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Entry 2021/09/15
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韓国映画『ビースト』あらすじ感想と考察解説。“あるいは裏切りという名の犬”リメイク版を俳優のエナジー全開で魅せる|コリアンムービーおすすめ指南25

  • Writer :
  • 西川ちょり

韓国映画『ビースト』は2021年10月15日(金)よりキノシネマ他にて全国順次公開!

イ・ソンミン、ユ・ジェミョン等、名優たちの魂が激突する映画『ビースト』は、フランス映画『あるいは裏切りという名の犬』(2004)を大胆に翻案した新たなる韓国ノワールの野心作です。

一人の少女の失踪を発端に、恐るべき連続猟奇殺人事件が浮かび上がる中、捜査を担当する2人の刑事は激しく対立し、犯人逮捕への執念は思わぬ方向へと転がり始めます。

『さまよう刃』などのイ・ジョンホ監督が善惡の境界に陥った男たちを描く渾身のダーク・スリラーです!

【連載コラム】『コリアンムービーおすすめ指南』記事一覧はこちら

映画『ビースト』の作品情報


(C)2019 NEXT ENTERTAINMENT WORLD & STUDIO&NEW. All Rights Reserved.

【公開】
2021年公開(韓国映画)

【原題】
비스트/英題「The Beast」

【監督】
イ・ジョンホ

【キャスト】
イ・ソンミン、ユ・ジェミョン、チョン・ヘジン、チェ・ダニエル、イ・サンヒ、キム・ホンパ

【作品概要】
2004年製作のフランス映画『あるいは裏切りという名の犬』のリメイク作品。

『さまよう刃』などのイ・ジョンホが監督を務め、イ・ソンミン、ユ・ジェミョンら、韓国を代表する俳優たちが共演。恐るべき連続猟奇殺人事件を背景に激しくぶつかり合う2人の刑事の姿を描いています。

映画『ビースト』のあらすじ


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仁川(インチョン)で女子高生が行方不明になってから2週間。市民のいらだちは警察に向けられ始めていました。

捜査1班を率いるハンスと2班を率いるミンテは、かつては相棒同士でしたが、今では周囲の思惑にも振り回される形で何かと反発仕合い、対立していました。

女子高生の遺体が発見され、殺人事件へと進展。早々にハンスが容疑者を逮捕しますが、冤罪を確信したミンテが独断で釈放したことで捜査は混迷を極め、二人の溝は益々深まっていきます。

ある日、出所したばかりの情報屋のチュンべから「いい情報がある」と呼び出されたハンスは、思いもよらぬ形で殺人事件に巻き込まれてしまいます。

ハンスの一瞬の油断をついて、彼の銃を手に入れたチュンベは、自身を密告した麻薬の売人をその銃で射殺。驚き激怒するハンスにチュンべは「アリバイを保証してくれたら女子高生殺しの犯人の情報を提供する」と持ちかけます。

チュンべの情報からハンスは容疑者のアジトを突き止め、警察はアパートの周囲を包囲しますが、ここでもミンテとハンスの対立が絡み、惨事を引き起こしてしまいます。

ミンテは責任を取らされ、捜査から外れますが、彼が率いる捜査2班は、海から上がった車に他殺体があった知らせを受け、現場に向かいます。それは、ハンスが海に沈めて処分したはずの死体を積んだ車でした・・・。

映画『ビースト』感想と評価


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フランス映画『あるいは裏切りという名の犬』を大胆にリメイク

映画『ビースト』は、2004年のフランス映画『あるいは裏切りという名の犬』のリメイク作品です。

韓国が制作するリメイク映画はオリジナルや原作の持ち味を尊重しながらも、時に大胆にアレンジして独自の面白さをどんどん加味していくのが特徴ですが、本作も例外ではありません。

ライバル関係にある2人の刑事の対立という主題を引き継ぎながら、連続猟奇殺人事件の犯人に迫っていく過程をより大胆に膨らませています。

犯人逮捕のためには手段を選ばないハンス(イ・ソンミン)と証拠を固めて堅実に容疑者をあげようとするミンテ(ユ・ジェミョン)は、かつては相棒として捜査にあたった仲でしたが、今では決定的に関係をこじらせています。

2人の間に何があったのかは明確に描かれず、観るものに委ねられています。また、2人の人間関係の行く先を突き詰めていくというよりは、その対立ゆえに、互いに抜き差しならぬ状況へと陥っていく姿を描くことに重点がおかれています。

犯人を捕まえたい、事件を解決したいというあまりにも強い執念にライバルとの競争心が絡み、男たちは善と悪の境界へと足を踏み込んでいくのです。

ナ・ホンジン監督の『チェイサー』など、韓国スリラー映画の伝統を受け継いだダークで強烈な雰囲気の中、自身の中に存在する獣の部分を顕にする人間の姿が描かれ、目が離せません。

俳優たちの凄まじいエネルギー


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脇役を含め、キャラクターの個性が際立っていますが、「俳優の映画」と呼びたくなるほど、個々のキャラクターを演じる俳優たちの凄まじいエネルギーが全編を覆っているのが、本作の最大の特徴であり魅力といえるでしょう。

ハンスを演じるイ・ソンミンは、テレビドラマ『ミセン~未生~』(2014)でのオ課長役で高い評価を得、以降、韓国を代表する俳優として活躍しています。『KCIA 南山の部長たち』(2020)では非情な大統領役を演じ新境地を開きましたが、熱い性格で人情味のある役柄が似合い、本作のハンスもその系譜上にあります。

ハンスは部下からは慕われ、上司からも信頼され、笑顔が似合う捜査班の班長である一方、犯人検挙への想いの熱さのために、暴力も辞さない強引さを持っています。イ・ソンミンはそんなハンスを渾身の力を込めて演じ、一人の男の混乱の渦中へと観る者を巻き込んでいきます。

一方、ミンテを演じるユ・ジェミョンはテレビドラマ『秘密の森』(2017)の果たして敵か味方かとはらはらさせた検事役をはじめ、様々な役柄をこなす名優のひとりです。Netflixで配信されているドラマ『梨泰院クラス』(2020)、『ヴィンチェンツォ』(2021)でご存知の方もおおいことでしょう。

イ・ヨンエ主演の『ブリング・ミー・ホーム 尋ね人』(2019)で、地元の業者と癒着した悪徳警官を憎々しげに演じていたのも記憶に新しいところです。

本作でも、善とも悪とも単純にはいいきれない複雑な内面を持った刑事を巧みに演じています。まさにユ・ジェミョンだからこそ出せた味といえるでしょう。

そしてもうひとり、注目すべきはタレコミ屋・チュンベに扮したチョン・ヘジンです。彼女は『名もなき野良犬の輪舞』(2017)では暴力団の摘発に執着する非情なチーフ役、『スピード・スクワッド ひき逃げ専門捜査班』(2019)では交通課の課長、ドラマ『秘密の森2』(2020)では警察庁の情報部の部長刑事と、これまではリーダー格の有能な女性を多く演じてきました。

しかし、本作では、すべての指に指輪をはめ、どぎついメイクをした、したたかなタレコミ屋に扮していてあっと言わせます。

イ・ジョンホ監督は『さまよう刃』でタッグを組んだイ・ソンミンはもとより、すべての俳優の能力を最大限に引き上げ、強烈な人間ドラマを作り上げました。

まとめ


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懸命に捜索する刑事たちをあざ笑うような猟奇殺人鬼の造形も鬼気迫るものがあります。

そのアジトとなるアパートは、大邸に実在するアパートでロケを行ったそうです。階段部分の円形の作りは、まるで車の立体駐車場を上がっていく通路のようでもあり、警察、犯罪者、機動隊が入り乱れるバトルシーンとして面白い映像を作り出しています。

また、ハンスは不眠症であることが暗示されていますが、追い詰められていく中で、現実と幻が交錯する印象的なシーンが頻繁に登場するのも見逃せません。

犯罪都市』(2017)、『The Witch/魔女』(2018)の撮影監督を務めたチュ・ソンニムはアナモルフィックスレンズで撮影を行い、青を基調とした独特な外観と質感を生み出しました。

また、照明監督のチェ・ジョンハは登場人物が窮地に陥る時はパッションレッドとコールドブルーの照明をふんだんに使用しました。

優秀なスタッフが結集した渾身の映像世界にも是非注目してください。





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