杉谷庄吾【人間プラモ】の同名コミックがアニメ化されてスクリーンに登場!
劇場アニメ『映画大好きポンポさん』は、杉谷庄吾【人間プラモ】による漫画『映画大好きポンポさん』が原作です。
映画の都・ニャリウッドを舞台に、伝説的映画プロデューサーである祖父の才能を受け継ぐポンポさんと、彼女によって映画監督に抜てきされた映画好きの青年ジーンの奮闘を描きます。
監督と脚本は『劇場版「空の境界」第五章 矛盾螺旋』(2008)の平尾隆之。主人公に声優初挑戦となる清水尋也。新人女優ナタリーを大谷凜香、ポンポさんには小原好美が、魅力的なキャストを演出しています。
劇場アニメ『映画大好きポンポさん』の作品情報
【公開】
2021年(日本映画)
【原作】
杉谷庄吾【人間プラモ】(プロダクション・グッドブック)
『映画大好きポンポさん』(MFC ジーンピクシブシリーズ/KADOKAWA刊)
【監督・脚本】
平尾隆之
【主題歌】
CIEL:「窓を開けて」
【声のキャスト】
清水尋也、小原好美、大谷凜香、加隈亜衣、大塚明夫、木島隆一
【作品情報】
杉谷庄吾【人間プラモ】の同名コミックを劇場アニメ化。監督・脚本は『劇場版「空の境界」第五章 矛盾螺旋』(2008)の平尾隆之が務めました。
大物映画プロデューサーの孫で自身もその才能を受け継いだポンポさんのもとで、製作アシスタントを務める映画通の青年ジーン。映画を愛することだけが取り柄の青年が、映画制作を通して”自分”を見つけ出します。
主人公ジーンの声は、『渇き。』(2014)の清水尋也で、声優初挑戦。新人女優ナタリーを『犬鳴村』(2019)の大谷凜香、ポンポさんをテレビアニメ『スター☆トゥインクルプリキュア』(2019)の小原好美がそれぞれ演じます。
劇場アニメ『映画大好きポンポさん』のあらすじとネタバレ
大物映画プロデューサーの孫で、敏腕映画プロデューサーであるポンポ(小原好美)さん。本名は「ジョエル・ダヴィドヴィッチ・ポンポネット」です。
青年ジーン(清水尋也)は、ポンポさんのもとで製作アシスタントをしています。
映画に心を奪われて業界入りした彼は、観た映画をすべて記憶しているという映画通で、毎日のように女優のミスティア(加隈亜衣)たちと顔を合わせて仕事ができることに喜びを見出します。
ですが、ポンポさんの敏腕ぶりに圧倒され、自分には無理だと卑屈になる毎日。
映画の世界だけで生きてきた映画マニアのジーンは「映画を撮るか死ぬか、どっちかしかないんだ」と思いつめていました。
「なんで僕を採用したのでしょう」。ジーンはポンポさんの祖父のプロデューサーに聞いたことがあります。
「ポンポが選んだのだから何かあったのだろう」あいまいな祖父の答えに満足しないジーン。ある時、直接ポンポさんに聞くと、「死んだような目してたから」。
「青春満喫、生きているのが楽しいっていう眼している奴は、今の自分に満足しているから次の創作意欲がないんだよ」。
ジーンは、目には光がなく、学生時代の友達はゼロ、映画がなかったら社会不適合者間違いなしだったのです。
ある時、ジーンはポンポさんから15秒CMの制作を任されました。映画を撮ることにも憧れていたジーンは、驚きながらも一生懸命に作り上げ、映画づくりに没頭する楽しさを知ります。
それからしばらくしたある日、ジーンはポンポさんから次に制作する映画『MEISTER』の脚本を渡されました。
伝説の俳優・マーティン(大塚明夫)の復帰作にして、ポンポさんの目利きにかなった新人女優ナタリー(大谷凜香)をヒロインに迎えた書き下ろし作です。
ジーンは、頭がしびれるほど興奮する内容に大ヒットを確信しますが……なんと、監督に指名されたのは、CMが評価されたジーンだったのです。
劇場アニメ『映画大好きポンポさん』の感想と評価
映画の都ニャリウッドで映画製作をしている天才映画プロデューサーのポンポさん。原作そのままの、スーパー―キャラが活動する映画『映画大好きポンポさん』。
主人公はそんなポンポさんの元で、自分の才覚に目覚めていくジーン。
夢を追うことに疲れ切っていますが、ひとたび動き出すと眠っていた才能が目覚めだしたようでした。
女優の天分を持っているナタリー、そしてエリートの道を歩みながらも自分の才覚に不安を抱えているアラン。
主役のジーン、新人女優のナタリー、銀行員のアランと、未知数100%の3人の悩める若者たちがそれぞれ飛躍を遂げていました。
陰の力となったのはポンポさん。度肝を抜くような辛辣な名言も残しますが、人を見る眼、育てる眼のあるポンポさんだから若者たちの成長の手助けができたのかも知れません。
本作は、若者の成長物語とともに、映画製作の裏がよくわかる作品でした。
劇中劇で撮影現場を用意しているために、何台ものカメラやスタッフの姿があり、打合せや位置取りの確認をする様子に現場の緊張感が漂います。
映画の脚本があり、脚本から演技が生まれ、感動的なストーリーへと繋がる様が劇的に描かれる一部始終を、ありのまま映し出した作品と言えます。
そして、迎えた編集作業がまた大変。撮影された膨大なフィルムから重要シーンを選び出す苦労が、余すところなく描かれています。
この作業がどれほど大切で、細やかな神経を使うものなのか。観客までもクリエイターになったような感じで、モノづくりのワクワク感を味わえました。
こだわりぬいて作り上げた映画で一番気に入っているところは?と聞かれて、90分でまとめたところ、と言い切ったジーンの自信にあふれた姿はとても印象深いものです。
映画は長ければいいと言うものではないのです。起承転結、プロローグからエピローグまで、観客の集中力を考えて、面白みもぐっと凝縮すると、90分というのが一番いい長さなのでしょう。
まとめ
映画愛に満ちあふれ、多くのファンを生み出してきた漫画『映画大好きポンポさん』をご紹介しました。
映画が完成するまで、どんな役割の人がどういうことをしているのかが、まるで教科書のように描かれていて、映画業界のノウハウがよくわかる作品です。
優れた天分で人々を魅了するポンポさんのキャラがとてもユニーク。美味しそうにおやつのドーナツにかぶりつく姿は普通の少女なのですが、その中身はやはり天才!
作中、あちこちに隠された映画愛を見つけるという楽しみもあり、映画の申し子のようなポンポさんが発する言葉も『ポンポ語録』として覚えておきたい、魅力的なものでした。