくされるからです。
しかし、この状況にバースト幹部の真虎は逆にチャンスと捉えて、バーストが無くなてしまうのであれば何でやれると、全力で横浜ウィザードのシマを獲りに行くことを山城社長に提案。
さらには、バーストも逆に横浜の宝来会の田坂晃会長を訪ね、山城社長と幹部の真虎と時正の3人で、田坂に現金を用意してバーストの横浜への進出の後押しのお願いと、仁義の挨拶に向かいます。
映画『新宿スワンⅡ』の感想と評価
今シリーズは俳優の綾野剛にとって代表作の1つに数えられる作品。前作Part1では龍彦の成長物語。Part2は成長した龍彦の中間管理職としての物語です。
前作では成長する姿を描いた分、綾野剛ファンもかなり楽しめる作品だったのではないでしょうか。
今作では綾野剛は中間管理職という立場。少し綾野剛ファンとしてはもっと活躍を望んだかもしれませんね。
では、今作の綾野剛の魅力とは何か?その点について掘り下げをして『新宿スワンⅡ』に迫ってみたいと思います!
綾野剛という俳優は、テレビのバラエティ番組に出演した際に、他の誰よりも(時には司会進行よりも)素で気遣いが出来る人柄だとハッキリ見て取れるように思います。
その姿を多くの人が感じられることが綾野剛の最大の強み。彼に誰しもが惹かれてしまうのではないでしょうか。
そんな彼の魅力が、白鳥龍彦というキャラクターの人物背景に見事にマッチしたことが絶妙なキャスティング。そのことが『新宿スワン』シリーズの魅力そのものだと言えるでしょう。
監督を務めた園子温は、綾野剛が撮影現場のムードメーカーとしてよく働いてたことを、いくつかの雑誌インタビューで述べています。
だからこそ園子温監督は、「新宿スワン』シリーズを綾野剛のドキュメンタリーだと語ってもいます。
それは、映画がフィクションの物語だとしても、必ず実在する俳優が演技をしている限り、俳優の記録というドキュメンタリーという一面でもあるのです。
昨日の2017年2月1日にも、日本テレビの『1億人の大質問!?笑ってコラえて! 』に映画告知のために出演した際の彼もとても好青年で魅力的な方でした。
綾野剛と共に出演したのは、先の1月29日にサッカー選手の長友佑都選手と結婚した平愛梨。
彼女の取材したVTRのコメント以外にも、平愛梨と初めて出会ったことを紹介するエピソードが秀逸でした。
映画『20世紀少年』(2008)のオーディションの時に、綾野剛はオーディション・アクターとして、映画の役柄を決めるオーディションに参加する応募者の相手役を務めていたそうです。
綾野剛は平愛梨がオーディションを受けた際にも相手役した際に、「あっ!この子に決まるなって直ぐに分かりました。完全に飛び抜けていました」と語ったのです。
綾野剛の語ってくれた出会いのエピソードに平愛梨は、「やっぱり!綾野さんでしたよね」とコメント。
偶然テレビでこの様子を見ていましたが、綾野剛の記憶力と気遣いの繊細さに毎度のことながら素敵な俳優だなと感心しました。
これが正しく、『新宿スワン』の主人公の白鳥龍彦そのものなのではないでしょうか。
スカウトした女の子をお店に紹介するだけではなく、出会いからずっと関心を示して必要な時に支え、守ってあげる。
そんな龍彦のキャラクターを垣間見たような映画宣伝の番組でしたね。
まとめ
園子温監督は、今作の綾野剛は前作よりも男としての色気があると認めています。
それについて少し補足して解説をするなら、中間管理職となった白鳥龍彦は、バーストの幹部や後輩たちに挟まれた存在としての気遣いだけではないのではと感じました。
例えば、「ムーランルージュ」のお店を破壊された涼子ママへ心労の気遣いや、絶望の淵にいたマユミの成長物語と語る綾野剛に、それを見て取れるのではないでしょうか。
綾野剛は、この作品について、「『新宿スワン』は女性ありきの作品で、“待ち人”と“待たせ人”の物語だと思っています。前作も今回も、男たちはさまざまな窮地を女性に救われているし、女性たちは自分の土地を守るために歌舞伎町で戦っている。(中略)アゲハや栄子はそうなりたかったのに、救い切ることができなかった。(中略)涼子ママの右腕となる、新しい里守りの女神が初めて誕生した、それがマユミです。」と語っています。
このような作品性を的確に指摘する綾野剛に対して、園子温監督が“男の色気”ではないかと思います。
また、園子温監督は、他者が執筆した脚本の映像化を忠実にこなしていくことが今シリーズの自分の役割と述べています。
そんな中で、園子温監督が見つけた最も重要で価値のある宝物、それが”綾野剛という俳優”だったのではないでしょうか。
園子温監督は、『新宿スワン』シリーズを、他の監督が今後は演出してみる方が面白いのではと考えを述べると、綾野剛はこのシリーズは園子温監督と作り続けたいとも熱く語っていました。
園子温監督と綾野剛のコンビにとって生涯の代表作の1つに挙げられる作品。さて、次回『新宿スワン3』の行く末はどうなるのでしょうか?
綾野剛ファンとしては、ますます、心待ちの楽しみが増えたような気がします!
ぜひ、まずは前作とは違った綾野剛の魅力”男の色気”に酔いしれてみませんか。お薦めの作品です!