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Entry 2021/12/30
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ブラックボックス:音声分析捜査|感想レビューと評価解説。飛行機事故原因を追究する捜査官の勇気と事件の“落とし穴”|映画という星空を知るひとよ85

  • Writer :
  • 星野しげみ

連載コラム『映画という星空を知るひとよ』第85回

映画『ブラックボックス:音声分析捜査』が、1月21日(金)より、TOHOシネマズシャンテ他 全国公開。

本作は、フランスが誇る若手俳優ピエール・ニネ主演の体感型サスペンススリラー。脚本・監督は、『パーフェクトマン 完全犯罪』(2017)のヤン・ゴズラン。主演はピエール・ニネが務めます。

最新型航空機が墜落、乗員乗客全員死亡という大惨事が起こります。事故の謎を解くカギは、残された「音」だけ。

搭載されていたブラックボックスから、若き天才音声分析官が航空事故の戦慄の真相を暴き出します。

テロか、操縦ミスか、陰謀か。飛行機事故の真相はブラックボックスのみが知っていると思われたのですが……。

【連載コラム】『映画という星空を知るひとよ』一覧はこちら

映画『ブラックボックス:音声分析捜査』の作品情報


(C)2020 / WY Productions – 24 25 FILMS – STUDIOCANAL – FRANCE 2 CINEMA – PANACHE Productions
【日本公開】
2022年(フランス映画)

【原題】
Boite noire

【脚本・監督】
ヤン・ゴズラン

【キャスト】
ピエール・ニネ、ルー・ドゥ・ラージュ、アンドレ・デュソリエ

【作品概要】
『ブラックボックス:音声分析捜査』は、ヨーロピアン航空の最新型機の墜落事故の原因を追究する音声分析官の物語です。

脚本と監督は、『パーフェクトマン 完全犯罪』(2015)のヤン・ゴズラン。

美しさと繊細な表現力が光る若手俳優ピエール・ニネが主人公の音声分析官マチューを、主人公の妻で新型航空機の認証機関に勤めるノエミに『夜明けの祈り』(2016)のルー・ドゥ・ラージュ、調査局の冷静沈着なレニエ局長に『パリよ、永遠に』(2014)のアンドレ・デュソリエが脇を固めます。

映画『ブラックボックス:音声分析捜査』のあらすじ


(C)2020 / WY Productions – 24 25 FILMS – STUDIOCANAL – FRANCE 2 CINEMA – PANACHE Productions

ヨーロピアン航空の最新型機がアルプスで墜落し、乗客乗務員316人全員が死亡しました。

さらに、事故機のフライトレコーダー、通称「ブラックボックス」を開いた航空事故調査局の音声分析官ポロックが、謎の失踪を遂げます。

ポロックから調査を引き継いだマチューは、「ブラックボックス」から聞こえる会話や足音、扉の開閉する音から、「コックピットに男が侵入した」と記者会見で発表。

乗客にイスラム過激派と思われる男がいたことが判明したことで、マチューの分析は高く評価され、事故はテロかと世間はざわめきます。

ポロックに代わる責任者としてさらなる調査を続けるマチューは、被害者の一人が夫に残した事故直前の留守電を聞きました。

しかし、その音がブラックボックスに残された音と違う事実にマチューは愕然としました。

その音が真実ならブラックボックスに残された音は何を意味するのでしょう。

マチューは自らのキャリアだけでなく命さえも危険にさらし、真相へ突き進んでいきます。

映画『ブラックボックス:音声分析捜査』の感想と評価


(C)2020 / WY Productions – 24 25 FILMS – STUDIOCANAL – FRANCE 2 CINEMA – PANACHE Productions

飛行機事故などの原因究明に欠かせないブラックボックス。本作『ブラックボックス:音声分析捜査』は、墜落した飛行機のブラックボックスから事故原因究明に乗り出す音声分析官の物語です。

主人公マチューは優秀な音声分析官。事故機に残されたブラックボックスの音から、事故の状況を推測します。

ですが、それ以外の被害者の留守番電話を聞いたときに、ブラックボックスにない音に気がつきました。

小さな音が訴える真実に気がついたマチューは、職務に忠実な音声分析官として真実を追究する行動に出ました。

ブラックボックスとは、飛行データと操縦室の会話と音声を記録するために航空機に搭載されている装置のこと。航空機事故調査のために使用されます。

黒色かと思われるブラックボックスですが、その名前は、墜落時の衝撃と熱に耐えられるように厳重に密閉されていることからきていて、本当の色は耐熱塗料が塗られた赤やオレンジが一般的といいます。

誤解を招きそうな名前の通り、その役割の信頼度も100%のものではないと、本作では警鐘を鳴らしています。

事件の真実を突き止めるには、便利な機械の技術も捜査官の直観力もさることながら、どんな些細な証拠も見逃さない注意力と権力に屈しない勇気も必要なのでしょう。

まとめ


(C)2020 / WY Productions – 24 25 FILMS – STUDIOCANAL – FRANCE 2 CINEMA – PANACHE Productions

映画『ブラックボックス:音声分析捜査』には、国家機関であるフランス民間航空事故調査局が、映画史上初めて協力しています。

音だけで事故原因を暴く出す優秀な音声分析官マチューを演じるピエール・ニネは、役作りのために主人公によく似た音声分析官に直接質問をし、彼の仕草や仕事のやり方とスピードからインスピレーションを得るために、自ら撮影したといいます。

その後主要キャストらは、フランス民間航空事故調査局に招かれ、調査局内を細部まで見学し、リアル感を高めました。ブラックボックスを開けるシーンも、出来るだけ現実に忠実に再現されたといいます。

過去には事故原因究明でその名を馳せたブラックボックスですが、ヤン・ゴズラン監督は今の民間航空機の新たな問題について描き出そうとしました。

現代社会がいかに技術に支配され、それを鵜のみにしてしまう現実があるという恐怖をぜひ体験してみてください。

映画『ブラックボックス:音声分析捜査』は、1月21日(金)より、TOHOシネマズシャンテ他 全国公開!

星野しげみプロフィール

滋賀県出身の元陸上自衛官。現役時代にはイベントPRなど広報の仕事に携わる。退職後、専業主婦を経て以前から好きだった「書くこと」を追求。2020年よりCinemarcheでの記事執筆・編集業を開始し現在に至る。

時間を見つけて勤しむ読書は年間100冊前後。好きな小説が映画化されるとすぐに観に行き、映像となった活字の世界を楽しむ。

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