美しい海を舞台に人間と巨大サメとの戦いを描いたサバイバルスリラー
深海パニックスリラーとしてヒットした2017年の『海底47m』の製作総指揮チームが再集結し、サメ映画の真骨頂を見せつける映画『グレートホワイト』。
監督・脚本は、マーティン・ウィルソンが務め、カトリーナ・ボウデン、アーロン・ジャクベンコら実力派のキャストが揃いました。
巨大な人食いサメが出現する大海原に漂流する救命ボート。遭難した5人は陸地を目指そうと奮闘しますが、生死を懸けたモンスターとの戦いにストレスは募り、人間同士のいざこざも勃発。
何処から襲ってくるのかわからない敵に対して、緊張するシーンが続出します。
美しい海を舞台に、人間と巨大サメとの戦いを描くサバイバルスリラー『グレート・ホワイト』を、ネタバレありでご紹介します。
映画『グレート・ホワイト』の作品情報
【公開】
2019年(オーストラリア映画)
【原題】
Great White
【脚本・監督】
マーティン・ウィルソン
【キャスト】
カトリーナ・ボウデン、アーロン・ジャクベンコ、キミエ・ツカコシ、ティム・カノ、タチアナ・マリアノヴィッチ、テ・コエ・トゥハカ
【作品概要】
映画『グレート・ホワイト』は、マーティン・ウィルソン監督が手掛けたオーストラリアのサバイバル ホラー映画。
2017年に公開された『海底47m』の製作総指揮チームが再集結し、サメ映画の真骨頂を見せつけています。
出演は、カトリーナ・ボウデン、アーロン・ジャクベンコ、タチアナ・マリアノビッチ、キミエ・ツカコシ、テ・コエ・トゥハカ。
映画『グレート・ホワイト』のあらすじとネタバレ
水上飛行機の愛好家でありオペレーターでもあるキャズ・フェローズ(カトリーナ・ボウデン)とパイロットのチャーリー・ブロディ(アーロン・ヤクベンコ)は仲の良いカップルです。
ある日、2人は水上飛行機の乗客である水上城二(ティム・カノ)、妻のミシェル(塚越公恵)、そして料理人のベニー(テ・コエ・トゥハカ)を水上飛行機に乗せて、絵のように美しいヘルズリーフ島へ飛び立ちました。
島に着陸すると、サメによる襲撃の疑いのある死体に遭遇。彼らはそれを沿岸警備隊に報告します。亡骸が手にしていた携帯電話には女性と写る写真が残っています。
ベニーとチャーリーは、彼女が生き残った場合を考え、他のメンバーにもカップルが乗っていたヨットを捜すと告げました。
城二は彼らに「それはばか者のすることであり、危険にさらされる」と言います。それでも、キャズたち5人は、行方不明のヨットを捜して飛び立ちました。
やがて、彼らは海上でヨットが転覆しているのを見つけました。ベニーは女性がいるかもと、ヨットの中を調査するために飛び込みます。
ヨットの中で彼が見つけたのは、女性の傷ついた死体でした。
ベニーは慌てて水上飛行機に戻りますが、その時ホオジロザメが現れて、水上飛行機を攻撃します。
水上飛行機が沈み始めたので、5人は飛行機の救命ボートを海に浮かべ、それに向かって泳ぎまました。
なんとか全員、無事に救命ボートに辿り着き乗ることに成功しました。
潮の流れで漂流するボートの上で、チャーリーは備え付けの貧弱なコンパスとオールを使って、陸の方角を定め大海原を漕ぎ出しました。
オールは2本。全員で交代で漕ぐことにします。
ミシェルと城二がいかだを漕ぐシフトの時、疲れてつい眠り込んだミシェルが、オールの1つを手から放してしまいます。
オールを失っては大変。キャズはホオジロザメがいるかもしれない海に飛び込み、オールを回収しました。
ベニーと城二はイライラが募り、小競り合いが始まりました。城二はベニーを力いっぱい押します。
ベニーは海に落ち、ホオジロザメに襲われて殺されます。その後、サメはボートを攻撃し、転覆させました。
全員海に投げ落とされ、慌ててボートに戻りますが、泳ぎの苦手な城二はボートに戻ろうともがきながら、サメの餌食となりました。
映画『グレート・ホワイト』の感想と評価
迫り来るサメの恐怖
映画『グレート・ホワイト』は、ホラー映画界のエースとも言える「サメ」映画です。
深海パニックスリラーとしてヒットした「海底47m」シリーズの製作総指揮チームが再集結し、北オーストラリアの美しい海を舞台に製作にあたりました。
美しいビーチで無残に食いちぎられた死体を発見し、残りの遭難者捜しに出た5人は、それがサメの仕業とわかっていました。
逃げ出したい気持ちに反し、自分たちも乗ってきた水上飛行機を壊され、救命ボートで漂流することになります。
太陽に照らされる昼の青い海と、暗闇に閉ざされた漆黒の夜の海。
自然の美しさを満喫する間もなく、主人公たちは、昼夜を問わずに襲いまくるサメの獰猛さにおののきます。
スクリーン一杯に広がる青い海にポツンとシミのように浮かぶいかだが一つ。
何回も写るこのシーンは、限りなく広がる海を見せることで、サメの住処から逃げられない恐怖をまじまじと見せつけています。
襲い掛かるサメをやっつけなければ、反対に餌食となります。次に誰が犠牲者となるのでしょう。
絶え間なく頭に浮かぶ恐怖と闘いながら、生きて帰りたいという気持が、キャズやミシェルを強くしていきました。
強くなる人がいる反面、弱い人もいるのが人間です。
救命用のボートという狭い空間でサメとの闘いを強いられているうちに、5人の中もいざこざがおきます。
キャズの夫の城二は、水が嫌いなこともあり、最初から他のメンバーとあいませんでした。
窮地に陥った場合の協力性が欠けているように見える城二。人間たちが困難に立ち向かう時には、多かれ少なかれ、城二のような人物は登場してきます。
その人物が辿る行く末もまた興味深いところですが、本作では、やはり……という結末になったのが残念です。
スリラーの伏線
ところで、サメ映画の特徴でもある海中シーンは、本作でも美しく撮影されています。
キャズを演じるカトリーナ・ボウデンが救命ボートに戻ろうと必死に泳ぐシーンは、白くて長い足が水の中でダンスをするかのように、優雅に動きます。
サメがまず足から食いつくのもわかるような構図で、緊張感あふれる場面なのですが、妖しい美しさを秘めていました。
そして、あちこちに散りばめられたモンスターの恐怖の伏線。
真っ赤に染まる青い海に猛スピードで引きずり込まれる咥えられた人間。
海中から浮かび上がる不気味な黒い三角形の背びれ。
突然浮かび上がってくる、小島が丸々ひとつ飲み込まれそうなサメの大きな口には、見る人誰もが驚くことでしょう。
海の持つ美しさばかりでなく、海中に潜む恐怖のモンスターとの闘いをリアルに描いた本作は、どこから襲ってくるのかわからないシチュエーションに全く気が抜けません。
最初から最後まで、ハラハラドキドキするサバイバルスリラーと言えます。
まとめ
ホラー映画界のエースの「サメ」映画『グレート・ホワイト』をネタバレありでご紹介しました。
『JAWS/ジョーズ』(1975)から始まり、『ロスト・バケーション』(2016)、「ディープ・ブルー」(1999)シリーズ、『MEG ザ・モンスター』(2018)、『シャークネード』(2013)など数々のヒット作品が生み出され、ホラーファンも魅了してきた‟サメ映画”。
サメの姿を出すか出さないかの違いはありますが、どの作品もサメとのサバイバル対決の凄まじさやどこからくるのかわからない恐怖に、ひきつけられます。
本作は、サメの姿があまり出ない部類の作品ですが、モンスターの影と大海原のダイナミックさでサメの恐怖を余すところなく演出していると言えます。
海に遊びに行く時は、サメなど海中に潜むモンスターへの注意を忘れないよう心掛けたいものです。