マッツ・ミケルセンが暴走する軍人を演じるリベンジドラマ
『アナザーラウンド』(2021)のマッツ・ミケルセン主演最新作となる映画『ライダーズ・オブ・ジャスティス』が、2022年1月21日(金)より新宿武蔵野館ほか全国ロードショーとなります。
ミケルセン演じる事故死した妻の復讐に燃える軍人が予測不可能な事態を引き起こしていく、本作の見どころをご紹介します。
CONTENTS
映画『ライダーズ・オブ・ジャスティス』の作品情報
【日本公開】
2022年(デンマーク・スウェーデン・フィンランド合作映画)
【原題】
Retfaerdighedens ryttere(英題:Riders of Justice)
【監督・脚本】
アナス・トーマス・イェンセン
【製作】
シーセ・グラウム・ヨルゲンセン
【撮影】
キャスパー・タクセン
【編集】
ニコライ・モンベウ、アナス・エスビャウ・クレステンスン
【キャスト】
マッツ・ミケルセン、ニコライ・リー・コース、アンドレア・ハイク・ガデベルグ、ラース・ブリグマン、ニコラス・ブロ、グスタフ・リンド、ローラン・ムラ
【作品概要】
第93回アカデミー賞外国語映画賞受賞作、『アナザーラウンド』のマッツ・ミケルセン主演のサスペンスドラマ。
ミケルセンが事故死した妻の復讐に燃える軍人を演じ、その暴走が予測不可能な事態を引き起こします。
『悪党に粛清を』(2015)をはじめ、数多くのミケルセン出演作を手がけてきたアナス・トーマス・イェンセン監督が、5度目となるタッグを結成。
共演に『チャイルド44 森に消えた子供たち』(2014)のニコライ・リー・コース、『博士と狂人』(2019)のラース・ブリグマン、『戦火の馬』(2011)のニコラス・ブロら、デンマークが誇る名優が揃いました。
本国デンマークでは『アナザーラウンド』を超える2020年ナンバーワンのオープニング成績を記録。第37回ロバート賞(デンマーク・アカデミー賞)では最多15ノミネートとなり、主演女優賞、助演男優賞、作曲賞、視覚効果賞の4冠に輝きました。
映画『ライダーズ・オブ・ジャスティス』のあらすじ
妻のエマが列車事故で亡くなったという報せを受け、軍人のマークスはアフガニスタンでの任務を離れ、帰国します。
列車に同乗していた母を突如として失い悲しみに暮れる1人娘のマチルデを前に、無力感にさいなまれるマークスの元を、2人の男が訪ねてきます。
その中の1人で、列車に乗っていたという数学者のオットーは、列車の事故は“ライダーズ・オブ・ジャスティス”という犯罪組織が、殺人事件の重要な証人を暗殺するために周到に計画された事件だと告げます。
妻は事故死ではなく殺されたとして怒りに打ち震えるマークスは、オットーらの協力を得て復讐に身を投じていきますが…。
映画『ライダーズ・オブ・ジャスティス』の感想と評価
“北欧の至宝”マッツ様が復讐鬼と化す!
本作『ライダーズ・オブ・ジャスティス』は、「インディ・ジョーンズ」、「ファンタスティック・ビースト」両シリーズの最新作への出演も決定し、ハリウッドの第一線で活躍する“北欧の至宝”マッツ・ミケルセンの、2022年最初の主演公開作となります。
ミケルセン演じる軍人のマークスは、妻が不慮の列車事故で亡くなったのを機に、赴任地のアフガニスタンから帰国します。しかし、家庭を顧みなかったのが仇となり、生き残った娘マチルデとコミュニケーションを取ることができません。
妻を亡くして悲しいはずなのに、「男は強くあれ」という固定観念から感情を表に出せない。そればかりか、強さが物を言う戦地に長らくいたために、戦いを必要としない生活環境に順応できない。
そんな一種のうつ状態に陥ったマークスですが、訪ねてきた2人の男オットーとレナートから、妻の死が事故ではなかったと聞かされた途端、復讐鬼と化して軍人スキルを発揮し、暴力によって自らの存在を示そうとします。
『アナザーラウンド』では、アルコールが人体にもたらす影響を自ら検証する教師という難役をこなし、日本では”マッツ様”の愛称で親しまれるミケルセンですが、本作では坊主頭にヒゲを蓄え、脆い心と暴力性を宿したマークスを重厚感たっぷりに演じます。
『アナザーラウンド』(2021)
バイオレンスとハートフルの同居
神だけでなく感情も否定し、唯一の解決手段として暴力を選ぶマークス中心でストーリーが進む本作。かといってバイオレンス一辺倒にならないのは、彼を囲む周辺人物の存在です。
自らも列車に乗っていて、事故に遭う数分前にマークスの妻や娘のマチルデに席を譲っていた数学者のオットーは、数理論理学を元に、列車事故が仕組まれた物であることをマークスに伝えに来ます。
オットーの行動の裏には、「もしかしたら自分が席を譲らなければ、奥さんは死なずに済んだのでは」という後悔もさることながら、もう1つの秘めた事情がありました。また同行したレナートにも、2人に協力する友人のエメンタールにも、それぞれ鬱屈とした事情が。
そして、「人はいずれ死ぬもの」、「天使や魂などに惑わされな」と、悲しみに暮れるマチルデに冷たく諭していたマークスも、そんな3人との奇妙にしてユーモアな掛け合いをするうち、変化が生じていきます。
内容こそシリアスながらも、マークスとマチルデという父娘を中心に展開される、ハートフルを持ち合わせた見応えのあるドラマに仕上がっています。
まとめ
ストーリーが進むにつれ事態は深刻化し、さらに終盤には、マークスにとってあまりにも酷となる真実が待ち受けます。
ただ本作の監督で、ミケルセンとは今回で5度目のタッグとなるアナス・トーマス・イェンセンはこうコメントします。
人間は群れをなす動物で、集まることを目的としており、そして、互いが献身的になるほど、その人生はより有意義で充実したものになるのではないでしょうか。
マークスにマチルデ、そしてオットーら傷ついた人たちが、予期せぬ出会いから癒しを得て、希望を見出していく。
偶然とは何か?運命とは何か?単なる復讐劇として括れない多面性を持つドラマ、『ライダーズ・オブ・ジャスティス』にご期待ください。
映画『ライダーズ・オブ・ジャスティス』は、2022年1月21日(金)より新宿武蔵野館ほか全国ロードショー。