――聞こえるか。
ノイズの彼方で彷徨う魂の混線が、25年を経てふたたび心を引き裂く
頭に受信機。指には送信機。男はそう信じていた。怪電波の洪水と鮮烈な美しさで途方に暮れる一作が25年ぶりに劇場公開です。
ロッジ・ケリガン監督『クリーン、シェーブン』が、2021年8月27日(金)よりシネマート新宿ほか全国順次公開されることが決定しました。25年ぶりの劇場公開となります。
映画『クリーン、シェーブン』について
主人公は、世の中は静かであっても、常に頭の中のノイズに悩まされる哀しき男。
ただ娘に会いたいだけなのに、周りは彼の行動を理解できません。狂っているのはこの男なのか。それともこの世の中なのか。
主人公の行動は、ときに目を覆いたくなるほど、観る者に計り知れない痛みや切なさ、やりきれなさを与え、一生脳裏にこびりつき、忘れられない衝撃を与えることでしょう。
本作は、幻覚幻聴に悩まされながらも娘を探し続ける統合失調症の男の姿を徹底的に抑制されたトーンで映し出した哀しく陰鬱なサスペンス。
ロッジ・ケリガン監督が約3年を費やし完成させた渾身の初監督作です。
主人公ピーターは、『パルプ・フィクション』(1994)、『ユージュアル・サスペクツ』(1995)、近年では『テスラ エジソンが恐れた天才』(2020)にも出演し、性格俳優として知られるピーター・グリーンが務め、難しい役柄を誠実かつ不気味に演じています。
第20回テルライド映画祭でワールドプレミアの後、第11回サンダンス映画祭や第47回カンヌ国際映画祭の他、ニューヨーク近代美術館でも上映され、スティーヴン・ソダーバーグ、ダーレン・アロノフスキー、ジョン・ウォーターズといった錚々たる監督たちから、忘れがたき表現性を絶賛されました。
日本では、96年の公開以降、作品全体が放つ疲労感を覚える空気、悲惨さと哀愁が話題となり、未だに語り継がれるも観ることの出来ない幻の作品となり、2020年頃から一部で再公開を希望する声も多数あげられていた注目作です。
映画『クリーン、シェーブン』のポスタービジュアル
本記事冒頭に掲載した日本版ポスタービジュアルは、劇中の写真がコラージュされています。
主人公の混乱と不安を表現しており、これから始まる苦痛と不穏さをも感じさせるビジュアルに仕上がりました。
映画『クリーン、シェーブン』の作品情報
【製作】
1993年(アメリカ映画)
【原題】
CLEAN, SHAVEN
【製作・監督・脚本】
ロッジ・ケリガン
【キャスト】
ピーター・グリーン、ロバート・アルバート、ミーガン・オーウェン、ジェニファー・マクドナルド
映画『クリーン、シェーブン』のあらすじ
自分の頭に受信機、指には送信機が埋め込まれていると信じているピーター。
彼は施設を出所した後、里子に出された娘を探すため故郷に戻ります。
しかし図らずも幼児殺人容疑で刑事に追われ、その世界は混迷を極めていき…。
まとめ
撮影監督としてフレデリック・ワイズマンに師事し、ナショナルジオグラフィックやミュージックビデオで撮影を行ってきたロッジ・ケリガンが、93年に発表した衝撃の映画『クリーン、シェーブン』。
錚々たる映画監督たちが本作を以下のように絶賛しています。
「思わず心を引き裂かれる。忘れられない映画体験だ。」(スティーヴン・ソダーバーグ)
「圧倒的な表現と誠実さに、完全に打ちのめされた。」(ダーレン・アロノフスキー)
「あなたの精神に永遠に深い傷跡を残すだろう。」(ジョン・ウォーターズ)
ノイズにまみれた唯一無二の映像表現で観る者を哀しき虚無に突き落とします。
『クリーン、シェーブン』は25年の時を経て、2021年8月27日(金)よりシネマート新宿ほか全国順次ロードショーです。