エイリアンvs元軍人や現役兵士たちの死闘を描くSFアクションスリラー
ジョン・スーツが監督を務め、ブルース・ウィリスが出演した、2020年製作のカナダのSFアクションスリラー映画、『アンチ・ライフ』。
宇宙船に潜んだ正体不明の生命体相手に、宇宙船を管理する元軍人や現役兵士たち、搭乗した民間人が人類存亡をかけて死闘を繰り広げていく姿とは、具体的にどんな内容だったのでしょうか。
新たな地球を目指して旅をしていた、宇宙船の中で繰り広げられる謎の生命体vs人間たちの戦いを描いた、カナダのSFアクションスリラー映画、『アンチ・ライフ』のネタバレあらすじと作品情報をご紹介いたします。
映画『アンチ・ライフ』の作品情報
【公開】
2021年(カナダ映画)
【脚本】
エドワード・ドレイク、コーリー・ラージ
【監督】
ジョン・スーツ
【キャスト】
コディ・カースリー、ブルース・ウィリス、カラン・マルベイ、レイチェル・ニコルズ、ティモシー・V・マーフィ、トーマス・ジェーン、カサンドラ・クレメンティ、ジョニー・メスナー、コーリー・ラージ、ヨハン・アーブ、アンジー・パック、ラルフ・モーラー
【作品概要】
『PANDEMIC パンデミック』(2016)のジョン・スーツ監督が手掛ける、カナダのSFアクションスリラー作品です。
『パワーレンジャー』(2017)のコディ・カースリーが主演を務め、「ダイ・ハード」シリーズや「エクスペンダブルズ」シリーズなど、人気シリーズ映画に多数出演している大スター、ブルース・ウィリスが出演しています。
映画『アンチ・ライフ』のあらすじとネタバレ
西暦2242年。謎のウイルスの流行により、地球は滅亡の危機に陥り、選ばれた5,000人の富裕層が新たな地球となる惑星、「ニュー・アース」へと避難することになりました。
これまで41隻の宇宙船がニュー・アースへと旅立ち、時空を超えて長い航海の旅に出れる宇宙船「ヘラクレス号」の出発が最後です。地球には、宇宙船に乗れる許可証を持たない190億人が、まだ残されているというのに…。
ヘラクレス号は、船長アダムス提督を筆頭に構成された現役兵士と、クレイという男を筆頭にした元軍人によって管理されています。
アダムス提督の娘で元士官学校生ヘイリーの恋人で、妊娠した彼女のお腹の子供の父親であるノア・コラルは、家族と一緒にニュー・アースで新生活を築くため、労働と引き換えに何とかヘラクレス号に潜り込むことが出来ました。
しかしアダムス提督は、ヘイリーが妊娠し士官学校を中退させた原因である、彼女の恋人を許していません。そのため、ノアとヘイリーは、アダムス提督に自分たちが恋人同士で、いずれ家族になることは隠していました。
ヘラクレス号に搭乗したヘイリーたち民間人と、アダムス提督を含む現役兵士のクルーは、ニュー・アース到着までの半年間、人工冬眠装置の中に入り冬眠します。
アダムス提督たちの冬眠が完了し、ヘラクレス号は「ニュー・アース」に向けて、量子ジャンプを開始。しかしその直前、フードを深く被った男が、船内にある端末に何かを仕込んでいたのです。
そうとは知らないノアと、クレイたち元軍人、アダムス提督の代わりに指揮官になった男スタンリー大佐。彼らはハイパー速度により、地球が30年の時を経過した翌朝、他のクルーが冬眠中の間、宇宙船の管理に取り掛かります。
その際、スタンリー大佐はノアたち、起きているクルーに「この船はあと182日で“ニュー・アース”に到着する。提督をはじめ、ほとんどのクルーは冬眠している」と告げます。
「稼働メンバーには衛生兵が6人、技術兵が6人。衛兵5人と俺がお前らを厳しく取り締まる」「船内の雑用担当は5人。問題が起きたら自分で解決しろ、分かったらさっさと行け」と述べました。
ニュー・アース到着まであと171日。船内の清掃を任された雑用担当のノアは、同室となったクレイと、彼のホログラムにたびたびからかわれながらも、淡々と仕事をこなしていました。
真面目に仕事をこなすノアとは違い、クレイとその仲間のブルーとオルテガ、衛生兵のチェンバースと衛兵のティークらを含む、他のクルーはスタンリー大佐にバレない程度に適度にサボっていました。
ニュー・アース到着まであと86日。クレイたち他のクルーと馴染めず孤立するノアにとって、冬眠しているヘイリーと一緒に、ニューアースでどんな生活を送るのかが唯一の楽しみでした。
そんな中、高濃度の放射線が出ているリアクターがある部屋、「リアクター室」に何者かがアクセスしようとして失敗し、船内に警告アラートが鳴り響きます。
警告アラートに気づいたスタンリー大佐が、リアクター室前にいる誰かに声をかけようと向かいますが、そこには誰もいません。
その代わり、何かが船内の通気口を移動する音が聞こえ、スタンリー大佐は船内の見回りに向かいます。そこで偶然、スタンリー大佐は船内のトイレを清掃中のノアと遭遇し、彼にこう言いました。
「地球を離れ、心が不安定になる者は多い。新たなスタートを喜ばず、他の惑星の植民地化に反対する者もいる」「中には船の自爆を企む奴がいるかもしれん。だからお前は不審者を見たら必ず俺に報告するんだ」
そう話すスタンリー大佐が去った後、仲間と一緒にサボっていたクレイがふらっと現れますが、ノアは彼にその話をしませんでした。
そんなある日、謎の生命体が酒のボトルに侵入したとは気づかず、その酒を飲んで体内に取り込んだクルー、シェイディが大量の血液だけを残して死んだ事件が発生。しかもその時、シェイディと一緒に隠れて麻薬を吸っていたクルー、ブルーが謎の失踪を遂げていたのです。
そんなことが船内の一室で起きているとは知らないノアは、一緒に仕事をする相棒のクレイの姿が見当たらず、船内を探し回っていました。
ようやくノアが見つけたクレイは、チェンバースとオルテガ、仲間の男性1人と一緒に、クレイ特製の洗浄剤を主原料とした酒を武器庫で飲んでいました。
クレイたちはそれを知ったノアを取り押さえ、「スタンリーにバレたら全員軍法会議にかけられるから黙っていろ」と口止めし、代わりに彼を仲間に引き入れます。
後日、オルテガの誕生日会が行われ、すっかりクレイの仲間に溶け込んだノアは、彼らと一緒に酒を飲みながら他愛もない話をしていました。
そんな時、オルテガは姿が見えない仲間のブルーを探しに行きますが、血まみれの彼は既に謎の生命体に体を乗っ取られており、オルテガは壁に何度も頭を叩きつけられて死亡します。
同時刻。ノアは密かに船内のパソコンを弄り、移住先での職業を肉屋から衛生設備業に変更していました。
それを見たクレイは、ノアが実は搭乗許可証を持っていない密航者で、その理由は家族と一緒に居たいからだということを、彼の口から聞いて知りました。
その話を2人がしていた直後、クレイはスタンリー大佐に呼び出されます。その理由は、シェイディの死とそれに関与した疑いがあるブルーが失踪、オルテガも行方不明になっていることでした。
しかし、シェイディが死んだ現場は、どう見ても人の手によるものではありません。
10年来の仲間であるブルーを、シェイディ殺しの犯人と疑いたくないクレイは、一緒にスタンリー大佐からその話を聞いたノアに、「もし奴が犯人だった時は、俺に少し時間をくれ」と言いました。
映画『アンチ・ライフ』の感想と評価
クレイとアダムス提督の勇姿
エイリアンvs元軍人と現役兵士たちの戦い、これが本作『アンチ・ライフ』の見どころです。
エイリアンに寄生されたシェイディの死と、死んだブルーの解剖、オルテガが殺された場面はグロイので、観る時は心の準備が必要となります。
強力な助っ人となるはずのスタンリー大佐やアダムス提督、アダムス提督率いる現役兵士たちが死んでしまうのは、本当に残念で仕方ありません。
それでもアダムス提督が現役兵士たちを率いて、エイリアンを一掃しようとする姿と、彼がノアに「おいお前、ヘイリーを頼んだぞ」と言って自爆した場面は男らしくて格好良かったです。
その前に、娘を妊娠させ士官学校を中退させた原因であるノアを殺そうとした、アダムス提督の姿と比較すると、そのギャップに惚れ惚れします。
それに何といっても、ブルース・ウィルス演じる元軍人のクレイが、最後まで格好良いのです。
最初はホログラムを使って、ノアのことをからかってばかりいたクレイが、ノアの事情を知ってから仲間として信頼し、最後は自らの命を犠牲にしてまで守ります。
一度は死を覚悟したクレイが、最後まで諦めずにエイリアンと戦い、宇宙に散っていった姿に感動する人は多いでしょう。
エイリアンを侵入させた“黒幕の正体”
実はこの宇宙船「ヘラクレス号」に、エイリアンを侵入させた黒幕の正体は、クレイたちと一緒に戦ってきた衛兵のティークです。
謎のウィルスによって人類が滅亡の危機に瀕し、新たな居住地に向かう道中、ティークは自暴自棄になってしまったのでしょう。
いっそのこと、ヘラクレス号にエイリアンを侵入させて、一思いに殺してほしいと思ってしまったのです。
あまりに身勝手な理由で、エイリアンを侵入させ、最後はそのエイリアンに寄生されたクルーに殺されたティーク。
彼がどのようにしてエイリアンを呼び寄せたのか、また何の研究をして失敗したのかまでは、劇中では明かされていません。
そのことに関して、観る人それぞれで考察できる楽しみが出来たのと同時に、一緒に主人公たちと戦っていた彼が犯人である真実に驚愕します。
まとめ
自暴自棄になった1人の衛兵によって、宇宙船内でエイリアンvs元軍人と現役軍人たち人間の死闘が繰り広げられていく、カナダのSFアクションスリラー作品でした。
ブルース・ウィリス演じるクレイや、トーマス・ジェーン演じるアダムス提督が最後まで諦めず、仲間と一緒にエイリアンと戦った場面は、迫力満点のアクションが満載です。
物語のラストでは、既にエイリアンに侵略されていたニュー・アースで、コディ・カースリー演じるノアと、カサンドラ・クレメンティ演じるヘイリーがエイリアンと戦う姿が映されていました。
ノアとヘイリーがその後どうなったのか分からないまま、物語は幕を閉じたので、もしかしたら続編が製作されるのかもしれませんね。
ちょくちょく出てくるギャク要素に笑いつつ、エイリアンvs元軍人集団と現役兵士たちの死闘にハラハラドキドキする、SFアクションスリラー映画が観たい人に、とてもオススメな作品です。